「ハイリスク・ハイリターン」とは投資の原則の一つとして知られているものです。
「損失を被るリスクが大きいほど、高い利益を期待できる」という意味です。
また、「大きな利益が欲しいなら、大きなリスクを取らなければならない」という考え方をも示しています。
せっかく投資するなら、大きな利益を狙える商品に投資したいということが本音ではないでしょうか?
この記事では、ハイリスク・ハイリターン投資のメリットやデメリット、どのような商品があるかを解説していきます。
ハイリスク・ハイリターン商品とローリスク・ローリターン商品の理想的な組み合わせ方も紹介するので、ぜひ役に立ててください。
筆者プロフィール
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ、金融機関出身のライターです。
投資歴は4年、運用資産は1,000万円に突入し、毎月約2万円以上の不労所得が入ってくるようになりました。
読者の方々の老後の豊かな暮らしや早期リタイアをサポートするため、金融や投資の記事を多く執筆しています。
ハイリスク・ハイリターンの投資もやっているため、実体験を基に紹介していきます。
特に、ソーシャルレンディングやアクティブ型投資信託は、筆者が初心者の頃から投資していたため、同じく初心者の方におすすめしたいと思っています。
これらの商品については、後ほど詳しく紹介します。
投資におけるリスクとリターンの関係
投資とは、リスクを取ることで大きなリターンを狙いに行くことです。
無リスクで利益だけ得ることはできません。
リスクという危険を承知の上で、お金を増やすのが投資なのです。
リスクを理解せずに投資を始めてしまうと、損失を膨らませてしまうかもしれません。
ハイリスク・ハイリターンの投資をするならなおさらです。
そのため、投資におけるリスク・リターンとは何か、リスクとリターンはどのような関係があるのかを理解しましょう。
リターンとは
リスクの前にリターンを理解しましょう。
リターンとは、投資をして得られる収益(または損失)のことです。
投資の文脈では、「利回り」という言葉でリターンを表現します。
例えば、5パーセントの利回りの場合、100万円を投資すれば105万円に増えます。
マイナス5パーセントの利回りの場合、100万円を投資すると95万円になります。
少額の投資で大きく儲けたいなら、リターン(利回り)が高い商品に投資しなければなりません。
そのため、利回りは投資商品を選ぶ基準の一つになっているのです。
リスクとは
リスクを日本語に訳すと「危険」となりますが、投資におけるリスクは危険とは違うものです。
投資におけるリスクは、「リターンの振れ幅」のことです。
例えば、平均のリターンが5パーセントの商品が2つあったと仮定しましょう。
商品Aの利回りは、4パーセントから6パーセントの間に収まります。
商品Bの利回りは、3パーセントから7パーセントの間に収まります。
どちらもリターンの平均は5パーセントですが、商品Aの方がリターンの振れ幅が小さく、商品Bは振れ幅が大きいです。
この場合、リスクが大きいのはリターンの振れ幅が大きい「商品B」となります。
リスクが大きい商品は、平均利回りを大きく上回る利益をたたき出せる可能性があります。
一方で、平均利回りを大きく下回る可能性もあります。損得のブレが大きいので、リターンの振れ幅が大きい商品を「ハイリスク」と表現するのです。
このように、投資におけるリスクは危険のことではありません。
「損得のブレの大きさ」を示すと思ってください。
リスクとリターンは比例する
基本的に、リスクとリターンは比例します。
ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンといった商品から、投資先を選ばなければならないのです。
できれば、ローリスク・ハイリターンな商品に投資したいものですが、このような商品はほとんどありません。
リスクとリターンの大きさは、株式>債券、新興国>先進国のようなイメージです。
商品や投資先によって、リスクとリターンの大きさが異なります。
ハイリスク・ハイリターン投資のメリット
「ハイリスク」と聞くとネガティブな印象があるかもしれません。
しかし、リスクとリターンは比例するため、高いリスクに見合った高い利回りが期待できます。
これがハイリスク・ハイリターン投資の魅力です。
高い利回りを狙えるからこそのメリットとして、次の3つが挙げられます。
ハイリスク・ハイリターン投資のメリット
- 少額で大きな利益を狙える
- 投資を本業にできる
- 不労所得で生活できる
メリット①:少額で大きな利益を狙える
資金が少ない人でも大きな利益を狙えるのが、ハイリスク・ハイリターン投資のメリットです。
利回り3パーセントと利回り7パーセントの資産運用をシミュレーションして比較してみましょう。
元手の100万円をそれぞれの利回りで20年間運用すると、資産の増え方は次のグラフのようになります。
利回り3パーセント(ローリターン)の場合、約180万円に成長します。
対して、利回り7パーセント(ハイリターン)の場合、約390万円に成長するのです。
元手はどちらも100万円だったのに、結果は2倍以上の差がつきました。
このように、リターンが高ければ元手の資金が少ない人でも大きく儲けることができます。
今はお金持ちでない人にも資産形成のチャンスがあるのは、ハイリスク・ハイリターン投資の大きなメリットです。
メリット②:投資を本業にできる
ハイリスク・ハイリターン投資で稼げるようになれば、投資を本業にすることもできます。
もし、いま勤めている会社に不満があったり働くことや人間関係に疲れていたり、悩みがあったりするなら投資を本業にすることで解決するかもしれません。
ハイリスク・ハイリターン投資で狙える最大の利回りは、10パーセントから20パーセントほどです。
元手が1,000万円あって利回り20パーセントの投資を実現できれば、1年で200万円の利益を得ることができます。
これだけだと贅沢な生活はできないかもしれませんが、生計を立てることは不可能ではないでしょう。
いくら「ハイリターンでも投資の収益だけでは足りない」という場合でも、投資を本業にして副業として簡単な仕事に取り組むといった方法もあります。
本業に悩みがある方は、投資を始めることで人生を変えるきっかけを得られるかもしれません。
メリット③:不労所得で生活できる
投資商品を買うと、それだけで配当金や分配金をもらうことができます。
働かなくてもお金をもらえるため、「不労所得」を得られるのです。
ハイリターンの投資をすれば不労所得の金額も大きくなるため、投資の不労所得だけで生きていけるチャンスも生まれるメリットがあります。
例えば、「ソーシャルレンディング」という投資商品なら、投資額に対して5パーセントから10パーセントほどの分配金をもらうことができます(ソーシャルレンディングがどのような商品なのかは、後ほど詳しく解説します)。
利回りが10パーセントなら、1,000万円を投資すれば100万円の分配金をもらえます。
5,000万円を投資すれば500万円の分配金をもらうことができ、これだけで生計を立てられそうですよね。
今すぐに投資の不労所得だけで生計を立てようとするなら、ハイリスク・ハイリターンな投資をすることに加え、数千万円単位の元手が必要です。
ですが、今はそこまでの資金がなくても、投資で増やしていけば良いのです。
そう考えると、投資の不労所得だけで生活するのは夢物語ではなく、現実的な話なのです。
ハイリスク・ハイリターン投資なら早く資産を増やせるため、不労所得で生活するチャンスも早くつかめると期待できます。
ハイリスク・ハイリターン投資のデメリット
ハイリスク・ハイリターン投資のメリットをお伝えしてきましたが、デメリットの方も押さえておかなくてはなりません。
むしろ、リスクが大きい投資なので、デメリットの方が本題と言っても過言ではありません。
これから解説する3つのデメリットを覚悟した上で、ハイリスク・ハイリターン投資に臨みましょう。
ハイリスク・ハイリターン投資のデメリット
- お金を失うリスクが大きい
- 投資の知識と経験が必要
- 投資方法によっては手間がかかる
デメリット①:お金を失うリスクが大きい
ハイリスクとは、「期待できる利回りからのブレが大きいということ」だとお伝えしました。
つまり、期待できる利回りを大きく上回る可能性がある反面、大きく下回って損失が膨らむ可能性もあるのです。
それは、お金を失うリスクが大きいデメリットがあるということです。
損をする可能性も大きい投資であるため、理解して資金管理を適切に行うことが重要です。
全財産をハイリスク・ハイリターン投資につぎ込むのではなく、余剰資金の一部のみを投じるなど、損が出ても大丈夫なように資金をコントロールしましょう。
デメリット②:投資の知識と経験が必要
一般的には、初心者でも手を出しやすい簡単な商品はローリスク・ローリターンです。
中級者向け、上級者向けと難易度が上がるに従ってハイリスク・ハイリターンになっていくため、このような投資を始めるなら中級以上の知識や経験が欲しいです。
特に、株式やFX、仮想通貨のトレードは自分でタイミングを見て運用するスキルがないと稼ぐことは難しいです。
利回り20パーセント以上も稼げているトレーダーがいる一方で、マイナスの利回りとなっているトレーダーも大勢います。
9割以上の人はマイナスの利回りで損をしているとも言われている厳しい世界です。
デメリット③:投資方法によっては手間がかかる
ハイリスク・ハイリターン投資は中級者や上級者向けで、自力で商品を売買して差額を儲けにする投資が多いです。
自分で運用しなければならないため、当然ですが手間がかかります。
そのため、本業の仕事が忙しいサラリーマンの場合は難しいかもしれません。
筆者の周囲でも、大学時代はデイトレードで稼いでいたけれど、会社員になってからは忙しくてできなくなってしまったという方がいます。
トレードの手間がかからないのは、ソーシャルレンディングやアクティブ型投資信託です。
また、FXの自動売買も手間が少ないです。
これらの商品がどのようなものなのかについては、後ほど具体的に解説していきます。
手間がかからないハイリスク・ハイリターン投資をしたい方には、これらの方法がおすすめです。
おすすめの投資戦略
ハイリスク・ハイリターン投資のメリットとデメリットを解説してきました。
少額で大きな利益を狙えるメリットがある反面、お金を失うリスクも大きい投資であることをご理解いただけたでしょうか?
何も、ハイリスク・ハイリターンかローリスク・ローリターンかどちらかを選ばなければならないということではありません。
組み合わせることで最適なポートフォリオを作れば、リスクを抑えてリターンも最大化することができます。
そこで、どのように商品を組み合わせればバランスの良いポートフォリオを作れるのかについて解説していきます。
あくまでも一例なのでこれが正解というわけではありませんが、初心者の方など投資に不慣れな方は、これから紹介するバランスで投資を始めてみてはいかがでしょうか?
基本は「ローリスク・ローリターン」
ポートフォリオの基本は、ローリスク・ローリターンの商品で固めることがおすすめです。
リスクの低い商品を核にして、手堅く運用していきましょう。
ローリスク・ローリターンの商品でおすすめなのが、インデックス型の投資信託です。
投資信託はプロに運用を任せられる商品で、インデックス型は株式市場に上場するあらゆる銘柄に分散投資する商品です。
個別の企業の倒産リスクなどが薄まるので、安定した収益が魅力的です。
利回りは1パーセントから3パーセントほどです。
少額で「ハイリスク・ハイリターン」を狙う
ローリスク・ローリターンの商品だけの投資だと、安定はしますが利回りが物足りなく感じられるでしょう。
そこで、資金の一部を使ってハイリスク・ハイリターンの投資を行います。
利回りが10パーセント前後の商品に投資できれば、少額でも大きな利益を期待できます。
ポートフォリオ全体を低リスクに抑えて安定させているため、少しの資金を使ってリスクの高い投資にも挑めるようになります。
ポートフォリオの例
ポートフォリオの8割をローリスク・ローリターンの商品で運用し、2割をハイリスク・ハイリターンの商品で運用することがおすすめです。
- 利回り3%の低リスク商品:8割
- 利回り10%の高リスク商品:2割
で運用すると、ポートフォリオ全体の利回りは4.4パーセントに上がります。
低リスク商品だけだと3パーセントの利回りしかなかったのに、少し高リスク商品を混ぜるだけで4.4パーセントまで利回りが上がりました。
「低リスク商品だけ」「高リスク商品だけ」と極端にするのではなく、混ぜることでちょうど良いポートフォリオを作ることができます。
筆者は8:2をおすすめしますが、9:1でも7:3でも構いません。
ご自身に合ったバランスを考えていきましょう。
ハイリスク・ハイリターンの投資商品
では、ハイリスク・ハイリターンの投資商品には具体的にどのようなものがあるのか解説していきましょう。
目安の利回りと難易度を参考に、ご自身に合った商品を選んでみてください。
次の4つの商品について解説していきます。
ハイリスク・ハイリターンの投資商品
- ソーシャルレンディング
- アクティブ型投資信託
- 株式投資
- FX
投資①:ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、資金調達したい企業と投資したい投資家をオンライン上で結びつけるサービスです。
目安の利回りは5パーセントから10パーセントほどで、難易度は低めです。
予定利回りが決まっており事業計画の資料も開示されているため、それを基に投資するか判断するだけだからです。
自力で売買するといった手間はかからず、ハイリスク・ハイリターン投資の中では難易度は低い長所があります。
ただし、ソーシャルレンディングはサイトを運営する業者によって成功率が大きく変わる短所があります。
資金調達したい企業をソーシャルレンディング業者が審査しますが、審査がザルだと変な案件が紛れ込んでしまうからです。
過去の達成率を参考に、信頼できる業者を選びましょう。
なお、ソーシャルレンディングについてはこちらで詳しく解説されています。
おすすめの業者についても紹介されていますよ。
投資②:アクティブ型投資信託
アクティブ型投資信託は投資家のお金をプロに預け、運用を任せる商品です。
「インデックス型」と異なり、アクティブ型はプロが独自の目線で将来有望な銘柄を見つけて投資するため、高い利回りが期待できます。
目安の利回りは3パーセントから5パーセントほどです。
運用をプロに任せられるため、とても簡単に投資できるところが長所です。
ただし、プロに任せるために手数料を支払う必要があり、利回りが低めになっている点が短所です。
投資③:株式
株式は株式会社が発行しているもので、平日の日中は株価が上下に動きます。
この変動を利用し、株式を安く買って高く売ることで儲けるのが株式投資です。
利回りの目安は5パーセントから15パーセントほどです。
ハイリターンを目指すなら自分で売買しなければならず、難易度は高いです。
手間がかかるだけでなく、投資の知識や経験が必要だからです。
もし、5パーセントほどの利回りで良いのであれば、配当金や株主優待狙いのミドルリスク・ミドルリターンの投資に切り替えても良いかもしれません。
売買が上手くできなかったら方針を買えるなど、工夫できる点は長所と言えるでしょう。
投資④:FX
FXは為替の値動きを利用した取引です。毎日のニュースで「1ドル=〇〇円」と報道されており、都度レートが違うことは知っているのではないでしょうか。
その価格変動を利用して、差額を儲けとするのがFXです。
FXは「安く買って高く売る」だけでなく、「高く売って安く買い戻す」という手法でも儲けられるので、収益のチャンスが多いのが長所です。
利回りは最高で20パーセントほどを目指せます。
ただし、株式投資と同様に難易度が高く、知識と経験を必要とします。
利回りがマイナスになっているトレーダーの方が多いと言われているほどです。
難しさが短所の投資方法です。
まとめ
ハイリスク・ハイリターン投資について、リスクとリターンの基礎知識や投資商品などを解説してきました。
大きなリスクを取れば、少額で大きな利益を得るチャンスをつかめることをご理解いただけたでしょう。
「ソーシャルレンディング」や「アクティブ型投資信託」は売買スキルが必要ないため、初心者でも始めやすい商品です。
まずはこれらの商品でハイリスク・ハイリターン投資を始め、株式投資やFXを始める形が良いでしょう。