預金や投資など資産運用について調べていると、「利回り」という用語が必ず登場します。
それだけでなく、「利率」や「騰落率」、「表面利回り」や「実質利回り」などの似たような言葉も出てくるので、頭がこんがらがってしまう人も多いと思います。
難しい用語が出てくると、「投資って難しそうだからやめようかな」と思ってしまうかもしれません。
諦めかけている方のために、この記事では利回りについて易しく解説していきます。
似たような用語との違いや、利回り別のおすすめ商品も解説したので、きっとお役に立てるはずです。
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目次
利回りとは
「利回り(りまわり)」とは、投資した金額に対してどれくらいの利益が得られるかを示す数値です。
単位はパーセントで表されます。
利回りの計算式は次のとおりです。
- 利回り(%)=利益÷投資額×100
利益とは、利息や分配金、配当金、さらに商品の値上がり益など、投資で得られるあらゆる利益のことを指します。
利回りの計算例
例えば、100万円を投資すると1万円の利益が得られる投資商品の場合、次のように利回りを計算できます。
- 利回り(%)=1万円÷100万円×100=1%
5万円の利益が得られる投資商品の場合、利回りは次のように計算できます。
- 利回り(%)=5万円÷100万円×100=5%
同じ100万円を投資しているため、5万円の利益が得られる商品の方が儲けが多いことがわかります。
利益の大きい商品は、利回りも5パーセントと高いです。
利回りが高い商品の方が、投資金額に対して大きな利益を得られると期待できるのです。
そのため、利回りは商品選びの判断に大いに役立ちます。
利回りは商品によって異なるので、判断に使えるのです。
さて、「利回り」と似たような言葉に、「利率(りりつ)」と「騰落率(とうらくりつ)」があります。
次は、これらの用語の意味について解説していきましょう。
利率との違い
利率は利回りと非常によく似ていますが、何を利益とするかが異なります。
利回りの場合は、「利息」や「分配金」のように定期的にもらえる利益や、商品そのものの値上がり益など、「あらゆる利益」を含めました。
ところが、利率の場合は「利息」や「分配金」といった定期的にもらえる利益だけを含めます。
すなわち、利率は次のように計算します。
- 利率(%)=利息や分配金など÷投資額×100
一般的には、同じ商品なら利回りの方が利率よりも高い数値になります。
利回りの計算で使う利益の方が、利率の計算で使う利益よりも大きいから当然ですね。
値上がり益が無いか少ない国債やソーシャルレンディングであれば、利率と利回りは同じような数値になります。
一方で、値上がり益が大きい株式では、利率よりも利回りの方が大きくなりますし、利回りで評価した方が実態の利益に近くなります。
騰落率との違い
騰落率は、ある期間に商品がどれくらい値上がりしたか、または値下がりしたか計算した指数です。
利回りがあらゆる利益を考慮した指数である一方、騰落率は値上がり・値下がりによる商品の価格変動がどれくらいの大きさだったかを表しています。
騰落率は次のように計算します。
- 騰落率(%)=値上がり・値下がりによる損益÷ある時点の価格×100
すなわち、価格変動しない国債やソーシャルレンディングの場合、騰落率はゼロとなります。
騰落率が大きいのは、値上がり・値下がりの変動が激しい株式などです。
表面利回りと実質利回り
実は、利回りには2種類あります。
「表面利回り」と「実質利回り」です。
投資する商品によっては、表面利回りと実質利回りとで大きな差があることがあります。
ここでは、これらの意味や違いを解説していきましょう。
表面利回り
これまでに解説してきた利回りは、表面利回りのことです。
次のように計算することができます。
- 表面利回り(%)=利益÷投資額×100
表面利回りの長所は、計算が簡単なことです。
利益と投資額がわかれば計算できるため、ざっくりとした収益率を知りたいときに向いています。
一方で、投資をするために支払う手数料などのコストがまったく考慮されていない短所があります。
次に解説する「実質利回り」は、表面利回りの短所を克服したものです。
実質利回り
実質利回りは、表面利回りと違って手数料などのコストを考慮した利回りのことです。
次のように計算することができます。
- 実質利回り(%)=(利益-年間のコスト)÷(投資額+購入時のコスト)×100
「年間のコスト」とは、「口座維持手数料」や「信託報酬」など、投資していると常に支払う必要があるコストのことです。
投資信託などで必要となります。
「購入時のコスト」とは、「購入時手数料」など、投資を始めるときに支払ったコストのことです。
実質利回りは支払いコストを考慮するため、表面利回りよりも多くの情報を基に計算されます。
そのため、計算が複雑になる短所はあるのですが、実際に投資で投資家が得られる利回りに近くなる長所があります。
不動産投資などコストが大きい投資方法では、表面利回りと実質利回りがかけ離れることがあります。
高い表面利回りに魅力を感じて投資をしたものの、実は実質利回りが低く大して儲けが出なかったというケースもあります。
表面利回りが高い投資先を見つけても、実質利回りも高いか調べてから投資をしましょう。
単利と複利
利回りについて理解したところで、続いては「単利(たんり)」と「複利(ふくり)」について解説していきましょう。
これらは運用のやり方に関する用語で、基本的には複利の方が資産を早く伸ばせるためおすすめです。
単利
単利とは、投資の利益を再投資せず、ずっと元本のみを運用する方法です。
利益を運用することができないため、資産が増えるペースは緩やかになります。
複利
複利とは、投資の利益を再投資して、元本と利益を運用する方法です。
利益を運用してさらなる利益を生み出すので、資産を急激に増やすことができます。
単利と複利の違いをシミュレーション
単利と複利とで資産が増えるペースにどれくらいの違いがあるのか、シミュレーションして比較してみましょう。
利回り5パーセントで元本100万円を20年間運用した場合、単利と複利とでは次のグラフのような差が出ます。
20年運用すると、単利だと200万円になりますが、複利だと約265万円に成長します。
複利で運用するだけで、単利よりも65万円も大きく資産を増やすことができました。
また、グラフの形からわかるとおり、運用の年数が経つほど複利での利益は増えています。
時間が経つほど差が広がるため、若い頃に運用を始めて投資家歴が長い人ほど、複利の恩恵を受けられることがわかります。
利回りの違いをシミュレーション
利回りについての知識を身につけたところで、利回りが違うとどれくらい資産の増え方に差が出るのか検証していきましょう。
今回も、元本100万円を20年複利で運用した場合を比較していきます。
利回りを次の3つので比較していきます。
- 3%(投資信託、ETF)
- 5%(不動産投資、株式投資)
- 7%(株式投資、ソーシャルレンディング)
それぞれ、( )の中で示した投資方法が目安の利回りとなるため、現実味のある数値での比較です。
シミュレーションのとおり、100万円を20年間運用すると、
- 利回り3%:約181万円
- 利回り5%:約265万円
- 利回り7%:約387万円
にそれぞれ成長します。
3パーセントと7パーセントの運用成果の差は200万円にも上るので、利回りの違いが資産の成長に大きな影響を与えることが理解できるでしょう。
この結果を見ると、利回りが高い方法で運用した方が良いように感じられます。
それも一理ありますが、利回りが高いためのデメリットもあります。
次の項目では、投資をするときは利回りだけで判断してはならない理由について解説していきます。
利回りとリスクは一般的に比例する
利回りとリスクは比例の関係にあるため、利回りの高い投資をするなら、高いリスクを取らなければなりません。
反対に、リスクを低く抑えたいなら、利回りの低い投資で我慢する必要があるのです。
誰しも、リスクが低く利回りの高い投資をしたいと思うものですが、「ローリスク・ハイリターン」である投資方法はありません。
ハイリスク・ハイリターン、あるいはローリスク・ローリターンな投資しかないのです。
利回りだけで投資商品を選んでいる人は、利回りの高い投資商品が魅力的に見え、それにばかりお金を投じてしまうでしょう。
しかし、それは気づかぬうちに高いリスクを取っていることになるため、非常に危険な選び方なのです。
投資には元本割れのリスクがある
では、投資にどのようなリスクがあるのかというと、ずばり元本割れのリスクです。
投資のリスクは細分化してたくさんの種類に分けることができるのですが、ほとんどは元本割れのリスクにまとめることができます。
元本割れとは、運用がうまくいかず、投資したお金が減ってしまうことを言います。
例えば、100万円を増やしたいと思って投資しても、運用がうまく行かず80万円に減ってしまったというようなケースです。
利回りが高い投資方法は、元本割れのリスクも高いです。
元本割れのリスクを下げるには、低利回りの投資で運用するしかありません。
また、1円でも元本割れしたくない人は、銀行預金を利用しましょう。
利回りはほとんどゼロですが、元本割れすることはありません。
【低利回り】おすすめ投資商品
利回りとリスクが比例することを解説しましたが、ローリスク・ローリターンを好むか、ハイリスク・ハイリターンを好むかは、個人の状況や性格によって異なります。
絶対的な正解はないため、自分に合ったスタイルで投資していくことが重要です。
これから具体的な商品について解説していきますが、まずはローリスク・ローリターンの投資方法を紹介していきます。
投資することが初めてで、できるだけ元本割れのリスクを減らしたい人や、少しだけ試してみたい人は、次の3つの商品から投資を始めてみてるよ良いでしょう。
- 国債
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
低利回り①:国債
国債は、満期を決めて国にお金を貸し出し、利息をもらう投資方法です。
満期を迎えたら、投資した元本も返済されます。
日本の国債の利回りは、1パーセント弱が目安となります。
マイナス金利で運用環境が悪く、利回りはかなり低めとなっています。
国債のメリットは、今回紹介する投資商品の中で最も低リスクに運用できることです。
お金の貸出先が国なので、先進国の国債であれば、ほとんどの場合は予定どおり運用できます。
利息の支払いや元本の返済が滞る可能性は非常に低いです。
国債のデメリットは、利回りが低いことです。
他の投資方法に比べると利回りの点で見劣りすることは否めないでしょう。
とはいえ、国債は低リスクに運用できる点が非常に魅力的です。
元本割れリスクは怖いけれど投資を始めたい気持ちもある方は、国債から始めてみてみると良いでしょう。
低利回り②:投資信託
投資信託は、投資会社のプロに資金を預け代わりに運用してもらう商品です。
運用で得られた利益は、投資家がもらうことができます。
投資信託の利回りは、1パーセントから3パーセントほどが目安です。
プロがどのような商品で運用するかによって利回りが異なるため、目安の幅を広く取っています。
投資信託のメリットは、初心者でも始めやすいことです。
銘柄選びや実際の売買のような難しいことはプロが代わりにやってくれるため、投資の初心者でも簡単にできます。
投資信託のデメリットは、プロに運用を託す手数料がかかることです。
手数料の分、利回りが低くなってしまっているのです。
手数料はかかりますが、投資信託なら初心者でもプロの腕を借りて投資ができるということです。
投資の知識や経験に自信がない人は、投資信託から始めると良いでしょう。
低利回り③:ETF(上場投資信託)
ETFは日本語で「上場投資信託」という商品で、投資信託の仲間です。
プロが代わりに運用してくれることや、手数料がかかることなどは投資信託と同じです。
利回りは投資信託よりも高く、2パーセントから4パーセントほどが目安です。
ETFのメリットは、投資信託と同じくらいのリスクなのに、投資信託よりも利回りが高いことです。
ETFの方が手数料などのコストが抑えられているため、利回りが高いのです。
ETFのデメリットは、売買の方法が投資信託よりも難しいことです。
証券会社を通じて証券取引所に注文を出さなければならず、初心者にはやや難しいかもしれません。
ETFは手数料が低いため、投資に慣れてきたらおすすめしたい商品です。
投資信託から始めた人は、次のステップとしてETFへの投資を検討してみてください。
【高利回り】おすすめ投資商品
続いて、高利回りの投資商品を紹介していきます。
少ない資金でも多くの利益が期待できるため、投資に使える余剰資金が少ない人におすすめです。
ただし、利回りが高い分、元本割れのリスクも高いことは理解した上で始めてください。
次の3つの商品について解説してきましょう。
- 不動産投資
- ソーシャルレンディング
- 株式投資
高利回り①:不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートを買って賃貸物件として貸し出し、入居者からもらう家賃を利益とする投資方法です。
利回りは5パーセントほどが期待できます。
不動産投資のメリットは、安定した収入が期待できることです。
入居者が頻繁に入れ替わることは考えにくいため、一度入居した人から数年間にわたって安定した家賃収入を得ることができます。
不動産投資のデメリットは、物件を購入するのに大きなお金がかかることです。数千万円から数億円の費用がかかるため、ローンを組んで始める人がほとんどです。
始めるハードルは高いと言わざるを得ないでしょう。
不動産投資は、会社員で安定した収入がある人など、ローンの審査に通りやすい人におすすめです。
高利回り②:ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、インターネット上で、お金を借りたい企業と投資家を結びつけるサービスです。
利回りは5パーセントから10パーセントほどが目安です。
ソーシャルレンディングのメリットは、利回りが高いことです。
今回紹介する方法の中で、最も利回りが高い投資方法です。
ソーシャルレンディングのデメリットは、利回りが高い分、リスクも高いことです。
銀行の融資が受けられない企業などが資金調達に使っているため、他の投資方法に比べると元本割れリスクが高いのです。
ソーシャルレンディングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
初心者でも理解できる内容なので、初めて聞いたという方は一度目を通しておくと良いでしょう。
高利回り③:株式投資
株式投資は、企業に出資する代わりに、配当金として利益をもらえる投資方法です。
また、安く買って高く売ることでも利益を得られます。
利回りは5パーセントから7パーセントほどが期待できます。
株式投資のメリットは、企業によっては株主優待ももらえることです。
株主に特典として自社製品やサービスの割引券を配布している企業もあります。
投資の利益と優待の二重取りができるので、株式投資は人気があるのです。
株式投資のデメリットは、銘柄選びが難しいことです。
企業の将来性を評価して投資するか決めなければならないため、初心者には難しいでしょう。
銘柄選びが難しいため、初心者には投資信託のようにプロに任せられる商品がおすすめされるのです。
ここで紹介した以外にも、高利回りの投資方法はたくさんあります。
ソーシャルレンディングや株式投資だけでなく、他の方法も知りたい人はこちらの記事をチェックすると良いでしょう。
まとめ
利回りの意味や、利率や騰落率との違いなど、利回りに関する基礎知識を解説してきました。
低利回り・高利回りそれぞれのおすすめ商品も解説してきましたが、興味のある商品は見つかりましたか?
特に押さえておいてもらいたいことは、リスクとリターンが比例する点です。
高い利回りにつられて投資を始めると痛い目に合うかもしれないので、投資するメリット・デメリットの両方を理解して投資を始めましょう。
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