資産運用を始めるとなれば、どんな商品に投資をするのか決めなければなりません。
ですが、資産運用の種類は膨大にあり、良く知られているものだけでも10種類以上あります。
そこで、この記事では、15種類の資産運用方法についてリスクとリターン別に紹介していきます。
始めにリスクとリターンの関係を解説するので、資産運用の方法を選ぶ際に役立ててください。
目次
資産運用の種類は「リスクとリターン」で分けられる
まずは、資産運用の種類を選ぶときに重要な「リスク」と「リターン」について解説していきましょう。
リスク・リターンの関係
資産運用における「リスク」とは、「値動きの振れ幅」という意味で使われます。
必ずしも「危険」というネガティブな意味ではありません。
上の図のように、リスクが小さい商品は値動きが小さく、リスクが大きい商品は値動きが大きいのです。
資産運用における「リターン」は商品に投資することによって得られる利益のことです。
商品によって期待できるリターンは異なり、1年間運用したら1パーセントの利益が期待できる商品や、20パーセントの利益が期待できる商品などさまざまです。
「リスク」と「リターン」は比例関係にある
注意点として、リスクとリターンは比例することを覚えておきましょう。
ハイリスク・ハイリターンの商品は値動きが大きく、大損する可能性もあれば大儲けする可能性もあります。
ローリターン・ローリターンの商品は値動きが小さく、損得の幅が小さい傾向にあります。
商品を選ぶときはなるべくリターンの高いものを選びたいですが、リターンが高い商品はリスクも高いのです。
そのため、自分が許容できるリスクの範囲で投資を行いましょう。
次の項目からは、15種類の資産運用の方法を紹介していきます。
リスクの低いものから高いものまで順番に紹介するので、自分に合った商品探しに役立ててください。
資産運用の種類:元本保証
投資に使うお金のことを「元本」と言います。
元本保証の投資では、元本が減ることはありません。
一方、元本割れのリスクがある投資では、元本が減る可能性があります。
元本保証の投資方法は、「日本円での預金」だけです。
早速解説していきましょう。
なお、「外貨預金」も元本保証だと勘違いされやすいのですが、実は元本割れのリスクがあります。
したがって、「ローリスク・ローリターンの資産運用」の項目で解説します。
預金
銀行に日本円でお金を預けておくことを、預金と言います。
1,000万円までの元本とその利息は保証されるので、1,000万円以内の預金であればノーリスクです。
一方、預金はリターンもほとんどゼロに等しいです。
一定期間お金を預けておく代わりに高金利で運用できる定期預金ですら、金利は0.2パーセントほどが最大です。
つまり、100万円を1年間預けた場合でも、100万2,000円にしか増えません。
後述するリスクのある資産運用と比べると、物足りない増え方だと感じられるでしょう。
日本円での預金がおすすめなのは、元本割れを絶対に避けたい人です。
金利が低すぎるのでお金を増やす方法としては不向きですが、大切な資産を減らさず守るためには役に立ちます。
資産運用の種類:ローリスク・ローリターン
ローリスク・ローリターンの資産運用として、次の3種類を紹介します。
- 国債
- 社債
- 外貨預金
これらは預金とは異なり元本保証ではないものの、元本が減るリスクが低い資産運用の方法です。
低リスクのためリターンも低いのですが、確実に運用したい人におすすめです。
1.国債
国債とは国が発行している債券のことで、投資家は国にお金を貸し、見返り(リターン)として利息を得ることができます。
満期が来れば、貸したお金(元本)も戻ってきます。
国債のリスクは、発行体が破綻すると元本が戻ってこない可能性があることです。
ただし、国にお金を貸すイメージなので、日本や先進国なら国が破綻する可能性は極めて低く、国債に投資するリスクはほとんどありません。
リスクが低いので、リターンも低くなっています。
日本の国債だと利回りは1パーセントに満たない状態です。
国債は、「銀行預金よりは高い利回りが良いけど、安全に運用したい」と考えている人におすすめです。
リスクが低いので、投資に対する経験が少ない初心者にもぴったりです。
2.社債
社債とは、企業が投資家から資金を調達するために発行する債券のことです。
投資家は企業にお金を貸し、定期的に利息としてお金を受け取ることができます。
満期が来れば、投資した元本も戻ってきます。
社債のリスクは、発行している企業が破綻することが考えられることです。
企業が倒産したら利息はもらえなくなり、元本も戻って来ない可能性があります。
企業の信用性については格付けを見ればわかるため、安全そうな企業を選ぶことがおすすめです。
社債は格付けが高い企業ほどリスクが低くなるため、リターンも低くなります。
0.5パーセントから2パーセントの企業が多いです。
社債がおすすめなのは、価格変動を避けたい投資家です。
株式と違って社債は日々の値動きがないため、景気動向や株価が気になることもなく、ストレスなく保有することができます。
預金や国債よりは高金利が良いけれど、ストレスなく投資をしてみたい初心者の方に特におすすめです。
3.外貨預金
外貨預金は、米ドルやユーロ、豪ドルなどで預金することです。
仕組みは円での預金と同じです。
日本円は低金利であるため預金でお金を増やすことは難しいですが、外貨預金なら高金利であることが多く、お金を増やすことができます。
外貨預金には「為替変動リスク」があり、元本保証ではありません。
1ドルが100円のときに100万円分の米ドルを買ったら1万ドルの外貨預金ができますが、時間が経って1ドルが80円になってしまったら、外貨預金の1万ドルは80万円になるのです。
この例では、為替変動によって100万円が80万円に減ってしてしまいました。
為替が逆に動けば得をすることになるのですが、とにかく元本保証ではないことは理解して投資しましょう。
外貨預金のリターンは、定期預金なら米ドルで2パーセント前後、豪ドルやニュージーランドドルで1パーセント前後です。
南アフリカランドなら5パーセント以上の高金利を狙えますが、新興国は政情不安や経済破綻のリスクが大きいため、ローリスクな投資を求める人には向かないでしょう。
外貨預金がおすすめなのは、預金と同じ感覚で高金利の投資をしたい人です。
また、最近では投資用に購入した米ドルをデビットカードで決済に使用できる金融機関もあるので、海外旅行を頻繁にする人にもおすすめです。
資産運用の種類:ミドルリスク・ミドルリターン
続いては、ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用として、次の7種類の資産運用を紹介します。
- 不動産投資
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
- REIT(不動産投資信託)
- ロボアドバイザー
- ソーシャルレンディング
- 金
これらの資産運用では、大きな手間をかけずにリターンを得ることができることが特徴です。
一定の価格変動もあるのでリスクもありますが、投資で資産を増やしたいならミドルリスク・ミドルリターンの資産運用を始めたいところです。
1.不動産投資
不動産投資は、マンションやアパートなどを買って部屋を他人に貸し出し、入居者から賃料をもらう投資です。
立地の良い物件であれば入居者が入りやすいため、安定した家賃収入を得ることができます。
不動産投資のリスクとしては、空室ができて想定どおりの家賃が得られなかったり、設備の故障などで思わぬ支出が発生することが考えられます。
また、失敗するケースとしては魅力のない立地の物件を買ってしまい、家賃を大幅に下げないと入居者が見つからないということがあります。
不動産投資のリターンは5パーセントほどです。
空室や故障などに充てるお金を残しておけば、大損する可能性は低いです。
ただし、不動産を購入するのには数億円単位のお金が必要です。
大きなお金を持っていて資産運用に回せる人や、ローンを組む手間をいとわない人におすすめです。
2.投資信託
投資信託は、資産運用を投資のプロにお任せできる商品です。
株式や債券といったおおまかな投資商品は自分で決めますが、具体的な銘柄選びは投資のプロに任せることができます。
投資信託のリスクとしては、株式の値下がりや債券の発行体の破綻などがあります。
ですが、投資信託は分散投資が基本設計のため、個別の銘柄でリスクが発現しても影響が小さく、ミドルリスクと言えます。
投資信託のリターンは1パーセントから3パーセントほどです。
運用のプロに手数料などを支払う分、リターンが低めです。
投資信託は運用のプロに任せられる商品なので、初心者におすすめです。
そのため、投資の知識がない人でも気軽に始めることができます。
インターネット証券会社では100円から投資することができるので、資産運用を試してみたい人にもおすすめです。
3.ETF(上場投資信託)
ETF(イーティーエフ)は「上場投資信託」のことで、投資信託の仲間です。
そのため、資産運用をプロに任せられる商品です。
投資信託と異なる点としては、証券取引所で売買できるという点です。
つまり、株式のように時々刻々と価格が変動します。
ETFのリスクとしては、株式の値下がりや債券の発行体の破綻などがあります。
ですが、投資信託と同じでETFも分散投資が基本設計のため、個別の銘柄でリスクが発現しても影響が小さく、ミドルリスクと言えます。
ETFのリターンは3パーセントから5パーセントほどです。
投資信託よりも手数料が抑えられている傾向があるので、投資信託よりも高利回りとなっています。
ETFがおすすめなのは、証券会社を通して売買の注文ができる人や、売買に挑戦してみたい人です。
投資信託よりも高利回りが期待できるので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
4.REIT(不動産投資信託)
REIT(リート)は「不動産投資信託」のことです。
不動産に投資する商品ですが、資産運用のプロに物件選びや実際の運用などを任せることができます。
ETFと同様、証券取引所で売買できるという特徴があり、株式のように時々刻々と価格が変動します。
REITのリスクとしては、不動産投資と同様に空室や設備故障によって想定どおりの収益が挙げられないことなどがあり、ミドルリスクと言えます。
とはいえ、都心のオフィスビルなど個人で所有できない優良物件への投資ができることが多く、個人での不動産投資よりはリスクが低いです。
REITのリターンは、4パーセントから6パーセントほどです。
個人での不動産投資と同程度のリターンが期待できます。
REITがおすすめなのは、不労所得で生活費を補いたい人です。
REIT自体の価格は大きく変動しにくいですが、分配金の利回りが高いため本業以外の定期的な収入として期待できます。
また、不動産投資と異なり10万円ほどの資金があれば始められるため、大金を用意はできないけど不動産投資を初めてみたい人にもおすすめです。
5.ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、毎月決まった金額を自動で多様な商品に投資してくれるサービスです。
投資先を選ぶときも専門知識は不要で、簡単なアンケートに基づいてリスク許容度を自動で診断し、個人に合ったバランスで投資先を決めてもらえます。
つまり、投資に詳しくなくても自分に合った投資先を選ぶことができるのです。
ロボアドバイザーのリスクとしては、投資する商品によって異なります。
基本的には複数種類のETFに投資することが多いため、国内外の株式や債券のリスクがロボアドバイザーのリスクです。
ロボアドバイザーのリターンは、投資する商品によりますが、3パーセントから5パーセントほどだと考えておきましょう。
ロボアドバイザーがおすすめなのは、放置したまま投資したい人です。
自動的に商品の金額をリバランスして、アンケート結果に基づいたリスクを保ってくれるので、資産運用に手間をかけたくない人におすすめです。
6.ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、「お金を借りたい企業(借り手)」と「お金を貸したい人(投資家)」をオンライン(インターネット上)で結びつけるサービスです。
クラウドファンディングの一種であり、「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれます。
ソーシャルレンディングのリスクとしては、借り手の企業やプロジェクトが事業に失敗し、利息の支払いや元本の返却ができなくなってしまうことが考えられます。
このような貸し倒れが起こらないように審査するのが業者なので、信頼できる業者を選ぶことでリスクを下げることができます。
ソーシャルレンディングのリターンは、5パーセントから10パーセントほどです。
ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用の中では、最も利回りが高い種類です。
ソーシャルレンディングがおすすめなのは、手間をかけずに利回りが高い投資を求める人です。
新しいサービスで知る人ぞ知る高利回りの資産運用なので、検討してみてはいかがでしょうか?
7.金
金は実物に価値があるので、「現物資産」と呼ばれています。
金そのものに価値があり、その価値は不変という特徴があります。
例えば、経済のリスクが高まって株式や債券のリスクが高まれば、そのものに価値がある金は相対的に価値が高くなります。
そのため、「金で儲ける」というよりは「株式や債券のリスクヘッジ」と考えると良いでしょう。
金は実物に価値があるためリスクはないのですが、金が新たに利益を生むものではなく、豊かになるには金への投資だけでは無理だと考えられます。
景気が良く株式や債券の調子が良いときは値下がりするリスクもあります。
したがって、金のリターンは予測しにくいです。
株式や債券と異なり、金は利益を生まないからです。
あくまでも、株式や債券が不調な不況に備えた「守りの資産」です。
金がおすすめなのは、既に株式や債券など「攻めの資産」に投資した上で、資金が余っている人です。
「守りの資産」にも投資しておくことで、景気後退にも強い資産運用ができます。
資産運用の種類:ハイリスク・ハイリターン
ハイリスク・ハイリターンの資産運用として、次の4種類の資産運用を紹介します。
- 株式投資
- FX
- 仮想通貨
- 先物取引
これらの資産運用に共通することは、自力で銘柄分析や売買を行う点です。
「安く買って高く売る」のが基本戦略となり、資産運用の上級者におすすめの投資方法です。
この中で難易度が低いのは株式投資なので、高いリターンを求めるなら株式投資から始めてみてはいかがでしょうか?
1.株式投資
株式投資は、投資家が株式を買うことでお金を企業に出資する投資です。
企業はそのお金で事業を行って利益を出し、投資家に「配当」という形で利益の一部を還元します。
また、株主優待をもらったり、保有している株式の株価が上がったら売却したりして、利益を得ることもできます。
株式投資のリスクとしては、株価の値下がりや企業の不祥事・倒産などが挙げられます。
特に、有名な大手企業でも突然の不祥事の報道で大きく株価が下がることがあり、ハイリスクと言えます。
株式投資のリターンは、3パーセントから5パーセントほどが目安です。
ただし、デイトレーダーのように株式を上手に「安く買って高く売る」ことができれば、20パーセントといった利益も不可能ではありません。
株式投資は、売買で大きな儲けを狙う上級トレーダーにもおすすめですが、実は放置で利益を出したい投資家にもおすすめです。
ハイリスク・ハイリターンの投資の中では唯一、配当や株主優待など不労所得を稼げるからです。
2.FX
FXは、為替相場の値動きを利用して利益を上げる投資方法です。
例えば、1ドルが100円のときに100ドルを1万円で買っておき、1ドルが110円に値上がりしたら100ドルを売って1万1,000円を手に入れるといった手法で稼ぎます。
FXのリスクは、投資に使うお金の数倍の金額を借りられる「レバレッジ」を使用すると発現します。
お金を借りた状態で損失を出してしまうと、借りたお金を補填しなければなりません。
損失を出してお金を失ったのに、借りたお金の補填でさらに支出が増えるのです。
FXのリターンは、上手い人ならプラス20パーセント、多くのトレーダーはマイナス5パーセントと言われています。
売買のタイミングやレバレッジのかけ方が非常に難しく、一握りの人が勝ってほとんどの人が負けている相場です。
FXがおすすめなのは、株式のデイトレードなどの経験があって、チャート分析や相場観が身についている人です。
未経験の人がこれからFXを始めるなら、少額で試してみるのがおすすめです。
3.仮想通貨
仮想通貨の取引は、FXと似た投資方法です。
円と仮想通貨、または仮想通貨同士の価格が時々刻々と動くため、その価格変動を利用して儲ける投資方法です。
仮想通貨のリスクは、価格変動が大きいことです。
1日で5パーセントほど動くことは一般的ですし、大きいときは10パーセントから20パーセントも動きます。
つまり、上手く相場に乗れれば1日で20パーセント稼げますが、そうでなければ1日で20パーセント失うリスクがあるのです。
仮想通貨のリターンも、上手い人とそうでない人とで大きな差が出ます。
上手い人なら1年で資産を2倍以上に増やすこともできますが、失敗した人の中には10分の1に減ってしまったという人もいます。
仮想通貨がおすすめなのは、株式やFXなどのトレードを経験した人です。
未経験の人が仮想通貨のトレードを始めるなら、少額から始めることをおすすめします。
4.先物取引
先物取引とは、将来の売買について現時点で約束をする取引のことです。
ある商品をいくらで売買するのか約束しておき、将来の約束の日が来たら売買を行います。
将来に値下がりしたら売りが儲かり、値上がりしたら買いが儲かる取引です。
先物取引のリスクは、将来の値上がり・値下がりの予想が外れるケースです。
そもそも「約束した値段で、将来のある日に買える」という取引なので、利益よりもリスクヘッジに使われる取引です。
先物取引のリターンも、トレーダーによって大きく異なります。
上手い人なら20パーセントを上回ることも可能ですが、大勢が負けてマイナスのリターンになってしまう資産運用です。
先物取引がおすすめなのは、FXや株式の売買に慣れている人です。
未経験の人がこれから始めるなら、少額で始められる業者を選びましょう。
目的別・資産運用の種類の選び方
資産運用をリスク・リターン別に15種類解説しました。
種類が多すぎてどれを選べば良いのかわからなくなってしまった人も多いかもしれませんね。
そこで、ここでは目的別の選び方について解説していきましょう。
老後の資産形成をしたい場合
老後の資産形成が目的なら、長い時間をかけることができます。
ゆっくりで良いので確実な「ローリスク・ローリターン」の投資と、「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資を合わせて資産運用すると良いでしょう。
早期リタイアしたい場合
早期リタイアしたいなら、リタイアしてから年金をもらえる年齢になるまでの生活費が得られる資産運用をしましょう。
不労所得を得られる投資方法がおすすめで、具体的には「ソーシャルレンディング」「株式投資」「REIT」「ETF」「投資信託」が挙げられます。
少額で試したい場合
投資経験がない人は、少額でお試ししてみたいですよね。
インターネット証券会社を使えば、「投資信託」は100円から始められるのでおすすめです。
その他、1万円ほどを資産運用に回せるなら、「国債」「ETF」「ロボアドバイザー」「ソーシャルレンディング」などがあります。
まとめ
15種類の資産運用の方法について解説してきました。
資産運用の方法は、リスクとリターンで分けることができます。
両者が比例していることを理解した上で、投資する商品の種類を選びましょう。
ローリスク・ローリターンの投資からハイリスク・ハイリターンの投資まで紹介したので、自分に合った方法で資産運用を始めてみてくださいね。