2020年5月22日(金)、海外案件を専門に扱うソーシャルレンディングサイト、「クラウドクレジット(CrowdCredit)」が2019年12月期の決算を発表しました。
ここ数年赤字決算が続いているクラウドクレジットですが、2019年12月期の決算の結果はどうなったのでしょうか?
決算の概要と、その内容からわかることについて考察していきます。
目次
筆者プロフィール
筆者は第二種金融商品取引業登録事業者に勤務しています。
ソーシャルレンディング投資にも5年ほど前から取り組んでおり、クラウドクレイジットへの投資経験もあります。
クラウドクレジットの今後について、決算の数字からわかる点を解説していきます。
クラウドクレジットの2019年12月期決算の結果
Crowd Credit(クラウドクレジット)では、2019年1月1日~2019年12月31日における、海外子会社などを含む連結決算公告をホームページ上で発表しています。
3億8,900万円の赤字
2019年度の連結損益計算書を見てみると、3億8,900万円の当期純損失が発生しています。
残念ながら、最新の決算でもクラウドクレジットおよびびその関連会社では、黒字化を達成することができませんでした。
前年比で赤字は1憶5千万円減少
一方で、2018年12月期と比較すると赤字の金額は縮小しています。
2018年12月期の決算では、赤字は5億4,000万円でした。
つまり、前期比で1億1,500万円ほど赤字が減少しています。
営業損益は減少
営業活動に伴う利益の数字を示した営業利益(損益)は、2018年12月期の営業損益は4億8,500万円であったのに対し、2019年12月期は3億8,000万円となっています。
クラウドクレジットにおける主事業は、言うまでもなくソーシャルレンディングです。
ソーシャルレンディング事業における売上の増加が営業損益の縮小に貢献していることからも、ソーシャルレンディング事業が順調に推移していることがわかります。
クラウドクレジットの決算内容の特徴
2019年度のCrowd Credit(クラウドクレジット)の決算では、同社が今どのような状況にあるのかが浮かび上がってきます。
決算内容からクラウドクレジットの現況を紐解いてみましょう。
特徴①:海外案件中心
クラウドクレジットの連結損益計算書にある「外国利息収入」は14億9,100万円にものぼります。
同社は海外でのソーシャルレンディング案件を専門としているため、収入の多くを外国利息収入に依存していることがわかります。
特徴②:営業固定費が高い
販売費及び一般管理費は8億9,200万円となっています。
売上高は18億4,700万円となっていますから、売上高に対して固定費の占める割合が非常に高いことがわかります。
特徴③:売上は増加傾向
2018年12月期と2019年12月期における売上高と営業貸付金(ソーシャルレンディング案件で貸付を行っている金額)を比較してみましょう。
決算期 | 売上高 | 営業貸付金 |
---|---|---|
2018年12月期 | 13億900万円 | 106億2千万円 |
2019年12月期 | 18億4,700万円 | 127億9,500万円 |
営業貸付金は21億円増、売上高は5億円以上増加しています。
営業貸付金に対する売上高の割合は
- 2018年12月期:13億0,900万円÷106億2,000万円=12.3%
- 2019年12月期:18億4,700万÷127億9,500万円=14.4%
貸付金に対し効率良く売上が上がる体制になっていることがわかります。
2020年12月期決算への展望
2019年12月期も赤字にとどまったCrowd Credit(クラウドクレジット)ですが、2020年12月期における展望も2019年度決算情報には併記されています。
クラウドクレジットでは今季はどのような営業活動結果を予測しているのでしょうか?
外部からの資金調達に成功
クラウドクレジットは2020年5月15日(金)に、丸井グループから7億円の資金調達に成功したことを発表しました。
また、2019年度の決算情報には、クラウドクレジットの保有する現金及び預金の中にこの7億円は含まれていないことが記載されています。
赤字が続く状況下でも、営業活動に必要な資金不足に悩まされる心配は当面のところなさそうです。
2020年3月以降の状況は不安定
2020年に入ってからの業績は、必ずしも順調ではないことも決算情報の中で触れられています。
その理由は、新型コロナウイルスの流行です。
2020年1月から2月のクラウドクレジットは予定通りの売上高を達成しており、3月は売上は減少したものの、販促費の管理により単月黒字を達成していました。
しかし、2020年3月以降は次のように、投資家の投資意欲の減少、各国経済を取り巻く状況の混迷などのより、満足な資金募集を行えない案件も発生しています。
3月に入り、コロナウイルス蔓延による資本市場の混乱に伴い、お客様の投資意欲が減退し計画を下回りました。
そのため、先行きが読めない状況となっています。
新型コロナウイルスに業績を左右されるとの予測あり
クラウドクレジットは世界30ヶ国以上の案件を組成しており、複数の国に分散投資することで、リスク分散が可能です。
しかし、新型コロナウイルスの流行は世界各国に伝播しています。
分散投資をしたとしても、いずれかの投資先の国で、少なからず影響を受ける事態に陥っています。
それだけに、日本国内のソーシャルレンディング投資家は、状況を把握しにくいい海外の案件よりも、状況を把握しやすい日本国内の案件に投資した方が良いと考える向きも見られています。
新型コロナウイルスの流行は、北半球では夏季に入ったこともあり、欧米では落ち着く傾向が見られます。
一方、これから冬季にはいる南米やアフリカなどでは、感染者数が増加しており、先が見えない状態に陥っています。
世界各国の案件を提供しているからこそ新型コロナウイルスの影響を常に受ける状況となっているため、2020年12月期の営業結果は新型コロナウイルスの流行に伴う世界的な経済活動の動きに左右されそうです。
まとめ:総評
Crowd Credit(クラウドクレジット)の2019年度決算について解説しました。
手広く案件を提供しているだけに、新型コロナウイルスの影響を避けにくくなっています。
それだけに日本国内の案件を取り扱うソーシャルレンディング会社より、慎重に資金を投入しなければいけませんし、クラウドクレジットの2020年12月期の売上は、2019年ほど順調な伸びを見せない可能性もあります。
投資家がクラウドクレジットの海外案件に投資する際は、ただ投資先の数を増やし分散すれば良いというのではなく、各案件の条件やその国の状況を見定めながら選ぶと良いでしょう。
コロナウイルスの影響を受けにくいビジネスであるのか、大規模な流行が発生していない国なのか、そういった点を見極めながら投資していく必要があるでしょう。
なお、クラウドクレジットについてはこちらで詳しく解説しています。
「サービスサイト」では無料で口座開設ができるので、このタイミングで解説しておくと良い案件が登場したときにスムーズに投資できますよ。