クラウドアンサー編集部では、ソーシャルレンディングサイトを運営する企業へのインタビューを実施しています。
2020年8月、日本でトップクラスのの募集実績を誇るソーシャルレンディングサイト「クラウドバンク」を運営するクラウドバンク株式会社のインタビューを実施しました。
クラウドバンクは、2020年7月には累計募集金額1,000億円を突破するなど、大変好調な実績を残しています。
また、2013年12月のサービス開始以来、融資元本を全額回収していることでも知られています。投資家に着実な利益を提供し続けているクラウドバンクの現在、そしてこれからについて、クラウドバンク株式会社代表取締役金田 創社長にお伺いしました。
クラウドバンクとは
クラウドバンクは、第一種・第二種金融商品取引業登録企業である証券会社、日本クラウド証券が運営を行っています。
クラウドバンク株式会社は、日本クラウド証券株式会社の親会社です。
2020年8月現在、日本には10以上のソーシャルレンディングサイトがありますが、第一種金融商品取引業登録を行っている会社が運営しているものはごくわずかです。
まずは、日本クラウド証券の会社概要を確認しましょう。
名称 | 日本クラウド証券株式会社 |
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所在地 | 東京都港区六本木七丁目15番7号 新六本木ビル 6F |
資本金 | 100,000,000円 |
役員・顧問 | 代表取締役社長 橋村純 |
金融商品取引業登録 | 第一種・第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第115号 |
クラウドバンクのサービス開始は2013年12月であり、募集実績は1,060億円を突破しています(2020年8月18日時点)。
これだけの募集実績がありながらこれまで融資元本を全額回収しており、投資家は利益を享受することができています。
では、どういったことがそのようなソーシャルレンディングサイトの運営を可能にしているのでしょうか?
日本クラウド証券の親会社であるクラウドバンク株式会社 代表取締役金田創氏にインタビューを実施し、話をお伺いしました。
案件組成を行う上で何を第一に考えていらっしゃいますか?
ソーシャルレンディングは、融資型クラウドファンディングといわれるように、融資を伴う投資です。
そのため、貸したお金をしっかりと回収できるかどうかを重視しています。
一般的には、「投資」と「融資」の明確な線引きは難しいです。
しかし、私の中では、「投資」は成功すればお金が何倍にも増えるものの、失敗すればほとんどがなくなってしまうものだと考えています。
それに対し、日本の法律では「融資」のリターンは最大で年利15%ですが、貸した元本は回収できるもの、するものだと思っています。
ソーシャルレンディングという投資は元本の回収が前提であり、元本の損失が起きないことが当然であるという考えを持っています。
それだけに、融資先の選定においては厳密な審査を実施しております。
厳密な審査とは具体的にどのようなことでしょうか?
元本の保全性を高めるためには、担保を設定することが必要です。
そのため担保の価値の審査を厳密に行っているということです。
貸金業という事業は、お金を貸すという業務自体はそう難しい業務ではありません。
しかし、貸したお金を回収することは大変難しいことです。
そのため、担保を確認する際は、市場における金銭価値があるのか、そして確実な換金性があるのかという点をチェックしています。
そのように厳しい審査を実施しているからこそ融資元本回収率100%を実現できているのでしょうね。
そうですね。
当社に融資を申し込んでくださる企業様は数多くあります。
しかし、私たちの審査基準をきちんととクリアして、融資を行うことができると判断できる企業様はそう多くありません。
例えば、融資を申し込まれてきたときに、企業様の事業計画を見せていただくことがあります。
そういったシミュレーションが、事業が成功したときのベストのシナリオを描いており、成功すれば返済できるといったプランを立てている場合があります。
しかし、当社ではそのようなベストのシナリオによる事業計画は、極端に言えば信じません。
ワーストに近い状態のシナリオでも、しっかりと収益が発生する事業でなければ、融資を実施しないのです。
そこまで、貸したお金を回収できるかどうかという点をシビアにチェックしています。
累計募集金額は国内トップクラスですが、投資家から支持されている理由はどうお考えですか?
当社が融資元本を全額回収できていることを投資家の皆様に信頼して頂いているのだと思っています。
クラウドバンクに投資された方は、これまで皆様利益を出すことができています。
そのため、一度投資した方は「今回利益が出たから、次もクラウドバンクで投資しよう」という気持ちになっていただけているのではないでしょうか。
ソーシャルレンディングは投資の一つですから、投資家の皆様は利益を出せるかどうかを投資先の選定の際には重要視すると思います。
その期待に応えて結果を出し続けているからこそ、投資家の皆様に継続して利用していただけていると考えています。
テレビCMを放送した狙いを教えて頂けますか?
一般的に、テレビCMは短期的な売上アップを狙って実施する企業が多いです。
しかし、ソーシャルレンディングの場合、短期的な投資家勧誘はそこまで意味がないかもしれません。
長期的な視点で継続してこそ意味があるものだと思っています。
テレビCMを放送したのは、ソーシャルレンディングという投資の知名度上昇、また当社の信頼度アップにつなげたいという狙いがあるからです。
テレビCMを放送するには、テレビ局からの審査に通過する必要があります。
つまり、テレビCMを放送することで「クラウドバンクはテレビCMを打てるほどの信用をテレビ局から獲得している」といった投資家様からの信頼を得るために、テレビCMを放送したという狙いがあります。
テレビCMは一般的には短期的な広告戦略として活用されますが、私たちにとっては中長期的な知名度アップや、イメージアップに役立てたいという願いがあります。
ベンチャーキャピタルなどの株主に出資して頂いている場合、多大な広告費がかかるテレビCMなどの広告は、株主の許可が出ないこともあります。
しかし、当社はベンチャーキャピタルなどからは出資を受けていません。
そのため、自社の判断でテレビCMを放送することができるのです。
現在の日本のソーシャルレンディング市場について
クラウドバンクの2020年7月の募集金額は60億円を突破しています。
これは、累計報酬金額第1位のSBIソーシャルレンディングをも上回る金額です。
まさに、ソーシャルレンディング業界のリーディングカンパニーとも言えるクラウドバンク。
現在のソーシャルレンディング業界についてどう考えているのかについて聞いてみました。
日本のソーシャルレンディング市場が今後拡大するために必要なことは何だとお考えでしょうか?
当社の考えとしては、元本の保全性が高い案件を継続的に提供していくことだと考えています。
無理に市場を拡大しようとすると、案件の数や規模の確保のために、保全性のある案件を十分に用意できなくなることもあるでしょう。
収益性のアップや市場の拡大を求めることも重要ですが、それと同時に両輪として資産の保全性も確保しなければなりません。
ソーシャルレンディングに投資する方は、元本が戻ってくることを期待している方が多いと思います。
当社も投資家の皆様の資金をお預かりするわけですから、その資産を守るための取り組みが非常に重要です。
そこで爆発的な市場の拡大が起これば、保全性の低い案件が増える可能性があります。
当社では、爆発的な拡大よりも、着実に、徐々に市場拡大を図っていくことこそが、結果的な市場拡大には重要だと考えています。
新規ソーシャルレンディング会社の登場は望ましいとお考えでしょうか?
ソーシャルレンディングの市場が拡大することは、大変良いことだと思っています。
ただし、日本のソーシャルレンディング業界は、2018年前後に問題を起こした企業がありました。
そのため、金融庁の審査が慎重になり、新規参入までに時間を要するようになっています。
数年前よりは、新規企業の参入は難しくなっているはずです。
ただし、金融庁の審査に時間がかかるようになっていることは、ソーシャルレンディングを運営する上でのレギュレーションが整備されているということです。
それは、業界の信用性の向上に役立っていると思います。
ソーシャルレンディング業界団体などの必要性は感じていらっしゃいますか?
現在、すでに一般社団法人日本クラウドファンディング協会という協会があり、当社も加盟しています。
ただし、ソーシャルレンディング専門の協会はありません。
業界団体としての活動を行うためには、協会の業務に専念できる常勤の職員がいる環境が必要だと思いますが、現在は残念ながらそういった状況を作り出せていません。
第三者的な立場の理事、そして協会の業務に専念できる職員が必要となってくるでしょう。
クラウドバンクの今後について
最後に、クラウドバンクが今後に目指す目標について聞いてみました。
ソーシャルレンディング業界を牽引していく会社として、クラウドバンクはどのような方針で活動して行くのでしょうか?
どういった融資先を増やしたいかなど目下の方針や目標があれば教えてください。
明確な目標の数字は、あえて設けないようにしています。
それは、無理のあるノルマを設けてそれを社員に課してしまうと、数字目標を達成するために十分な保全性を確保できていない案件を組成してしまう可能性があるからです。
数字という目標を立てることが、かえって会社の経営にとってリスクになることもあるわけです。
目標数値を立て目標達成を狙うよりも、着実に保全性の高い案件を継続的に提供していくことを目指しています。
海外案件は今後募集案件数・金額を増やす予定はありますでそうか?
海外における不動産取引は、日本よりも情報開示が進んでいます。
そのため、高い保全性を確保しやすく、投資対象としては魅力的なものだと言えます。
新型コロナウイルスの影響もあり、海外案件はやや取り扱いにくい状況となっていますが、状況が落ち着けば海外案件もどんどん増やしていきたいと考えていきます。
ソーシャルレンディング以外の事業に進出する可能性はありますでしょうか?
投資家の皆様にとってリスクが低く、しっかりとリターンが確保できるものであれば進出する意味はあります。
当社がクラウドファンディングに事業を限定する必然性はありません。
事業としての柱がぶれないのであれば、他の事業に進出する可能性もあるでしょう。
ただし、その柱である「投資家の皆様のリスクを抑え、着実にリターンを提供する」という点は押さえていかなければなりません。
その軸に沿ったビジネスが展開できるのであれば、新規事業の可能性は十分にあります。
投資家の方に向けて伝えたい想いなどがあればお願いします!
日本のソーシャルレンディング業界は、まだまだ発展途上だと捉えています。
金融庁のレギュレーションの整備は途上段階であり、上場株のように均一な品質を持った投資商品になっているとは必ずしも言えない状況です。
情報開示が全案件において均一ではないという点もあります。
そのため、事業者のリスクが存在していることは否めないでしょう。
当社としては、投資商品を選ぶ際の通し方は、リスクを極力小さなものにしていきたいと考えています。
そのためには、まず情報開示の徹底が必要です。
一部においては、融資先の要望によりすべての情報は明かせない案件もありますが、そのような状況についても改善していきたいと思っています。
そして、投資家の皆様は案件選び・投資先の会社選びの際にわからないことがあれば、どんどん当社に質問していただきたいとも思っています。
当社としては可能な限り投資家様の疑問を解消し、投資に必要な情報を提供した上で投資先を判断して頂き、その結果として投資先がクラウドバンクになればと思っています。
まとめ
クラウドバンク株式会社 代表取締役金田 創氏にお話をお伺いし、特に強く感じたことが「投資家の利益を守ること」を何よりも念頭に置いている点です。
着実に実績をつくり、それを裏切らないことで多くのリピーターを獲得する。
そして、投資家の資産を守るためには信頼のおける企業であることを心がける。
信用を会社の最も大切な財産と考え、何よりも大切にすることが金田氏のポリシーだと感じました。
無理に高い目標のノルマを設定したり融資先を拡大したりするのではなく、投資家の方の損失が起きないことを念頭に審査を入念に行い、案件を組成する。
「投資家ファースト」と言うべきポイントを重視していることこそ、今のクラウドバンクを支えてきた信念だと言えるでしょう。
この信念のある限り、クラウドバンクは今後も数多くのソーシャルレンディング投資家の方に選ばれていくことでしょう。
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