「クラウドファンディングで、見返りって本当にもらえるの?」と、疑問を持っている方もいるのではないでしょうか?
また、「起案者として見返りを準備したいけど、何を渡せば良いかわからない」と悩んでいる方もいるかもしれません。
クラウドファンディングの見返りをうまく活用すれば、出資者として出したお金よりも得するだけでなく、起案者としても出資者を集められます。
本記事では、クラウドファンディングの種類ごとの見返りと、起案者として見返りの渡し方や決め方を紹介します。
目次
筆者プロフィール
資産運用・投資・マネーの教養をメインジャンルに執筆しているフリーライターです。
大手生命保険会社の営業職として2年4ヶ月間勤め、主に保険と資産運用のコンサルティング業務をしておりました。
年間100冊以上のお金についての本を読み、その知識と実践から得た学びを活かして執筆活動しています。
保有資格はFP(ファイナンシャルプランナー)2級と生命保険・損害保険の販売資格です。
クラウドファンディングの見返りとは
クラウドファンディングと言えば、インターネット上で多くの人からお金を貸してもらったり、ときにはお金をもらえるというイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
確かにクラウドファンディングの中には、「寄付」としての意味合いが強く、お金をほぼ無償でもらえるものもあります。
しかし、一方で出資に対する見返りを渡すクラウドファンディングもあるのです。
最近では出資した金額よりも見返りの方が高い価値がある場合も多く、クラウドファンディングに出資することは「投資」とみなされています。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングとは、プロジェクトを始めるのに資金調達したい人と、そのプロジェクトを応援するために資金提供したい人をインターネット上でつなげるサービスです。
プロジェクトを立ち上げて資金調達する人を「起案者」、そのプロジェクトを応援するために資金提供する人を「支援者」や「出資者」と呼びます。
クラウドファンディングを運営しているサイトを利用すれば、誰でも簡単に起案者や出資者になれるのです。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングには、大きく次の5つの種類があります。
クラウドファンディングの種類
- 融資型
- 不動産投資型
- 株式投資型
- ファンド型
- 寄付型
- 購入型
基本的には、「融資型」と「ファンド型」、「不動産投資型」「株式投資型」には見返りがあり、「寄付型」と「購入型」には、見返りがありません。
ただし、起案者によっては見返りを準備している場合があるため、すべてのクラウドファンディングで見返りをもらえる可能性があると言って良いでしょう。
見返りの仕組み
クラウドファンディングの見返りの仕組みは、決して複雑ではありません。
クラウドファンディングのサービス上でプロジェクトに出資したら、起案者があらかじめ決めていた見返りを受け取れるというものです。
もらえる金額やモノ、タイミングはプロジェクトによって異なります。
【起案者】クラウドファンディングの見返りを渡す方法
起案者がクラウドファンディングで見返りを渡す方法には、次の3つがあります。
見返りを渡す方法
- 分配金・利息
- 商品・サービス
- 活動報告・お礼
方法①:分配金・利息
起案者は、出資者に対して会社の業績に応じた分配金を渡せます。
また、融資としてお金を集められれば、元本と利息をつけてお金を返済することになります。
金融取引としての側面が強いため、限られたプラットフォームで支援者を集めることになるでしょう。
方法②:商品・サービス
出資者に対して、プロジェクトで手がけた商品やサービスを提供することもできます。
出資者のニーズに合うような商品やサービスを提供できれば、多くの出資者を集められるはずです。
方法③:活動報告・お礼
「寄付型」クラウドファンディングで見られるのが、活動報告とお礼です。
クラウドファンディングでは、現時点であまり資金力のない方(起案者)が、自分の情熱にしたがってプロジェクトを立てることが多いです。
そのため、金銭や商品・サービスでの見返りができないときに、プロjジェクトの現状報告が見返りになることが多いです。
寄付型の場合、出資者はプロジェクトに共感し、応援したいという気持ちから出資します。
その気持ちに応えるためにも、活動報告は重要です。
プロジェクトがうまくいったときにお礼をする形でも良いでしょう。
【出資者】融資型クラウドファンディングの仕組みと見返り
融資型クラウドファンディングは、金額規模が大きく今後も拡大が見込まれています。
ここでは、融資型クラウドファンディングの仕組みや、出資者がもらえる見返り、注意点について解説します。
仕組み
融資型クラウドファンディングは、別名「ソーシャルレンディング」です。
ソーシャルレンディング会社が資金を集め、お金を借りたい企業に融資し、そこから生まれる利息と元本を出資者に返済していく仕組みです。
出資者は、ソーシャルレンディング会社によって広く募集されます。
企業が取り組んでいる事業には、不動産や再生可能エネルギー、環境ビジネスなど多くのジャンルがあります。
ビジネスが多様化する今後の社会で、融資型を活用する企業はますます増えていくでしょう。
見返り
出資者が受け取れる見返りは、利息と元本です。
融資した企業の業績次第では、元本に対して10パーセント近くの利息がつくこともあります。
もちろん、融資としてお金を貸しているので元本の返済もされます。
現在の低金利下では期待できないような利回りを実現できる可能性があるのです。
注意点
利息と元本の返済は企業の業績次第です。
融資した企業の業績が落ち込めば、貸し倒れになってしまうこともあるでしょう。
一方で、融資型クラウドファンディングは少額でも出資できます。
多くの事業者が1万円から出資を募っています。
詳しくはこちらで解説されているので、初めて知ったという方は一度確認してみると良いでしょう。
【出資者】株式投資型クラウドファンディングの仕組みと見返り
新興企業から注目が集まっている株式投資型クラウドファンディング 。
ここでは、株式での投資型クラウドファンディングについて、仕組みやもらえる見返り、注意点について紹介します。
仕組み
投資型クラウドファンディングは、証券会社で株式を買うのと大差はありません。
ただし、株式投資型クラウドファンディングと一般的な株式投資との違いは、未公開株式に投資できる点です。
株式投資型クラウドファンディングは、資金調達した企業が発行した株式を出資者に渡すという仕組みです。
未公開株式は正式な販売ルートがなく、投資家に購入してもらえず企業は資金調達が難しくなります。
しかし、株式投資型クラウドファンディングを活用することで、株式と引き換えに多くの出資者を集めることができるのです。
見返り
出資者が受け取れる見返りは、出資先の企業の株式です。
受け取れる株式は、上場していない企業の未公開株式であることが一般的です。
未公開株式への投資は、以前はベンチャーキャピタルやエンジェル投資家によって行われていました。
個人投資家にとっては、未公開株式の購入は購入ルートがないか、厳しく限られているため入手がしにくい状況でした。
しかし、株式投資型クラウドファンディングの普及によって、インターネットから出資という方法で、未公開株式の購入ができるようになったのです。
未公開株式の購入は、未知数ながら今後成長が期待できる企業への投資なので、莫大なリターンを受けられる可能性もあるでしょう。
注意点
融資型と同じように、見返りは出資先の企業の業績に左右されます。
業績が傾いたなら受け取った未公開株式には何の価値もなくなってしまう恐れもあります。
また、受け取った株式は売却が難しいというデメリットもあります。
なぜなら、流通させる手段がないからです。
売却するのは、出資先の企業が新規公開株式(IPO)になったとき、もしくは事業買収(M&A)されたときです。
【出資者】ファンド型クラウドファンディングの仕組みと見返り
ファンド型クラウドファンディングの仕組みは、融資型クラウドファンディング と似ていますが、見返りが異なります。
ここでは、ファンド型クラウドファンディングについて解説します。
仕組み
ファンド型クラウドファンディングは、資金をファンド(基金)として調達します。
融資型は、出資してもらったお金に対して元本と利息を支払う仕組みです。
しかし、ファンド型はあくまでも利益が出た際に配当金を渡します。
例えば、3年間利益が出なかったとしたら、その間は一切配当を受け取れません。
ただし、3年後に利益が出始めたら配当金を受け取れます。
見返り
見返りは、配当としての分配金と出資先企業が開発した商品やサービスです。
利益が出ない間は、受け取った資金をもとに開発した商品やサービスを特典として受け取れます。
そして、企業の利益が出始めると、利益に応じて分配金を受け取れるでしょう。
注意点
ファンド型での金銭的な見返りは、あまり期待できません。
また、成果が出るまで時間がかかってしまうこともあるでしょう。
ファンド型は、お金を儲けるために出資するというよりも、企業や事業への応援という意味合いが強いです。
企業やその事業、商品やサービスを気に入って、応援したい方には向いているでしょう。
【出資者】寄付型クラウドファンディングの仕組みと見返り
クラウドファンディングが生まれるきっかけとなったのが、「寄付型」クラウドファンディングです。
そのため、クラウドファンディングと聞くと寄付型を思い浮かべる方も多いかもしれません。
ここでは、仕組みや見返り、その注意点について解説します。
仕組み
寄付型クラウドファンディングは、インターネット上で呼びかける募金のようなイメージです。
サイトに掲載されているプロジェクトに共感した人たちが、自分の出せる範囲で出資します。
起案者は、基本的に見返りなどは準備しません。
寄付型にあるプロジェクトは、被災地支援や環境保護活動、病気の治療への援助、など多くのものがあります。
また、寄付は現金以外にポイントでも行えます。
見返り
金銭やモノによる見返りはありません。
起案者からの活動報告やお礼などを受けられることはあります。
ただし、寄付型はお金を稼ぐことではなく、社会貢献を目的に出資する出資者がほとんどでしょう。
そのため、大切なのは自分の気持ちやお金が役に立ったという実感のはずです。
注意点
寄付型には、詐欺案件のようなものがたまに見受けられます。
起案者の人柄がうかがえて、具体的なプロジェクト内容が記載されているものを選ぶことを心がけましょう。
【出資者】購入型クラウドファンディングの仕組みと見返り
最後に、購入型クラウドファンディングについて解説します。
仕組み
購入型クラウドファンディングは、企業や個人の事業に出資して、その見返りとしてその事業で生まれた商品やサービスを受け取れるという仕組みです。
資金調達の方式には、次の2種類があります。
資金調達方式
- All or Nothing
- All-in
「All or Nothing」方式では、資金調達が目標金額に達さなかった場合に、1円も資金を受け取れません。
「Aii-in」方式では、目標金額に達していなくても、募集期間内に集まった資金を受け取れます。
購入型では、プロジェクトの内容が具体的に定まっていないと、サイトに掲載できないので、あらかじめ事業計画を入念に準備しておくのがおすすめです。
見返り
見返りは、出資したプロジェクトで誕生した商品やサービスです。
出資したことで商品やサービスが作られるため、まだこの世にはない商品・サービスへの先払いのようなイメージです。
もらえるサービスは映画の先行上映券だったり、ゲームの試作品だったりと、多くの種類があります。
自分が欲しいと思った商品やサービスを提供しているプロジェクトに、出資してみてください。
注意点
All-in方式で募集をして十分な資金が集まらず、事業が中途半端に終わってしまい、満足のいく商品やサービスが受けられない可能性があります。
そもそも、資金が集まっても事業自体に完遂する力がなければ、事業は途中で終わってしまうでしょう。
事業を行う企業や個人の信用にも注意が必要だと言えます。
また、あくまでも見返りは商品やサービスなので、金銭的な見返りはもらえません。
【出資者】クラウドファンディングで見返りをもらうメリット
ここまで、クラウドファンディングの種類ごとの仕組みや見返りについて解説してきました。
ここでは、見返りをもらうメリットを紹介します。
気に入ったプロジェクトに出資して見返りをもらうことのメリットは、次の3点です。
見返りのメリット
- 提供資金より多くの見返りが期待できる
- 新サービスや新商品を先取りできる
- 貢献した実感が得られる
メリット①:提供資金より多くの見返りが期待できる
融資型や株式投資型、ファンド型クラウドファンディングの見返りは、出資先の企業の業績に大きく左右されます。
そのため、仮に出資先の事業が大きく成長した場合、出資金額よりも多くの見返りが期待できるのです。
自分が気に入った事業に少額で投資したのが、急成長するようなこともあるかもしれません。
メリット②:新サービスや新商品を先取りできる
ファンド型や購入型のクラウドファンディングでは、まだ世に出回っていない商品やサービスを先取りして体験することができます。
将来的に話題になる商品を、味わえるかもしれません。
メリット③:貢献した実感が得られる
寄付型クラウドファンディングでは、起案者からの活動報告を通して自分が出資したお金がどのように貢献したかを知ることができるのです。
街中などでの募金は、結局その後事業がどのようになったのかがなかなかわからないものです。
しかし、クラウドファンディングでは、出資先の人を認識できる上に、活動報告も受けられます。
もし、事業がうまくいっていたら、出資したお金が役に立ったという実感が持てるはずです。
また、購入型で出資した事業から商品やサービスが生まれて、社会に豊かさを提供していたなら、出資者としての貢献を味わえるでしょう。
【出資者】クラウドファンディングで見返りをもらうときのリスク
クラウドファンディングにメリットがあるなら、メリットを享受するのにリスクも発生します。
見返りを受ける際のリスクは、次の2点です。
見返りを受けるときのリスク
- 損をする可能性がある
- 資金の提供先の実態が思っていたものと異なる可能性がある
- 期待していた見返りを受け取れない可能性がある
リスク①:損をする可能性がある
出資先の企業の業績によっては、見返りを受けられない可能性があります。
融資型なら利息と元本を受け取れなかったり、投資型なら受け取った株式の価値がなくなったりするかもしれません。
クラウドファンディングの出資先は慎重に選ぶ必要がありますが、どのような事業が失敗するのかを見分けるのは難しいでしょう。
そのため、最悪失っても良い余剰資金での出資がおすすめです。
リスク②:資金の提供先の実態が思っていたものと異なる可能性がある
クラウドファンディング を活用する企業は、多岐に渡ります。
そのため、会社によっては情報はクラウドファンディングサイトでしか確認できないこともあります。
したがって、自分が想定していた事業実態と実際のものが異なることがあり得ます。
出資する前に注意深く情報収集した方が良いでしょう。
リスク③:期待していた見返りを受け取れない可能性がある
出資先の事業が中途半端に終わったり、資金がうまく集まらなかったりして、期待していた見返りを受け取れない可能性があります。
クラウドファンディングの本質は、事業への応援です。
見返りを得ることはもちろん大切ですが、期待した見返りが受け取れないことを覚悟の上で、クラウドファンディングを活用しましょう。
【起案者】クラウドファンディングの見返りの決め方
最後に、起案者に向けてクラウドファンドファンディングにおける、見返りの決め方を紹介します。
基本的な内容をお伝えするので、参考にしてみてください。
決め方①:成功したプロジェクトの価格設定を確認する
クラウドファンディングを活用する目的は、事業を成功させるために必要な資金を集めることです。
そして、資金を集める要素は一人あたりの出資金額と出資人数です。
そのため、過去にクラウドファンディングで資金の目標金額を達成して、プロジェクトを成功させた事業の価格設定を確認してみましょう。
すると、おおよその相場観がつかめて事業の見返り設定の参考になるはずです。
決め方②:支援者のニーズを考える
基本的なことですが、支援者のニーズを捉えることが大切です。
クラウドファンディングは、共感によって資金を集められる仕組みです。
うまく資金を集められないときは出資者のニーズに合っておらず、共感を得られていないのかもしれません。
まとめ
クラウドファンディングの見返りについて、解説してきました。
クラウドファンディングでは、出資者が分配金や利息、新たな商品やサービスで利益を得られる可能性があります。
一方で、クラウドファンディンの本質は事業への支援です。
期待したような見返りを受け取れないかもしれません。
ただ、事業には多種多様なジャンルがあるので、興味があって応援したくなるような事業があれば出資してみると良いでしょう。