第一種金融商品取引業は、金融商品取引業の4つの中の一つで、他の3つとは業務内容が異なります。
どの金融商品取引業に登録しているかで、投資家との関わり方が大きく異なります。
ここでは、第一種金融商品取引業と他の3つの金融商品取引業の基本的内容について紹介していきます。
金融商品取引業とは
第一種金融商品取引業や第二種金融商品取引業といった「金融商品取引業」とは、投資運用や株式などの販売、投資に関するアドバイス業務などを事業とすることです。
金融商品取引業をおこなう場合は、株式や債券、投資信託などの商品が対象となる金融商品取引法を遵守する必要があります。
また、商品先物取引や投資性がある保険や預貯金についても、金融商品取引法の規定が適用されます。
金融商品取引業は、次の4つの種類に分かれています。
- 第一種金融商品取引業
- 第二種金融商品取引業
- 投資運用業
- 投資助言・代理業
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
1.第一種金融商品取引業
金融商品取引業の中の「第一種金融商品取引業」は、株式や債券、投資信託などの流動性が高い有価証券の売買や勧誘、さらには引受けや管理、店頭デリバティブ取引業務などが可能です。
いわゆる証券会社や金融先物取引会社、FX業者などが、第一種金融商品取引業者です。
登録に必要な要件
第一種金融商品取引業者を開業する場合、必要に応じて一般社団法人金融先物取引業協会や日本証券業協会、日本投資者保護基金などへ加入しなければなりません。
登録するには次のような要件を満たしておく必要があります。
- 株式会社であること
- 最低資本金5,000万円
- 純財産額の規制あり
- 自己資本規制比率120%以上
- 国内に営業所または事務所があること
- 外国法人は国内の代表者が決まっていること
- 主要株主に関する要件あり(議決権保有割合、保有目的を内閣総理大臣に届けるなど)
こういった要件をクリアしていることを確認したうえで、営業者や事務所の所在地を管轄する財務局に登録手続きをします。
また、第一種金融商品取引業の登録における要件には、人的構成要件もあります。
人的構成要件では、次のような項目をを満たしておく必要があります。
- 業務内容に見合った経験・能力がある人がいるか
- 役員等に暴力団または暴力団員と関係ある人がいないか
第一種金融商品取引業は、第二種金融商品取引業と比べて、登録する際のハードルは高めです。
登録手続き
第一種金融商品取引業に登録する場合は、管轄する財務局に申請書と添付書類の提出します。
提出後に審査がおこなわれ、問題がなければ内閣総理大臣の登録となります。
第一種金融商品取引業に登録が完了した後も、登録を維持するための対応が必要です。
たとえば、決算が終了して3ヶ月以内に事業報告書を届け出しなければなりませんし、商号が変わった場合や本店が移転する場合は、変更届の提出が必要になります。
第二種金融商品取引業とは
「第二種金融商品取引業」では、株式や債券などを取り扱う第一種金融商品取引業よりも流動性の低いものを販売したり勧誘したりします。
有価証券や不動産などを取り扱う不動産業者やファンド運営企業などが第二種金融商品取引業に登録をしています。
ファンドや信託受益権の販売が可能で、昨今話題のソーシャルレンディング業者も第二種金融商品取引業や貸金業の登録業者です。
第二種金融商品取引業の登録要件は、第一種金融商品取引業の要件と異なります。
たとえば、第二種金融商品取引業の要件は、株式会社である必要がありませんし、最低資本金は1,000万円です。また、個人の場合も営業保証金は1,000万円となっています。
純資産額要件や自己資本規制、主要株主規制などもありません。
詳しくはこちらで解説しています。
投資運用業とは
第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業だけでなく、「投資運用業」についても、どういった業務内容か確認しておきましょう。
投資運用業は、顧客の代わりに業者が資産運用をおこなうことで、ファンド運用業務や投資一任業務を行います。
そのため、顧客から預かった投資資金で株式などを運用したり、分析や資産状況の報告などをおこないます。
投資運用業の登録をするには株式会社である必要があり、最低資本金は5,000万円、純資産額は500万円といった要件を満たしておく必要があります。
投資助言・代理業とは
投資助言・代理業は、代理・媒介業務や投資助言業務があります。
代理・媒介業務は契約締結の代理・媒介をおこない、投資助言業務では投資の助言をします。
投資助言・代理業の要件は、株式会社である必要性はなく、純資産額要件や自己資本規制、主要株主規制などはありません。
まとめ
第一種金融商品取引業と、それ以外の3つの金融商品取引業の基本的内容について紹介しました。
今回紹介したように、どの金融商品取引業に登録しているかで業務内容が異なり、投資家との関わり方にも違いが出てきます。
業者としても投資家としても、基本的事項について把握しておくと良いでしょう。