自分の貯金は平均より多いのか少ないのか、誰にも聞けずに悶々としていませんか?
「老後2,000万円問題」が取り上げられるようになってからは、「2,000万円貯めないとダメ」というプレッシャーを感じて憂鬱な方も多いのではないでしょうか。
しかし、2,000万円必要というのは平均の話です。
できれば3,000万円ほど準備できると、安心して老後を迎えられるはずです。
とはいえ、3,000万円という金額の大きさを怖がる必要はありません。
一般的な年収でも十分に貯めることができます。
この記事では、3,000万円の資産を作る方法について解説していきます。
目次
筆者プロフィール
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ、金融機関出身のライターです。
投資歴は4年、運用資産は1,000万円に突入し、毎月約2万円以上の不労所得が入ってくるようになりました。
読者の方々の老後の豊かな暮らしや早期リタイアをサポートするため、金融や投資の記事を多く執筆しています。
筆者自身も投資信託、株式、ソーシャルレンディングなどさまざまな商品に分散投資し、老後のために資産形成をしています。
20代ですが1,500万円の資産が形成できたため、この記事でも経験をもとにお金を貯める方法を解説していきます。
老後2,000万円問題とは?
2019年6月に話題になった「老後2000万円問題」についておさらいすることから始めましょう。
ニュースを見て、「退職までに2,000万円を自力で貯めなければならないなんて」「年金が足りないなら保険料を支払いたくない」など憤ったりショックを感じたりした方も多いと思います。
老後2,000万円問題は、金融庁がレポートで公表した「夫婦2人でゆとりある老後の生活を送るには、年金以外に平均2,000万円の資産が必要」という内容が発端となっています。
センセーショナルに報道されたこともあり、SNSでは炎上状態となってしまいました。
しかし、年金以外に2,000万円程度のお金を貯めておくべきことは、FPなど専門家の間では以前から常識でした。
年金は最低限の生活を送るためのお金なので、趣味などにも打ち込んで楽しく老後を送るには、自力で必要な資産を形成しなければならないのです。
以前から明らかだったことが、「2,000万円」という衝撃的な数字とともに拡散してしまい、炎上したようになってしまったのです。
むしろ、多くの人が老後を迎える前に「年金の他に資産形成をした方が良い」と気づくきっかけになったとも言えます。
炎上こそしましたが、資産形成の重要さを国民に知らしめたという意味では、異議のあるレポートだったと思います。
退職時に3,000万円の貯金が理想的
炎上したレポートは「平均2,000万円を貯めておくべき」という内容でしたが、実は金融庁は別の試算も行っていました。
その内容は、「1,500万円から3,000万円が必要」とする幅を持たせた表現です。
これらの報告を総合すると、「老後を迎えるまでに1,500万円から3,000万円を貯めておくと良く、その平均は2,000万円程度だ」と解釈できます。
それぞれの人が望む生活水準によって、1,500万円で十分な人もいれば、3,000万円ほど貯めなければならない人もいるというわけです。
とはいえ、自分が老後を迎えてからどれくらいのお金が必要になるかなんて、今すぐにイメージできない方が多いと思います。
そこで、資産形成の目標は2,000万円、理想的には3,000万円と考えておくのが良いのではないでしょうか。
この記事でも3000万円貯める目標を前提に、貯める方法などを解説していきます。
お金が足りなければ老後も仕事
さて、今勤めている会社を退職するときに2,000万円から3,000万円の資産を貯められるはずがないと考えている方もいらっしゃるでしょう。
その場合、老後にお金が足りなくなったら仕事を始めることが一般的ではないでしょうか?
60歳を迎えても、65歳から70歳まで働ける再就職の仕組みもありますし、アルバイトなどで稼いでいくことはできます。
年金を補う生活費を稼ぐくらいなら、60歳を迎えた後でも可能でしょう。
しかし、体力や健康の問題もあるのにいつまでも働き続けることは不安でしょう。
また、定年退職したら思いっきり趣味に打ち込みたい方も多いはずです。
老後に働かなくても良いように準備しておくためにも、3,000万円を目指して資産形成を始めてはいかがでしょうか?
3,000万円も貯金できるのか?
実際、定年退職する前に3,000万円も貯金することは可能なのでしょうか?
結論から言えば、十分に可能です。
退職金で多くを賄えるので、実際に自力で貯めなければならないお金は3,000万円より少ないからです。
この項目では、平均的な世帯をモデルケースに資産形成の計画を考えていきます。
「自分も何とかできそう」と感じていただければと思います。
2割の世帯が金融資産3,000万円以上
野村総合研究所の調査によると、2017年には金融資産が3,000万円以上の世帯(超富裕層、富裕層、準富裕層、アッパーマス層)は1,169.2万世帯、3,000万円未満の世帯(マス層)は4,203.1万世帯です。
合計5,372.3世帯のうち、21.8パーセントが3,000万円以上の金融資産を保有していることになります。
言い換えると、5世帯に1世帯は3,000万円以上の金融資産を持っているのです。
5世帯に1世帯と聞くと、ハードルが少し下がるのではないでしょうか。
退職金で補える
定年退職の場合、大学卒なら2,000万円ほど、高校卒なら1,000万円から1,500万円程度が退職金としてもらえます。
金額は業種や企業の規則によりますが、退職時にはまとまったお金がもらえるのです。
退職金が2,000万円もらえるなら、あと1,000万円を自力で貯めれば3,000万円の資産を築くことができます。
したがって、老後に必要な資産の多くを退職金で賄うことができます。
退職金の金額は会社によって異なるので、会社の人事や給与の規則を確認しておきましょう。
法律などで決まっている制度ではないため、退職金の金額もまちまちな上、退職金がない会社もあるからです。
また、会社都合退職(リストラ)はより退職金が高く、自己都合退職は退職金が少ない傾向です。
早期退職(アーリーリタイア)など定年の前に辞めることを計画している人は、退職金を少なめに見積もりましょう。
自力で1,000万円から2,000万円貯金するべき
定年退職なら1,000万円から2,000万円ほどの退職金をもらえることがわかりました。
老後の資金として定年退職時に3,000万円貯めるためには、退職金の他に自力で1,000万円から2,000万円を貯金すれば良いことがわかります。
このように考えると、目標の3,000万円がそこまで大変な金額ではないことがわかるのではないでしょうか?
半分程度は退職金でまかなえるため、現役時代に残りを資産形成するためにはどうしたら良いのか、これからお伝えしていきしょう。
3,000万円を貯金する方法
ここからは、3,000万円を貯金する方法を具体的に考えていきます。
金融庁のレポートでは、「夫婦2人」で老後の生活を送ることを前提としているため、この項目でも夫婦で協力して資産形成することを前提とします。
3,000万円を貯金する方法
- 夫婦でお金の認識を合わせる
- 節約して貯金額を増やす
- 投資でコツコツ増やす
夫婦でお金の認識を合わせる
初めに、夫婦で目標とする貯金額を相談し決めなければなりません。
一人は貯金優先、一人は消費優先になっているとお金は貯まらないからです。
夫婦でのよくある失敗例が、妻に家計管理を任せていた結果、夫のお小遣いは少ないのに、妻が浪費しており貯金がほぼゼロ円だったというケースです。
夫としては妻が貯金してくれていると思って少ないお小遣いで我慢していたのに、妻は貯金せず浪費をしていたというわけです。
このような失敗をしないために、夫婦で貯金の目標を相談して決め、それに向かってお互い頑張ることを約束しましょう。
3,000万円の貯金をするなら、老後のゆたかな暮らしのためなど必要性を相手に伝え協力する体制を作るのです。
節約して貯金額を増やす
収入が変わらない場合、節約して貯金を増やす必要があります。
節約には家族全員の協力が必要ですし、もしかしたら今より生活水準を落とさなければならないかもしれません。
お金を使えず我慢することが増えるかもしれないので、夫婦で貯金するという目標を合わせておかなければならないのです。
節約と言っても、電気や水を小まめに消すといった細かい方法で節約できるのは、月々数円です。
もっと効果の高い節約方法を後ほど解説するので、参考にしてみてください。
投資でコツコツ増やす
投資とは、企業などにお金を出資することです。
企業はそのお金を基にビジネスを行い、利益を生み出します。
利益の一部は投資家に支払われるため投資家は利益を出すことができ、企業もやりたいビジネスができます。
投資と言うと大金が必要で富裕層にしかできないイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
今は100円からでも始められるため、後ほど投資商品について詳しく解説していきます。
投資することで、入ってくるお金を増やすことができます。
仕事の収入を増やしたり節約を頑張ったりする以外のお金を増やす方法であるため、ぜひ投資も活用して資産形成していきましょう。
節約する方法
貯金を増やすためには、節約して現金を貯金に回していくことが大切です。
とはいえ、3,000万円の貯金を目指すなら、数円単位のチマチマした節約ではなくまとまったお金を節約する必要があります。
この項目では、3,000万円の貯金を見据える人はどんな節約方法をすれば良いのか解説していきます。
節約する方法
- 固定費の見直し
- キャッシュレス決済
固定費の見直し
最も効果が大きい節約が、固定費の見直しです。
固定費とは、家賃や保険料、スマホや携帯の使用料など、毎月決まった金額がある支出のことです。
これらの支出を節約すれば数千円から数万円を節約できるため、貯金できる金額もぐっと増えます。
例えば、スマホの使用料が1万円を超えている人は、無駄に高いプランに加入している可能性が高いです。
不要なオプションを外したり、安い契約プランに切り替えたりして、使用料を節約しましょう。
また、通信キャリアにこだわらないなら格安スマホに変えてしまうという手段もあります。
さらに、家賃と保険料も節約できる固定費です。
この機会に生命保険を見直し、重複しているものは解約しましょう。
家賃を節約するには安い家に引っ越さなければならず手間はかかりますが、賃貸の更新のタイミングでもっと安い部屋を探すなど考えていきましょう。
キャッシュレス決済
○○ペイなどのQRコード決済、クレジットカード、デビットカードなどを使ってキャッシュレス決済すると、ポイントやキャッシュバックをもらうことができます。
ポイントは次回以降の買い物で使えるため、節約に役立ちます。
ポイント還元率は1パーセントから5パーセント程度で小さく感じられるかもしれません。
しかし、1万円の買い物をすれば100円から500円分のポイントをもらえるということなので、意外と大きいのです。
おすすめの使い方は、光熱費をクレジットカード引き落としにすることです。
光熱費は毎月ある程度決まった費用で、まとまった金額になっていると思います。
しかも節約しにくい費用ですよね。
この支払いをクレジットカードにすることで、ポイントがザクザク手に入るため節約効果が高いです。
光熱費の他の費用も、できるだけクレジットカードなどのキャッシュレス決済に変更しましょう。
投資すると早くお金が貯まる
ここからは、投資について解説していきます。
先ほど、投資とは企業などに出資して見返りをもらうことだと解説しました。
より具体的に言うと、投資額に対して毎年数パーセントの利益が還元されるものです。
標準的には3パーセントから7パーセントほどで、これを「利回り」と呼びます。
投資でお金を増やすには、投資で得た利益をまた投資し、その投資で得られた利益をまた投資し……という繰り返しが最も効率が良いです。これを10年、20年、30年と続けていくことで、大きな資産を築くことができます。
実際に、毎月36,000円を利回り5パーセントで運用した場合をシミュレーションしてみましょう。
20歳から50歳までの4パターンで試算した結果が次のグラフです。
定年を60歳としたので、20歳なら40年間、30歳なら30年間、40歳なら20年間、50歳なら10年間の資産運用ができます。
グラフから、定年退職の60歳を迎えるまでにそれぞれ次のように資産形成ができることがわかります。
ピ年代別の資産形成額 |
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毎月の積立と利益の再投資の両方の効果があるため、若くて長い時間を投資に割ける人の方が、大きな資産を形成することができます。
また、20歳から30歳の人は資産運用だけで3,000万円の目標を達成することができることもわかります。
毎月36,000円の投資は大変かもしれませんが、決して無理という金額でもないでしょう。
少しの積立投資を長く続けることで、大きな資産を築けるのです。
給料が少ない若い方でも投資で資産を築くことはできるため、ぜひ若いうちから投資を始めることをおすすめします。
30代以降の方が投資だけで3,000万円の資産を築こうとする場合は、毎月の投資金額を引き上げるか、利回りの高い商品を狙うといった工夫が必要になります。
おすすめ商品とその利回りについては次の項目で解説していきます。
投資する方法
定年退職までの時間を利用して投資をすれば、ある程度まとまった金額の資産を築くことができます。
若い方は特に時間がたくさんあるため、3,000万円を投資で貯めることも不可能ではありません。
ただし、投資は元本保証ではなくリスクがあるものです。
運用に失敗してお金が減ってしまうリスクを取るからこそ、銀行預金よりもはるかに高い利回りで利益を生むことができるのです。
ここからは3,000万円の資産形成におすすめの商品を紹介していきます。
いずれも元本割れのリスクがあり、かつ個別のデメリットもあります。
メリットだけでなくデメリットも理解して、投資を始めるヒントにしてみてください。
投資方法
- 投資信託
- 株式投資
- ETF(上場投資信託)
- ソーシャルレンディング
- 不動産投資型クラウドファンディング
投資信託
投資信託は、投資会社にお金を預けて運用してもらう商品です。
投資のプロに運用を任せられるため、初心者でも失敗しにくい点が魅力的です。
利回りは1パーセントから3パーセントほどです。
さらに、一部のインターネット証券会社では100円以上100円単位で始めることができます。
投資に対して怖いイメージがある方が、少し試してみるのにぴったりの商品です。
投資信託はプロに任せられるというメリットがある反面、手数料がかかるデメリットがあります。
特に注目するべきコストが、商品を保有している間ずっと支払うことになる信託報酬です。
信託報酬の目安は1パーセント以下なので、これを大きく上回る商品は考え直した方が良いでしょう。
株式投資
株式は企業が資金調達するために発行するもので、株式を買った投資家は株主となり、配当金や株主優待をもらうことができます。
利回りは3パーセントから7パーセントほどです。
株式投資のメリットは、利回りが高いことに加え、株主優待として自社製品や割引券などをもらえることが挙げられます。
一部の企業では株主優待の制度があるので、上手く活用すれば生活費を節約できます。
株式投資のデメリットは、銘柄選びが難しいことが挙げられます。
プロに任せられる投資信託と違って、将来性のある企業を自力で見つけなければならないため、投資に不慣れな人にとっては難しいかもしれません。
ETF(上場投資信託)
ETFは投資信託と株式の中間のような商品です。
投資信託と同じでプロに運用を任せられるのですが、株式と同じように証券取引所で売買される特徴があるためです。
利回りは3パーセントから5パーセントほどと、投資信託と株式の中間くらいです。
ETFのメリットはプロに運用を任せられる点と、投資信託よりも手数料が低く設定されている傾向がある点です。
一方のデメリットは、証券取引所への注文方法が少し難しい点です。
初心者の方は投資信託から始め、慣れてきて大きな金額を投資したくなったら、コストを節約できるETFにチャレンジすると良いでしょう。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、資金調達したい企業と出資したい投資家を、インターネット上で結びつけるサービスです。
目安の利回りは5パーセントから10パーセントほどと非常に高いです。
ソーシャルレンディングのメリットは、利回りの高さです。
ただし、高利回りと引き換えの高リスクがデメリットとなります。
ソーシャルレンディングを利用する企業の多くは銀行の融資がつかなかったり、十分な金額を融資してもらえなかったりする企業です。銀行の審査が通らなかったということなので、事業にもそれなりのリスクが伴います。
とはいえ、最近はソーシャルレンディング業者の審査能力が上がってきたため、資金調達した企業が途中で倒れることも減ってきました。
業者によって審査能力に違いがあるので、過去のプロジェクト成功率が高いサイトを選んでソーシャルレンディングを始めましょう。
ソーシャルレンディングを始めて知ったという方は、こちらをチェックしてみてください。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングは、不動産投資に限定されたソーシャルレンディングというイメージです。
利回りも5パーセントから10パーセントほどを狙うことができます。
不動産投資とは、不動産を買って他人に貸し、入居者から家賃をもらって利益とする投資方法です(インカムゲイン)。
また、不動産を安く買って高く売ることで差額を儲けることもできます(キャピタルゲイン)。
このような事業をやりたい企業に一般の投資家がインターネット上で出資できるのが、不動産投資型クラウドファンディングです。
ソーシャルレンディングと同様、利回りが高いメリットがある反面、貸し倒れのリスクも高いデメリットがあります。
サイトによって成功率が違うので、過去のプロジェクト成功率が高いサイトを選びましょう。
不動産投資型クラウドファンディングについては、こちらを読んでおくと良いでしょう。
まとめ
3,000万円の貯金や金融資産を築く方法について解説してきました。
5世帯のうち1世帯が金融資産3,000万円以上を持っているため、ご自身にとっても決して無理とは限らない目標だと思っていただければ幸いです。
お金を貯めるには、節約や投資といった方法があります。
特に、節約は既にやっているけど投資はやったことがないという人は多いため、これを機に投資にも関心を持ってみてください。