貯金が5,000万円もあったら、人生がかなり変わることでしょう。
退職時に5,000万円も持っていたら、子供たちに迷惑をかけずに自分たちの生活費や趣味にお金を使うことができます。
医療費にも大きな心配はいらないでしょう。
「貯金が5,000万円もあったら……」と空想することはあるかもしれませんが、実際に5,000万円貯めるにはどうしたら良いのでしょうか?
そもそも夢物語だと諦めている人もいるかもしれないですね。
しかし、5000万円の貯金は意外と現実的な目標です。
この記事ではどんな方法を使えば貯められるのか、しっかり解説していきます。
今の貯金がゼロ円の方でも大丈夫なので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
筆者プロフィール
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ、金融機関出身のライター。
投資歴は4年、運用資産は1000万円に突入し、毎月約2万円以上の不労所得が入ってくるようになりました。
読者の方々の老後の豊かな暮らしや早期リタイアをサポートするため、金融や投資の記事を多く執筆しています。
5,000万円の貯金は可能か?
初めに、5,000万円の貯金はできるのかデータをもとに考えてみましょう。
これから紹介するデータが示すとおり、5,000万円の貯金や金融資産を築いている人は非常に少なく、またこれから目指すことも大変です。
とはいえ諦めるのはまだ早く、具体的なお金の貯め方については後ほど解説していきます。
まずは5,000万円の貯金がどれだけ難しいことなのか解説しますが、その先に貯める方法があると思って読み進めていただければと思います。
世帯平均は約1,000万円の金融資産
生命保険文化センターの調査によれば、2人以上の世帯の場合、1,139万円の金融資産を持っているそうです。
年代別に見ると、年齢が高いほど金融資産の金額も増えていきます。
年代別金融資産保有額
- 20歳代:165万円
- 30歳代:529万円
- 40歳代:694万円
- 50歳代:1,194万円
- 60歳代:1,635万円
- 70歳以上:1,314万
しかし、60代で1,635万円、70代以上で1,314万円という結果になっています。
これを見ると、5,000万円の貯金もしくは金融資産を持っている人は、非常に少ないと考えられます。
金融資産5,000万円の世帯は1割未満
さらに、2017年の野村総合研究所の調査では、金融資産の金額別に世帯数を割り出しています。
金融資産5,000万円以上となる準富裕層、富裕層、超富裕層の合計は448.9万世帯、5,000万円未満となるアッパーマス層、マス層の合計は4,923.4万世帯です。
すべてを合計すると5,272.3万世帯となり、このうち金融資産が5000万未満の世帯が占める割合は約92パーセントです。
反対に、5,000万円以上の金融資産を持つ世帯はわずか約8パーセントしかありません。
この結果を見ると、すでに5,000万円以上の資産を持っている世帯は、日本の金融資産額で上位8パーセントに入ることになります。
日本人の9割以上が達成できていない目標を達成し、成功した方々だと言えるでしょう。
貯金5,000万円が難しい理由
5,000万円の貯金や金融資産を持っていない世帯が9割に上るのは、貯金することの難しさが原因です。
そもそも、サラリーマンの生涯年収は1億円から2億円と言われています。
もし生涯年収が1億円だったら、半分を貯金したり金融資産の形成に使わなければ、5,000万円も貯められません。
つまり給料の半分を貯金できている人は、いずれ5,000万円以上の貯金ができると予想できます。
しかし、現実的に考えてそんなに貯金できていない人の方が多いのではないでしょうか?
貯金が難しい背景には、次のような理由があります。
詳しく解説していきましょう。
5,000万円の貯金が難しい理由
- 子供の教育費が高いから
- 昇給時に生活レベルを上げているから
- 50代以降は昇給しにくいから
理由①:子供の教育費が高いから
子供がいる世帯で貯金がしにくいのは、教育費にお金がかかるからです。
一部所得制限はあるものの、国公立なら高校までは無償で通えるようになっていますが、大学で私立に入学するケースや習い事の種類によっては大きなお金がかかってきます。
とはいえ、教育費は節約できるものではありません。
有名大学に入るための予備校や、得がたい知識と経験を手に入れる留学などに必要なお金です。
勉学の他に、スポーツや芸術で才能を伸ばすなら学校外で本格的な習い事が必要です。
節約できる費用ではないものの、子供の将来のために投資をするほど貯金ができないジレンマがあるのです。
理由②:昇給時に生活レベルを上げているから
会社員の場合、昇進などのタイミングで給料が上がることがあるでしょう。
そのタイミングで生活レベルを上げてしまうことも、貯金ができない理由の一つです。
昇給したからといって、生活レベルを変えずに暮らしていけば、余ったお金は自然と貯金に回ります。
生活レベルを一定に保つためには家族全員で協力しなければなりませんが、5,000万円のお金を貯めてどうしたいのかなどを話し、節約に協力してもらいましょう。
理由③:50代以降は昇給しにくいから
日本の企業の場合、給料のピークは40代から50代前半で、55歳頃から給料が減っていくことが多いです。
定年は60歳から65歳ですが、55歳になると「役職定年」として給料を減らされてしまうのです。
給料の減少率としては25パーセントほどが一般的で、酷い場合は半減することもあります。
これは役職定年を迎えて役職手当がなくなったり、基本給が減額されたりすることが原因です。
30代から40代の子育て世代のうちは貯金するのが大変なので、「子供が独り立ちしてから貯金しよう」と思っていると当てが外れます。
給料が減るので生活費も抑えなければならないからです。
子育てをしつつ、大変ですが貯金もしておくとベターです。
5,000万円貯金する方法
5,000万円を貯金する大変さについて解説してきました。
しかし、まだ諦めるのは早いです。
今から努力すれば5,000万円の資産を築くことは十分に可能だからです。
貯金を増やすにはお金を稼ぐ必要がありますが、その方法は「仕事」「副業」「投資」の3種類しかありません。
これらの方法をフル活用し、5,000万円達成に向けて頑張っていきましょう。
5,000万円貯金する方法
- 本業の報酬・給与を上げる
- 副業で稼ぐ
- 投資でお金を増やす
方法①:本業の報酬・給与を上げる
貯金を増やす方法として最初に思いつくのが、本業の報酬を上げることです。
今勤めている会社で昇進のチャンスがあるなら、頑張って仕事をしましょう。
資格を取ることで給料アップできたり昇進できたりする企業もあるため、人事制度を調べてみるのもおすすめです。
もし昇進できるチャンスがなかったり、昇進しても給料が大して増えなかったりする場合は、好条件の会社に転職するのも良いでしょう。
転職の条件は35歳以下となっていることが多いため、若い方はチャンスがあります。
転職も厳しければ、起業という選択肢もあります。
とはいえ、いきなり会社をやめて企業するのには勇気が要りますし、失敗した場合のリスクも大きいです。
昇進や転職が難しそうなら、これから解説する副業と投資に取り組むことをおすすめします。
方法②:副業で稼ぐ
本業の給料だけで貯金ができないなら、副業で稼ぐのがおすすめです。
アルバイトのように時給が決まっている仕事なら、貯金するために必要な金額から逆算してシフトを入れることで、無理なく本業と副業を両立することができます。
アルバイト以外にも、副業で稼ぐ方法はたくさんあります。
例えばクラウドソーシングの場合、在宅で自分のスキルを活かして働くことができます。
クラウドソーシングでは、ウェブサイトの記事作成や企業のロゴ制作などを企業が発注しているため、できそうな案件に応募することで仕事をゲットします。
得意なことが活かせる仕事なら、時給5,000円も夢ではありません。
また、YouTubeに動画を投稿したりブログに記事を投稿したりして、広告収入で稼ぐ副業も人気があります。
ただし、最近は取り組んでいる人が非常に多く、大金を稼ぐ一握りのインフルエンサーと大多数の毎月数円しか稼げていない人に分かれている傾向があります。
自分の得意ジャンルを発信したい人が、趣味と副業を兼ねてやるならおすすめしますが、今すぐに稼ぎたいならアルバイトやクラウドソーシングをおすすめします。
方法③:投資でお金を増やす
投資することでもお金を増やせるため、貯金する金額を増やすことができます。
本業や副業はすでにやっている人でも、投資はやっていないことが多いのです。
しかし、たった3つしかないお金を稼ぐ方法のうち一つを捨てているため、とてももったいないです。
投資とは、企業などにお金を出資することです。
企業がビジネスを成功させれば利益が生まれるため、利益の一部が投資家に支払われます。
お金にお金を稼いでもらう点が、本業や副業の労働とは異なります。
日本人の多くが取り組んでいない投資について、これから詳しく解説していきます。
この記事が投資に興味を持ち、不労所得を得るきっかけになれば幸いです。
投資でお金を増やす際のシミュレーション
5,000万円を貯金する3つめの方法として、投資を紹介しました。
投資をすることで、「年率〇%」という割合でお金を増やすことが期待できます。
投資には予想どおりに行かないリスクもあるため、年によって利回りは上下します。
ですが、ここでは毎年の利回りを「5%」と固定して資産形成のシミュレーションをしてみましょう。
毎月3万5,000円を20年間運用した場合と40年間運用した場合とでは、次のグラフのように資産形成に違いが出ます。
20年の場合は約1,400万円、40年の場合は約5,300万円に資産が成長するという結果が出ました。
年数は2倍なのに、金額では3倍以上の違いが出ています。
これは長い期間運用したことで「複利効果」が効き、時間とともに資産が増える速度が上がったためです。
結果をまとめると、5,000万円以上のお金を貯めるには、40年も投資に費やす必要があることがわかります。
若い人なら投資で5,000万円の資産を築ける
シミュレーションの結果をまとめると、20代や30代など、人生の時間が長く残っている若い人の方が、投資で資産形成をしやすいと言えるでしょう。
5パーセントの利回りで毎月3万5,000円を投資し、5,000万円以上の資産を築くには、40年間の投資が必要となるためです。
1ヶ月で3万5,000円ずつ投資をしていくことは、20代などの若い方でも決して無理ではありません。
大金でなくて良いので、3万円ちょっとを毎月投資できれば60代を迎える頃には5,000万円の資産を築くことだって夢ではありません。
「資産運用なんてお金持ちの高齢者のもの」「5,000万円なんて夢のまた夢」と思っている方にこそ、投資を始めていただきたい理由がこれなのです。
「投資」でお金を増やす方法
シミュレーションで紹介したように、5パーセントの利回りで3万5,000円を運用すれば、40年で5000万円以上の資産を築くことができます。
5パーセントより利回りが低い場合、5,000万円の目標を達成するのにもっと時間がかかったり、3万5,000円より大きな金額をつぎ込まなければならなかったりします。
ですが、40年以上の時間をかけたり大金を投資したりするのは、無理がある方が多いのではないでしょうか?
そのため、5,000万円の資産形成を目指すなら「利回り5パーセント以上」の投資商品に投資すると良いでしょう。
これから紹介する商品なら、利回り5パーセント以上を狙うことができます。
いずれも元本割れのリスクがある商品なので、商品の内容についてしっかり理解した上で、投資を始めてみてください。
投資でお金を増やす方法
- 不動産投資
- 株式投資
- 海外ETF
- ソーシャルレンディング
- 不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資
不動産投資とは、賃貸マンションの部屋やアパートを所有し、入居者に貸し出す投資方法です。
入居者が家賃を支払ってくれるため、それが投資の収益となります。
不動産投資のメリットは、収入が安定していることです。
入居と退去が頻繁に繰り返されることは少なく、一度入居した人は数年ほど同じ家に住み続けることが一般的です。
そのため、入居者が見つかれば数年間の家賃収入は安定して得られるメリットがあるのです。
一方、不動産投資のデメリットは必要な資金が大きいことです。
不動産を購入するには数千万円から1億円ほどの費用が必要なので、多くの投資家は不動産投資ローンを組んで始めています。
頭金となる数百万円がある方は不動産投資を始められますが、ない方にとっては現実的な選択肢ではないでしょう。
資金が少なくて不動産投資ができない方は、REIT(不動産投資信託)という商品を検討してみてください。
REITとは、投資家の資金を預かった投資会社が不動産で資産運用し、利益を投資家に還元するものです。
10万円から20万円の資金で始められるので、資金が少ない方でもできるでしょう。
不動産投資もREITも利回りの目安は5パーセント前後です。
現物の不動産に投資する場合、工夫によっては利回りを高めることができます。
株式投資
株式は、企業が資金を調達するために発行するものです。
投資家は株式を買うことで企業に出資し、企業はそのお金でビジネスを行います。
企業が生み出した利益の一部は投資家に還元されるため、株式投資家と企業はWin-Winの関係を築くことができます。
株式投資のメリットは、株主優待の特典があることです。
一部の企業では株主優待の制度を導入しており、自社製品や割引券を投資家に配布しています。
これらを上手に活用すれば日常の生活費を抑えられるため、投資と節約を同時に行うこともできます。
株式投資のデメリットは、銘柄によってはまとまった金額が必要なことです。
多くの銘柄は1単元購入するのに20万円から30万円ほどの資金がかかります。
5万円前後で購入できる銘柄もありますが、100万円ほどの資金がなければ1単元を買えない銘柄もあります。
毎月数万円ずつ投資をしたいなら、数ヶ月分の資金が貯まったときに一気に1単元買う、という方法になるでしょう。
株式の利回りは銘柄によって異なり、3パーセントから7パーセントほどまで幅が広いです。
5パーセント以上の利回りが欲しいなら銘柄選びが重要となるため、企業の財務分析やIR情報の読み解きに慣れた、中級以上の投資家におすすめです。
海外ETF
ETFとは上場投資信託のことで、投資家の資金を投資会社が預かって運用し、利益を投資家に還元する商品です。
国内では上場していないただの投資信託が一般的で、同じ仕組みの商品です。
ETFは国内にもありますが、5パーセント以上の利回りを狙うなら海外ETFがおすすめです。
アメリカの株式市場に投資するETFなら、過去の平均利回りは7パーセントほどです。
今後はやや成長は鈍化すると予測されていますが、5パーセント以上の利回りはしばらく続くと考えられます。
海外ETFのメリットは、経済成長中の海外市場に直接投資できるため、運用を任せるのに必要な手数料(信託報酬)が安くて済むことです。
国内の投資信託やETFでも海外に投資することはできますが、海外・国内と二重に手数料を取られるため、コストが高くなって利回りが低くなってしまいます。
海外ETFのデメリットは、売買にかかる手数料(売買手数料)が高い傾向があることです。
ただし、最近ではアメリカのETF人気などがあるため、証券会社が売買手数料無料の海外ETFを出しているなど、売買手数料の引き下げ競争が起きています。
投資しやすい環境になってきているため、このデメリットは小さくなりつつあります。
海外ETFは、数千円で購入できる点も魅力的です。
不動産や株式に比べると少額で取引できるため、積立投資しやすいです。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、企業がインターネット上で資金を調達するために使うサービスです。
投資家は出資したい企業を見つけ、投資することができます。
ソーシャルレンディングは「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれており、クラウドファンディングの一種です。
1万円など少額で投資ができるため、資金が少ない方でも始めやすいです。
投資を始める前に予定利回りや満期、事業計画が掲載されるため、投資家はそれを見て投資したい事業を選びます。
運用が始まれば定期的に利息が振り込まれ、満期が来たら投資した元本が返済される仕組みです。
事業が倒産するリスクなどがあるため、確実に利息や元本が支払われるとは言い切れませんが、期間や利回りが決まっている特徴がある投資商品です。
ソーシャルレンディングのメリットは、狙える利回りが5パーセントから10パーセントと高いことです。
銀行の融資だけでは足りない企業などが、高い利息を支払ってでも資金を調達するために利用しているため、一般の投資商品よりも利回りが高いのです。
ソーシャルレンディングのデメリットは、利回りが高いゆえリスクも大きいことです。
基本的には銀行の審査が下りず十分な融資を受けられなかった企業が利用するサービスであるため、事業が立ち行かなくなるリスクがあります。
また、ソーシャルレンディングの業者がサイトに掲載する前に企業の案件を審査しているのですが、審査の能力が業者によってまちまちです。
過去の案件がほとんど成功している業者がある一方、失敗案件が多い業者もあります。
ソーシャルレンディングを始めるときは業者選びが重要なので、サイトや口コミを見て過去の成功率などを調べてから投資しましょう。
初心者の方向けにこちらで詳しく解説されているため、一度目を通しておくと良いでしょう。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングの不動産投資バージョンと思ってもらえれば大丈夫です。
不動産投資をしたい事業者がクラウドファンディングで資金を募集し、投資家はそれに出資する流れです。
利回りは5パーセントから10パーセントほどと高めです。
不動産投資型クラウドファンディングのメリットは、不動産投資やREITよりも少額で始められる点です。
最低申込額は1万円など少額に設定されていることがほとんどなので、まとまった資金がない方でも投資できます。
不動産投資型クラウドファンディングのデメリットは、ソーシャルレンディングと同様にリスクが高めであることです。
事業者が不動産経営に失敗するリスクや、クラウドファンディング業者の審査が緩くて案件が失敗するリスクがあります。
利用するサイトを選ぶときは過去の成績や口コミを見て、優良業者を選びましょう。
詳しく解説されているため、初心者の方はこちらを一度目を通しておくと良いでしょう。
まとめ
5,000万円の貯金を貯めるためにできることについて解説してきました。
本業や副業を頑張るっても良いのですが、投資も始めればお金を稼ぐ3つの方法をコンプリートすることができます。
5,000万円も貯金するにはどの方法も頑張る必要があるため、一つも逃さず取り組んでいきましょう。