トラブル続きのmaneo(マネオ)
maneoマーケットといえば、成立ローン総額1,600億円を超え、ソーシャルレンディング業界トップの実績を誇る「maneo」を率いるリーディングカンパニーです。
「ソーシャルレンディングを始めるならまずmaneoから」ということばが定番化するくらい、大きな安心感と存在感のある運営事業者、それがmaneoでした。
しかし、2019年4月末現在のmaneoは、複数の訴訟と遅延問題を抱えています。
当記事では、ソーシャルレンディング業界最大手で信頼性抜群だったmaneoが、トラブル事業者になった事の発端や、maneoのトラブル歴、ファミリーの状況について解説します。
【2019年9月17日追記】
maneoが株式の約85%をNLHD社へ譲渡することが判明しました。
詳しくはこちらで解説しています。
2018年の行政処分が発端
2018年7月に、maneo(マネオ)は行政処分を受けました。
maneoのプラットフォームを利用していた「グリーンインフラレンディング」が、投資家から集めた資金を目的外流用していたことが発覚し、maneoも管理責任を問われる形で行政処分を受けました。
▼行政処分の指摘内容▼
(1)ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をした行為
(2)当社の管理上の問題点
処分内容を要約すると以下のとおりです。
- グリーンインフラレンディングが募集していたファンドの資金が、グリーンインフラレンディングの親会社の関連会社に一部流用されていた。
- maneoは直接ファンドを募集していたわけではないが、プラットフォームを貸し出していた募集責任者として管理責任があった。
- しかし、実際には管理下にある営業者(グリーンインフラレンディング)のファンド資金の使用使途などの確認を十分に行っておらず、各社に一任していたので管理責任に問題ありと見なされ、行政処分(業務改善命令)を受けることになった。
出典:「maneoマーケット株式会社に対する行政処分について(関東財務局)」
元々、問題を起こしたのはグリーンインフラレンディングと親会社のJCサービスなので、maneoが直接的な問題を起こしたわけではありません。
しかし、報道ではあたかもmaneoが虚偽の募集をしたように伝えられ、maneoやソーシャルレンディングに対する世間的なイメージはかなり悪くなってしまいました。
そのため、当時はmaneoへの報道や処分に対し同情的な意見もあったと思います。
筆者自身、当時は「傘下の企業がやらかしたことだから、maneoにそこまでの悪質性はないのでは」という見方をしていました。
しかし、この行政処分以降、グリーンインフラレンディングを含む多くのmaneoファミリーで遅延が相次ぎ、当初はまだ同情的だったmaneoへの評価や信頼はどんどん薄れていったのです。
行政処分以降のmaneoについて
続いて、行政処分以降のmaneoについてみていきましょう。
※2019年4月30日時点の公式サイトの情報です。
年月 | トラブル内容 |
2018年7月
|
・maneoマーケット株式会社が行政処分(業務改善命令)
・グリーンインフラレンディングで遅延発生(現在の遅延総額約127億円) |
2018年10月 | ・キャッシュフローファイナンスで遅延が発生(現在の遅延総額約8億円) |
2018年11月 | ・ガイアファンディングで遅延発生(現在の遅延総額約41億円)
・maneo本体で遅延発生(現在の遅延総額約62億円) |
2019年1月 | ・クラウドリースで遅延発生(現在の遅延総額約58億円) |
2019年3月 | ・グリーンインフラレンディングの投資家集団がmaneoマーケットなどを相手取り、集団訴訟を開始(訴訟総額:約11億円)
・maneo株式会社がガイアファンディングの運営会社と代表のケルビン・チウ氏を相手取り、訴訟を開始(訴訟総額:約22億円) ・金融庁より、ソーシャルレンディングの匿名化解除に関する公式見解が発表→複数の事業者が融資先の匿名解除を公表する中、maneoは特に動きなし |
2019年4月 | ・maneoマーケット株式会社の2代目社長、瀧本憲治氏が退任、新社長安達義夫氏が就任
・クラウドリースの社長が弁護士に対応を丸投げ&すべての支払い停止発表 ・アメリカンファンディングで遅延発生(遅延総額約1億円) |
現在、遅延がある事業者は次の6社で、遅延総額は約297億円です(一時は300億円を超えていました)。
- maneo本体(maneoマーケット)
- maneoファミリーの事業者
- グリーンインフラレンディング
- クラウドリース
- キャッシュフローファイナンス
- ガイアファンディング
- アメリカンファンディング
ソーシャルレンディング業界第2位のSBIソーシャルレンディングの融資残高は約333億ですが、その融資額に匹敵するほどの遅延総額になってしまったのです。
ここまでの大規模遅延になった理由は、
- 元々リファイナンス案件などを募集して自転車操業状態だった事業者が多かった
- 行政処分後にmaneoが募集案件の締め付けを強化
- リファイナンスできなくなり、返済できなくなった事業者が浮き彫りになった
というのが実態でしょう。
maneoファミリー状況まとめ
maneoファミリーはすべての事業者が遅延を起こしているわけではありません。
maneoファミリーの状況をまとめておきましょう。
maneoファミリーとmaneo本体の11社のうち、大規模な遅延を起こしているのは6社で、残りの5社は今のところ遅延もなく順調な募集を続けています。
特に、親会社が上場している「LCレンディング」は人気も信頼性も高く、maneoファミリーといってもすべての事業者に問題があるとは言えません。
事業者名 | 状況 |
グリーンインフラレンディング | 新規募集停止&遅延中(現在の遅延総額約127億円) |
ガイアファンディング | 新規募集停止&遅延中(現在の遅延総額約41億円) |
クラウドリース | 新規募集停止&遅延中(現在の遅延総額約58億円) |
キャッシュフローファイナンス | 新規募集停止&遅延中(現在の遅延総額約8億円) |
アメリカンファンディング | 新規募集停止&遅延中(現在の遅延総額約1億円) |
LCレンディング | 営業中&遅延なし(累計募集総額約284億円) |
プレリートファンド | 営業中&遅延なし(累計募集総額約25億円) |
スマートレンド | 営業中&遅延なし(累計募集総額約83億円) |
さくらソーシャルレンディング | 営業中&遅延なし(累計募集総額約15億円) |
アップルバンク | 営業中&遅延なし(累計募集総額約24億円) |
※2019年4月30日時点の公式サイトの情報です。
まとめ
maneo(マネオ)とmaneoファミリーついてまとめてご紹介しました。
すべての投資は自己責任です。
世間一般の評価だけで投資先を判断するのではなく、客観的な事実を見て自分自身で評価し、選ぶことが大切です。