10連休のゴールデンウイーク明けの2019年5月7日(火)、maneo(マネオ)から投資家に対して、「返済遅延及び満額回収を行った」という旨のメールが送信されました。
数々の問題が発生しているmaneoですが、投資家としてはうんざりしたくなるような内容のメールが返済遅延としてまた3件も送られてきたのです。
一方で、2019年1月に未回収が発生していた案件が、満額の16億円が回収されたとのメールも来ています。
その内容を確認していきましょう!
【2019年9月17日追記】
maneoが株式の約85%をNLHD社へ譲渡することが判明しました。
詳しくはこちらで解説しています。
目次
新たにmaneo(マネオ)で返済遅延が発生した3つの案件
まず、2019年5月7日(火)に、新たに3件の返済遅延が発覚しました。
これはmaneoの公式ホームページにも記載されています。
遅延案件①:石垣島の不動産案件
1件目の新たなmaneoの遅延は、沖縄県石垣島の不動産案件です。
出典:maneo
以下、抜粋です。
2018年4月に事業者C社が不動産事業者Oに対して6億円の仕入資金融資を行うため、「maneo」では599,995,292円のファンド募集をし、そのファンド募集資金を事業者C社に融資いたしました。
不動産事業者Oは不動産事業、ならびに不動産コンサルタント業務を行っております。
不動産事業者Oは大手建設業者との事業推進を前提として、同社が取得した土地(以下、「対象地」という)でのホテル建設を目的とする開発許可申請に向けた対応をしてきました。
当初は2018年12月末を目途に申請書の提出を行うこと、それをもって大手建設業者が対象地を購入することで事業を完了させるという計画でした。
しかしながら、対象地でのホテル運営事業者(オペレーター)の選定に時間を要したことから開発許可申請に必要となる建築プランの作成に影響を及ぼし、結果として資金繰りにも支障をきたし、今回の延滞に至りました。
回収の見込み
不動産事業者Oは、引き続き開発許可申請に向けて、ホテル運営事業者の決定に向けた協議を行っております。
そのうえで、当初計画通りに申請業務を遂行し、大手建設業者への売却により返済を図ることとなります。
また、事業者C社としても、不動産事業者Oの了解のもと、自社主導で別ルートでの売却活動を行っていきます。
競売による回収は上述する売却活動と比較して回収に至る期間が長期化し、また回収金額においても減額が見込まれるものですが、進行状況を見定めつつ申請を行う予定です。
また、公正証書による融資契約ですので、強制執行も財産特定を進めつつ、可能な限りの対応に向けて検討いたします。
このように、ホテル開発資金を募集しておきながら、その後ホテルオペレーターの選定に時間を要したことにより、建築プラン自体にも影響が出て運用が滞っている状態です。
その結果、返済が間に合わなくなり、最終的には大手建設業者への売却により、資金の回収を行う見込みとなっています。
最適な手法を模索し、できる限りの資金回収を図っていくとしています。
担保がホテルの土地建物という不動産でありながら、想定通りに事業が進んでおらず、中途半端な土地・建物が存在しているだけの状況であることから、回収の見込みは万全とは言えない状態です。
ただ、沖縄県石垣島という人気のある場所のホテル物件であることから、立地や完成後の収益性は悪いものではないと推測されます。
遅延案件②:兵庫県宝塚市の事業者向け融資案件
2件目の新たなmaneoの遅延は、兵庫県宝塚市の事業者向け融資案件です。
出典:maneo
以下、抜粋です。
2018年1月に事業者C社が事業者EHに対して2億5,000万円の仕入資金融資を行うため、「maneo」では249,999,841円のファンド募集をし、そのファンド募集資金を事業者C社に融資いたしました。
この融資の保全策として、事業者C社は、事業者EHが取得した兵庫県宝塚市の土地(以下、「対象不動産」という)に対して根抵当権を設定し、当社は当該根抵当権に質権を設定いたしました。
事業者EHは対象不動産を取得後、介護施設の建築計画を立案し、事業者に売却する予定でしたが、購入希望者の借入の不調などの理由から当初の計画通りの売却に至りませんでした。
期日内に返済すべく方針を変更し販売窓口を広げた結果、4月上旬に一般的な建売業者との間で売買契約の締結に至りましたが、代金の決済が5月中旬を予定しているため、返済期日内での取引とならず、延滞となりました。
回収の見込み
上記「2.経過」にございますとおり、事業者EHが締結した売買契約の決済予定が5月中旬であるため、対象不動産の売却による融資金の回収まで、本件ファンドの償還期限を延長させていただくものでございます。
事業者EHからの利息は事業者C社に入金されており、事業者C社から当社にも利息は入金されております。
元金は期日到来による未回収の状態ではありますが、約定利息の未払いによる延滞が発生している状態ではございません。
今後、事業者C社は事業者EHの物件引き渡しに至るまでの業務の進捗状況を確認していくこととなります。
こちらは、決済が2019年5月中旬に遅れるということであり、スケジュールの遅れは軽微な内容であるという報告内容です。
しかし、投資家としてはmaneoの行動に信頼がおけるものではないでしょう。
遅延案件③:クラウドリース絡みの案件
3件目の新たなmaneoの遅延は数々の問題を発生させている、クラウドリース絡みの案件です。
出典:maneo
以下、抜粋です。
2018年12月に当社が事業者BL社(以下、「クラウドリース社」という)に対して転貸資金融資を行うため、「クラウドリースセレクトファンド」として2,000万円を募集させていただきました。
maneoマーケット社が「CrowdLease」サイトに掲載しました2019年4月5日付の公表文(※1)にございますとおり、4月4日にクラウドリース社はmaneoマーケット社に対し、「4月10日の配当期日のファンドの支払を停止する、回収に向けた業務は継続する、今後の対応を弁護士に委嘱した」などとする通知を送付いたしました。
その後、maneoマーケット社はクラウドリース社の代理人弁護士からの受任通知を4月8日付にて受領しております。
「CrowdLease」本体におけるファンドのすべてが期限の利益を喪失している状況であるところ、本件貸付債権に関しましても、4月30日の約定利息の未回収が発生し、期限の利益を喪失しております。
当社は、一刻も早く、また最大限の回収を図るべく、クラウドリース社に対する返還請求とともに、返済計画に係る説明の要請等を行って参る所存です。
また、4月19日付の公表文(※2)に記載の、maneoマーケット社がクラウドリース社に対して要請した説明及び資料については、maneoマーケット社を通じて当社にも共有される見込みであり、当社としては、当該説明等も踏まえて今後の対応を検討いたします。
※1「CrowdLease」サイトに掲載(4月5日付)
※2「CrowdLease」サイトに掲載(4月19日付)
今後の状況報告について
該当投資家の皆様には、回収状況につきまして、引き続きメールにてご報告いたします。
昨年2018年12月に、クラウドリース関係の募集案件として投資家から資金を募った案件です。
しかし、2019年の年明けに、クラウドリースは複数の貸倒れ案件を発生させ、その後全く回収ができていない状況です。
さらに、現在maneoとクラウドリースの間では、弁護士を通じてのやり取りしか行われておらず、回収の見込みは一向に見えてきません。
maneo(マネオ)が満額回収を行った案件
一方で、今回maneo(マネオ)が満額回収を行った案件があります。
出典:maneo
1月末に、返済遅延が報告されていた案件です。
出典:maneo
以下、抜粋です
回収活動状況について
前回のご報告において、金融会社への債権譲渡がクロージング最終段階であることをお伝えいたしました。
その後、対象不動産に対して申請されていた登記が完了し、債権譲渡の支障となる登記の申請ではなかったことが確認できました。
従いまして、事業者C社から金融会社への債権譲渡が正式に成就いたしました。
事業者C社は債権譲渡対価として16億円を受領し、当社は事業者C社から同額を返済金として回収いたしました。
本回収金は、maneo株式会社ローンファンド匿名組合契約約款第10条2項の規定に則り、5月22日に分配する予定です。
分配の内訳につきましては、改めてメールにてご案内させていただきます。
募集規模の16億円に対し、債権譲渡対価として16億円を受領したため、満額を回収できたことになります。
結果だけ見ればきちんと投資家に返済ができる金額ですが、その経過は問題が多くありました。
当初は2019年3月に返済と連絡があった
こちらは、2019年3月に送られてきたメールからの抜粋です。
現在、不動産事業者DMは売却予定先との売買契約を締結済みであり、売買契約に伴う手付金を受領済みです。
3月下旬までを目途に最終の残金決済が行われる予定です。
このように、最初は2019年3月下旬には残金決済が行われ、投資家に返済される予定でした。
その後二転三転で最終的に債権を譲渡
前回までに、不動産事業者DMが売却予定先との売買契約を締結済みであり、3月下旬までを目途に最終の残金決済が行われる予定であることをご報告いたしました。
事業者C社は、不動産事業者DMの物件引き渡しに至るまでの業務の進捗状況を確認しておりましたが、不動産事業者DMより、売却予定先が資金調達に難航しているため、契約解除になる見込みであるとの報告を受けました。
こちらは、2019年3月14日に送られてきたメールです。
まさかの残金決済頓挫との内容であり、手付金を受け取っているはずなのに、それに関する記載も一切ありません。
その2週間後の2019年3月28日には、以下のメールが送られてきました。
前回までにご報告いたしましたとおり、本件担保物件につき、不動産事業者DMと売却予定先との間で売買契約が締結済みであり、3月下旬までを目途に最終の残金決済が行われる予定であったところ、不動産事業者DMから事業者C社に対し、売却予定先が資金調達に難航しているため、当該契約が解除になる見込みであるとの報告がございました。
その後、事業者C社は事実確認を行っておりますが、現時点では契約解除には至っていないものの、不動産事業者DMからは売買契約の延長合意をするのか、もしくは解除の方向で進めるのかという具体的な見通しの報告を受けておりません。
この状況を受け、事業者C社は前回ご報告しました金融会社との間で、債権譲渡の交渉を進めています。
交渉中の金融会社は、外資系の投資・資産運用会社のグループ企業です。
現時点では合意に至っておりませんが、金融会社は引き続き早期の購入を希望しています。
なお、債権譲渡の金額やクロージングの条件につきましては、交渉中であるため明示は差し控えますが、金額につきましては処分価格での譲渡ではなく、不動産事業者DMの売買契約の実現可能性との比較において設定し、交渉中であることを申し添えさせていただきます。
話が全く違う方向に動き、なおかつ売却条件の明示は投資家には行わないものとしています。
2019年4月11日にもほぼ同じ内容のメールが送られてくるのみでした。
ゴールデンウィーク直前、2019年4月25日のメールが以下の内容です。
回収活動状況について
前回のご報告以降、対象不動産の売買に係る状況変化はございません。
現状を把握すべく不動産事業者DMに報告を求めているものの明確な回答が得られておらず、また、新たな登記が申請されているため対象不動産の謄本が閲覧できない状態となっております。
状況の把握は登記の完了が見込まれる5月上旬以降になるものと思われます。
一方で、前回報告していた金融会社への債権譲渡はクロージングの最終段階にきておりますが、前述のとおり現在の登記内容が閲覧できない状況のため、登記の完了後に内容を確認し、最終決定がなされる見込みとなっております。
上記のとおり、事業者C社は、引き続き担保物件の売買の状況を確認いたしますが、現時点では債権譲渡の交渉を進めることが、最速の回収手段にあたるものと判断しております。
また、新たに設定される登記の内容によっては、不動産競売の申立にも着手することとなります。
まるで話が全く白紙に戻ってしまったかのような無責任な文面です。
結果的には資金が回収できましたが、このメールを見せられた投資家の心中は、穏やかなものではなかったでしょう。
今後も返済遅延の可能性高く、今のmaneoへの投資は大変危険
今回お伝えした返済遅延の宝塚市、石垣島の案件においては、当初の運用期間内に事業計画がスムーズに進行しなかったことが原因です。
この2つの案件は、maneo(マネオ)が2018年7月に行政処分を受ける前に募集を行ったものであり、貸付先審査の条件が甘かったことが原因と考えられそうです。
クラウドリースの案件に関しては全くの問題外であり、行政処分後2018年12月の募集です。
クラウドリースで数々の問題が発覚する未然ながらも、リスクを知りながらクラウドリース経由の案件を投資家から募集していたことになります。
わずかその2週間後にクラウドリースは多数の返済遅延を発生させています。
はっきりと言えば、これから先もまだまだmaneoの返済遅延案件が出てくる可能性は非常に高いと考えられます。
特に、2018年4月以前に募集された案件はほぼ間違いなく返済遅延に陥ると想定しておいた方が良いでしょう。
資金が回収される見込みはそれなりにありますが、maneoマーケット本体が募集していない案件に関しては非常に厳しいのが現状です。
また、最近も募集している案件に関しても、maneoは募集基準を厳格化したと言っていますが、その具体的な内容報告は未だになされていません。
現状から推測するに、maneoに投資するのはまだまだ非常に危険です。
少なくとも、maneoが投資家に対する情報開示方針は打ち出し、投資家への数々の説明責任を果たさない限りは、絶対に投資してはいけないと言えます。