国内最大手のソーシャルレンディング会社であるmaneoマーケット(通称maneo、マネオ)。
maneoでは、返済遅延など数々の問題が発生していますが、それでも国内最大手のソーシャルレンディング会社としてその存在感は大きなものがあります。
そこで、maneoの2019年6月現在の評判を見ながら、投資先としてこれから先検討した際に、妥当な投資対象であるのかどうかについてソーシャルレンディング投資家の筆者が考えてみました。
【2019年9月17日追記】
maneoが株式の約85%をNLHD社へ譲渡することが判明しました。
詳しくはこちらで解説しています。
目次
maneoの実績は日本のソーシャルレンディングでダントツ
出典:maneo(マネオ)
maneo(マネオ)は日本で初めてソーシャルレンディングサービスを提供した会社です。それだけに、他のソーシャルレンディング会社を圧倒する実績を誇っています。
募集金額は1,600億円突破
maneoの2019年6月時点での累計募集実績は、1,600億円を突破しています。
これは、業界2位のSBIソーシャルレンディング(727億円)と、3位のクラウドバンク(565億円)を足しても遠く及ばない数字になっています。
毎月の案件の募集数は100件以上あり、2019年6月現在でも毎月10億円以上の金額を積み重ねており、他のソーシャルレンディング会社を圧倒する数字と言えます。
この実績だけを見れば、maneoの存在感は2019年現在でも大きいことは間違いありません。
会社の運営実績は12年目
maneoの創業は2008年です。
2019年で第12期に突入しています。
2017年度の決算の数字を見るとmaneoの売り上げは約33億円、営業利益は5億円以上となっています。
日本のソーシャルレンディング業界の歴史は、すなわちmaneoの会社としての歴史といっても過言ではない状態です。
それだけに、ずっとソーシャルレンディング事業で倒産せずにしっかりと利益を出してきたことは特筆に値するべきだと言えるでしょう。
先代の社長であり、maneo二代目の社長である瀧本憲治氏は、2019年3月に数々の行政処分やmaneoのソーシャルレンディング会社としての体制の不備を受けて、退任しました。
2019年4月に社長に就任した安達義夫氏は、3代目の社長です。
一時は上場の噂があった
maneoは、2018年初頭に株式上場の噂がソーシャルレンディング業界では流れていました。
ソーシャルレンディング業界の中でトップ企業として常に先を走り続けており、募集金額の増加の勢いも大変大きなものがあったのです。
日本にソーシャルレンディング業界を生み出した功績は、間違いなく大きなものであったといえるでしょう。
2019年現在、日本のソーシャルレンディング市場は年間で1,500億円前後と言われています。
その市場規模の半分近くがmaneoによる募集によるものだとも考えられます。
maneoなくして、ソーシャルレンディング業界を語ることはできないとも言えます。
maneoの投資案件の特徴
maneo(マネオ)が投資先として妥当かどうか検証する際には、どういった投資案件を扱っているのかについてチェックしておく必要があります。
2019年時点でmaneoが募集を行っている案件の特徴を確認しておきましょう。
案件の特徴①:多様な案件が揃っている
maneoのホームページを見ると、実に多種多様な案件を投資家から募集していることがわかります。
太陽光関連の融資案件もありますし、不動産を担保にした資金調達を行う企業向けの案件もあります。
中には、無担保の代わりに利回りが高い案件や、1ヶ月という超短期運用の案件もあります。
自分が投資したい対象を選び、いろいろな案件を選べることがmaneoのメリットだと言えるでしょう。
案件の特徴②:maneoファミリー経由の案件も過去にはあった
maneoといえば、maneoをファミリーの存在を忘れることができません。
maneoファミリーとは、maneoが提供するソーシャルレンディング投資システムのプラットフォームを利用して、投資家からの資金調達を行っている企業のことです。
グリーンインフラレンディングやガイアファンディングのように、2019年現在では案件の運用を停止している会社が複数あります。
もちろん、さくらソーシャルレンディングやLCレンディングのように、maneoのシステムを利用して、ソーシャルレンディング案件の募集を行っている会社もあります。
これらの会社は、貸金業登録を行っているか、貸金業登録が不要な関連会社への融資を行っています。
しかし、ソーシャルレンディング案件を組成し、投資家からお金を集めるには第二種金融商品取引業免許が必要です。
そのため、足りない死角を補うために、maneoのシステムを利用しているのです。
maneoファミリーが用意した案件を、maneoが直接募集する案件もありました。
例えば、アメリカンファンディングセレクトや、ガイアファンディングセレクトといった案件の募集を過去に行っていたのです。
maneoは自分たちでソーシャルレンディングビジネスを展開する中で、プラットフォームを提供することによる、定期収入も得ることに成功していったのです。
そのため、2017年度までは非常にビジネスが順調に推移していました。
2017年から2018年の初頭までで問題になっていたソーシャルレンディング会社は、maneoと関係のないみんなのクレジットとラッキーバンクの2社でした。
maneoの評判で悪いもの
一方で、2018年6月にグリーンインフラレンディングに関する問題が大きく取り上げられ、募集停止さらには返済停止状態に陥りました。
こちらの問題は、2019年6月現在も小康状態です。
maneoの悪評①:2018年後半から貸し倒れが頻発している
まず、maneoマーケット本体の問題です。
maneoマーケットは、2018年前半までほとんど貸し倒れがありませんでした。
後日談として投資家に報告された案件の中には、実際貸し倒れ状態が発生したが、担保を売却して資金回収に成功したので、投資家には満額返済できた案件もありました。
これだけの案件の募集数がありながら、事実上一件も貸し倒れを発生させていませんでした。
川崎市の不動産担保案件
しかし、2018年後半から大きくその様相が変化していきます。
特に大きな問題になっているのは川崎市の不動産担保の案件です。
この案件は、16億円もの募集に20億円の土地担保を設定していました。
しかし、その担保は川崎市麻生区の山林の中にある病院敷地であり、とてもその評価額は16億円を回収できるものではないとされています。
そのため、週刊誌などでも報道されるほどの事態に陥っています。
川崎市の不動産担保案件
また、その後も毎月末になると、期限の利益を喪失した案件に関する情報がmaneoのホームページに掲載される事態が続いています。
その中には、当サイトで取り上げたように、2ヶ月後に全額の回収に成功した案件もあります。
しかし、一方で売却先が見つからずに、まだまだ資金回収の目処が立たない案件も多くあります。
また、リファイナンスに失敗して案件の返済が滞っている案件もあるなど、投資家の不安は大きなものになってきています。
2019年現在maneoに投資するのは妥当か
では、2019年6月現在、maneo(マネオ)に投資することは妥当な選択だと言えるのでしょうか?
自社案件でも期限の利益の喪失が相次いでいるため危険
maneoファミリーに投資をすることは、もはや限りなく危険と言える状態です。
LCレンディングのように上場している企業であれば、多少の安全性は担保されているかもしれません。
しかし、maneoのファミリーが提供している大半の案件への監視が、どのように改善されたか未だに具体的な報告はされていません。
つまり、他のソーシャルレンディング会社がある中で、あえてmaneoファミリーに投資する理由は全くないと言えます。
役員の大幅な変更も予定されている?
実際に投資家の筆者が聞いた話によると、maneoの中での人事異動は行われ、そして人材流入と流出はかなり進んでいるという話です。
maneoの2019年6月現在の役員らは、会社の体制が変わった場合に退任を迫られることになるため、すでに転職先を探しているということです。
maneoの社員も現在案件の数が減少しており、配置転換で管理部門が新規開拓営業に回され、それを忌避して退職するという人間が増えているという話も出てきています。
まだGMOが買収すると決まったわけではありませんが、GMOが買収先として入った場合は大幅な人事関係の変更と瀧本体制の刷新が図られるでしょう。
まとめ
maneo(マネオ)は国内でも圧倒的な規模を誇るソーシャルレンディング会社であるだけに、利用している投資家も多いです。
maneoがもし倒産の憂き目に遭えば、みんなのクレジットやラッキーバンクとは比にならないぐらい大規模の、投資家損失が発生すると見られています。
そのためmaneoの倒産を避けるため、金融庁も関与しなんとか買収先を探しているという噂もあります。
東証一部上場企業であるGMOに買収されれば、その点は改善される見込みもありますが、返済遅延に陥っている案件をどのように解消するのかについて具体的な報道が出るまではまだまだ信用できません。
maneoのこれからは、いかに投資家に安心を提供できるか、禊を行えるのかにかかってくるでしょう。
maneo(マネオ)について詳しくこちらで解説しています。