日本国内では、第2位の募集金額の実績を持つソーシャルレンディングサイト
「Crowd Bank(クラウドバンク)」が2020年3月期(第6期)の決算を発表しました。
2019年3月期(第5期)は黒字であったクラウドバンクですが、果たして2020年3月期の決算内容はどうだったのでしょうか?
決算書を見ながらクラウドバンクの現状を解説していきましょう。
目次
Crowd Bank(クラウドバンク)の2020年3月期決算の概要
Crowd Bank(クラウドバンク)は、日本クラウド証券株式会社が運営しているソーシャルレンディングサイトですが、その親会社が株式会社クラウドバンクがあります。
今回は、その株式会社クラウドバンク及び子会社の連結決算公告の数字を確認していきます。
収益・利益ともに大幅に増加
項目 | 第5期(平成31年3月) | 第6期(例和2年3月) |
---|---|---|
営業収益 | 24.06億円 | 38.48億円 |
純営業収益 | 17.09億円 | 30.41億円 |
経常利益 | 11.47億円 | 14.51億円 |
当期純利益 | 5.24億円 |
3.98億円 |
営業収益は約14億円の増加、純営業収益も13億円の増加となっています。
また、連結子会社を含む従業員数は21人から27人と増加しています。
営業収益の内訳は次のようになっています。
営業収益の内訳 |
|
コンサルティング事業で約5億5千万円、ソーシャルレンディング事業で約14億8千万円、また自社で開発した発電所などの譲渡益で約18億円の収益を上げています。
この数字からは、Crowd Bank(クラウドバンク)がソーシャルレンディング事業以外にも多様な収益源を持つことがわかります。
特に、発電所の譲渡益がソーシャルレンディング事業以上の大きな会社の収益源となっている点は着目するべきポイントでしょう。
人員の増加とともに販管費が8億円の増加
Crowd Bank(クラウドバンク)は、日本のソーシャルレンディング会社では唯一地上波のテレビCMを放送している会社です。
そのため、広告宣伝費などの経費の数字にも着目しておきたいところです。
決算公告の中では経費の支出増加にも増えています。
販売費・一般管理費は、営業拡大に伴い、人件費、広告宣伝費他、事業関連費用が増加するなどを背景として前期より794,008千円増加し、1,404,857円となりました。
人件費と広告宣伝費の増加により、販管費は前期の約6億円から14億円へと大幅な増加を見せています。
営業収益が14億円増加しているため経費の増加を吸収できていますが、この部分の支出増は注意したい数字です。
監査は有名監査法人が担当
決算の信用性は、監査を行う監査法人により担保される側面があります。
株式会社クラウドバンクは上場企業ではありません。
ただし、今後融資残高が増え会社法での適用を受ける規模になれば、監査法人による監査を受ける義務が発生します。
Crowd Bank(クラウドバンク)は、監査法人ハイビスカスに監査を受けていることが明らかになっています。
一定の規模を持つ監査法人が監査を行っているため、決算公告の数字も信用のおける数字だと言えるでしょう。
Crowd Bank(クラウドバンク)の収益を分析
それでは、Crowd Bank(クラウドバンク)の各種決算の数字を確認しながら、その収益性について分析してみましょう。
ソーシャルレンディング事業は15億円弱の利益
Crowd Bank(クラウドバンク)の主力事業はソーシャルレンディング事業です。
収益におけるソーシャルレンディング事業の内訳は先に提示しましたが、前期との比較も見てみましょう。
内訳 | 第5期 | 第6期 |
---|---|---|
受入手数料 | 586,426千円 | 553,996千円 |
金融収益 | 1,004,376千円 | 1,486,375千円 |
権利譲渡益投資 コンサルティング事業等収益 |
815,280千円 | 1,807,905千円 |
匿名組合貸付金 | 6,971,280千円 | 13,723,146千円 |
募集取り扱い規模 | 21,855百万円 | 40,178百万円 |
ソーシャルレンディング事業の収益である「金融収益」は、約4億円増加しています。
Crowd Bank(クラウドバンク)は累計募集金額1,000億円を2020年7月に達成しましたが、収益面でも順調にソーシャルレンディング事業が貢献していることがわかります。
ソーシャルレンディングサイトとしてのCrowd Bank(クラウドバンク)を運営する日本クラウド証券株式会社の取り扱い規模は、第6期は401億7,800万円です。
第5期は218億5,500万円ですから、募集金額は約2倍になっています。
また、融資を担当しているクラウドバンク・フィナンシャルサービス株式会社はによる融資残高は、137億2,300万円です。
前期は69億7,100万円ですから、こちらも2倍近い数字になっています。
権利譲渡益投資事業も好調
Crowd Bank(クラウドバンク)で最も収益に貢献しているのが自然由来エネルー発電所などの「権利譲渡益投資事業」です。
収益で言えば、前期比で約10億円の増加となっています。
ただし、事業売買益は景気や市況の影響も受けやすく、常に安定した収益を確保できるとは言いにくい事業です。
今期がたまたま好調だったということも考えられるでしょう。
安定した収益のソーシャルレンディング事業、ときに売上を大きく伸ばすことができる開発事業がCrowd Bank(クラウドバンク)の収益を支える両輪と言えそうです。
業務委託費が前年比約10倍に増加
他に気になる数字を貸借対照表からピックアップしました。
項目 | 第5期 | 第6期 |
---|---|---|
広告宣伝費 | 79,259千円 | 214,556千円 |
業務委託費 | 49,858千円 | 501,620千円 |
広告宣伝費はテレビCMの影響下、1億3千万円以上の増加です。
また、業務委託費が約5千万円から5億円と10倍に増えています。
これが先に上げた販管費の大幅増の理由だと言えるでしょう。
業務拡大により、外部への委託が多くなっていることがわかります。
Crowd Bank(クラウドバンク)の業績が好調な理由
このように、Crowd Bank(クラウドバンク)が好調な業績を残した理由としてはどのようなポイントか理由が挙げられるでしょうか?
決算書の内容から確認してみました。
- 発電所などの自社開発案件の譲渡益の増加
- テレビCMの放映による認知度の向上
- 海外不動産案件の取り扱い開始
理由①:発電所などの自社開発案件の譲渡益の増加
自社開発の発電所の売却益は、Crowd Bank(クラウドバンク)にとってはソーシャルレンディング事業以上に大きな収益源となっています。
自然エネルギー開発施設での発電された電力は、国による買取保証が一定期間設けられてることもあり、事業としての信用性は比較的高いものとなっています。
その発電所の売却が成功したことが、大きく利益の増加に寄与したと言えるでしょう。
理由②:テレビCMの放映による認知度の向上
Crowd Bank(クラウドバンク)の決算公告を、前期(第5期)そして今期(第6期)と比較すると、1年間での募集金額が約200億円から約400億円に増加しています。
1年間での募集金額が約2倍に伸びた理由としては、テレビCMの放送による認知度の向上および投資家会員数の増加が挙げられるでしょう。
投資会員数を増やし募集金額を伸ばすだけではなく、テレビCMを放送するで社会的な信用を獲得し、投資家一人あたりからの投資金額を増やすことに成功したと言えます。
理由③:海外不動産案件の取り扱い開始
Crowd Bank(クラウドバンク)はカリフォルニアを中心とした、海外不動産案件の取り扱いを開始しています。
ドル建てで運用を行うことが可能であり、任意で両替できるため為替変動リスクを避けることができます。
こういった新規の融資対象の開発も、顧客拡大に寄与したと考えられるでしょう。
今後はさらなる海外の不動産案件の拡張が期待されます。
まとめ
Crowd Bank(クラウドバンク)は上場企業ではありませんが、連結決算公告からは収益が大きく増加していることがわかります。
また、テレビCMの放送を継続している点からも、業績の好調さが伺い知れるものとなっています。
募集規模は第5期の約200億円から第6期の400億円と2倍に伸び、第7期は500億円、600億円規模となることが期待されます。
投資機会も豊富に提供されているため、投資家にとっては使い続ける価値の高いソーシャルレンディングサイトと言えるでしょう。
いままでデフォルトを発生させたこともなく、投資家に対しては利益を継続してに提供し続けています。
これからソーシャルレンディング投資を始めようとしては、Crowd Bank(クラウドバンク)から投資を始めてみるのも良いかもしれません。
口座開設費用、維持手数料ともに無料となっています。