ソーシャルレンディング投資に興味を持つと、最初に「maneo」(マネオ)という会社の名前を聞くことも多いのではないでしょうか?
maneoは、日本国内で最初にソーシャルレンディング投資サイトを立ち上げた会社です。
それだけに、これまでの募集規模は、国内最大手といえる実績を誇っています。
しかし、最近のmaneoやその周辺ではトラブルが発生している事実があります。
そのため、最大手だからといって、よく調べずに投資すると思わぬリスクが発生する可能性があります。
そこで、maneoのこれまでの実績と、投資先としての妥当性について解説します。
目次
ソーシャルレンディング会社「maneo」とは
出典:maneo
まず、maneo(マネオ)がどういったソーシャルレンディング会社なのかからお伝えしていきましょう。
日本初のソーシャルレンディング投資を始めた会社
maneoの会社概要を見てみると、創業は2008年となってます。
ソーシャルレンディングサイトを立ち上げたのは2008年であり、現在の社長は瀧本憲治氏です。
瀧本氏は、maneoの二代目にあたる社長です。
ソーシャルレンディング会社の中でも最大の募集実績を持つ
maneoのホームページを見ると、募集金額の累計が1,500億円だと示されています。
maneoの実績は、現在国内ソーシャルレンディング会社で2位と言われている「SBIソーシャルレンディング」の3倍以上です。
SBIソーシャルレンディングが、ソーシャルレンディング事業を開始したのが2011年。
maneoより3年遅れてソーシャルレンディング事業を開始しています。
営業期間では3年の差ですが、募集実績では1,000億円以上の開きがあります。
これは、maneoが多くのソーシャルレンディング投資家から信頼を得てきた証だと言えます。
また、maenoの累計募集金額は、maneo以外のソーシャルレンディング会社の合計額をすべて合わせた金額とほぼ一致します。
maneoは、国内ソーシャルレンディング業界の中では間違いなく最大手と言えます。
ソーシャルレンディングのプラットフォームを運営
maneoはソーシャルレンディング会社ですが、もうひとつ大きな特徴を持っています。
それは、ソーシャルレンディングのプラットフォームを運営している点です。
maneoのトップページには現在、リンクバナーが10社ほど貼られています。
これらの会社は、通称「maneoファミリー」と投資家から呼ばれ、maneoが提供するシステムを利用してソーシャルレンディングサイトの運営を行っています。
なぜこのようなことをしているのかというと、ソーシャルレンディング事業は第二種金融商品取引業免許が必要だからです。
免許の取得には大変な時間がかかり、さらに申請したからといって必ずしも金融庁から許可がおりるわけではありません。
そのため、ソーシャルレンディングサイトを始めたくても、業務を行えない会社が多いのです。
そういった会社は、インターネット上でmaneoに募集業務を委託しているのです。
一方、maneoは他社のソーシャルレンディング業務を代行する形で、インターネット上で投資資金を募集します。
そのようにして集められた資金は、maneoのシステムを利用するソーシャルレンディング会社によって資金を必要としている事業者に融資されるのです。
このmaneoのシステムを利用している会社は、共通IDとパスワードを使ってログインすることが可能になっています。
maneoでソーシャルレンディング投資するメリット
次に、maneo(マネオ)でソーシャルレンディング投資するメリットを解説しましょう。
4つに分けてお伝えしていきます。
メリット①:利回りや運用期間など案件が豊富
maneoは募集実績が高いだけに、利回りや案件の数も非常に豊富です。
毎月の募集金額は5億円から10億円と、大がかりな金額になっています。
案件の多さは、投資先の多さという点で投資家にメリットをもたらします。
安全性重視で利回りが低めの案件に投資したい人、反対に、収益性重視で利回りが高めの案件に投資したいという人もいるでしょう。
短期運用案件が好みである人、長期運用案件で手間をかけずに収益を得たい人もいるはずです。
そういった投資家のニーズに対し、多様な案件を提供できる点がmaneoの強みです。
また、融資先の会社も豊富で、事業内容も異なっています。
分散投資することができるのも魅力だと言えます。
メリット②:会社としての信用度が高い
2018年度のmaneoの売上高は約33億円、利益は4億円になっています。
中小企業が多いソーシャルレンディング会社の中でも、maneoは一定の規模を確保しているため、倒産リスクの低さは投資家のメリットにつながるものだと言えるでしょう。
メリット③:大手の資本が入っている
maneoの社会的信用度を計るポイントのひとつに、さまざまな大手企業からの出資が挙げられます。
maneoのホームページの会社概要から、株主を引用してみましょう。
maneoの株主一覧
瀧本憲治 |
GMOフィナンシャルホールディングス株式会社 |
株式会社VOYAGE VENTURES |
MICイノベーション4号投資事業有限責任組合 |
SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合 |
Spiral Ventures Japan Fund 1号投資事業有限責任組合 |
アイビス新成長投資事業組合第4号 |
池田泉州キャピタルニュービジネスファンド4号、5号投資事業有限責任組合 |
SV-FINTECH1号投資事業有限責任組合 |
雑所得 |
数々のベンチャーキャピタル、そしてGMOクリックホールディングスといった、非常に大きな会社から出資を受けています。
したがって、事業資金の調達面でもリスクが小さいと言えます。
ベンチャーキャピタルから出資を受ける場合、それらのベンチャーキャピタルから監視を受けます。
そのため、社内業務でコンプライアンスに違反するような行為が行われる可能性は低いです。
メリット④:セミナーを定期的に主催している
maneoはソーシャルレンディング初心者に対し、積極的にセミナーを主催しています。
「ソーシャルレンディング投資を始めてみたいが、本やネットで勉強しただけではよくわからないため、実際にソーシャルレンディング会社の社員と話をしてみたい」
このような方はmaneoのセミナーに参加すると良いでしょう!
1ヶ月に1回から2回の頻度でセミナーが開催されていますので、都合を選んでセミナーに参加できますよ。
maneoでソーシャルレンディング投資するデメリット
maneo(マネオ)は大手のソーシャルレンディング会社だからといって、必ずしも安心して投資できるわけではありません。
2018年には、maneo関係でさまざまなトラブルが発生しています。
maneoで投資するリスクやデメリットを3つに分けて解説します。
デメリット①:行政処分を受けているが改善結果が見られない
2018年7月に、maneoは金融庁から行政処分を受けています。
その内容は次のようなものです。
- 法令違反と投資家を保護する上でのオペレーションに問題があり、その責任所在の確認と原因、対策を講じること
- 第二種金融商品取引業者にふさわしい取引先や営業者を選定し、スキームを再構築すること
- 行政処分の内容を投資家に公開し、その後の対策も同時に説明すること
- 顧客の問い合わせに適切かつ校正な対応を行うこと
きっかけは、maneoのプラットフォームを利用したグリーンインフラレンディングが、投資家から集めた資金を用途以外の目的に流用したことでした。
違反したのはグリーンインフラレンディングですが、募集業務自体はmaneoが行ったため、資金や案件の管理体制が不十分であるとみなされたのです。
maneoが運営している案件そのものに問題があったわけではありませんが、maneoのシステムを利用する会社の不祥事はその後も複数回発生しています。
デメリット②:貸し倒れが複数回発生している
直接的にmaneoが募集・運用している案件でも、貸し倒れが2018年度と2019年度に発生しています。
2018年の案件は、16億円規模の大型案件でした。
担保となっている不動産の信用性に疑問符が付けられており、未だに投資家に資金を返済できていません。
2019年に入って発生した貸し倒れの案件も、大規模な案件でした。
こちらの案件は、最終的な返済に運用物件の売却が間に合わなくなり、リファイナンスが行えなかったことから、貸し倒れに至るという事態に発展しています。
現在、3月中に売却の目処が立っているとされ、投資家に返却される見込みが高いです。
maneoが取り扱う案件の多さを考えれば、貸し倒れ自体は決しておかしなことではなく、むしろ想定するべきリスクです。
ただし、連続して起こったこと、発生頻度が高くなっていることから、最近のmaneoには疑いの目が持たれています。
デメリット③:maneoファミリーで返済遅延が相次いでいる
そして、より大きな問題となっているのが、maneoファミリーで大規模な返済遅延が相次いでいることです。
2018年7月のグリーンインフラレンディングに始まり、
- 2018年11月:ガイアファンディング
- 2018年12月:キャッシュフローファイナンス
- 2019年 1月:クラウドリース
といったように、maneoファミリーを利用していたソーシャルレンディング会社で、ほぼすべての案件が一斉に返済遅延となる事態が発生しています。
投資家に返済した企業は、まだありません。
一斉にほぼすべての案件で貸し倒れとなったことから、資金の運用対象や事業先の選定で、maneoの管理責任などが問われる事態になっています。
これに対し、危機感を覚える投資家が増えています。
maneoで投資する際にチェックしておきたいポイント
maneoファミリーのソーシャルレンディング会社は避けるとして、maneoで投資する際にチェックしておくべき注意点について解説しましょう。
3つに分けてお伝えします。
ポイント①:担保価値は妥当性について質問する
投資前に、担保についてmaneoの担当社員に質問できることは、maneoのメリットのひとつです。
不動産を担保とする案件の場合、担保の詳細は聞くことはできませんが、「どういった場所にあるのか」、「どういった用途の土地や建物なのか」については尋ねることができます。
必ずしも回答が得られるとは限りませんが、投資前に安全性を判断する方法として、まず、担保が適当なものか確認しておきましょう。
ポイント②:融資先についてできるだけ情報を集める
担保情報を確認するのと同時に、融資先についてもできる限り情報を集めた方が良いです。
maneoの案件では、融資先の企業名などはイニシャルで表記され、会社の所在地も記載されています。
事業内容は詳細に述べられていないものの、ある程度は具体的に記されています。
情報を集めれば、会社を判断することは不可能ではありません。
案件担当者に融資先のこれまでの返済実績を尋ね、maneoから受けた融資の総額を確認しておきましょう。
返済実績がしっかりしていること、ある程度は投資対象先で事業別に分散投資できることを確認の上、maneoに投資するのかどうかを判断しましょう。
ポイント③:できるだけ長期運用の案件は避ける
投資するのであれば、できるだけ長期運用の案件はやめておきましょう。
現在のソーシャルレンディング業界は、過渡期にあると言えます。
投資家の安全保護のための取り組みが各社で行われる可能性が高く、金融庁からソーシャルレンディング会社に対する指導が行われる見込みです。
できれば、金融庁の指導を待ってから投資を始めましょう。
どうしても投資が待ちきれないのであれば、短期運用の案件でリスクが低い投資対象を選びましょう。
まとめ
ソーシャルレンディング業界最大手のmaneo(マネオ)ですが、その安全神話にはほころびが出始めています。
業務面の改善が行われ、投資家に対して情報開示の姿勢が明確になってからmaneoで投資するのが良いのかもしれません。
ソーシャルレンディング投資においても、最終的な責任は当然自分にあります。
そのことを理解して、今問題の渦中にあるmaneo投資においては、情報収集を怠らないようにしましょう。