ソーシャルレンディングは、投資家から集めたお金を、事業資金を必要とする事業者に貸し出すスキームであり、その融資時の金利が投資家の収入源になる投資手法です。
投資家にとって、ソーシャルレンディングは「投資の対象」でしかないと思う人もいるかもしれませんが、資金が必要な事業者にとってはソーシャルレンディングは「資金調達手段」です。
今回は、個人が資金を必要とするときに、ソーシャルレンディング会社からお金を借りることができるのかについて解説していきます。
目次
個人向け融資しているソーシャルレンディング会社はない
結論から言ってしまうと、残念ながら現在個人向け融資を行っているソーシャルレンディング会社はありません。
日本では、個人向けのソーシャルレンディング融資はリスクが高いものとして認知されており、個人に融資を行っているソーシャルレンディング会社は、2019年3月現在ひとつもありません。
これから先、新規のソーシャルレンディング会社が個人向け融資を行う可能性はゼロではありません。
ただ、少なくとも2019年3月時点で、個人が融資を受けられるソーシャルレンディング会社はないと思ってください。
過去にmaneoとSBIソーシャルレンディングは個人融資していた
では、現在なぜ一社もソーシャルレンディング会社は個人向け融資を行っていないのでしょうか?
実は、かつてmaneo(マネオ)とSBIソーシャルレンディングでは、個人向け融資案件を取り扱っていました。
maneo(マネオ)は2008年の創業時から2011年まで、SBIソーシャルレンディングは2011年の創業時から2017年まで個人向け融資を行っていたのです。
しかし、なぜ個人向けの融資を廃止してしまったのかについては、具体的な理由を2社とも明言していません。
ただ、maneo(マネオ)では個人向け融資案件の貸し倒れ率が、企業向け融資案件よりも高かったことがわかっています。
貸し倒れ(デフォルト)リスクが高い案件は、投資家に損失を発生させる可能性が高くなり、maneoの会社の信用に影響します。
一方で、SBIソーシャルレンディングは貸し倒れが多かったという話はありません。
ただ、資金の募集規模が小さく手間の割に利益が少ない、そもそも融資の要望のある個人が少なかったので、営業効率の面であまり旨味がなかったと推測できます。
こういった理由により、現在で個人向け融資を行ってくれるソーシャルレンディング会社は存在していないのです。
海外では個人向けのソーシャルレンディングもある
海外市場に目を向けてみると、個人向けソーシャルレンディング融資は日本とは対照的に一般的なのです。
中国やヨーロッパのように、法人向け融資金額の規模よりも個人向け融資金額の規模が大きい国もあるほどです。
海外では個人がソーシャルレンディングで資金調達をすることがまったく珍しくありません。
そこで知っておきたい会社が「クラウドクレジット」です。
クラウドクレジットは、海外案件を専門に取り扱っているソーシャルレンディング会社です。
そのため、日本の会社への事業資金融資は行っていません。
クラウドクレジットの案件詳細を見てみると、ペルーのマイクロファイナンス機関への融資、欧州の個人向け融資といった案件が見つかります。
これは、投資家から集めた資金の融資を個人で商店を営んでいるような人に対し、マイクロファイナンス機関を通して個人にお金の貸付を行っている案件です。
クラウドクレジットは、日本国内では個人向け融資を行っていませんが、海外では個人向け融資を行っているのです。
マイクロファイナンス機関を通じての個人向け融資は社会貢献の意味合いが強く、あまり利回りは高くありません。
一方で、ヨーロッパの個人向け融資は、無担保である代わりに金利が高くなっています。
このように、ソーシャルレンディング会社によってはリスクを取っても個人向け融資を行っている会社もあるのです。
日本のソーシャルレンディングで個人融資が広まらない理由
世界では個人向け融資が一般的なのにも関わらず、なぜ日本では個人向けソーシャルレンディング融資が広がらないのでしょうか?
実は、日本はソーシャルレンディングに頼らずとも、個人が資金を調達する手段が色々あるからです。
最も代表的なものはサラリーマン金融です。
数十万円単位のお金であれば、簡単な審査で簡単に借りることができます。
サラリーマン金融、そしてカードローンが個人向けソーシャルレンディングの代わりになっているのです。
その他にも、日本政策金融公庫を利用すれば、個人でも事業資金の融資も受けることができます。
また、商工ローンでは小規模な事業者への融資を行っています。
このように、ソーシャルレンディングに頼らずとも、個人や小規模な事業者が資金を調達する手段がありふれているため、あえて高金利なソーシャルレンディングで資金を借りようという人が少ないのです。
これが、日本において個人向けソーシャルレンディングが一般的でない最も大きな理由だと言えます。
まとめ
日本では、現在個人向けソーシャルレンディング融資を行っている会社はありません。
ソーシャルレンディングの貸付金利は、基本的に金融機関よりも高いため、個人でソーシャルレンディングから融資を受けるメリットはあまりありません。
個人でお金を借りたい場合は、カードローンやサラリーマン金融、日本政策金融公庫などを利用した方が良いでしょう。