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クラウドクレジットで貸し倒れはある?
ハイリスクの海外案件を取り扱うクラウドクレジットで貸し倒れ(デフォルト)が起きたことはあるのでしょうか?
結論から言えば、クラウドクレジットで貸し倒れが発生したことはありません。
しかし、貸し倒れ率がゼロだからと言って将来も絶対に貸し倒れが起こらない保証は一切ないのがソーシャルレンディングです。
実際、クラウドクレジットでは貸し倒れがなくても元本割れや遅延が発生したことがあります。
つまり、ソーシャルレンディングの事業者選びのリスクを考えるときは、過去の貸し倒れ実績ばかり見て判断してはいけないということです。
そもそも貸し倒れとは
クラウドクレジットのリスクについて考えるとき、そもそも貸し倒れが何かを知る必要があります。
ソーシャルレンディングにおける貸し倒れとは、投資(貸し付けた)した資金の借り手が返済不能状態に陥ったり、運営事業者が倒産したりして投資元本を完全に失うことを指します。
ソーシャルレンディング業界では、資金の返済が遅れる「遅延」や「延滞」案件自体はよく発生しています。
ただ、「貸し倒れ」の発生件数自体はかなり少なく、業界全体での貸し倒れ率は数パーセントと言われています。
しかし、貸し倒れ率が低いのはそもそも「貸し倒れ」の定義を「金銭債権の全額が回収不能となった場合」としている事業者が多いからです。
▼貸し倒れの定義について詳しくはこちらをご覧ください▼
事業者からしたら、債権の回収に時間がかかって長期間遅延が続いている状態や、債権の一部でも回収できている状態などは、元本割れでも「貸し倒れ」にはならないという理屈です。
でも、投資家からしたら元本割れも貸し倒れも損失を受けることに変わりはないですよね。
償還金の遅延にしても、長引けば長引くほど投資資金を拘束されることになるので、ある意味では損失と言えます。
つまり、投資家からすれば、遅延も貸し倒れも元本割れもすべて投資におけるリスクになるのです。
ソーシャルレンディング投資のさまざまなリスクを抑えるためには、「貸し倒れ実績」や「貸し倒れ率」だけを見るのではなく、元本割れや長期遅延の状況もふまえたうえで、事業者やファンドを選ぶことが大切なのです。
クラウドクレジットの元本割れや遅延状況
クラウドクレジットでは貸し倒れは発生していませんが、上述のとおり元本割れや遅延自体は発生しています。
【元本割れや遅延の状況】(2019年4月現在)
▼元本割れ件数はクラウドクレジット公式HPトップで確認できます▼
元本割れ:東欧金融事業者支援ファンド(複数号)など、全ファンド中約10パーセントの割合で償還時に元本割れが発生。
▼遅延ファンドは、クラウドクレジット公式サイトの「運用状況・運用実績のご報告」ページで確認できます。
遅延ファンド:カメルーン中小企業支援プロジェクト、リトアニア個人向けローンファンド、北欧個人向けローンファンドなど(各複数号)で遅延が発生
元本割れや遅延ファンドの状況を見ていると、
- 個人向けローンファンドは遅延リスクが高い
- 元本割れの原因は為替変動で、プロジェクトや借り手の問題ではない
という特徴があることに気づきます。
クラウドクレジットは他の事業者で取り扱いがほとんどない
- 海外案件
- 個人向けローン
- 外貨建て案件
という特徴のあるファンドを販売しています。
他の事業者では見かけないファンドに投資できる魅力もありますが、そのぶん為替変動などのさまざまなリスクが高くなるということです。
クラウドクレジットで投資をする際は、
- 為替変動がある外貨建てを選ぶ場合は「為替ヘッジあり」のファンドを選ぶ
- 個人向けローンはできるだけ避ける
ようにして、リスクをできるだけ抑えて投資することがおすすめです。
貸し倒れなどのリスクを抑える分散投資
クラウドクレジットでの投資には貸し倒れや遅延、元本割れといったリスクがあります。
今のところ貸し倒れの発生件数はゼロですが、遅延や元本割れについては一定数あるので注意が必要です。
貸し倒れ、遅延、元本割れは、すべて投資における損失です。
ソーシャルレンディングは投資ですので、これらの損失を100パーセント防ぐことはできません。
私たち投資家ができるのは、損失を100パーセント防ぐ方法を考えることではなく、損失はあるものという前提でできるだけリスクを低く抑えることです。
クラウドクレジットの杉山社長は常々、「ソーシャルレンディングに貸し倒れ(デフォルト)は付き物。だからこそ分散投資をしてできるだけリスクを抑えてください」という発言をインタビューやセミナーでされています。
「貸し倒れを絶対に防ぐ投資」は不可能なので、現実的に
「貸し倒れがある前提での投資」をしましょう。
というスタンスなのです。
では、貸し倒れがある前提で投資をする場合、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
それが、ソーシャルレンディング投資でリスクを抑えるためにもっとも重要な「分散投資」です。
投資の世界で有名な格言として、「卵はひとつのカゴに盛るな」ということばがあります。
卵をひとつのカゴにすべて盛ってしまうと、もしそのカゴが落ちたらカゴに入っているすべての卵が割れてしまう可能性がありますよね。
しかし、卵を複数のカゴに分けて盛ると(=分散)、そのうちひとつのカゴが落ちても、他のカゴの卵には影響しないという考えです。
この格言をソーシャルレンディングに置き換えてみましょう。
ひとつの事業者、ひとつのファンドに資金を集中して投資してしまえば、そのファンドが貸し倒れしたり元本割れしたりすれば投資資金すべてが損失を受けます。
しかし、複数の事業者と複数のファンドを組み合わせて投資をすれば(=分散)、もしそのうちのひとつで貸し倒れが発生しても他のファンドの利益で損失を補うことができるのです。
特に、ソーシャルレンディングはまだ発展途上の投資であり、事業者の倒産リスクも考慮したうえで投資をしなければなりません。
クラウドクレジットは、伊藤忠商事といった名だたる企業が株主になっていますが、事業者としての運営はまだ10年未満ですし、いわばベンチャー企業です。
取り扱うファンドもリスクが高い海外の新興国案件が中心なので、貸し倒れは起こる前提で分散投資をするようにしてください。
まとめ
「クラウドクレジットの投資に興味がある。でも、貸し倒れが気になる」という方のために、クラウドクレジットの貸し倒れ実績や貸し倒れなどさまざまなリスクを抑える方法についてお伝えしてきました。
お伝えした内容の中で、特に重要なポイントは次の3点です。
- クラウドクレジットでの貸し倒れ件数はゼロ。ただし、元本割れや遅延の発生はたびたび起きている
- 貸し倒れや元本割れを完全に防ぐことはできないし、過去発生件数ゼロでも将来起こる可能性はゼロではない
- ソーシャルレンディング投資では、「貸し倒れを完全に防ぐこと」より、「貸し倒れありきで分散投資」をすることが大切
ソーシャルレンディングは元本保証がない投資です。
たとえどんなに優良事業者でも、これから将来ずっと貸し倒れが起こらないなんて保証はありません。
投資においてもっとも大切なことは、最終の利益がプラスになるかどうかです。
貸し倒れを避けることより、貸し倒れが起きてもトータルリターンがプラスになる投資を心がけてくださいね!