クラウドアンサー編集部は、2020年2月に物流不動産案件を専門に取り扱うソーシャルレンディングサイト「CRE Funding」をオープンした、株式会社シーアールイーへの取材を実施しました。
「CRE Funding」はFUEL株式会社が提供するソーシャルレンディングプラットフォームを利用したソーシャルレンディングサイトです。
また、株式会社シーアールイーは、日本でも有数の物流不動産の運営や管理、開発を行う不動産会社です。
その株式会社シーアールイーがなぜソーシャルレンディングサイトをオープンしたのか、また「CRE Funding」の強みはどういった点なのか、投資家の方が興味を持つポイントについて伺いました。
目次
株式会社シーアールイーの概要
出典:株式会社シーアールイー
最初に、「CRE Funding」をオープンした株式会社シーアールイーの概要を確認しておきましょう。
会社名 |
株式会社シーアールイー |
所在地 |
東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング 東棟19階 |
設立年月日 |
2009年12月22日 |
URL |
https://www.cre-jpn.com/ |
代表者 |
代表取締役社長 亀山 忠秀 |
上場市場 |
東証1部 3458 |
株式会社シーアールイーは2009年に創業、その後わずか7年の2016年に東証一部銘柄へと指定されています。
今回の取材では、次の2名にお話をお伺いしました。
- 株式会社シーアールイー 代表取締役社長 亀山様(右)
- ストラテジック・パートナーズ株式会社 代表取締役 水野様(左)
なお、どちらの方が質問にお答えいただいたかわかるように、ご回答の前に( )で示しています(敬称略)。
物流不動産とはどのようなビジネス?
「CRE Funding」をオープンした株式会社シーアールイーは、物流不動産に特化した不動産ビジネスを展開しています。
物流不動産ビジネスとはどういったビジネスであるのか、その点についてまず聞いてみました。
株式会社シーアールイーが手掛ける物流不動産ビジネスの概要について教えてください。
(亀山)株式会社シーアールイーのルーツの中で最も古い会社は、株式会社天幸総建という会社です。
1964年創業の株式会社天幸総建は、小規模な物流倉庫の管理事業を手掛けていました。
2005年頃から大規模な倉庫の開発を手掛けるようになり、2009年に株式会社シーアールイーが設立され、2010年に株式会社コマーシャル・アールイーから倉庫の管理事業を譲り受け、その後、2011年に株式会社天幸総建を吸収合併しています。
2014年以降、AM会社を子会社化し、不動産ファンド事業へ本格進出しています。
2020年現在では、物流不動産の管理や開発以外に物流不動産を対象としたREIT(不動産投資信託)や中小型倉庫に特化した私募ファンド等も手掛けるようになっています。
水野が代表取締役を務めるストラテジック・パートナーズ株式会社は、不動産の私募ファンド事業を中心に手掛けています。
物流不動産の市場には一般的なオフィスや居住用の不動産市場と異なる特徴があるのでしょうか?
(亀山)オフィスやレジデンスと比べると賃料の浮き沈みが少ないため、比較的安定した収益が評価されています。
近ごろは、REIT全体の資産規模のうち、10パーセントほどが物流不動産系のREITとなっています。
物流を担う不動産といえば倉庫です。
ネットビジネスが盛んになり実店舗が減少する一方で、商品を保管しネットから注文が入れば発送する機能を持つ倉庫の需要が大きく増加しています。
そのため、物流不動産は今後も発展する市場であると考えています。
ソーシャルレンディング事業を展開した背景について教えていただけますでしょうか?
(亀山)元々、私たちは土地の有効活用として、倉庫といった物流不動産の建設を土地のオーナー様に提案し、建設した倉庫をマスターリースで運営するビジネスを手掛けていました。
この場合の投資単位は数億円以上と高額です。
当社としてはオーナー様をはじめとする個人投資家の方への販売商品のラインナップ拡充を考えており、より少額な商品を提供すべく、ソーシャルレンディング事業の検討を始めました。
ソーシャルレンディングについて
株式会社シーアールイーは販売商品のラインナップ拡充を目指し、ソーシャルレンディング事業を起ち上げました。
では、ソーシャルレンディングのどういったところに魅力を感じているのでしょうか?
ソーシャルレンディング事業に進出した狙いを教えてください。
(水野)まずは個人の投資家様含め幅広い方に中小型の物流不動産を認知してもらいたいという思いがありました。
昨年、中小型倉庫に特化した私募ファンドの1号案件を手掛けたわけですが、ご参加いただいた投資家は金融機関や事業会社等いわゆるプロの投資家のみで構成されていました。
この投資機会を個人の方に広げていくことで、我々AM会社としての資金調達手段の多様化も実現したいと考えています。
今回は不動産特定共同事業法の3号、4号登録を活用してソーシャルレンディングを実現しているわけですが、ソーシャルレンディングのメリットは小口から投資できる、つまり、個人の方も参加しやすい点にあると考えています。
FUEL株式会社さんとの協議次第ではありますが、将来的には、エクティ型のスキームも始める可能性があります。
FUEL株式会社のソーシャルレンディングプラットフォームを利用するきっかけを教えていただけますか?
(水野)当時は自社でプラットフォームを作ることも選択肢にありましたが、時間と費用の制限から自前でやるにはかなりハードルが高い印象を持っておりました。
そうした検討段階において、FUEL株式会社さんがソーシャルレンディングのプラットフォームを展開しようとしていることを知りました。
私たちは、投資家様に不動産の私募ファンドを通じて投資機会を提供する会社であり、FUEL株式会社さん自身はファンド組成自体は手掛けないプラットフォーマーに徹した会社です。
両社がwin-winの関係を作れる環境だったことが大きいと思っています。
また、FUEL株式会社さんは不動産・金融に精通しているメンバーが揃っており、共通の言語で会話ができると感じた点も大きかったです。
ソーシャルレンディング業界に抱いていた印象を教えていただけますか?
(亀山)私たちがソーシャルレンディング事業を始めようとする前後から、数々のソーシャルレンディング会社で問題が起きていると感じていました。
そういった会社で提供されているファンドを見てみて、融資先がわからないということは大きな問題が起こる可能性があるということは感じていましたし、実際にそうなっていました。
当社でそれまで運営していた私募ファンドは、運用される不動産の情報をしっかりと公開していましたから、もっと情報が投資家の方々に公開されるべきだと思っていました。
2020年現在は融資先の匿名化が解除されていますが、まだまだ情報が不足していると感じています。
ですから、私たちは積極的に案件情報を公開したいと思っています。
CRE Fundingについて
出典:CRE Funding
株式会社シーアールイーは、ソーシャルレンディング業界への参入を検討しながら、ソーシャルレンディング投資には情報の開示性の問題があり投資家のリスク対策が不十分と感じていたとのこと。
そこで、「CRE Funding」は投資家のリスク対策のために、どのような取り組みを行っているのでしょうか?
2020年2月のサイトローンチ後の投資家の方の反応はいかがでしょうか?
(水野)マーケティングはFUEL株式会社さんに委託していますが、投資家の方の反応は非常に良いと聞いています。
2020年2月現在の会員数は、私たちの想定以上で、投資家の方に「CRE Funding」が評価された結果だと考えています。
なお、FUEL株式会社さんには会員数獲得のためのマーケティングも手掛けていただいていますし、投資家の方からの問い合わせ対応といったユーザーサポートも担当していただいています。
CRE Fundingならではの案件のメリットや特徴を教えてください。
(水野)個人の方も参加される「CRE Funding」で重要視している点は、安心・安定の商品をお届けすることです。
リターンは他の商品に比べると低いと見られがちですが、倉庫はそもそも賃料変動が小さく安定収益が評価されるアセットタイプであり、そういう倉庫の性質や株式会社シーアールイーによる賃料保証及びメザニンローン保証といった今回の商品設計を踏まえれば、魅力的な商品に仕上がっていると思います。
では、当社を利用していただくメリットはなにか。
繰り返しになりますが、投資家の方がローリスク・ローリターンで堅調に利益を獲得できることです。
「CRE Funding」が募集した第1号案件は、株式会社シーアールイーとの間で賃料保証型のマスターリース契約を締結しております。
さらに、メザニンローン部分に対しても株式会社シーアールイーが保証しています。
出典:CRE Funding
株式会社シーアールイーがマスターリースとして借り上げている倉庫の稼働率は98パーセント(2019年10月現在)です。
ほとんどの倉庫が稼働し、安定した家賃収入を生み出している実績があります。
投資家の皆様には、合同会社厚木愛川が取得する倉庫の取得資金のメザニンローン部分を出資していただきます。
そして、取得した倉庫は株式会社シーアールイーがマスターリースで借り上げ、家賃を支払います。
そのため、倉庫収益がなくなるリスクは相当程度低くなっていると考えています。
さらに、メザニンローン部分には株式会社シーアールイーが保証を付けています。
そのようにして、投資家の方の元本毀損の発生リスクを可能な限り低減しています。
想定利回りは3パーセントですが、他社のソーシャルレンディング案件の中には二重の保証があるものはなかなか見られません。
これは、マスターリースで倉庫を借り上げ、オーナー様に安定した家賃収入を提供するノウハウを有する当社だからこそできる案件だと思っています。
情報公開面で気をつけていることはありますか?
(水野)これまでも株式会社シーアールイーが管理してきた倉庫ですから、物件情報のことは私たちが最も詳しいです。
面積、運営会社の財務状況、建物構造や、建築基準法に違反していないのかなど、出せる情報量も多いです。
これが、他社の開発した倉庫を取り扱う案件でしたら、住所などの情報は明かせても、建物の細かい情報までは出せないでしょう。
自社で管理している倉庫を扱う案件ゆえの情報公開ができることも「CRE Funding」の強みと考えています。
普段、私募ファンドの投資家様には徹底的に情報を開示することを心掛けていますし、それがないと投資家様は投資の判断ができないはずです。
「CRE Funding」でもそれに劣らない量の情報を公開しています。
将来的には他社物件の扱いも検討していらっしゃいますか?
(水野)しばらくはそのような案件の募集は考えていません。
自社管理物件ならではの強みを生かしていきたいと思っているからです。
ただし、まったく行わないかというと、そういうわけではありません。
先にお伝えしたように、エクイティ型の商品や、倉庫以外にも安心してお届けできる商品が見込めるようであれば、そういった倉庫以外のアセットタイプでの商品提供もありえると思っています。
株式会社シーアールイー及びCRE Funding が目指す目標とは?
「CRE Funding」は、安定した収益性を投資家にもたらすことを第一に考えた運用を行っています。
自社管理物件だからこその強みと、これまでの物流不動産ビジネスで得たノウハウを生かしていきたいとのこと。
投資家の会員登録も想定以上で推移していますが、今後の目標をどのように設定しているのかについて聞いてみました。
今後CRE Fundingが目指す会員数、案件数、募集実績など目標を教えてください。
(水野)短期的な数値目標は、お伝えするのが難しいところがあります。
ただし、今後も投資家の方に支持されていくためには、安定した投資案件の提供と一定以上の募集金額の規模は必要だと思っています。
そのような、投資家の方のご期待に応えるための準備は行っています。
ただし、無理に目標を立てその数字を達成しようとすると、投資家の方の資産の保全性の低い案件が生まれてしまうことがあり得ます。
まずは、目先の募集金額などの数字よりも、「CRE Funding」のことを投資家の方によく知っていただけるように、手堅い投資商品を提供していきます。
その結果として会員数が増え、案件の供給数を増やせるという流れを生み出すことが目標です。
最後に投資家の方に伝えたいCRE Fundingの強みやセールスポイントがあればお願いします。
(亀山)これまでソーシャルレンディングやクラウドファンディングでは、倉庫などの物流不動産に投資できる案件はほとんどありませんでした。
しかし、物流不動産業界は現在堅調であり、浮き沈みがあまりない業界です。
2019年の倉庫を始めとした物流不動産の着工面積は約900万平方メートルであり、店舗の着工面積を大きく上回る数字です。
そして、ネット通販の市場規模は18兆円であり、すでにコンビニやスーパーを上回っています。
この流れは今後も続いていくと考えています。
そんな将来性のある物流不動産業界に多くの方が投資できるよう、ソーシャルレンディングを始めとしたさまざまな商品の開発と提供を行っていきます。
まずは物流不動産投資の入口として、「CRE Funding」をご利用いただければ幸いです。
(水野)REITで運用される倉庫は中型~大型の倉庫が多い傾向にあり、個人の方が倉庫と聞いてまず思い浮かべるのは、最新スペックの備わった大型の倉庫ではないでしょうか。
「CRE Funding」では小型倉庫を中心に案件を組成していくことになると思いますが、
小型倉庫の需要は大変手堅いですし、投資先としても手堅いということを、もっと多くの方に知っていただきたいですね。
もちろん、投資家の方に注目されるためにはさまざまな面で魅力的な投資先でなくてはなりません。
そのために努力していきます。
まとめ
「CRE Funding」をオープンした株式会社シーアールイーへの取材内容をお伝えしました。
取材を通して感じたことは、自社管理物件を扱うソーシャルレンディングサイトならではの強みを存分に活かそうとしていることでした。
無理に多種多様な不動産物件を扱うのではなく、マスターリースを設定できるからこその収益面の安定、自社管理物件だからこその情報の公開量、自社ビジネスのノウハウを生かした不動産特化と、事業としての安定性を重視したサイトにすることを何より念頭に置いています。
投資家の方にしっかりと利益を出してもらうには、資産の保全性の高さを重視したファンドを組成することが重要と考えています。
物流不動産投資は、これまで個人投資家にはあまり注目されていなかったと言えるかもしれません。
しかし、その需要はネット通販が普及していく社会において大きく伸びており、さらなる発展も望める業界です。
「CRE Funding」は、ローリスクで運用できる投資先をお探しの方にぜひ注目していただきたいソーシャルレンディングサイトです。
興味を持った方は、「CRE Funding」の口座開設を検討してみてはいかがでしょうか?