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Fundsの「底地くんファンド#1」の概要
出典:Funds(ファンズ)
投資の「オンラインマーケット」であるFunds(ファンズ)は、2019年11月に「底地くんファンド」という案件の募集を行いました。
ここでは、底地案件の内容と、資金調達を行ったサンセイランディック株式会社の概要、「底地」という不動産がどういうものなのか、またこの案件の投資先としての妥当性について説明していきます。
まずは、当該地底案件ファンドの概要を確認しておきましょう。
諸条件
募集金額 | 50,000,000円 |
予定利回り | 3.0% |
運用予定期間 | 約11ヶ月(2019年12月20日〜2020年11月30日) |
元本償還方法 | 満期一括 |
利益配当方法 | 毎四半期 |
担保・保証 | 担保なし・保証なし |
仕組み
案件の組成企業は、「株式会社サンセイランディック」の関係会社である「株式会社サンセイランディックファンディング」です。
出典:Funds(ファンズ)
案件の募集自体は第二種金融商品取引業事業者のFunds上で行われます。
投資家は「株式会社サンセイランディックファンディング」に資金を投資し、集まったお金は「株式会社サンセイランディックファンディング」が「株式会社サンセイランディック」に融資します。
リコースローンで融資されるため、「株式会社サンセイランディック」は「株式会社サンセイランディックファンディング」に融資を受けたお金を全額返済する義務を負います。
「株式会社サンセイランディック」の概要
出典:株式会社サンセイランディック
では、「底地くんファンド」で5,000万円の資金を募集した「株式会社サンセイランディック」は、どのような会社なのでしょうか?
会社の概要について確認していきましょう。
会社概要
商号 | 株式会社サンセイランディック |
---|---|
代表取締役 | 松﨑隆司 |
設立 | 昭和51年2月 |
本社所在地 | 〒100-0005東京都千代田区丸の内2-5-1丸の内二丁目ビル5階 |
電話番号 | 03-5252-7511(代表) |
事業内容 | 底地の仕入れ及び企画販売/底地の管理 |
免許 | 国土交通大臣(4)第6282号 |
加盟団体 | 一般社団法人全国住宅産業協会
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会 公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会 東京都不動産のれん会 |
従業員数 | 155名(連結183名)(令和元年9月末日現在) |
得意分野
株式会社サンセイランディックは、不動産売買を主な事業としている不動産会社です。
一般的な不動産会社の主事業である中古マンション販売や新築マンション建設、また賃貸物件の運営とは異なり、「底地」と呼ばれる特殊な不動産を購入し、それを加工販売することで利益を得ています。
「底地」についてはこの後に解説します。
株式会社サンセイランディックは創業から44年の歴史があり、数多くの底地物件を売買した実績があります。
東証一部市場に上場している点も見逃せません。
底地とは
「底地」という不動産は、多くの人にとってあまり聞きなれないことばでしょう。
底地とは、「土地の所有者」と、その「土地を借りて建物を建てている賃借人」の2人の権利者がいる不動産のことを指します。
通常の不動産では、土地と建物の所有者名義が一致していることがほとんどです。
しかし、土地の賃貸契約の形の一つとして、賃借人が借りた土地に自宅やビルなど建物を建てて、自由に使う権利を有する契約を結ぶことがあります。
この場合、土地の所有者Aと、建物所有者Bは別々の人です。
その2人で問題が起きないうちは良いのですが、揉めたりする事例が多数発生しています。
例えば、土地の所有者Aが亡くなり、相続人Cと建物所有者Bが「うちの土地なのに余計な建物が建てられている。壊して退去して欲しい」といったことが起こり得ます。
権利者が2人いるため、底地は売買が難しい特徴があります。
株式会社サンセイランディックはこういった扱いが難しい底地を買取して、土地と建物の所有者同士の権利関係を調整し、通常の不動産として売却することを得意としています。
権利関係な複雑で売れにくい底地を安く買い権利関係を調整し、扱いやすい物件にすることで土地と建物の資産価値を高め、売却して利益を得ているのです。
Funds×株式会社サンセイランディックの底地案件
出典:株式会社サンセイランディック
では、Funds×株式会社サンセイランディックの底地案件の詳細を確認していきましょう。
サンセイランディックの底地仕入れ資金調達ファンド
当該案件で株式会社サンセイランディックが資金を調達する目的は、底地の仕入れ資金です。
底地は扱いが難しい不動産なのでリスクが高く、金融機関はなかなか簡単に融資してくれません。
そのため、底地の購入費用として現金を用意する必要があります。
底地の価格自体は普通の不動産に比べれば安いですが、現金が必要なので、せっかく絶好の底地があっても購入できないことがあるのです。
そういった事態を避けるために、株式会社サンセイランディックはFundsを通して投資家から資金を調達、集めた資金で底地を購入し、売却後に投資家に対して利益を配当します。
底地くんというCSR活動にも資金を使う
底地くんファンドで集めた資金は、株式会社サンセイランディックのCSR活動「底地くん」の運用資金としても活用されます。
現在、日本では数々の空き家問題が発生しており、その中には底地関係で相続人が売却できないなど、宙ぶらりんになっている状態の不動産も数多く存在します。
サンセイランディックは底地くんというキャラクターを用いたCSR活動で、底地になって放置されている不動産問題の解消、そして空き家問題の啓蒙などについて努めています。
底地くんファンドに投資をすれば、日本に存在する不動産の問題を解消するという、社会貢献にもつながる意義があります。
利回りはやや低めだが東証一部上場企業への融資という安心感が強み
当該案件の安全性を見る際に重要なポイントの一つが、株式会社サンセイランディックが東証一部上場企業であるということです。
東証一部に上場するためには、社内社外の監視体制など、高いコンプライアンス遵守意識が求められます。
さらに、上場時には企業の財務状況も厳しくチェックされます。
業務の悪評が発生すれば、即座に株価に影響して会社の資産総額が下落するリスクがあります。
不正問題を起こすことは、東証一部上場企業としては、絶対に避けたい事態です。
不正や法令違反問題の起こりにくさ、倒産リスク、財務状況の健全さなどの面で、東証一部上場企業は、中小企業に勝るものがあります。
特に、Fundsの場合は案件に担保や保証が設定されていません。
融資先の企業の信用が投資家に対する担保や保証の代わりです。
東証一部上場企業の融資案件であれば、返済が行われないリスクは低いでしょう。
投資の価値はある?ソーシャルレンディング投資家の評価
株式会社サンセイランディックへの融資案件ですが、利回りの3パーセントという数字はかなり低いと言えます。
「底地」というややリスクが高い不動産の購入案件で、利回り3パーセントでは、投資家へのリスクとリターンが一致していない側面があります。
もちろん、株式会社サンセイランディックが不正を起こす可能性は非常に低いですし、返済リスクはかなりも低いと思われます。
ただし、底地の権利関係の調整が100パーセント成功するとは限らず、底地を購入したものの交渉や売却に失敗し、満足な価格で売却できないという事態も起こってもおかしくはありません。
ある程度のリスクがある案件だけに、利回りはもう少し高い数字を期待したいものです。
同じような不動産関係の案件に投資するのであれば、不動産投資型クラウドファンディング案件の方が5パーセントほどと利回りが高いです。
不動産投資型クラウドファンディングは、投資対象の不動産の情報が、正確に記載されています。
そのため、自分で投資の正否を判断するだけの材料が提供されています。
株式会社サンセイランディックの当該底地ファンドでは、どういった不動産を購入するのかといった詳細な情報が投資家に提供されていません。
融資先リスクは低いですが、案件リスクは存在します。
そのリスクの高さと年利3パーセントのリターンが釣り合うかどうかを考えるべきでしょう。
まとめ
株式会社サンセイランディックの底地ファンドは、利回り3パーセントとやや低い数字であり、かつ物件情報の透明性に問題が残っています。
もちろん、東証一部上場企業への融資であり返済リスクは低いです。
また、利益が出る可能性自体は高いでしょう。
公開されている不動産の情報を確認し、自分の判断でリスクとリターンが一致していると感じれば、次回以降の案件募集時に投資をしても良いのではないでしょうか?
なお、Fundsについてはこちらで詳しく解説しています。