2019年10月、クラウドアンサー編集部は貸付ファンドに投資できるオンラインマーケット「Funds」を運営する株式会社クラウドポートへ取材を実施しました。
藤田雄一郎社長に直接お話を伺い、投資家のみなさんが気になるようなことや、どんな想いを持って運営しているのかについて伺ってきました!
目次
Fundsを運営する株式会社クラウドポートはこんな会社
まずは、Fundsを運営する株式会社クラウドポートの概要を紹介しておきましょう。
会社名 | 株式会社クラウドポート |
設立 | 2016年11月1日 |
代表取締役 | 藤田 雄一郎 |
資本金 | 518,005,000円 |
所在地 | 〒106-0031 東京都港区西麻布3-2-1 北辰ビル7階 |
事業内容 | 金融商品取引業
インターネットによる情報サービス業 |
登録・加入協会 | 第二種金融取引業 関東財務局長(金商)第3103号
一般社団法人第二種金融商品取引業協会加入 |
取材にご協力頂いたのは次の2名です。
- 代表取締役 藤田雄一郎 様
- 広報 水野綾香 様
それでは、早速インタビューしてきた内容についてお伝えしましょう!
なお、ご回答は藤田社長より頂きました。
Fundsの現状について
2019年1月にサービスを開始したFunds。
リリースからは10ヶ月ほどですが、現状をどのように捉えているのでしょうか?
サービスを開始して現状をどう捉えていますか?
私たちが思っていたよりも非常に多くの投資家の方にご利用頂いています。
ありがたいことに、案件を出せば「即完売」という状況が続いているため、私たちとしては思った通り、もしくはそれ以上のスタートダッシュを切ることができたかなと思っています。
素晴らしいですね!スタートダッシュに成功できた要因はありますか?
2つあると思っています。
一つは、Fundsのコンセプトを投資家の方にご評価頂いたことだと考えています。
これまでの貸付型のクラウドファンディングは中小零細企業を対象にしていている場合が多く、「利回りは高いけれど、場合によってはリスクもある」というような状況でした。
そんな中、私たちは利回りを追求するのではなく、「安定感や信頼感」を重視し、上場企業を中心に案件を取り揃えてきました。
そういった点がご評価頂けているポイントなのかなと思っています。
もう一つは、Webメディア(クラウドポート)の運営を通して、投資家の方々やブロガーの方々と関係性を築かせて頂き、Fundsのサービス開始の際に応援して頂くことができたという点が非常に大きいと思っています。
大変ありがたいことであり、投資家の方々、ブロガーの方々には深く感謝しています。
東京スター銀行や伊藤忠商事といった大手企業との提携に成功していますが、どういった点を評価してもらっていると思いますか?
まずは、体制面かと思います。
私たちは「コンプライアンスファースト」というバリューを掲げて、法令順守はかなり意識的に組織だって取り組んでいます。
体制整備にはかなり力を入れてやっています。
例えば、金融機関などにおいて実績を積んだメンバーを揃えていたり、社内で弁護士や公認会計士を複数人抱えていたりなど、体制面で言うと業界の中でトップクラスだと思っています。
そういった「体制面」が評価頂けているポイントなのではないかと思っています。
もう一つが、サービスコンセプトです。
私たちは、上場企業の案件を中心に展開しています。
そのため安心感があり、大手企業の方も当社と一緒に取り組みやすいのではないかと思っています。
逆に、想定通りに進めることが難しい点はありますか?
先ほどお伝えしたように、当社は上場企業の案件を対象に開拓をしています。
そのため、意思決定に時間がかかるという点が難しいと考えています。
大きな会社の場合、意思決定に時間がかかってしまうことは当然なんですけれどね。
あと、私たちは審査を慎重に行っています。
そのため、現状は投資家のみなさまが求めるスピード感で案件を出し切れていません。
そういった点は課題だと感じていますね。
会員になる投資家の方々は、Fundsをどうやって知っていますか?
一番多いのは、ブロガーさんのメディアを通してFundsを知って頂き、会員になって頂くというルートです。
あとは、ありがたいことにさまざまなメディアに取り上げて頂いたため、そういったメディアを見てFundsを知り、登録してくださっている方もたくさんいらっしゃいます。
会員数はどれくらいいますか?毎月どれくらい増えていますか?
会員の方は、2019年9月末時点で1万3,000人ほどいらっしゃいます。
また、平均で毎月1,000人ずつくらいのペースで増えています。
藤田社長について聞いてみました!
運営していたWebメディア「クラウドポート」を2019年1月に事業譲渡した藤田雄一郎社長。
「クラウドポート」を運営していたときの経験が、現在の「Funds」の運営に活きているのか、そしてどういったきっかけでFundsを立ち上げたのかについて伺いました。
Webメディア「クラウドポート」を運営していた経験はどういった点で活きていますか?
Webメディア運営側の気持ちが良くわかるというところです。
私たち自身も、「クラウドポート 」を運営し広告収入やアフィリエイト報酬を頂いていた経緯があります。
そのため、各ブロガーさんがどういったところで苦労しているのか、どういったことを嬉しく感じてもらえるかということは理解しているつもりです。
そして、ブロガーさんのメディアがあるからこそ、私たちのような事業者は多くの方に知って頂くことができ、利用して頂くことができるということも、メディアの立場を経験したからこそ理解しています。
そういう意味では、私たちを応援してくれるブロガーさん達を大切にしていくという気持ちは、どこの貸付型クラウドファンディングの会社よりも強いのではないかなと思っています。
今後も私たちは、自分たちだけではなく、ブロガーさんとも一緒に業界を作っていきたいと考えています。
そのため、なるべくメディアで取り上げやすいように、そして喜んで頂けるような取り組みを積極的にやっていきたいと思っています。
Webメディアから「オンラインマーケット」を運営しようと思ったのはいつ頃ですか?
Webメディア「クラウドポート」を始めた頃から構想はありました。
ただ、「クラウドポート」の運営を通じて、クラウドファンディング業界の課題や改善点も見えました。
例えば、2019年3月頃までは貸付型クラウドファンディング業界は貸付先を匿名化する必要があり自分が投資するお金が、どういった会社に、どういった用途で使われているのかわかりづらい状況でした。
また、資産運用には分散投資をすることが王道と言われていますが、事業者が何社もあるため、分散投資をしている自分のポートフォリオを把握することが大変でした。
私たちは、「安心感を持って投資ができ、かつ分散投資も快適にできる」そんなサービスが必要だろうという課題を「クラウドポート」の運営を通して感じていたのです。
準備期間はどれくらいかかったのですか?
第二種金融商品取引業の登録、そしてサービスのローンチまでには1年半ほどかかりましたね。
社内の体制について聞いてみました!
投資家のみなさんとしては、貸付型クラウドファンディングのサイトを運営している会社の内部体制も気になることでしょう。
そこで、Fundsを運営する株式会社クラウドポートの社内の体制についても聞いてみました。
役員の役割について教えてください
私(藤田社長)がBiz Dev(事業開発)を担当しております。
共同創業者の柴田はシステム周りの担当です。
また、取締役の河野がコンプライアンスを担当するという役割分担です。
メディアからクラウドファンディングへの転換に際して、人材はどのようにして採用しましたか?
私たちは創業当初から貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」事業を見据えていたため、そこに向けての準備はしていました。
そのため、それに合わせて必要な人材は採用しており、特に大きく転換したというわけではありません。
特に途中で転換したという意識はありませんね。
また、採用面に関して言えば、一切妥協はしていないです。
必要なポジションがあったときに、そこにしっかりとフィットする人を選んでいます。
その際、自分たちが心の底から働きたいと思えるような人柄、スキルを持った人、そして当社のカルチャーにフィットするかなど、本当に良いと思えるメンバーだけを厳選して採用しています。
そういったスタンスを貫くことによって、優秀な人が社内に集まっていることが社外からもわかるようになりました。
結果として、すでに集まっている優秀なメンバーたちと働きたいと思ってくれる優秀なメンバーがまた集まってきてくれるという、とても良いサイクルが生まれています。
部門的に一番注力しているところはありますか?
全方位的に力を入れています。
ただ、現在投資家様のニーズに対して、ご提供できる案件の数が追い付いていない状況です。
そのため、特に営業体制(ファンドの組成)の強化には力を入れていますね。
ベンチャーキャピタルにも積極的に接触されていますか?
自社の資金調達という観点では、ベンチャーキャピタルさんとはコンタクトさせて頂くことがあります。
先日シリーズBの調達も終わったため(2019年7月31日に合計6.3億円、当ラウンドにおける総額7億円)、現在は株主以外のベンチャーキャピタルと頻繁に接触することはあまり多くはないですね。
Fundsの案件についてはどう考えている?
資家のみなさんが一番気になるのは、今後Fundsがどのようになっていくのかということではないでしょうか?
投資するにも倍率が非常に高いFundsの案件。
今後はどういった業界の案件を増やしていくのか、また案件の数をどれほど増やしていくなどの目標はあるのでしょうか?
現状の案件数に関してはどのように思っていますか?
正直なところ、少ないと思っています。
なかなか投資ができなくてストレスを抱えていらっしゃる投資家の方もいらっしゃると思うので、できる限り早く安定的に案件を供給できるよう営業体制を整備し、また他社との提携を進めていきたいと考えています。
先日も発表したとおり、東京スター銀行さまとの提携(2019年9月6日)や、伊藤忠商事さまとの提携(2019年8月20日)をさせていただくなど、案件の開拓チャネルを拡げることができています。
そのため、もう少しお時間を頂ければ、もっと投資しやすくなるような状況をご用意できるのではないかなと思っています。
抽選制は案件が増えても続けていくご予定ですか?
そうですね、今後も続けていきます。
各案件の利回りを高める予定はありますか?
利回りを追求するというよりは、案件の安定性や魅力を追求していきたいと思っています。
当社は、みなさんが「安心して投資できる」というところに主軸を置いて案件の開拓を行いたいと思っているからです。
ただ、決して利回りが高いから悪いというわけではないと思っています。
投資家からはどんな意見や要望をもらうことが多いですか?
案件をもっと出して欲しいというご意見を頂くことが多いです。
あとは、サイトの使いやすさをご評価頂いています。
大変ありがたいことに、良い評価を頂けることが多いですね。
案件を出して欲しいと思って頂けているということは、ご期待を持って頂けているということだと思います。
それに応えられるようにしていきたいですね。
今後どのような企業の案件が増えていくと思いますか?
幅広い業種の案件を取り扱っていきたいなと思っています。
テック系、飲食系、旅館・ホテル系など、多種多様な案件を取り扱いたいですね。
そして、投資家のみなさまが分散投資しつつ、案件を楽しめる状況を作っていきたいと思っています。
狙っている業界とかってありますか?
元々、不動産やノンバンクなどお金が必要な業界にニーズがあるのではないかという仮説を立てていました。
実際にアプローチしてみたところ、やはりニーズがありました。
そのため、現在は不動産関連の企業さまに多くご利用頂いています。
まだ発表はしていませんが、水面下でそれ以外の多種多様な業界の企業さまとの話も進んでいる状況です。
もう一つの切り口は、「業界」ではありませんが「企業のステージ」です。
例えば、上場してから5年ほどの企業、一般的に「Post IPO企業」と言われるような会社です。
こういった会社は、意外と資金調達で課題を持っている会社が多いことがわかりました。
現在の調達環境は良いため、運転資金は借りやすいのですが、例えばM&Aや新規事業、海外進出など、これから企業を成長させようといった際の成長資金に関しては、実績がないため思うように金融機関から融資を受けられないといった実情があります。
上場企業の場合であっても、時価総額がそこまで高くはない会社の場合、株式での資金調達はそう簡単ではないんです。
株式のの希薄化があったり、取締役会での決議にも手間がかかります。
また、銀行での資金調達する場合であっても、融資枠が設けられており青天井で借りられるわけでもありません。
そんなときにFundsを利用したいと考えて頂ける会社が少しずつですが増えてきているのです。
こういったところには、Fundsが価値を提供できる可能性があるのではないかなと思っており、お話しをさせて頂いている企業があります。
-上場企業でも、時価総額が高くない・担保にしづらい・キャッシュがある程度かかる・リターンも大きくない可能性がある、という企業の場合の利用は難しいですか?
いえ、そんなことはありませんよ。
ただ、審査は非常に厳格に行っており、財務諸表や事業計画などをもとに検討をさせていただきます。
事業内容だけで判断することはありません。
-そうなると、幅広い企業が対象となるのですね!
はい、そうですね。
例えば、Kudan株式会社というコンピュータービジョンの技術(AR/VR)で世界トップクラスの会社があります。
先日、その案件の取り扱いを発表しました(2019年9月17日)。
技術系の会社がこういった仕組みを活用して資金調達するということは、これまでにない非常に珍しいエポックメイキングな事例です。
こういった事例をきっかけとして、今後も幅広くいろいろな企業にFundsを利用して頂きたいと思っています。
-結構勇気のいる判断かと思いますが、踏み切ったポイントはありますか?
私たちは事業評価をするにあたり、期待値だけで判断することはありません。
決算内容を見て、この金額であれば同社のキャッシュポジションで返済できるであろうというポイントしっかりと確認しています。
財務状況を大きく逸脱したようなファイナンスは基本的にせず、しっかり返済できる範囲で貸し出すということです。
同社の場合はチャレンジングな事業領域ではありますが、現状の決算内容は非常に良好です。
その範囲で資金調達のお手伝いする感じですね。
-こういった業界での取り組みはとても意義のあることですよね。
はい、そうですね。
現在、他にも様々な業界で準備を進めているところです。
近日発表を予定していますので、楽しみにしていてください!
(編集部より:クラウドアンサー内でも取り上げてレポートする予定です。)
-資金調達側のチャネルの多様化は重要ですよね。投資先の調査からはどれくらいの期間で案件の組成ができるのですか?
1ヶ月から1ヶ月半くらいですかね。
-そのスピード感だと調達する側にとってはメリットが大きいですね!
はい。
1ヶ月から1ヶ月半くらいというのは初回にそれだけの時間がかかるということです。
2回目以降はもっと迅速な対応が可能です。
-問い合わせ多い業界はありますか?
事例もあることからか、不動産系が一番多いですね。
-不動産のマーケットはこれから厳しくなってくると想定されるので、これから活用するところが増えてきそうですね。やはり、財務がしっかりしている上場企業が対象ですか?
そうですね!
Fundsの今後について聞いてみました!
最後に、Fundsの今後のビジョンについて質問してみました。
どういったところを目指してFundsは成長していくのでしょうか?
クラウドファンディング以外の投資商品を増やす可能性はありますか?
いまのところはありません。
Fixed Income(固定利回り)というところに主軸を置いており、投資家のみなさまがコツコツ安定的に資産を増やせるような商品をランナップしていきたいと思っています。
そのため、スキームをさらに工夫したり投資対象を変えたりはするかもしれませんが、固定利回り型にこだわっていきたいと思っています。
今後の目標があれば教えてください!
3年間で融資総額1,000億円を一番大きな目標としています。
あとは、今年度内(2020年3月まで)に累計で20社の案件の組成を目標としています。
現状のペースでいけば、達成することができると思っています。
最後に、投資家のみなさんにお伝えしたいことや想いがあれば教えてください!
「Funds」を国民的な資産運用サービスにしたいと思っています。
「老後資金2,000万円問題」などがあり、昨今資産運用に対する意識は高まりつつあると思います。
しかし、「何をしたら良いかわからない」「資産運用は難しい、怖い」と思っている方は非常に多いと感じています。
そういった方々のために、初めの一歩としてチャレンジして頂きやすいサービスとしてFundsをさらに成長させていきたいですね。
そのため、できる限り幅広い人たちに安心して投資できるような商品の組成と、サービスとしての使いやすさを突き詰めていきたいと考えています。
あとは、念のため注意喚起をしておきたいです。
当社はファンドの組成においてできるかぎり低リスクとなるような工夫をしていますが、金融商品なのでどうしてもリスクがあるというところは念頭に置いておいて頂きたいです。
投資頂く際は必ず余裕資金の範囲内で実施して頂くことと、分散投資して頂くことを強くおすすめしています。
まとめ
貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」を運営する株式会社クラウドポートの藤田雄一郎社長、水野綾香さんをインタビューさせて頂いた際の内容をお伝えしました。
クラウドアンサー編集部としては、他の貸付型クラウドファンディング会社がまだ開拓を行っていない領域に積極的に着手し、案件の幅をどんどん拡げていきたいという想い、そして社会の資金調達における課題を解決していきたいという強い想いを感じました。
また、個人投資家の方への配慮もしっかりとしており、提供するからには極力安全な案件を組成するという姿勢が一貫していると感じました。
公開されている案件の倍率が高くなる理由が良くわかりました。
お伝えしてきたように、Fundsの案件は上場企業を中心に組成されています。
そのため、これから貸付型クラウドファンディングを始めてみたいと思っている投資初心者の方にとっては特におすすめの会社です。
少しでも興味を持ったという方は、Fundsで口座開設をしてみることをおすすめします。
口座開設は無料で行うことができます。
これからさまざまな業界での案件が組成されていくことを楽しみにしていましょう!