国内最大手のソーシャルレンディング会社maneoマーケット(マネオ)。
しかし、行政処分などを受けてマネオ本体、そしてマネオのシステムを利用していたソーシャルレンディング会社ともに、2019年7月以降案件の募集停止状態に陥っていました。
一方で、2019年9月に株式の大半をNLHD株式会社に譲渡しました。
NLHD株式会社の指導のもと、業務改善に取り組んでいます。
そのマネオが、2019年10月17日(木)に外部調査委員会の設置を発表しました。
その意味と今後のマネオの展望を見てみましょう。
目次
maneo(マネオ)が設置した外部調査委員会設置の目的
出典:maneo(マネオ)
maneo(マネオ)では、外部調査委員会の設置について、次のように発表しています。
当社は、2018 年 7 月 13 日付「業務改善命令について」にてお知らせいたしましたとおり、金融庁からの業務改善命令を厳粛に受け止め、業務の改善に取り組んでまいりました。また、2019年 9 月 17 日付「資本構成の変更および新たな役員の選任に関するお知らせ」及び 2019 年 10 月2 日付「業務提携契約締結に関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、NLHD 株式会社が当社の筆頭株主となり、更なる業務の改善・投資家保護の推進に向けて事業を進めております。
しかしながら、当社グループ及び営業者によるファンド運営において分配金の延滞が多数発生している状況に鑑み、これまでの経営体制及び事業運営に関して、公正性を確保した調査を行う必要があると判断したことから、当社グループ及び営業者と利害関係を有しない社外の中立かつ公正な立場にある有識者により構成される外部調査委員会を設置し、調査を実施することといたしました。
マネオは、NLHD株式会社の事実上の傘下に入っています。
NLHD株式会社の指示により、返済遅延案件の多発している事実を受けての原因究明に本格的に乗り出したと見られます。
そのため、公平な立場を持った専門家による調査が必要と判断したと考えられます。
NLHD株式会社も、返済遅延が続いている状況でのソーシャルレンディング案件の再募集は困難と見ていることが伺えます。
中立性のある人間に調査を依頼し、その原因を洗い出すことで、根本的な問題解決を図る狙いが見えます。
外部調査委員会の目的とは
maneo(マネオ)では、この外部調査委員会の設置目的を次のように発表しています。
① 平成 30 年 7 月 13 日付で関東財務局から受けた業務改善命令(株式会社グリーンインフラレンディング(以下、「GIL」)を営業者とするファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をした行為及び当社の管理上の問題点)に関し、背景事情を含む事実関係の調査を行い、責任の所在を明確にし、原因を究明した上で、再発防止策を提案すること
② 上記①記載の GIL 及び下記③記載の maneo 株式会社を除く当社プラットフォームを利用してファンドの取得勧誘を行った営業者について、当社による選定及び管理状況の検証を行うこと
③ 上記①及び②のほか、当社、maneo 株式会社及び株式会社リクレにおける融資、決裁及び営業者の選定・管理に係る基準並びに手続の妥当性並びに資金移動の適切性に関し、検証を行うこと
④ その他外部調査委員会が必要と認めた事項の調査ないし検証を行うこと
マネオのシステムを利用していたグリーンインフラレンディングは、虚偽の表記を行い投資家から資金を募集していたと、マネオは見ています。
事実完成の調査と原因の究明、その他マネオのシステムを良医していた会社についても調査を行う意向です。
また、子会社であるリクレを通じて募集した自社案件についても、業者選定などの再調査・検証を実施するとしています。
数々の問題の原因究明、その検証を徹底的に行うことで、再発防止を行う考えがあると見られます。
一方で、投資家への返済については特に触れられていません。
外部調査委員会の構成人員
maneo(マネオ)が設置する外部調査委員会は、中立性を保った人員を採用するとしており、人員も発表されています。
いずれも、マネオとは利害関係を持たない専門家ばかりです。
委員長:伊丹 俊彦 弁護士(元大阪高等検察庁検事長)
(略歴)
1980年 | 検事任官(東京地方検察庁配属) |
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2014年 | 最高検察庁次長検事 |
2015年 | 大阪高等検察庁検事長 |
2016年 | 弁護士登録(長島・大野・常松法律事務所 |
委員:河合 健司 弁護士(元仙台高等裁判所長官)
1980年 | 判事補任官(大阪地方裁判所配属) |
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1990年 | 判事任官 |
2016年 | 仙台高等裁判所長官 |
2018年 | 弁護士登録(東京リベルテ法律事務所 |
委員:加藤 正憲 公認会計士
1995年 | 太田昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所 |
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2002年 | 公認会計士登録 |
2003年 | 株式会社KPMGFAS入社 |
2012年 | 加藤公認会計士事務所設立(同事務所代表) |
まとめ
maneo(マネオ)では、外部調査委員会の3ヶ月ほどの調査後に結果を発表するとしており、調査にも全面的に協力する意向です。
NLHD株式会社の傘下に入ったことにより、具体的な返済遅延案件の問題究明及び解決に動き出したと見られます。
3ヶ月後の調査結果発表、そして返済遅延案件の投資家への元本返済などマネオの膿をすべて出すことができれば、再度マネオが中心となってソーシャルレンディング案件の募集を再開できる可能性が高まります。
一方、問題の根底が明らかにならない場合は、投資家の失望を買うことになります。
それだけに、今回はマネオが具体的な発表を行う可能性は高いでしょう。
投資家への返済については触れられていませんが、マネオの現在の社長である佐藤友彦氏は、債権回収会社での職歴が豊富です。
案件の債権回収にマネオが専念し、過去の問題の究明は外部調査委員会主導で行われるという役割分担になっています。
年明けにはなりますが、マネオの外部調査委員会の報告には、ぜひ注目したいものです。
マネオが再度募集を行うように慣れば、ソーシャルレンディング市場のさらなる活性化が起こることでしょう!