日本国内のソーシャルレンディングサイトの中で高い人気を誇るOwnersBook(オーナーズブック)。
ここでは、そのオーナーズブックの特徴や運営会社、さらには不動産投資型クラウドファンディングと比較して、同社の案件を分析していきます。
目次
OwnersBook(オーナーズブック)の概要
OwnersBook(オーナーズブック)を運営しているのは、ロードスターキャピタル株式会社です。
ロードスターキャピタル株式会社は、2017年に東証マザーズに上場を果たしています。
国内のソーシャルレンディング会社の中でも、ソーシャルレンディングサイトを運営している会社が上場しているのは、ロードスターキャピタル株式会社のみです。
会社概要
社名 | ロードスターキャピタル株式会社 (英文名:Loadstar Capital K.K.) |
本社所在地 | 東京都中央区銀座1丁目10番6号 銀座ファーストビル2F |
会社設立日 | 2012年3月14日 |
代表者 | 代表取締役社長 岩野 達志 |
免許・登録 | 投資運用業 第二種金融商品取引業 投資助言・代理業 関東財務局長(金商)第2660号 宅地建物取引業 東京都知事(2)第94272号 |
加入団体 | 一般社団法人 日本投資顧問業協会 一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 一般社団法人 Fintech協会 一般社団法人 不動産証券化協会 公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会 |
主たる業務 | 不動産にかかる仲介・コンサルティング事業 アセットマネジメント事業 クラウドファンディング事業 コーポレートファンディング事業 |
ロードスターキャピタル株式会社の代表者や経営陣は、不動産鑑定士や宅地建物取引の有資格者ばかりです。
まさに、不動産のプロと言える集団です。
また、オーナーズブックの案件の特徴として、すべての案件が不動産関係である点が挙げられます。
運営元のロードスターキャピタル株式会社は、不動産の開発や販売を手掛ける会社です。
それだけに、不動産案件の取り扱いを得意としているのです。
また、全案件に担保として不動産が設定されているため、貸し倒れや返済の遅延が起きた際は担保の不動産を売却し、投資家に対して返済が行われます。
オーナーズブックは2014年から運営されていますが、返済の遅延や貸し倒れが発生したことはありません。
信用が置けることから、ソーシャルレンディングの投資家から高い支持を得ているのです。
OwnersBook(オーナーズブック)の不動産案件の傾向
それでは、OwnersBook(オーナーズブック)が扱う不動産案件の特徴を確認していきましょう。
特徴①:都心の物件中心
オーナーズブックが提供している不動産案件は、ほぼ東京都内の不動産開発案件です。
東京以外では東京に次ぐ大都市である大阪の案件もあります。
また、最近ではアメリカの不動産投資信託(REIT)の案件も取り扱っています。
現在の都心部では不動産価格が上昇し、市況も活況を呈しています。
事業の成功率が高く、担保の価値も上昇しているため、案件の安全性や担保の両面で高い信頼性を誇っています。
特徴②:融資先は必ずしも公開されているわけではない
2019年3月における金融庁の指導により、ソーシャルレンディング各社は融資先の名前を開示するようになりました。
オーナーズブックの案件を見ると、融資先企業を公開している案件とそうではない案件があります。
一部の案件では、どういった不動産会社に融資しているのか、分かりません。
その点に注意しておきたいところです。
OwnersBook(オーナーズブック)の案件には自社への融資案件がある
OwnersBook(オーナーズブック)の案件の中には、運営元であるロードスターキャピタル株式会社への融資案件もあります。
ロードスターキャピタル株式会社は、オーナーズブックを通じて資金調達を行い、不動産の購入や運営を行っています。
子会社からロードスターキャピタルへの融資
融資スキームから解説しましょう。
まず、オーナーズブック上でロードスターキャピタル株式会社の子会社である「ロードスターファンディング株式会社」が資金を募集します。
そして、投資家から集めた資金をロードスターキャピタル株式会社へ融資します。
投資対象は千代田区の物件
2019年11月に募集された「千代田区オフィス第4号第1回」案件が、ロードスターキャピタル株式会社の自社案件です。
当該案件では、運営される物件の住所が詳細に記載されるなど、投資家に対して豊富に情報が提供されています。
一方で、利回りは2.5パーセントとあまり高くはありません。
「OwnersBookのソーシャルレンディング案件」と「不動産投資型クラウドファンディング」の比較
OwnersBook(オーナーズブック)は、不動産案件専門のソーシャルレンディングサイトです。
それだけに、扱う案件の内容は不動産投資型クラウドファンディングに非常に近いものがあります。
オーナーズブックの案件と不動産投資型クラウドファンディングの案件を比較してみましょう。
利回りはオーナーズブックも不動産投資型クラウドファンディングも差はない
投資家として投資先を選ぶ時、まず、気になるのは利益に直結する利回りの率でしょう。
オーナーズブックの案件の利回りを見ると、ここ3ヶ月では平均4%前後です。
CREALなどの不動産投資型クラウドファンディングでも、4%前後の利回りです。大差はありません。
不動産投資型クラウドファンディングでは、空き家の再生案件で8%の高利回りの案件もあります。
しかし、その分だけ確実性は低いので、都心のビルのような安全性の高い案件に限定すれば、収益性はほぼ代わりません。
不動産投資型クラウドファンディングでは物件の住所が明らかにされている
不動産投資型クラウドファンディングでは、購入・運営する物件情報の詳細が明らかにされています。
開示はほぼ、不動産投資型クラウドファンディングサイトに共通してみられる傾向です。
オーナーズブックでは、融資先の企業が匿名である案件があり、また、購入物件の詳細が不明なものもあります。
情報の透明性では不動産投資型クラウドファンディングに分があります。
オーナーズブックの案件は資金の用途が不明
また、オーナーズブックの案件に関する情報を見ると、「資金使途についての定めはありません」と、資金の用途について特に制限するものではない旨の記載があります。
基本的に運営する物件や事業の詳細は記されています。
しかし、上記の記載がある以上、用途外に資金を流用したとしても、投資家側は納得せざるを得ないのです。
この点は気をつける必要があるかもしれません。
投資の安全性では大きな差はない
お互いが不動産を担保に設定しているため、安全度に大差はありません。
ソーシャルレンディングは貸し付けであるため、収益は安定しています。その反面、貸し倒れの危険性があります。
不動産投資型クラウドファンディングは、不動産の売却代金や運用で得られた利益を配当するため、運営次第では想定通りの利益が発生するとは限りません。
一方で、優先劣後の出資方式をとっているので、物件売却時の値下がりに伴うリスクはある程度緩和されています。
ただし、災害リスクは双方に発生します。
OwnersBook(オーナーズブック)でおすすめの案件の種類
「不動産投資型クラウドファンディング」と比べると、OwnersBook(オーナーズブック)の案件は、情報の開示の面でやや劣ります。
一方で、当該案件は「ソーシャルレンディング」であり金利収入が得られるため、収益は安定しています。
また、運営元が上場企業なので、信用面は他の不動産投資型クラウドファンディングサイトに劣りません。
オーナーズブックの案件を見る限りでは、「シニアローン(※1)」として融資が行われる案件の多さが目に付きます。
不動産を購入する会社は、「シニアローン」と「メザニンローン」で資金調達を行います。
シニアローンで資金が不足すれば、メザニンローンで補います。
シニアローンはメザニンローンよりも優先して返済が行われるため、シニアローンの案件に投資すれば、貸し倒れが生じた時でも安全です。
同じオーナーズブックの案件であっても、できるだけ安全性の高い案件に投資したいのであれば、シニアローンの案件を選びましょう。
※1:シニアローン:従来からある一般的なローンのこと。
※2:メザニンローン:劣後するローンのこと。
まとめ
東証マザーズ上場企業としての信頼、そして都心の不動産案件が中心であることから、案件自体に信用が置けるOwnersBook(オーナーズブック)。
利回りは決して高いわけでありませんが、信用の高さもあり抽選制度を導入しなければ投資できないほどの人気を誇ります。
今回の案件分析を通してオーナーズブックに興味を持った方は、口座開設を検討してみてはいかがでしょうか?