2019年11月にクラウドアンサー編集部は、2018年からソーシャルレンディングサイト「SAMURAI」を運営するSAMURAI証券株式会社に取材しました。
現在のSAMURAI証券株式会社のソーシャルレンディング案件への取り組み、また、maneoとの連携など、投資家の皆様が気になることを中心にご紹介します。
目次
SAMURAIを運営するSAMURAI証券株式会社とは?
SAMURAIは、2017年12月にソーシャルレンディングサイトの運営を開始しました。
運営元はSAMURAI証券株式会社です。
会社概要は次のとおりです。
社名 | SAMURAI証券株式会社 |
設立 | 2002年2月 |
資本金 | 400百万円 |
代表者 | 中山幹之 |
登録/加入協会 | 第一種・第二種金融商品取引業 関東財務局長(金商)第36号 日本証券業協会、日本投資者保護基金 |
所在地 | 〒105-0001 |
東京都港区虎ノ門一丁目7番12号 虎ノ門ファーストガーデン 10階 |
SAMURAI証券株式会社は、ソーシャルレンディング業界でも数少ない「第一種金融商品取引業者」として登録しています。
今回の取材には、SAMURAI証券株式会社と親会社であるSAMURAI & J PARTNERS株式会社の次の方々にご登場いただきました。
- SAMURAI証券株式会社 代表取締役 中山幹之様(左)
- SAMURAI & J PARTNERS株式会社 代表取締役 山口慶一様(右)
それでは、早速、インタビューの内容をお伝えしましょう。
なお、中山様・山口様のどちらがお答えいただいたのかがわかるように、ご回答の先頭に( )にてお名前を示しています(敬称略)。
SAMURAIの現在の状況について
ソーシャルレンディングサイトの立ち上げから約2年経過しているSAMURAI。
事業は順調に推移しているのかについて尋ねてみました。
会員数や取扱金額など、SAMURAIの現況についてお聞かせください
(中山)私は2019年6月末に社長に就任したばかりです。
その前の状況と一概に比較はできないのですが、少なくとも近況だけを見れば、夏から秋にかけて会員申込数が月間ベースで数倍になるなど、非常に順調な推移を見せています。
その要因としては、会社としてWEBマーケティングやPRを行う体制を整備して、宣伝や広報に取り組んだこと、またmaneoを経由して当社の案件を告知したことなどが挙げられると思います。
さらには、一案件あたりの募集金額も、夏までは1案件2,000万円から3,000万円ほどと小粒のものが多かったのですが、当社と協力関係にある株式会社日本保証やJトラスト株式会社の保証付き案件において5,000万円や1億円といった大きな案件を取り扱った結果、投資家様に好評をいただきました。
それも現在の好調な推移につながっていると思っています。
SAMURAIとmaneoは現在どういった関係にあるのでしょうか?
(中山)よく聞かれるのですが、maneoと当社に人員的な関係、資本関係などはありません。
当社の親会社であるSAMURAI&J PARTNERS株式会社がmaneoマーケット株式会社と業務提携を行っております。
関連または類似する業務を行う会社同士が連携を行い、シナジー効果を発揮していくための取り組みを行っている所ですね。
また、現在maneoでは外部調査委員会を設置し、これまで問題のあったソーシャルレンディング案件の調査を行っています。
当社は第一種金融商品取引業事業者として、コンプライアンス支援などのアドバイスを行っています。
SAMURAI証券株式会社はソーシャルレンディング業界では珍しく第一種金融商品取引業登録事業者です。その点でメリットなどがあれば教えて下さい。
(中山)第二種金融商品取引業と第一種金融商品取引業では、求められる内部管理体制や最低資本金の額が異なります。
株式会社であることも求められますし、自己資本規制も課せられています。
従業員の構成は、第二種金融商品取引業者よりも能力や経験などが重視されます。
当社は、商品審査、コンプライアンス面、また、モニタリング面などに広く定評があると自負しています。
さらに、当社の親会社であるSAMURAI & J PARTNERS株式会社は、JASDAQ上場企業です。
SAMURAI証券株式会社も、SAMURAI & J PARTNERS株式会社と同様にコーポレートガバナンスを実施しています。
第一種金融商品取引業への登録や上場企業レベルのコーポレートガバナンスの実施など、当社はソーシャルレンディング会社の中でも業務の質が高く担保されているものと感じています。
maneoとSAMURAIの連携は今後も行われていく予定でしょうか?
(中山)まず、宣伝・広報を引き続き実施します。
効果的な宣伝手法の開拓、maneoの実績を活かしたマーケティング、宣伝コストの削減のための取り組みや人材交流などに力を入れて参ります。
ただ、投資家の皆さまに提供する案件面での連携は、まだ先になると思っています。
以前maneoで募集していたさくらソーシャルレンディングがSAMURAI経由で募集を行っていました。経緯などをお聞かせいただけますか?
(中山)こちらに関しては、さくらソーシャルレンディングさんからのご要望です。
当社は現在、積極的にmaneoのシステムを利用していた会社さんに声をお掛けすることはしておりません。
まずは、maneoがさまざまな処理を終わらせることが何よりも重要です。
maneoに対する外部調査委員会の報告を見る限りでは、延滞案件などの問題を解決し、maneoが投資家の皆さまからの信頼を回復できるだけの案件の組成や人員の体制を整えてから、はじめて案件面での取り組みに入れると考えています。
そのためには、投資家様の安全を保護する取り組みや対策も重要ですから、そこが構築できてからですね。
順番を間違えてはいけないと思っています。
投資家の方の安全面の取り組みと言えば、2019年9月に募集された株式会社日本保証の保証付き案件の評判が良かったようですね
(中山)当社の親会社であるSAMURAI&J PARTNERS株式会社では2019年3月に株式会社日本保証との業務提携を発表しました。
そして、同年10月に株式会社日本保証の保証付き案件を利回り4パーセントで募集したところ、あっという間に募集上限金額である5,000万円に達しました。
現在のソーシャルレンディングの投資家の方々は、利回りだけではなく保証や担保、その他には情報の公開など案件の安全度を非常によく見ていると感じます。
投資家の皆さまにとって株式会社日本保証の保証付き案件は、ニーズに応えた案件だったのだと考えています。
現在のソーシャルレンディング業界をどのようにとらえている?
最近、投資家の志向として、「ソーシャルレンディング案件は利回りだけではなく、担保や保証などの安全面の高さを重視する」という声も聞かれます。
ソーシャルレンディングに対する投資家の視点が代わりつつある昨今、SAMURAIでは現状のソーシャルレンディング業界をどのように見ているのでしょうか?
その点を中心に伺ってみました。
2018年から2019年そして2019年後半とソーシャルレンディング業界の変化は感じられていますか?
(中山)やはり、2018年のmaneoショックとも言えるmaneoへの行政処分の影響は大きかったと感じます。
他の会社さんも含めて、一時的に投資家様の投資欲は著しく低下したことでしょう。
しかし、2019年3月の金融庁の匿名化解除方針の決定以降、ソーシャルレンディング投資家の投資欲は上向きになっていると感じます。
また、今は投資家の方は「安全な投資先であるかどうか」という点に注目されていると感じます。
そして、他のソーシャルレンディング会社さんも積極的に情報を開示するようになりました。
これは大変良い傾向だと感じます。
やはり、多くの人に利用される投資手法になる上では、融資先の名前がわからないのはいささか不安を招く要因の一つでした。
透明性が高い投資手法でなければ、ソーシャルレンディングはなかなか普及していかないと思います。
SAMURAIではいち早く案件の匿名化解除を打ち出しました。それはなぜでしょうか?
(中山)やはり、投資家の皆様にはきちんと融資に関する情報を開示し、情報を基にご自分で投資の是非を判断していただきたいと思ったからです。
当社でも匿名化解除の必要性は、その前から強く感じていました。
そこで、金融庁の方針変更後は速やかに融資先の匿名化を解除しました。
この取り組みは投資家の方々から大好評をいただきました。
投資家の方々の意欲や傾向の変化はソーシャルレンディングサイトの運営元として強く感じますか?
(中山)そうですね。
先にも述べたように、安全な案件に注目が集まる傾向にあります。
(山口)ただし、安全なだけでは意味がないと思います。
安全な投資商品を選ぶのであれば、利回り1パーセントから2パーセントの社債などを購入すれば良いのです。
我々が投資家の皆さまからより大きな支持を得るためには、利回りと安全性を両立した投資商品を提供しなければ意味がないと思っています。
その意味では、やはり利回りは5パーセントを維持していきたいですね。
(中山)そのためには、株式会社日本保証との連携はより強固なものにしていく必要がありますし、我々は利回りを確保できる案件を見つけながら融資先の妥当性、財務状況のモニタリングなどを一段と厳しく行う必要があると感じます。
(山口)利回りが低くて安全は当たり前ですから、当社ならではの差別化のポイントは利回りがある程度高く、かつ安全性が高い投資商品の提供に尽きます
今後SAMURAIで取り扱う案件について
利回りを確保してより安全な案件を提供していきたいと語るSAMURAI。
そこで、投資家の方々に提供する今後の案件について聞いてみました。
SAMURAIで扱う案件は今後どのような形に変わっていくのでしょうか?
(中山)やはり株式会社日本保証の保証付き案件の評判が良かったため、今後は保証付き案件を増やしていきたいと考えています。
株式会社日本保証と当社は、Jトラスト株式会社の関係会社同士という関係もあります。
ただ、関係会社同士だからといって、審査を緩くしてもらうことは絶対にありません。
そこはご安心いただければと思います。
また、株式会社日本保証は、当社以外の会社に対する保証業務も行っています。
当社に限らず、他のソーシャルレンディング会社さんでも株式会社日本保証を利用して保証をつけるといったことも出てくるかもしれません。
外貨建ての案件の募集も行われていました。このような案件も増えていきますか?
(中山)外貨建てはどうしても為替リスクがあるため、安全性の面では円建ての案件に劣ります。
そのため、外貨建ての案件を増やすのではなく、最初に取り組むべきは、投資家の方々に安全かつ高い利回りを両立させた案件を継続して提供していくことだと考えます。
一方で、案件を継続的に提供できるようになり投資家の皆さまの信頼を得ることができたら、選択肢の一つとしてある程度のリスクがあることを前提としたハイリターン案件も増やしていきたいと思っています。
外貨建て案件にしても円建て案件よりも利回りを高く設定していますし、為替相場の変動次第では、ソーシャルレンディングの運用よりも大きな利益が出る可能性があります。
投資家の皆さまには判断材料をできるだけ提供した上で、「ローリスク・ミドルリターン」を選ぶのか、「ミドルリスク・ハイリターン」を選ぶのかといったように、選択肢をご用意できればと思っています。
現在は不動産事業者向けの融資案件が中心ですが他の業界への融資案件は増えますか?
(中山)担保をつけやすいという意味で、不動産案件は人気があります。
投資家の方からの需要と我々が供給できる案件がマッチしているため、急に大きくは変わらないと思います。
一方で、東証一部上場企業への融資案件や不動産以外の担保、保証をつけた案件なども増やしていきたいですね。
融資先としてはエンターテインメント企業などへの融資もおもしろいと思っています。
(山口)アイドルを応援するための「アイドルファンド」なんてアイデアもありますね。
SAMURAIの今後の目標
最後にソーシャルレンディング業界において、SAMURAIが目指すポジションや数値目標などについて聞いてみました。
数値的な目標などがあれば教えていただけますか?
(中山)当社では、現在の会員数などは非公開です。
そのため、具体的に目標とする会員数をお伝えすることはできないのですが、ソーシャルレンディング業界において目指すべき位置づけは、首位に立つことです。
その目指すべき首位というのが、会員数の首位なのか、それとも取り扱い金額の首位なのかと尋ねられた場合、やはり会員数の首位だと考えています。
会員数が増えれば自然と取り扱い金額も伸びてきますし、業界内での立場や役割も変わると思います。
そのためには、マーケティングに力を入れる必要がありますし、maneoとの連携も重要になるでしょう。
maneoの会員数は日本国内のソーシャルレンディング会社では比較的多いですから、連携を通じてmaneoの会員は、当社の案件に注目していただけると思います。
そして、会員の獲得のために重要なのは案件です。
株式会社日本保証との連携を強化し、積極的に保証付き案件を提供していきます。
(山口)その上で不動産業界外への融資案件やエンタメ業界向けの案件、リスクとリターンの選択肢を増やし、当社で資産運用をまかなえるようにすることが目標です。
まとめ
ソーシャルレンディングサービスSAMURAIを運営するSAMURAI証券株式会社と親会社であるSAMURAI&J PARTNERS株式会社に取材させていただいた内容をご紹介しました。
クラウドアンサー編集部としては「安全性と収益性を両立させてこそ、ソーシャルレンディング投資に意味がある」の一言が強く印象に残りました。
また、新規のファンドの提供を検討することに加え、会員数や募集金額の増加といった数値目標と投資家への多様な案件の提供という2つの柱を軸にした事業展開を予定している点も、今後のSAMURAIの活動を見守る上で重要なポイントだと言えるでしょう。
ソーシャルレンディング業界で一番の会員数を目指すというSAMURAI。
大きな目標を掲げながらも第一に守るべきは、「投資家が安全に投資できる投資先であること」としています。
それはSAMURAIがソーシャルレンディング業界の発展を強く願い、ソーシャルレンディングが投資家の方々にとって支持される投資手段になる事を誰よりも真剣に考えているからでしょう。
また、maneoとのシナジー効果についても注目が集まります。
今回の取材記事を読んでSAMURAIに興味を持った方は、投資対象の一環としてSAMURAIへの口座開設を検討してみてはいかがでしょうか?
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