SBIソーシャルレンディングには、「不動産バイヤーズローンファンド」「不動産担保ローン事業者ファンド」など、「不動産」というキーワードが入った投資案件があります。
厳密には不動産投資ではなく、また不動産担保がある場合と無い場合がありますが、わかりにくくなっています。
この記事では、SBIソーシャルレンディングの不動産関連の案件の仕組みや担保について解説していきます。
一般的な不動産投資との違いや、担保の評価について解説していきますので、SBIソーシャルレンディングで投資をしようと考えている方は、正しく理解してから投資を始めましょう。
目次
SBIソーシャルレンディングの不動産案件の種類
SBIソーシャルレンディングでは、「不動産」という単語が入った案件が3種類あります。
しかし、いずれも投資家が不動産に直接投資するのではないため、厳密には「不動産投資」とは異なります。
3種類の不動産案件について、どのような特徴があるのか解説していきます。
不動産案件の種類
- 不動産バイヤーズローンファンド
- 不動産ディベロッパーズローンファンド
- 不動産担保ローン事業者ファンド
不動産バイヤーズローンファンド
SBIソーシャルレンディングの「不動産バイヤーズローンファンド」は、「不動産の取得及び売買等を行う事業者」にお金を融資する投資案件です。
投資家はSBIソーシャルレンディングを通じてある企業に融資を行い、その企業が不動産の売買や運用を行うという仕組みです。
つまり、不動産投資と異なり、投資家が不動産に直接出資する仕組みではありません。
これは、不動産への投資資金を募集する「不動産投資型クラウドファンディング」との違いでもあります。
ただし「不動産事業を行う会社」への融資なので、間接的には不動産投資ができる、と捉えることはできるでしょう。
SBIソーシャルレンディングが取り扱うファンドは、「不動産バイヤーズローンファンド」を含め、すべて貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)であり、不動産投資型クラウドファンディングとの違いがメリットにもデメリットにもなります。
貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)では、投資家が受け取る分配金はあらかじめ決められた金利となるからです。
すなわち、事業者による不動産の運用が上手く行っておらず、あまり利益が出ていない場合でも、事業者はあらかじめ決めた金利をソーシャルレンディング会社に支払う必要があり、その資金が投資家への分配金となります。
不動産投資型クラウドファンディングの場合、利益が出ていない場合は投資家への分配金も減らされることがあります。
よって、不動産の運用が上手く行かなかった場合でも、貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)は一般的な不動産投資型クラウドファンディングより高い分配金を期待することができるメリットがあります。
反対に、不動産の運用が上手く行って予定より利益が出ている場合、貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)だとあらかじめ定めた金利以上の分配金支払いはありませんが、不動産投資型クラウドファンディングなら分配金が増額される可能性があります。
したがって、不動産の運用の良し悪しに関係なく、あらかじめ定めた金利の収入が得られるのが、SBIソーシャルレンディングの「不動産バイヤーズローンファンド」の特徴だと言えます。
不動産ディベロッパーズローンファンド
SBIソーシャルレンディングの「不動産ディベロッパーズローンファンド」は、「不動産を取得し、開発等を行う事業者」にお金を融資する投資案件です。
不動産バイヤーズローンファンドと同様に、不動産事業を営む会社への融資となるため、間接的な不動産投資と言えるでしょう。
同様に、直接的な不動産投資である不動産投資型クラウドファンディングとは異なり、金利収入を得られます。
不動産事業の成功・失敗に関係なく、あらかじめ取り決めた金利の収入を期待することができます。
不動産担保ローン事業者ファンド
SBIソーシャルレンディングの「不動産担保ローン事業者ファンド」は、「不動産を担保にローン事業を営む事業者」にお金を融資する投資案件です。
ソーシャルレンディングを通じた貸付先となる企業は、「ローン事業」を営む会社であり、不動産事業は行っていません。
したがって、「不動産担保ローン事業者ファンド」は直接・間接いずれの意味でも不動産投資ではありません。
仕組みとしては、投資家がソーシャルレンディングを通じてお金を融資した企業が、顧客となる債務者にお金を貸し付ける、という二重の構造になっています。
債務者は金利を上乗せして企業に借りたお金を返済し、企業はその収益からSBIソーシャルレンディングに元本と金利を支払い、投資家に分配するという仕組みで投資家は儲けを得ることができます。
「不動産担保ローン事業者ファンド」の名前に含まれている「不動産担保」とは、最終的な貸付先となる債務者が持っている不動産担保のことです。
債務者が不動産を担保として、企業(「不動産担保ローン事業者」)からお金を借りているという意味であり、「不動産担保ローン事業者ファンド」は、不動産担保への投資ではないことに注意しましょう。
不動産バイヤーズローンファンドの担保
ソーシャルレンディングの最大のリスクが、融資したお金の一部または全額が返済されないという「貸し倒れ」ですが、担保つきの案件を選ぶことで、全額貸し倒れのリスクを下げることができます。
ここからは、SBIソーシャルレンディングの不動産関連の案件にはどのような担保が設定されているのかを確認していきましょう。
まずは「不動産バイヤーズローンファンド」の担保について解説していきます。
不動産バイヤーズローンファンドの担保
- 転売用の不動産が担保
転売用の不動産が担保
SBIソーシャルレンディングの「不動産バイヤーズローンファンド」の担保となるのは、主に転売用の不動産です。
万が一借り手となる不動産のバイヤーがSBIソーシャルレンディングを通じて借りたお金を返せなくなり、SBIソーシャルレンディングが、担保となる不動産の売却を行うなどの判断をした場合、その売却代金などを投資家への返済に充てることができます。
不動産ディベロッパーズローンファンドの担保
続いて、SBIソーシャルレンディングの「不動産ディベロッパーズローンファンド」の担保について解説していきます。
不動産バイヤーズローンファンドと異なり、これから開発される土地や建物が担保となる場合が多いです。
不動産ディベロッパーズローンファンドの担保
- 事業用地(不動産)が担保
事業用地(不動産)が担保
SBIソーシャルレンディングの「不動産ディベロッパーズローンファンド」の担保は、主に事業用地という土地が担保となります。
また、ディベロッパーという特性上、これから土地に建物を建てるケースがほとんどなので、建物の建設後に建物が担保となる場合も多いです。
不動産担保ローン事業者ファンドの担保
SBIソーシャルレンディングの「不動産担保ローン事業者ファンド」の方は、少々分かりにくい仕組みの投資案件になっています。
しかしコンスタントに募集されている人気の投資案件であり、これまで貸し倒れしたことが無いという大きな魅力のあるファンドです。
担保についても分かりにくさがあるのですが、この機会にしっかりと理解し、分からないことが無い状態にして投資をしていきましょう。
不動産担保ローン事業者ファンドの担保
- 正確には「貸付債権」への質権
- 担保不動産への抵当権の実行はできる
- 担保不動産の評価額が公表されない
正確には「貸付債権」への質権
「不動産担保ローン事業者ファンド」では、SBIソーシャルレンディングが不動産を担保に融資をしているわけではありません。
正確には、SBIソーシャルレンディングは「貸付債権」に対して質権を設定し、これを担保としています。
「貸付債権」とは、融資の借り手となる企業が顧客から「お金を回収する権利」のことです。
「不動産担保ローン事業者ファンド」では、ソーシャルレンディングを通じてお金を借りた企業が、複数の第三者に対してお金を貸し付けるので、お金を又借りしているようなイメージです。
第三者は企業にお金を返済する義務を負い、これを企業側から見ると「貸付債権」となりますが、この貸付債権がソーシャルレンディングにおける担保となります。
SBIソーシャルレンディングは貸付債権を担保とするため、企業の返済が滞った場合、貸付債権を押さえることができるので、第三者からの資金の回収が可能になります。
担保不動産への抵当権の実行はできる
融資先の企業の返済が滞った場合、SBIソーシャルレンディングは第三者から資金を回収は可能になりますが、第三者がお金を払えない状況になっているなどのこともあります。
このような場合、SBIソーシャルレンディングは第三者が保有している担保不動産の売却を行うなど、融資したお金を優先的に回収することができます。
つまり、SBIソーシャルレンディングが担保としているものは貸付債権であり不動産ではないのですが、企業と第三者の間の貸付で担保となっている不動産を、最終的には押さえることができるのです。
したがって、「不動産担保ローン事業者ファンド」は不動産担保つきの案件ではないものの、間接的には不動産を押さえる権利がある案件と言えますが、
第三者が保有する不動産等の情報は明らかになっていないことが多く、やや不透明に感じられることがあるかもしれません。
担保不動産の価値が公表されない
間接的な担保となる不動産の価値が公表されないケースが多いため、投資を始める際に若干不安に感じるかもしれません。
ですが、基本的には担保不動産の価値の70%を上限とした融資額になっています。(不動産担保ローン事業者ファンドNeoの場合は、85%が上限)
例えば、10億円の担保不動産の場合、SBIソーシャルレンディングで融資を募集できる金額は7億円までです。
もし企業が返済不能になった場合でも、担保を売却すれば10億円になるため、融資した7億円は投資家に返済されます。
不動産市場に大きな変化があって担保の不動産の価値が著しく下がってしまう可能性もありますが、融資を行う時点では十分な担保が設定されていると言えます。
貸し倒れしたことが無い
また、SBIソーシャルレンディングの「不動産担保ローン事業者ファンド」は、これまでに貸し倒れしたことが無い実績を持っています。
投資元本の回収について問題が生じたことはこれまでありません。
これは、十分な担保が設定され、SBIソーシャルレンディング側でも適切に審査が行われているからだと考えられます。
過去の実績は将来を保証するものではありませんが、今後も適切な担保の設定や審査を行ってくれると信用することができるでしょう。
SBIソーシャルレンディングで投資する際の注意点
以上のように、SBIソーシャルレンディングの不動産関連の案件は十分な担保が設定されているものがあり、非常に魅力的です。
しかし、大手のソーシャルレンディング会社で大量の案件を扱っているため、貸し倒れや遅延が過去に起きたことはあります。
自分が貸し倒れや遅延に巻き込まれないようにするためにも、以下の2点は必ず確認しましょう。
投資する際の注意点
- 担保の価値を確認する
- 運用期間を調べる
担保の価値を確認する
SBIソーシャルレンディングは担保がついている案件がほとんどですが、担保の価値と融資額のバランスも必ず確認しましょう。
担保の価値の方が融資額よりも大きい案件が理想です。
そのような案件が見つからなかった場合、少なくとも担保の価値と融資額が同じである案件を選びましょう。
中には担保の価値が融資額よりも小さい案件もあるかもしれないですが、このような案件に投資すると、企業がお金を返済できなくなった場合に元本の全額が返済される可能性が低いからです。
お金を減らさないように投資をするためにも、担保の価値と融資額のバランスは必ず確認しましょう。
運用期間を調べる
SBIソーシャルレンディングの案件の運用期間は、1年程度と短いものから、2年~3年といった長い期間にわたって運用するものまでさまざまです。
運用期間を調べ、納得できた案件に投資をしましょう。
基本的には、1年程度で運用期間が短い案件がおすすめです。
というのも、ソーシャルレンディングでは原則として途中で解約することができません。
途中で投資家の事情が変わってお金が必要になっても、ソーシャルレンディングを解約してお金を引き出すことはできないのです。
資金を自由に引き出せない制限を踏まえると、安易に長期の案件に投資をするのは控えた方が良いでしょう。
基本的には、1年前後の運用期間の案件がおすすめです。
SBIソーシャルレンディングの不動産案件に投資する価値は?
SBIソーシャルレンディングは、いくつかの不動産案件があり、利回り・運用期間・事業者の資金使途・担保の価値などから投資先を判断し、資産運用ができるソーシャルレンディングです。
特に、不動産担保ローン事業者ファンドはこれまでに元本割れが起きたことがありません。
SBIソーシャルレンディングの企業を審査する能力や、担保を正しく評価する能力の高さがうかがえます。
案件のタイトルに「不動産」が含まれているものの「不動産投資」ではないなどの複雑さは解説したとおりで改善が望まれますが、仕組みや担保の設定はきちんとしており投資する価値はあるでしょう。
1万円から投資を始められるソーシャルレンディングなので、少額で投資やソーシャルレンディングを試してみたい方にもおすすめです。
まとめ
SBIソーシャルレンディングには「不動産」というキーワードが含まれた投資案件がいくつもありますが、いずれも直接不動産に投資する案件ではありません。
不動産バイヤーズローンファンド、不動産ディベロッパーズファンドは、間接的には不動産投資と言えます。
不動産担保ローン事業者ファンドは、第三者に貸し付けを行う企業への融資であり、不動産投資ではありません。
また、それぞれの融資先の特性に応じて、どのような担保が設定されているかも異なります。
SBIソーシャルレンディングの案件は、適切な審査や担保の評価が行われているため、大きな問題を抱える借り手の案件は基本的にはありません。
「不動産」というタイトルの案件が不動産投資でないことなどは理解してから投資を始めましょう。
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良い案件が登場した際にすぐに投資できるよう、このタイミングで口座開設しておくと良いでしょう。