大手金融メディアとして知られるZUU。
そのZUUが、2019年1月からクラウドファンディング中心としたメディアサイト「ZUU funding」を展開しています。
その狙いは一体どういうものなのか、事業の発展性などを調べてみました。
ZUUの会社概要
出典:株式会社ZUU
まずは、株式会社ZUUの概要についてお伝えしましょう。
社名 | 株式会社ZUU(英文社名:ZUU Co.Ltd.) |
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東京オフィス | 〒153-0042 東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー9F |
シンガポールオフィス | 11 Beach Road #03-01 Crasco Building Singapore 186975 |
事業内容 |
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代表者 | 代表取締役 冨田 和成 |
設立 | 2013年4月2日 |
資本金 | 8.9億円(資本準備金含む)※2019年3月末時点 |
従業員数 | 57人 |
ZUUは、2013年から運営されている「ZUU ONLINE」という金融メディアを主軸とした数々の「金融×IT」サービスを手掛ける会社です。
社長の冨田和成氏は大学在学中にベンチャー企業を起ち上げ、その後野村證券で勤務。
野村證券を退職後にZUUを起ち上げ、創業からわずか5年の2018年に東証マザーズに上場を果たしています。
2018年度第6期の売上高は13億1,700万円であり、順調に成長を続けている企業です。
ZUUが手掛けている事業
続いて、ZUUが手掛けている事業について紹介していきましょう。
事業①:富裕層向けフィンテックプラットフォームの運営
ZUU上で資産管理や運用ができるプラットフォームを提供しています。
ZUUとしては顧客のビッグデータを収集できるメリットがあります。
事業②:金融機関のフィンテック化支援
金融機関に対するIT技術の導入サポートもZUUの主事業の一つです。
IT×金融に強みを持つZUUならではの事業といえます。
事業③:金融特化型リクルーティング支援
金融関係の会社に対し、転職エージェント業も行っています。
会社が求める人材にマッチした人材を紹介し、仲介手数料をもらうビジネスです。
ZUUがクラウドファンディング事業へ参入する理由とは?
では、ZUUが新しくクラウドファンディング事業に参入する理由は何でしょうか?
主な理由としては、次の2つが考えられます。
理由①:クラウドファンディング事業の成長性に着目している
まず、クラウドファンディングの成長性にZUUが大きな可能性を感じているからだと考えられます。
ZUUが展開するクラウドメディアファンディング関係のメディア「ZUU funding」では、主に「貸付クラウドファンディング」(ソーシャルレンディング)、「不動産投資型クラウドファンディング」の情報を取り扱っています。
現在の日本のクラウドファンディング市場は年間約2千億円と言われており、その中でもソーシャルレンディング市場は毎年150パーセント以上のめざましい成長を遂げています。
アメリカやヨーロッパのソーシャルレンディング市場は数兆円規模であり、一般企業の資金調達の一手段になっています。
ソーシャルレンディング事業を手掛ける会社と資金を調達したい会社を結びつけることで、利益を獲得する狙いがあるものと思われます。
また、ソーシャルレンディングに関心を持つ個人投資家を各ソーシャルレンディングサイトに誘導します。
会員登録を通じてサポートを行い、最終的に利益を確保するものと見られます。
理由②:金融×ITとの融和性が高い
ZUUは金融関係のメディアを展開している会社であることから、金融に知見の深い社員が多く在籍します。
その強みはクラウドファンディング関係のメディアで大いに活かされています。
『金融に関わるIT化サポート』を展開しているZUUですから、クラウドファンディング企業を
- クラウドファンディングに関係する企業のIT化のサポート
- 顧客分析にもとづくZUU fundingからのデータの提供
といったさまざまな方法で支援することで収益を上げる狙いがあるようです。
クラウドファンディングに関係する企業への知識面でのサポートや顧客情報の提供、また融資先企業の紹介など、自社の強みを遺憾なく発揮することができる事業としてクラウドファンディングメディアを始めることは、決して不自然な流れではありません。
ZUUのクラウドファンディング事業の概要
実際に、ZUUが展開しているクラウドファンディング事業の概要を確認していきましょう。
「クラウドポート」からメディア事業を譲渡してもらい参入
「ZUU funding」は、ZUUが起ち上げたWebメディアではありません。
2019年1月にクラウドポートという会社から譲渡されたサイトです。
クラウドポートは、ソーシャルレンディング会社「Crowd Bank(クラウドバンク)」の元社員である藤田雄一郎氏が設立し、2015年から貸付型クラウドファンディングのメディアを展開していました。
現在のクラウドポートはメディア事業を譲渡し、Funds(ファンズ)という貸付型クラウドファンディングのサイトを運営しています。
クラウドポートが活性型クラウドファンディング事業に直接乗り出したため、メディアに関係するサイトが不要になりました。
そのため、ZUUにメディア事業を譲渡したのです。
ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングの比較サイト
ZUU fundingは、「ソーシャルレンディング」や「不動産クラウドファンディング」を展開する会社のサービスを比較するサイトです。
事業用の資金を必要とする会社がインターネットを通じて投資家から少額ずつ資金を集めることができる仕組みが「ソーシャルレンディング」と言われるサービスです。
少額での投資が可能であり、運用期間や金利などの条件に応じて分配金を毎月受取ることができます。
年間に予定された利回りが5パーセントから10パーセントのものが一般的であり、投資信託やREIT(不動産投資投資信託)よりも高めの傾向にあります。
また、利益の分配ではなく貸付金利からの収入であるため、安定した利益を見込むことができます。
ZUU fundingは、案件や会社の比較などを手軽に行えるサイトです。
ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングに関係するニュースも取り上げています。
ZUUのクラウドファンディング事業の可能性
では、今後のZUU fundingが目指す方向性についてお伝えしていきましょう。
利用者のビッグデータを解析し最適な商品を提案する
クラウドファンディングは少額での投資が可能であるため、多くの20代の投資家から支持を得ています。
ZUUの狙いはそういった若年層を取込んで育成し、今後を見据えて太いパイプを構築すること、また金融支援を行う際の判断材料として収集した投資家のビッグデータを活用することです。
もちろん、投資家をクラウドファンディング関係の会社に紹介することで報酬を得ることも可能です。
さらには、自社のメディアへの誘導も目的の一つだと考えられます。
クラウドファンディングと既存の自社事業の相乗効果を狙うことができます。
3年後を目途に売上高10億円・営業利益2億円を目指す
ZUUは、クラウドファンディングサイトの運営を通して3年後をめどに、10億円の売上高と2億円の営業利益達成を目指しています。
メディアサイトだけではなく、クラウドファンディング会社各社への顧客データの提供、そしてコンサルティングサービスなどの展開も視野に入れている可能性があります。
まとめ
大手金融メディアのZUUがクラウドファンディングに関係する専門のサイトを運営することで、サイトを利用するクラウドファンディングの運営会社にもメリットが生まれます。
例えば、顧客情報の獲得やサイトの運営に必要なコンサルティングが受けられるようになります。
また、IT技術の導入にさいして支援を受け、適切な人材を採用できるようになります。
クラウドファンディング業界の発展に寄与するZUU fundingの取組みにぜひ注目していきたいものです。