これから投資を始める方にとっては、「投資=デイトレード」というイメージがあるかもしれません。
テレビや雑誌では1日で大金を稼ぎ出すプロのトレーダーが特集されることが多く、「本業をやめてデイトレーダーをやってみたい!」と考えている人もいるのではないでしょうか?
しかし、デイトレードのような短期投資は難易度が高く、プロ向けと言わざるを得ません。
初心者の方が勝てるようになるには、相当の勉強と経験が必要です。
この記事では短期投資のメリット・デメリットなどを解説していきます。
また、反対の「長期投資」もあるため、短期・長期それぞれが向いている人も解説しました。
ご自身にとってどのような投資方法が合っているのか、考えるきっかけにしてみてください。
短期投資とは
短期投資とは、1日から数日の期間で投資商品を売買し、利益を出す投資方法です。
「安く買って高く売る」という基本戦略は一般的な投資と変わりませんが、その期間が短いことが特徴です。
1日から数日間における株式や為替などの値動きを利用し、安く買って高く売る手法です。
また、「高く売って安く買う」という逆の順番でも取引することができます。
短期投資は、元手の資金が500万円ほどでも、1日で数万円から数十万円といった大金を稼げる可能性があるため、資金が少ない投資家に人気があります。
捕らぬ狸の皮算用ではありますが、毎日5万円を稼ぐことができれば、月収は100万円に上ります。
このような夢を追い求めるトレーダーが「デイトレード」を行っています。毎日プラスになるとは限りません。今日はプラス5万円、明日はマイナス10万円、といった結果になることもある厳しい世界です)。
広く一般的におすすめされるのは「長期投資」の方で、これは数年から数十年のスパンで投資商品を売買する投資です。
短期と長期のどちらのスタンスが合っているかは、投資をする目的によって異なります。
後ほど詳しく解説しますね。
デイトレード
短期投資の中で最も有名なのがデイトレードです。
1日の間に取引を終わらせる投資のことで、相場が開いたら商品を買い、相場が閉まる前に保有しているすべての商品を売却する投資方法です。
簡単に言うと、朝起きてから売買を始め、寝る前には何も保有していない状態にしておくというスタイルです。
デイトレードを好む投資家は、本業で投資をしている人が多いです。
つまり、生計を立てる手段としてデイトレーダーを選んでいるということです。
デイトレードでその日の生活費を稼いだり、家族を養ったりしている人のほとんどは、投資会社などでスキルを磨いたプロの投資家です。
逆に、プロ並みの腕が無いとデイトレードで勝ち続けるのは難しいため、基本的には初心者にはおすすめできない投資方法です。
デイトレードで扱える商品は、「株式投資」や「FX」、「仮想通貨」、「バイナリーオプション」です。
なお、初心者にも人気のある投資信託はデイトレードでは扱えません。
売買価格が1日に1回だけ決まるので、1日のうちに値動きが起こらないからです。
スイングトレード
デイトレードよりも少し期間が長い投資に、スイングトレードがあります。
スイングトレードは、数日から2週間ほどのスパンで売買する投資方法です。
スイングトレードの方がデイトレードよりも向いている人もいると思いますので解説しておきましょう。
スイングトレードは、サラリーマンが副業で始めやすいというメリットがあります。
デイトレードだと1日中株価チャートに張り付いて株価の変動を見ることが基本スタイルになるので、会社員のように投資が本業でない人には不向きです。
「デイトレードよりはゆっくり取引したい」と考えている人には、スイングトレードか長期投資がおすすめです。
この記事では短期投資について紹介しますが、スイングトレードや長期投資についても理解を深めるきっかけとしていただければと思います。
長期投資とは
長期投資とは、数年から数十年ほど商品を保有している投資方法です。
デイトレードとは真逆で、忙しく売買せず年単位で放置しておく投資です。
長期投資のメリットは、経済成長の波に乗って資産を増やせることです。
右肩上がりの経済に投資をすれば、デイトレードのように忙しい売買をせずとも、自然と株価などが上がって資産も増えていくのです。
つまり、放置していても投資で利益は得られるのです。
一方、デイトレードと比べたときの長期投資のデメリットは、得られる金額がそこまで大きくない点です。
デイトレードのプロは1年で資産を2倍にすることもありますが、長期投資なら1年で5パーセント程度増やすのが限界です。
5パーセントでも増えれば御の字だと思いますが、デイトレードで上手く行っている人と比較すると、見劣りしてしまいます。
「短期投資・長期投資どっちが良い?」の答えは目的により異なる
短期投資(デイトレード)と長期投資について説明してきました。
自分のスタンスに合っている投資方法を選んでもらいたいのですが、その選び方を知りたいですよね。
基本的に、誰にでもおすすめできるのは長期投資です。
短期投資は、投資に関する経験と知識がある人にしかおすすめできません。
これから、具体的に短期投資が向いている人と長期投資が向いている人の特徴を解説していきます。
ご自身がどちらに当てはまるか考えながらご覧ください。
短期投資がおすすめ人
短期投資が向いている人は、これまでに長期投資の経験があり、投資についての基礎知識がある人です。
基礎知識とは、証券取引所への注文方法(成行・指値・逆指値)やチャートの移動平均線やローソク足の読み方などです。
今はまだこれらの知識が無い人はこれから勉強すれば良いのですが、少なくともこれらの用語の意味はわかっているくらいでないと、短期投資を始めるには経験不足と言わざるを得ません。
短期投資の怖いところは、理屈では説明できない値動きに翻弄されるところです。
あるトレーダーが他のトレーダーを出し抜くために相場に仕掛けを行うこともあるため、こういった騙しを見破ったり、騙されても早く気づいて抜け出したりする必要があります。
このように、必ずしも経済や企業の状況に連動せず、不審な動きをすることがあるため、短期投資は初心者には難しいのです。
ですが、初心者でも楽しみを求めて余剰資金で行うだけなら、短期投資も良いかもしれません。
先ほどお伝えしたように理屈で説明できないことが起こり、ややギャンブル性のある投資方法なので、楽しむためだけと割り切るなら問題ないでしょう。
長期投資がおすすめ人
長期投資は、誰にでもおすすめできる投資方法です。
特に、サラリーマンで平日の日中は忙しく、リアルタイムで株式などの売買ができない人は、短期投資ができないので長期投資をすることになるでしょう。
長期投資は、上述したように経済の流れに乗って資産を増やす方法です。
短期投資の項目で解説したような、他のトレーダーを騙そうとする人の仕掛けも、長期的な視野で見れば無視することができます。
したがって、変な値動きに騙されるようなことは無く、初心者にとってもハードルが低いのです。
短期投資のメリット
主に短期投資が向いていると感じる方に向けて、メリットとデメリットを解説していきます。
まずは、メリットを3つ解説していきます。
- 数日で大きな利益を上げられる
- 資金が少なくても大きな利益を得られる
- 損失が膨らみにくい
メリット①:数日で大きな利益を上げられる
短期投資は、数日で大きな利益を上げられる可能性がある投資方法です。
投資に使う資産額の5パーセントから10パーセントを1日で生み出すことも可能です。
株式を1日で取引する場合、値動きの軽い銘柄を相場が始まる前にピックアップしておき、相場が開くと同時に売買を始めます。
2パーセントほどの値動きを繰り返している銘柄なら、1日に何度も安く買って高く売るチャンスが来るので、これを繰り返しているうちに利益が積み重なります。
メリット②:資金が少なくても大きな利益を得られる
短期取引の場合、資金が少なくても利益を出すことができます。
先ほどお伝えしたように何度も売買を繰り返すため、元手を何回も使うことができるからです。
長期投資の場合は一度投資をしたらそのまま放置するのですが、短期投資なら何度も元手を使って取引してその都度利益を出すことができます。
そのため、少ない資金でもお金を稼ぐことができるのです。
したがって、長期投資では1年で5パーセントほどしか増やせないのに対し、短期投資では資産を2倍にできた人もいるのです。
元手が大きければ長期投資の5パーセントの利益も大きくはなりますが、元手が少ない人は5パーセントくらい増えたところで、喜びはあまり大きくないかもしれません。
そのため、今現在の資金が少ない人が大きく増やすために短期投資が人気なのです。
メリット③:損失が膨らみにくい
短期投資の場合、損失が膨らみにくいメリットもあります。
予想と違う方向に相場が動いた場合も、短期投資なら期限を決めて損切りすることができ、ズルズルと損失が膨らみにくいのです。
また、デイトレードの場合は経済ショックにも強いです。
1日で取引を終わらせるため、寝る前には何も投資していない状態です。
したがって、寝ている間に経済ショックが起こって資産が激減するといった事態が起こりません。
短期投資のデメリット
短期投資のメリットを解説してきましたが、もちろん良いことばかりではありません。
デメリットを3つ解説していくので、これらのリスクを受け入れられる人のみ、短期投資を始めると良いでしょう。
- 上達するまで時間がかかる
- 本業に集中できない可能性がある
- 売買手数料がかさむ
デメリット①:上達するまで時間がかかる
短期投資で利益を出せるようになるには知識と経験が必要なため、上達に時間がかかるデメリットがあります。
「安く買って高く売る」と聞けば非常に簡単そうですが、これは非常に難しく相場の流れを読めなければできないことなのです。
相場の流れを読むためには、チャートを分析する技術や海外を含めた経済情勢の理解が必要です。
また、株式なら個別の企業の業績や将来性を判断しなければなりません。
その上、本などで仕入れられる知識だけでなく、実際の経験も必要です。
トレードをしていく中で磨かれていく勘も、常勝トレーダーが持ち合わせている特殊能力の一つです。
デメリット②:本業に集中できない可能性がある
会社員など投資以外の本業がある人が短期投資を始めると、日中の相場の動きが気になって本業に集中できなくなってしまう可能性があります。
短期投資を始めたことで、「自分の保有銘柄が儲けを出しているか」「損をしているならいつ売却して損切りすれば良いか」などが気になり、スマートフォンをいじってチャートを見てしまうものです。
これは短期投資を始めた人の多くが悩むポイントです。
専業のトレーダーであれば問題ないのですが、別の本業がある人が相場に翻弄されて集中できなくなることは大きなデメリットです。
デメリット③:売買手数料がかさむ
売買を繰り返すことで利益を出す短期投資は、売買手数料がかさんでしまうデメリットがあります。
そもそも、売買手数料があるため投資が難しいものとなっているのです。
手数料がゼロ円だったら、ある商品が1円でも買値より高くなったら売ることで、少ないですが儲けは出ますよね。
しかし、手数料が15円だったらどうでしょうか?
16円以上の差額ができてから売却しないと損失となってしまいます。
「5円上がったけど16円も動かなかった」という風に手数料負けするケースがあるのです。
売買手数料は、購入と売却のタイミングで支払うものなので、短期投資のように何度も売買する投資方法は手数料負けしやすいです。
毎回の取引で手数料を上回る利益を出すことは、非常に難しいのです。
短期投資の方法
短期投資についてメリットとデメリットを解説してきました。
実際にやってみたいと思った方に向けて、短期投資ができる投資を4つ紹介していきましょう。
- 株式投資
- FX
- 仮想通貨
- バイナリーオプション
方法①:株式投資
株式投資は、企業の株式を売買して利益を稼ぐ投資方法です。
証券取引所に注文を出すため、取引所が開いている時間帯のみ取引できます。
東京証券取引所なら、平日の9時00分から11時30分、12時30分から15時00分です。
株式投資の短期取引の場合、銘柄選びが重要です。
値動きが無さすぎる不人気銘柄は避け、かつ決算発表などのサプライズが無い銘柄を選ぶのが良いでしょう。
絶妙な塩梅の銘柄を選ぶのが難しいので、FXの方がやりやすいと感じる方が多いかもしれません。
方法②:FX
FXは、為替相場の変動を利用して利益を稼ぐ投資方法です。
海外が昼間の時間帯でも取引できるため、平日なら24時間取引できるとイメージしておきましょう。
FXの場合、ドル円かドルユーロといったメジャー通貨での取引がおすすめです。
あまり値動きは大きくありませんが、「レバレッジ」を使えば小さな値動きでも利益を大きくできます。
レバレッジは自分が持っているお金を超える金額を借りて投資することで、利益が出れば自分のものにできます。
ただし、損失が出たら自分のお金で補填するため、損失も大きくなります。
方法③:仮想通貨
仮想通貨の取引はFXとよく似ています。
仮想通貨と円、または仮想通貨同士の相場変動を利用して利益を出す投資方法です。
休日や祝日を含め、24時間取引できます。
仮想通貨も基本的には取引量の多い円とビットコインの組み合わせがおすすめです。
仮想通貨はFXよりも値動きが大きいため、マイナーな組み合わせだと値動きが大きすぎて1回の取引での損失で大ダメージを背負う可能性が高いからです。
比較的値動きの小さいメジャーな組み合わせがおすすめです。
方法④:バイナリーオプション
バイナリーオプションは、一定時間後に今よりも円高・円安のどちらに相場が動いているかを予想する取引です。
国内の業者の場合、平日の日中に取引できます。
業者によって仕組みが異なりますが、例えば50円から999円のチケットを購入し、円安か円高か予測します。
予想が当たれば1,000円もらえ、外れれば使った50円から999円が没収されます。
予想の幅によって金額が異なり、「999円は予想が易しいケース」「50円は予想が難しいケース」と認識してください。
短期投資に使っていいお金・いけないお金
ここまで、短期投資はプロ向けの難しい投資方法であることを紹介してきました。
プロの方はできていると思いますが、初心者の方が始める場合を想定し、資金管理について解説していきます。
ずばり、短期投資に「使っていいお金」と「使ってはいけないお金」について解説していきますので、これを守ってリスクを抑えた取引をしましょう。
「生活費」は使ってはいけないお金
投資は失敗してお金を失う恐れもあるので、生活費は使わないようにしましょう。
生活費とは、半年から1年間の生活を送るお金として貯金しておくものです。
もし、勤めている会社が倒産したりリストラされたりすることがあっても、しばらくは生活に困らないように準備をしておきましょう。
「使い道が決まっているお金」は使ってはいけないお金
住宅購入費や養育費として貯金しているお金も使わないようにしましょう。
これらのお金はまとまった金額なので、投資に使えばかなりの利益を生めそうに感じるかもしれません。
しかし、万が一失敗した場合のことを考え、投資には使わない方が賢明です。
投資に使って失敗したら、人生計画に打撃を与えることになります。
理想の人生を歩めなくなる可能性があるため、使い道を決めて貯金しているお金は投資には使わないようにしましょう。
「余剰資金」は使っていいお金
投資に使って良いのは、上の2パターンに当てはまらない「余剰資金のみ」です。
余剰資金ならなくなっても良いとは言いませんが、人生設計に与える影響は小さくて済むからです。
特に、短期投資の初心者の方は、失敗を経験して上達していくものです。
最初から投資が上手くいくとは限らないので、余剰資金を使って勉強していくくらいの姿勢で挑むのが良いでしょう。
こちらの記事では、会社員からセミリタイアした男性が投資の勉強方法について解説していますが、「実践して学ぶ」ことが大事だと伝えています。
まとめ
短期投資について解説しました。
難易度が高いプロ向けの投資であることが伝わりましたでしょうか?
メリットとデメリットは解説したとおりで、大きな利益を上げられる夢がある一方で、お金を失うリスクも高いのが短期投資なのです。
短期投資をこれから始めるなら、投資の勉強をしながら上達していってください。
長期投資にも興味のある方は、こちらを一度読んでおくと良いかもしれません。