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筆者のプロフィール
筆者は、第二種金融商品取引業登録を行っている会社に勤務しています。
ソーシャルレンディング投資について近い業界にいるため、深い知識を持っています。
業界の問題、また関連する金融関係の記事を執筆しています。
コロナショック前後の日経平均の推移
2020年2月に端を発した新型コロナウイルスによるコロナショック。
その影響は全世界に伝播しており、日本も例外ではありません。
日本経済は、コロナショックによりどのように変化したのでしょうか?
まずは、日経平均の値が2020年2月から6月にかけてどのような推移を見せたのか確認しましょう。
2020年2月21日~3月19日にかけては約30%下落
コロナショックの影響が株価に具体的に現れてきたのは、2020年2月中旬です。
2020年2月21日(金)から3月19日(木)の日経平均の推移を確認しましょう。
出典:Google
2020年2月21日(金)の日経平均は23,386円でしたが、3月19日(木)には16,552円まで下落しています。
およそ下落幅は30パーセントです。
2020年3月21日~2020年6月8日で下落分が回復
一方、2020年6月8日(月)には日経平均は2月中旬の水準である23,000円を突破しました。
出典:Google
約3ヶ月をかけてコロナショック前の水準まで、株価を戻しています。
株価回復の背景
コロナショックによる株価の暴落から3ヶ月で、日本経済はいったん落ち着きを見せたようにも見えます。
この株価回復の背景はどういった理由にもよるのでしょうか?
背景①:新型コロナウイルスの感染者数の落ち着き
最初に挙げられるのが、新型コロナウイルス自体の影響がある程度把握できたことでしょう。
日本では、2020年6月上旬時点で累計感染者数は約17,000人、死亡者数は900人強となっています。
先進国を中心とした諸外国に比べるとこの数字は非常に低いものであり、毎日の新規感染者数は50名以下で推移しています。
新型コロナウイルスの影響がある程度限定されたものであり、経済活動の復旧と両立することが可能だと、緊急事態宣言の解除などから政府も判断したと言えます。
政府が緊急事態宣言を全面解除したことから、投資家にも安心感が生まれ投資意欲の回復につながっています。
背景②:ダウ平均の回復
出典:Google
また、アメリカのダウ工業株30種平均の株価も、上記のグラフのようにコロナショック前の水準に戻ろうとしています。
2020年2月21日(金)のダウ平均は28,992ドルでしたが、2020年6月8日(月)には27,572ドルまで値を戻しています。
日本の株価は、前日のダウ平均の動きを見て左右されることが多いです。
世界の経済指標とも言えるダウ平均が上昇したことより、 日本の株式市場にも安心感が漂っていると言えるでしょう。
背景③:日銀が買い支えを行っている
株価の低迷が限定的であった理由の一つとして、日本銀行が株の買い支えを行っていることが挙げられます。
そのため、日本の投資家の中には「株価が一定の水準を下回れば、日銀の買い支えが入り、株価が上がる」という期待があるのです。
そのため、一定の下落が起きれば反動の上昇を期待した株の買い戻しが増える傾向にあります。
投資家が今後(withコロナ・アフターコロナ)取るべき戦略とは
第一次コロナショックは多種の相場に影響を与え、大幅な下落を生み出しました。
一方で、相場は一定の期間で回復し影響は限定的なものに終わったと言えます。
しかし、株価は戻ったものの実産業に与える影響はまだまだ大きいです。
観光業や飲食業はまだまだ売上の回復が見えませんし、コロナショック自体もこれから第二波が来ることが予測されています。
ワクチンが開発されるまで、新型コロナウイルスと人類の戦いは続くでしょう。
その状況下で、個人投資家がどういった戦略を取れば良いのでしょうか?
基本的な戦略としては、コロナショックの影響がまだ完全には収束していないだけに、値動きが少ない手堅い投資的に資産を移すことが重要と考えられます。
株価はコロナショックで1ヶ月で30パーセントも相場が下落し、 REITに至っては50パーセント近く相場が下落しました。
予測されていれも、これだけの相場の下落に耐えられる資金力、そして精神力を持った投資家はそうはいないのではないでしょうか?
そこで投資を続けていくには、相場の値動きが小さく不況下でも大きく値下がりしない投資先を選ぶようにすると良いでしょう。
不動産
まず、投資対象として考えるべきは「不動産」です。
不動産の中でも、種類を選ぶ必要があります。
ここで狙うべきは、物流不動産REITへの投資です。
REITは大きく値下がりをしましたが、物流不動産特化型REITは、値下がりを見せるところかこの1年で大きく値上がりを見てています。
例えば、物流不動産REIT「CREロジスティクスファンド」は2019年6月~2020年6月で、このように値段が動いています。
出典:Google
当該銘柄は、2020年2月14日(金)につけたコロナショック前の年内最高値147,200円を、2020年6月2日(火)には155,500円と超えています。
コロナショック下でも株価を上げている数少ない銘柄です。
また、ワンルームマンションなど居住用不動産も手堅い家賃収入が見込めます。
東京都の人口がコロナ禍でも、減少を見せていません。
それはつまり、都心であれば居住用不動産の需要は不況でも減らないということです。
居住用不動産は、不況下でも手堅い収入源になってくれます。
REITを通じた居住用物流不動産への投資、また居住用不動産の実物不動産投資であれば、大きな損害を受けることは考えにくいです。
金
金は、その流通量が限られているだけに、不況下でも手堅い投資先として知られています。
例えば、日本で金投資を扱う田中金属工業では、このコロナショック下で、金取引相場が最高値を超えたというデータがあります。
出典:田中貴金属工業
値動きの大きな投資対象から撤退し、不況下でも手堅い金に資金を投入する投資家が増えた結果です。
今年2020年の秋から冬コロナウイルスがまた流行することがあれば、手堅い投資先である金に投資家の資金が流れ、その結果金相場が大きく値上がりするのではないでしょうか。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングもコロナショック下でも、大きな損失が発生しなかった投資先の一つです。
日本国内で組成されたソーシャルレンディング案件に関しては、2020年2月から6月に至るまで一度も返済遅延も貸し倒れも発生していません。
ソーシャルレンディングに投資した投資家は、みな毎月手堅く利益を得ることができているのです。
ソーシャルレンディングは、貸金時の金利収入が配当されるだけに、収入額が大きく変動することがありません。
ソーシャルレンディングという投資が不況下に強いということが、「実際に不況を経験すること」によって明らかになったと言えます。
一方で、海外で運用されている案件では返済遅延や貸し倒れが発生してるものもあります。
投資に前には、よく投資対象を吟味しましょう。
なお、ソーシャルレンディングは日本ではだんだんと認知され始めた投資方法です。
初めて聞いたという方は、こちらをチェックしておくことをおすすめします。
まとめ
日本における新型コロナウイルスの流行は一段落し、経済活動は活性化しています。
しかし、新型コロナウイルスに対し、抜本的な対策が確立されたわけではありません。
第二波が起こる可能性は、非常に高いと言われています。
その第二波が流行するまでに、投資対象を値動きの大きなものから比較的安定しているものに替えていけば、不況下でも資産を守りながら少しずつ増やしていくことができるでしょう。