目次
2020年2月~3月にかけてREIT市場が暴落
2020年3月末時点、新型コロナウイルスによって、各国の経済市況は大きな影響を受けています。
日本も例外にもれず、株式市場の暴落が発生しています。
そして、株式市場の暴落以上に大きな相場の変動を見せたのがREIT(不動産投資信託)です。
しかし、暴落の発生はある意味安くREITを購入するチャンスとも言えます。
そこで、今REITは買いどきなのかどうかを市場の動きなどから見てみました。
2020年2月の高値から1ヶ月で50%下落しその後乱高下
2020年に入り、REITの相場は以下のように推移しています。
出典:SBI証券
東証REIT指数は、2020年2月21日(金)には年内の高値である2,255を記録しましたが、その後2020年3月19日(木)には、半分近い1,138まで下落しました。
わずか1ヶ月で、約50パーセントもREIT指数は低下したのです。
その後、割安感もあって買い戻しが入り、2020年3月27日(金)時点では1,541と、2020年の高値から33パーセントほどの下落に戻りました。
リーマン・ショック時との比較
21世紀に入ってから発生して世界的な経済危機といえば、2008年の「リーマン・ショック」です。
その際のREITの相場の変化を見てみましょう。
出典:ファイナンシャルスター
上のグラフのようにリーマンショック前の高値2,600から約2年で70パーセントも下落しました。
まだ2020年のコロナショックの方が落ち幅は小さいですが、コロナショックは2020年3月時点では進行中であり、どこまで経済に影響を与えるのかは未知数です。
まだ楽観視はできないでしょう。
REITが下落する原因
2020年3月にREITが大きく下落した要因は次の2つの理由が考えられます。
- 価格の割高感があったから
- パニック時の資産の現金化のため
原因①:価格の割高感があったから
まず、REIT相場は2012年以降は毎年上昇傾向にありました。
そのため、上昇を見込める投資先として投資家からの人気が集中しており、この下落相場で、利益確定のタイミングと判断し売却した投資家が多数いたことが考えられます。
原因②:パニック時の資産の現金化のため
もう一点が、暴落時に発生しがちなパニック状況下における「資産の現金化」が全面に出たことです。
コロナショックの影響がどの程度続くのか、どの程度の拡大するのかわからない状況下では、「いったんREITを現金に替え、さらに相場が下がった時に買えるようにする」と考えるた投資家も多く現れたのでしょう。
REIT市場が低迷するとどうなる?
コロナショックにより、REIT市場は2020年2月から3月にかけてのわずか1ヶ月で50パーセントも下落しました。
株式市場は2020年2月から3月で約30パーセントの下落ですから、REITは株式市場よりボラティリティが高いと言えます。
では、REIT市場が大きく下落することで、どういった影響が生まれるでしょうか?
影響①:利回りは一時的に上がる
REITは、所有するだけで定期的に配当を受け取れます。
そのため、REITが暴落すれば利回りが一時的に上昇します。
例えば、価格が100万円、年間配当が5万円のREITがあったとします。
利回りは次のように計算されます。
- 5万円(配当)÷100万円(価格)= 5%
しかし、REITが暴落で50パーセント値下がりすれば、REITの価格は50万円になります。
つまり、利回りは次のようになります。
- 5万(配当)÷50万(価格)= 10%
価格が下落すれば、REITの利回りが大きく上昇するのです。
ただし、REITの運用結果が悪化すれば配当も見直されるため、しばらくすれば利回りは下方修正に修正される可能性が高いです。
影響②:破綻するREITが現れる
REITの価格下落ががこのまま続けば、破綻するREITが現れる可能性があります。
リーマンショック際にも、破綻するREITがありました。
特に、ホテルやリゾート物件など、観光需要に売上を依存しているREITは、各国が国外へに移動を封鎖している昨今、売上が低迷する可能性が非常に高いです。
その結果、収益が下がり、また売却価格も下がってしまい、今後破綻してもおかしくありません。
一方で、マンションのような日本人の居住需要がある物件の運用REITは、大きく収入が下落することもなく、安定した配当を期待できるでしょう。
他の不動産系の投資への影響
REITは、コロナショックにより大きな影響を受けました。
では、他の不動産関係の投資手法は、コロナショックでどのような影響を受けるでしょうか?
不動産投資
不動産投資は、運用する物件の種類でコロナショックの影響は大きく異なることが予測されます。
民泊やホテルなど、観光客に売上を依存していた物件は、観光客が回復するまで大きく価格が下がりまた運用益も下がるでしょう。
一方で、家賃収入を目的とした居住用マンションやアパートは、大きく収入が下がることはないでしょう。
むしろ、宿泊施設を手放した投資家の資金が流入し、値上がりする可能性もあります。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングも、不動産投資と同じく観光施設運用案件は大きな影響を受けるでしょう。
ホテルや宿泊施設運営型の不動産投資型クラウドファンディングは、大幅な収入減少により、投資家への配当金減少、また売却時の値下がりで投資家の損失が発生する可能性があります。
一方で、マンション購入型のクラウドファンディングの場合は家賃収入が下がらないので、ほぼ影響がないものと見られます。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングでも、不動産運用系の案件が多数存在しています。
ホテルや宿泊施設の運用資金融資案件は、融資先の倒産、営業成績の悪化で配当金の減少や貸し倒れ、返済遅延が発生する可能性があります。
一方、居住用マンション案件であれば、不景気でも家賃相場の下落は起こりにくいこともあり、手堅い配当を見込めるでしょう。
まとめ:総論
コロナショックの影響はどこまで拡大するのか、先が予測できないため各国の経済市況に大きな不安を与えています。
ただし、大きく相場が下落したREITも、2020年3月4週目は割安感もあったのか大きく上昇しました。
REITは、しばらく大きな下落と上昇を繰り返す不安定な相場となりそうです。
短期での利益ではなく長期運用を志向する人にとっては、今は安くREITを購入できるチャンスかもしれません。
5年や10年はREITを保有できるぐらい資金に余裕のある人、インカムゲインを得ていきたい人は、REITの購入を検討してみてはいかがでしょうか?
そして、ホテル運用REITは避け、マンション運営REITや物流倉庫REITなど、景気の影響を受けにくい物件を選べば、比較的安定した収入を期待できそうです。