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REIT市場が2020年3月に大暴落
コロナウイルスの全世界的な流行により、世界各国の経済に大きな影響が生まれています。
それは、日本でも例外ではありません。
そこで、不動産を投資対象とした「REIT(不動産投資信託)」と「不動産投資型クラウドファンディング」への影響を確認しながら、投資の可否を検討してみました。
東証REIT指数は30%以上の下落
コロナウイルスは、REITにも大きな影響を与えています。
REITの取引価格の推移を示す指標である東証REIT指数(東証に上場しているJ-REIT全銘柄を対象とした「時価総額加重型」の指数)は、2020年2月6日(木)には、直近の最高値として2,300近い指数となっていましたが、2020年3月17日(火)の終値は1,530と、実に30パーセント以上も数字を下げています。
出典:SBI証券
2ヶ月にも満たない期間でこれほどの下落を見せている今の状況は、株式市場の値下がりなどとも合わせて、コロナ不況と言うにふさわしいかもしれません。
リーマンショック時(2008年)との比較
直近の大型不況といえば、2008年9月に起こったリーマンショックのことを思い浮かべる方が多いでしょう。
報道などにおいて、今回のコロナ不況とリーマンショックを比較する声はよく聞かれます。
では、リーマンショック時の東証REIT指数の下落を見てみましょう。
出典:ファイナンシャルスター
2008年3月時点の東証REIT指数が1,500前後であったのに対し、2009年3月前後では750前後にまで落ち込んでいます。
高値からの下落割合で見れば、約50パーセントにまで落ち込んだリーマンショックの方が影響が大きいといえますが、下落指数だけに着目すればコロナ不況は770とリーマンショック時に落ち込みを上回ってます。
2020年4月以降への影響
2020年3月18日(水)現在、コロナ不況が収束する目処は立っておらず、これ以上の下落が起こる可能性もあるでしょう。
各国とも積極的な経済支援策を打ち出していますが、コロナウイルスへの有効な対抗策が見つからない限りは経済市況への不安が消えず、各種の相場は下落と上昇を繰り返す不安定な状況が続きそうです。
コロナ不況の不動産投資型クラウドファンディングへの影響
安定性が高いとも言われていたREITですが、コロナ不況による下落の大きさを見る限り、株価などと同程度にボラティリティは高く、損失が起こる可能性を十分にはらんでいます。
一方、REITと同じく不動産を運用して投資家に配当を行う「不動産投資柄クラウドファンディング」にも、コロナ不況の影響はあるのでしょうか?
影響①:ホテルや宿泊施設
まず考えられるのが、ホテルや宿泊施設を対象とした不動産投資型クラウドファンディング案件の海外からの観光客数の減少による収益性の低下です。
沖縄観光コンベンションビューローでは、2020年2月の観光客数の下落を前年比23パーセント(約18万人減少)と試算しています。
さらに、2020年3月から5月では「59.パーセント減少(152万人減)」との見込みを立てており、その影響は甚大なものがあります。
日本全国のホテルの収入が大幅に減少することは、ほぼ間違いないと言えるでしょう。
影響②:CREAL(クリアル)のリゾートホテル案件が客数の減少を報告
クラウドアンサーでは、CREAL(クリアル) が提供する千葉県房総版とのリゾートホテル「ちくらつなぐホテル」への投資を行っています。
最新版レポートはこちらから:
ちくらつなぐホテルからは毎月の客数などの運営状況レポートが送られてきますが、2020年2月は宿泊客数が大きく減少したとのレポートがありました。
レストランや温泉など近場の居住者たちが利用する施設の需要はありますが、外国人観光客は大きく減少していることが報告されています。
クリアルでは浅草の外国人向けホテル案件などの提供していますが、おそらくそちらでもかなりの客数減少が起こっているものと思われます。
影響③:賃貸住宅
賃貸住宅市場への影響は、ほぼないものと考えられます。
まず、賃貸住宅に住むのはほとんど日本人であり、外国人需要に依存していません。
また、家賃相場は市況の影響を受けて大きく下落しないことは、バブル経済の崩壊やリーマンショック時の状況を見ても明らかです。
住宅は、人がいる限り必ず需要があるだけに、相場が大きく上がることも落ちることも起こりにくいのです。
今回のコロナ不況でも、不況で家賃相場が下がる、また東京から多くの人が流出するという話はまったく出ていません。
賃貸住宅需要は変わらぬものがあり、今後も手堅く維持されているものでしょう。
影響④:マンション運営型不動産投資型クラウドファンディング案件
賃貸需要は手堅いだけに、マンションを運営するタイプの不動産投資型クラウドファンディング案件への影響も軽微だと思われます。
マンション運営型の不動産投資型クラウドファンディングは、家賃収入を投資家に分配するタイプのものが多いです。
空室が発生し家賃収入に変動が起こらない限りは、予定どおり配当が行われるでしょう。
一方で、マンションを購入しリフォームして価値を高め、売却益を分配するタイプの不動産投資型クラウドファンディング案件には、小さくない影響があるものと思われます。
不動産市場が不況に陥れば、マンションの価格相場が下落し、想定していた価格で売れなくなるかもしれません。
配当自体は手堅く行われながらもマンションを売却し、投資家に元本を返済するときに損失が発生する可能性があります。
ただし、それでも想定価格の半分でしか売れなかったということは考えにくいです。
ある程度の下落が起きてもホテルなどの宿泊施設に比べれば、コロナ不況の影響は軽微でしょう。
総評
REITの相場が2ヶ月もしないうちに30パーセント以上下落していることを考えると、コロナ不況が不動産市場に与える影響は、決して小さくないものだと考えられます。
不動産投資型クラウドファンディングでも、ホテルや宿泊施設の運営案件では観光客数が大きく下落していることもあり、配当の減少はかなり高い確率で起こりそうです。
短期間で不況が解決しなかった場合、元本の損失まで起こり得るでしょう。
一方で、マンションを購入運営するタイプの不動産投資型クラウドファンディング案件は、賃貸需要が手堅いこともあり投資先としての安定性は高いものだと見られます。
不動産市況の影響を受け図に安定した収入を求めるのであれば、マンション投資型のクラウドファンディング案件に投資する方が良いでしょう。
まとめ
コロナ不況は2020年3月中旬現在収束が見えず、どれほど世界経済への影響があるのか、誰にも予測がつくものではありません。
そんな不況時でも、マンション運営型の不動産投資型クラウドファンディングは手堅い投資先だと言えるでしょう。
宿泊施設を運営するタイプの不動産投資型クラウドファンディングは、観光客のインバウンド需要に収益を大きく依存しているため、観光客が激減してしまえば損失が発生する可能性が高いです。
リスクを低減したいのであれば、次の2つの選択を取ると良さそうです。
- マンション投資型のクラウドファンディングに投資する
- 劣後出資割合の高い不動産投資型クラウドファンディングに投資する
これから不動産投資型クラウドファンディングへの投資を検討する方は、コロナ不況だと言われている間はマンション運用型案件への投資を行うと良いかもしれません。
CREALでは、ホテル以外にもマンション運用型の不動産投資型クラウドファンディング案件も扱っています。
興味のある方は、こちらの記事をチェックしたり、無料の口座開設をしてみると良いでしょう。
なお、こちらでは日経平均株価の暴落とともに、コロナショックが「ソーシャルレンディング」へ与える影響を解説しています。