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2020年3月時点でのコロナショックの影響
中国・武漢から発生し、今や全世界に広まりつつある新型コロナウイルス。
各国の経済活動は新型コロナウイルスの流行抑制のために沈静化しており、その結果株価などにも大きな影響が生まれています。
この新型コロナウイルスによる経済への影響は、今や「コロナショック」と呼ばれるほどになり、その影響はリーマンショックを上回る可能性もあると言われるほどです。
コロナショックはソーシャルレンディングにも影響を及ぼすのか、その影響力を探ってみました。
日経平均株価は1ヶ月で1/3ほど下落
新型コロナウイルスの影響が如実に現れているのが、各国の株価です。
出典:SBI証券
日経平均株価は、2020年1月17日(金)に直近の最高値である24,115円を記録しました。
そこから、わずか1ヶ月半で17,000円前後まで下落しました。
2020年3月19日(金)の終値は16,552円であり、下げ止まる様子は現段階で見られません。
時折反発こそあるものの、乱高下を繰り返し徐々に株価は低迷を見せており、アベノミクス前後の水準まで戻ることも予測されています。
REIT指数は1ヶ月で1/2ほど下落
REIT(不動産投資信託) の相場も、株価以上に大きく下落しています。
出典:SBI証券
REIT指数を見てみると、2020年2月中旬には直近の最高値として2,250前後の数字を付けていました。
しかし、わずか1ヶ月後である3月中旬には、最高値から約半値の1,150まで数字が低下しています。
そして、まだ下げ止まる様子は2020年3月19日(金)現在見られません。
コロナショックが不動産市況に対しても大きな影響を与えていることが見て取れます。
手堅いと言われる金相場も約10%下落
手堅い投資先と言われる金相場も、ここ一か月ほどで約10パーセント下落しています。
出典:田中貴金属
金は地球上の総量が限られており、増える見込みがない資産として、基本的に資産価値は上がっていく投資対象です。
そのような希少性の高い資産ながら、ここ1ヶ月では約10パーセントも取引価格が下落してます。
手堅い投資対象からも投資資金が流入し、一旦資産を現金へ戻す人が増えているということが見て取れます。
ソーシャルレンディング投資への影響は?
当サイト「クラウドアンサー」を見ている方にとって、最も気になるのが「ソーシャルレンディングに与える影響」でしょう。
2020年3月時点では、コロナショックはソーシャルレンディングに対してどのような影響を与えているのでしょうか?
わかっていること、考えられる影響をピックアップしてみました。
影響①:Funds(ファンズ)は現時点での影響なしと発表
投資のオンラインマーケット「Funds(ファンズ) 」では、2020年3月19日(金)に投資家に対して、次のようなメールを送信しました。
現在、新型コロナウィルスの世界的流行をうけて、
株価が大きく変動するなど金融市場へも影響が出ている状況です。 Fundsで募集しているファンドは、
利回り予定型の商品のため、 株価のように相場の変動がないという特徴がございます。 また、
もし仮に出資対象事業が外部環境の影響を受けた場合であっても、 Fundsでは上場企業グループ全体の与信に紐づくスキームを採 用しているため、 上場企業グループがデフォルトする事態にならない限り元本償還が 行われます。 そのほか、
組成企業を上場企業グループに限定していることに加えて、 従来より、 事業計画に対して突発的な景気変動を織り込んだ慎重なシナリオ分 析を実施し、その結果得られたキャッシュフロー予測をもとに、 募集の可否を決定しております。 今回のような情勢においても、
上場企業は各取引所のルールに基づき情報開示を行っており、 投資家の皆様もご自身で対象上場企業の財務状況を確認していただ くことが可能です。 なお、
念のため3月18日時点で配当や償還に影響が出るような事象は発 生していないことを申し添えます。
運用中のファンドについて、配当又は償還の遅延という問題が生じる可能性を当社が感知した場 合には、速やかに投資家の皆様にご報告いたします。 今後もご提供できるファンド数を増やすべく、
鋭意準備を進めている状況ではございますが、 新型コロナウィルスによる影響も踏まえながら、 より慎重に審査を進めてまいります。
Funds(ファンズ)のソーシャルレンディング案件は、事業資金の融資が中心であり、その融資先も一定の規模のある上場企業中心です。
そして、ソーシャルレンディングは貸付金地が投資家に配当されるため、相場により収益が変動することはありません。
怖いのは融資先の返済リスクですが、Funds(ファンズ)の融資先においては、返済が難しくなる事態には至っていないということです。
ただし、あくまでも2020年3月の時点での報告であり、4月、5月と今後どうなるかは不明です。
影響②:不動産短期運用案件は売却価格低下リスクの可能性
ソーシャルレンディングの案件中でも特に多いのが、 不動産を購入し運用や売却益を投資家に分配する案件です。
短期間での売却を狙うソーシャルレンディング案件では、売却価格が低下するリスクが考えられるでしょう。
例えば、3ヶ月運用案件の場合、運用開始から3ヶ月以内に不動産の売却を行う必要があります。
しかし、今から3ヶ月後にコロナショックが収束している可能性は低いと言わざるを得ません。
そして、2020年3月時点では、投資家の資産から現金に戻す風潮が生まれています。
そのため、不動産投資の勢いが強まり、相場が下落する可能性も予測できます。
不動産相場が下がることで、当初想定の売却価格にならず投資家に満足に資金を返済できないことも起こり得るでしょう。
影響③:不動産長期運用案件のは融資先倒産リスクが発生
不動産投資の長期運用案件の場合はどうでしょうか?
1年間など一定期間不動産を運営する案件であれば、1年後にコロナショックはある程度の収束を見せている可能性が高いです。
SARS(サーズ)など、これまでの新型ウイルスの流行時もおよそ半年から1年ほどで収束しています。
長期案件であれば、運用期間中にコロナショックで一度下落した不動産相場が回復する可能性も期待できます。
ただし、問題はソーシャルレンディング案件の運用期間中の融資先の「企業倒産リスク」があります。
すでに、観光業ではコロナショックによる観光客数の減少で倒産企業が現れています。
不動産業界にも、そういった影響が生まれる可能性があります。
体力のない融資先の場合、収入減で倒産することも考えられるでしょう。
コロナショックの影響を受けにくいソーシャルレンディング案件は?
では、逆にコロナショックの影響を受けないソーシャルレンディング案件は、どういったものが考えられるでしょうか?
クラウドアンサー独自の分析ですが、ピックアップしてみました(成功を保証するものではありません)。
①自然由来エネルギー案件
太陽光発電やバイオマス発電など、自然由来エネルギーによる発電施設の運営案件です。
これらの事業は、発電された電力を国が一定価格で買い取ってくれる保証が付いています。
施設が予定どおり稼動し発電が行われていれば、収入が下がらず景気の影響を受けません。
そのため、運用期間中は投資家に配当金が振り込まれる可能性は高いと言えます。
また、長期運用案件が多いこともメリットです。
運用期間終了時にはコロナショックも解消している可能性が高く、発電施設を予定どおりの価格で譲渡できます。
そのため、投資家にはきちんと元本を返済できるでしょう。
②居住用不動産運営案件
居住用不動産案件も、コロナショックの影響を受けにくいと言えます。
居住用不動産案件は「家賃収入」が収益源なので、人口が大きく減らない限りは収入が変わりません。
「バブル経済の崩壊後」や「リーマンショック後」でも、家賃相場は下がらず東京から人が出ていくこともありませんでした。
人がいる限り必ず必要な「家」が運用対象だけに、収入自体は手堅いものがあるのです。
一方で、「テナント」や「宿泊施設案件」の場合は、景気や観光客数の減少の影響を受けるので安定性が高いとは言えません。
そのような案件のリスクは小さいとは言えないでしょう。
実際に、クラウドアンサー編集部で投資している不動産投資型クラウドファンディング「CREAL(クリアル)」のホテル案件では、やや影響が見られます。
③軍用地担保案件
軍用地担保案件も、非常に手堅い案件の一つと言えます。
軍用地は個人の土地を国が借り受け、アメリカ軍に貸し出しています。
つまり、日本国が賃料を支払ってくれている土地なのです。
その収入は非常に手堅いものがあり、不況の影響は受けることはほぼないでしょう。
軍用地案件に関しては、こちらでより詳しく解説しました。
まとめ:総評
コロナショックが世界経済にどの程度の影響を与えるのか、いつ収束するのかそれはまだ誰にもわかりません。
日本ではある程度拡散を抑えることに成功していますが、2020年3月時点では、ヨーロッパでも流行を見せており、今後も拡大する可能性があります。
一方で、コロナウイルスを抑制する特効薬が開発されれば、その影響は一気に収まる可能性もあります。
景気の落ち込みからの回復も早いと予測できます。
ソーシャルレンディングに関しては、手堅いのは景気の影響を受けにくい案件は次の3種類だと考えられます。
- 自然由来エネルギー案件
- 居住用物件案件
- 軍用地案件
逆に、リスクが高いものは、中小企業に対する融資案件など、融資先の倒産が考えられる案件です。
そのような案件は、コロナ不況が続いている間は投資を避けた方が良いかもしれません。
融資先の企業がどういった企業か、そういった点を見定めながら投資の可否を検討していくと良いでしょう。
こちらはでは、2020年3月に暴落を見せた「REIT」に触れながら、「不動産投資型クラウドファンディング」に与えるコロナショックの影響を独自に分析しています。