日本でも定着してきた投資手法であるクラウドファンディング。
ただ、一口に「クラウドファンディング」と言っても、実はさまざまな種類があります。
お金を集める目的や資金の用途も異なりますし、投資した人に対するリターンの種類も異なります。
そこで、クラウドファンディングに投資することで得られるリターンの種類を挙げてみました。
これからクラウドファンディングを通じた投資をしたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
現金収入
投資である以上、クラウドファンディングにも大半の人は現金による収入を求めることが多いのではないでしょうか?
そこで、投資することで投資額以上のリターンを得られるクラウドファンディングの種類を紹介しましょう。
①貸付型クラウドファンディング
貸付型クラウドファンディングは、投資家から少額ずつ集めたお金を資金を、必要とする事業者に融資することで金利収入を得ることを目的としたクラウドファンディングです。
別名、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれます。
ソーシャルレンディングは不動産の購入の際によく利用されています。
例えば、1億円の不動産を購入して、利益を出そうとしている不動産会社があったとします。
しかし、その不動産会社には1億円の現金がありません。
そこで、不動産会社はソーシャルレンディング会社に頼み、「ソーシャルレンディング経由で資金を集めてくれないか?返すときには1億1,000万円にして返済する」といった約束を取り付けます。
そこで、ソーシャルレンディング会社は投資家に対し、1億円の募集と金利10パーセントが得られるという案件を告知します。
複数の投資家が少しずつお金を出し合い、集まったお金をソーシャルレンディング会社は不動産会社に融資します。
融資の際に、元本の10パーセントである1,000万円の金利が上乗せされ、返済される際は1億1,000万円になります。
投資家に対しては、定期的に金利を分配し、運用期間が終わり次第元本が返済されます。
金利収入であるため収入は安定していますが、運用途中でのキャンセルができないというデメリットがあります。
また、貸し倒れが起きたさいのリスクがあります。
担保がしっかりしていれば、貸し倒れが起きても融資したお金の大半を回収することはできます。
ただ、担保の価値が曖昧であったり、担保が実在が存在していなかったという悪質な案件があるため注意が必要です。
ソーシャルレンディングは、「貸金業法」と「第二種金融商品取引業法」によって運用されるクラウドファンディングです。
これからの法整備が望まれているクラウドファンディングの一つです。
②ファンド型クラウドファンディング
ファンド型クラウドファンディングは、投資家から集めたお金で事業を運営し、その事業による収益を投資家に対して分配する仕組みです。
アプリやサービスの開発、画期的な商品の開発といったプロジェクトにおいて、ファンド型クラウドファンディングはよく利用されます。
過去には、集めたお金でゲームを開発し、そのゲームの売上を投資家に還元するというクラウドファンディングもありました。
ファンド型のクラウドファンディングは、事業の成功により莫大なリターンが望めることもありますし、損失が生まれることもあります。
ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)と比較すると、収益の確実性が低い代わりに、当たったときの実入りも大きいことが特徴だと言えるでしょう。
収益の情報などは公開されているため、自分できちんと運用事業の内容を確認し、本当に成功しそうなものかを判断してから投資する必要があります。
③株式投資型クラウドファンディング
上場前であまり資金がない企業の株式を購入できるのが株式投資型クラウドファンディングです。
株式投資型クラウドファンディングは、「貸付型」「ファンド型」と比較して、最もギャンブル性が高いと言えます。
リターンとして直接現金が得られるというよりも、株を購入した会社が上場した場合に、株価が一気に上昇した際に株式を売却してその売却益を得ることを目的としています。
そのため、もし株式を購入した企業が上場することなく廃業してしまった場合には、せっかく購入した株式は無価値になってしまうこともあり得ます。
株式投資型クラウドファンディングの提供を行っているサイトも数多くありますが、投資家に対してできるだけ確実性のある収益を提供するために、IPO(Initial Public Offering:株式公開)に携わってきたスタッフが募集先の会社の厳正な審査を行っています。
投資先の会社の事業の将来性、成長性など自分でもきちんと判断してから投資しましょう。
コンテンツや商品
現金ではなく、コンテンツや商品などをリターンとするクラウドファンディングもあります。
それぞれ解説していきましょう。
①購入型クラウドファンディグ
購入型クラウドファンディングは、投資したお金に対し、資金を募集した事業者は、商品やサービスをリターンとして提供するものです。
例えば、映画の製作費を集めるクラウドファンディングの場合、お金を投資家に対して返すのではなく、映画の完成そのものがリターンとなります。
付加価値としてスタッフロールに名前を入れたり、映画監督と歓談の機会を持てたり、イベントに招待されるといったものがあります。
また、購入型クラウドファンディングは、商品開発プロジェクトでもよく利用されています。
リターンを求めるというよりも、「その事業にかけた想いを伝えたい」「世の中を良くするプロジェクトに投資したい」という人向けでしょう。
②寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングの中でも、ふるさと納税に関するクラウドファンディングサイトでは、各自治体が用意した返礼品をリターンとしてもらうことができます。
地元の名産品や特産品作物などがリターンであるほか、過去にはふるさと納税目当てに金券などを用意していた自治体もありました。
あまりにもエスカレートしたため、返礼品の金額は国からの通達により制限がかけられるようになっています。
それでも、寄付型クラウドファンディングは節税効果がありますし、地元の名産品などをもらうことができるメリットがあります。
自分の故郷だけではなく、名産品を求めてさまざまな自治体に寄付を行っても良いでしょう。
特にリターンなし
ほとんどリターンのないクラウドファンディングもあります。
それは、寄付型の場合です。
①寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングには、リターンを求めるものではなく、純粋に公共事業の運営・公共施設の開設に関する資金を集めるためのものがあります。
寄付することで社会貢献を行った満足感を得られる点が、クラウドファンディングのリターンだといえるでしょう。
自治体だけではなく、公益法人などへの寄付であれば、一定額が控除対象となるので節税効果がるというメリットもあります。
まとめ
リターンの種類別にクラウドファンディングを解説しました。
投資目的のクラウドファンディングを利用するのであれば、「貸付型」「株式投資型」「ファンド型」を選ぶようにしましょう。
その他のクラウドファンディングは現金でのリターンは得られないため、パトロン的な意味合いが強いです。
また、「貸付型」「株式投資型」「ファンド型」もそれぞれリターンやリスクが異なるため、各特性を確認してから投資するようにしましょう。
クラウドファンディングの種類と特徴は、こちらを参照してください。