目次
クラウドファンディングでできる不動産投資とは
近年、新しい不動産投資の形として「不動産投資をクラウドファンディングで行う」投資法が注目されています。
とはいえ、手軽に不動産投資できる手法といえばREIT(不動産投資信託)が有名ですし、ソーシャルレンディングでも不動産事業に投資することは可能です。
クラウドファンディングでの不動産投資は、REITやソーシャルレンディングとは何が違うのか、そして仕組みはどうなっているのでしょうか?
今回は、クラウドファンディングで不動産投資を行う仕組みと、REIT・ソーシャルレンディングとの違いを解説していきます。
不動産投資ができるクラウドファンディングサイトのおすすめもご紹介していきますので、興味がある人はぜひ参考にしてください。
クラウドファンディングで行う不動産投資の仕組み
クラウドファンディングで行う不動産投資の仕組みは、「不特定多数の投資家から集めた資金を元手に資金需要者が不動産投資を行い、その運用益を投資家に分配する」というものです。
不特定多数の人から資金を集めるという仕組みは、クラウドファンディングならではです。
ただ、クラウドファンディングで不動産投資を行う場合、そのスキームは大きく分けて3つあります。
クラウドファンディングという大きな仕組みの中に、ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングのスキームがあるということです。
- 不動産投資型クラウドファンディング:資金需要者とサイト運営業者が同じで、サイト運営事業者が不動産投資を行うスキーム。
- ソーシャルレンディング:資金需要者とサイト運営事業者が異なり、資金需要者はサイト運営事業者に資金の融資を受けて不動産投資を行う。
- SPC活用スキーム:資金需要者とサイト運営事業者が異なり、出資契約は資金需要者と投資家の間で締結される。単数あるいは複数の特別目的会社(SPC)を経由して不動産投資が行われることが特徴。
それぞれのスキームについて、詳しく解説していきましょう。
1.不動産投資型クラウドファンディング
サイト運営事業者自らがサイトで資金を募集し、不特定多数の投資家から資金を集める手法です。
サイト運営事業者は集めた資金を元手に不動産投資を行い、その運用益を投資家に分配するという仕組みになっています。
投資対象の企業や不動産が明確でわかりやすいのが特徴で、人気を集めています。「不動産投資型クラウドファンディング」と言えば、この手法を指すのが一般的です。
不動産投資型クラウドファンディングの手法を採用しているサイトには、「クリアル(CREAL)」や「ファンタスファンディング(FANTAS funding)」などがあります。
2.ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、別名「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれており、サイト運営事業者が別の資金需要者に資金の貸付(融資)を行うことが大きな特徴です。
ソーシャルレンディングの場合、不動産投資事業を行いたい資金需要者はサイト運営事業者より資金の融資を受けて不動産投資を行い、融資の利息をサイト運営事業者に支払います。
サイト運営事業者は資金需要者から受け取った利息を投資家に分配する仕組みです。
- 不動産の運用益が利息という形で支払われること、
- 法規制により、資金需要者の情報を積極的に得ることができない(サイト運営事業者によっては、資金需要者の情報を公開している場合もあります)こと
の2点が不動産投資型クラウドファンディングとの大きな違いです。
ソーシャルレンディングの手法を採用しているサイトには、「SBIソーシャルレンディング」や「オーナーズブック(OwersBook)」などがあります。
【SBIソーシャルレンディング】
3.SPC活用スキーム
SPC活用スキームでは、不動産と投資家を結ぶために特別目的会社(SPC)が利用されることが大きな特徴です。
資金の募集はSPCから委託を受けたサイト運営事業者が行いますが、投資家と実際に出資契約を結ぶのはサイト運営事業者ではなくSPCです。
少しややこしい方法なので、不動産投資型クラウドファンディングやソーシャルレンディングに比べて採用しているサイトは少なく、一般的な認知度も低い状況です。
SPC活用スキームを採用しているサイトには「ビットリアルティ」があります。
ビットリアルティでは、ファンドの募集はサイト運営事業者であるビットリアルティが行いますが、各ファンド(投資商品)ごとに別々に口座を開設し、資金管理を別々にしています。
ソーシャルレンディングとの違い
先ほどお伝えしたように、ソーシャルレンディングも不動産投資型クラウドファンディングも基本的な仕組みは同じですが、細かいスキームが異なります。
不動産投資型クラウドファンディングとソーシャルレンディングでは、
- 資金需要者
- 利益
という大きな違いがあるのです。
ソーシャルレンディングの場合、資金需要者はサイト運営事業者ではなく「第三者の中小企業」です。
また、ソーシャルレンディングの利益はあくまで資金需要者が支払う利息で成り立っています。
そのため、資金需要者がどのような企業なのか、投資対象物件の情報はどうなっているかが気になるポイントです。
しかし、ソーシャルレンディングは借り手保護の法規制が関わるため、対象不動産やその事業を営む第三者(資金の借り手)情報が明確でないことが多々あります。
この点は、不動産投資型クラウドファンディングと比べて明らかに不利なデメリットでしょう。
ただし、ソーシャルレンディングでは最近、金融庁が借り手企業の情報公開を認める発表をしました。
最近は借り手企業の情報公開に踏み切る事業者が増えており、今まで足かせだった「物件情報が明確でない」いうデメリットは薄れていくことになるでしょう。
REIT(不動産投資信託)との違い
REITとは、不動産を投資対象とする投資信託のことです。
投資のプロである運用会社がオフィスや商業ビルなどの不動産を投資対象としたファンドを作り、投資家はそのファンドを購入することで、不動産投資の利益を投資信託という仕組みを通じて受け取ることができます。
不動産の購入や管理は不要で、少額から不動産投資できるという仕組みは不動産投資型クラウドファングと同じです。
しかし、REITは投資信託という「金融商品」であり、不動産クラウドファンディングは「一つのプロジェクト」に投資するという手法です。
そのため、
- REITの場合、最低投資額は数万円~数十万円で、投資対象不動産は分散されている。投資信託のため資産価値は日々変動するが、好きなタイミングで自由に売買できる。
- 投資型クラウドファンディングの場合、最低投資額は1万円で、投資対象不動産は一つの物件に限定されている。募集開始時期と投資期間が決まっているため、自由に売買できない。資産価値の変動はなく、運用がうまくいけば約束されていた利回りの分配金が得られる。
という違いがあります。
不動産投資型クラウドファンディングの場合は投資対象の物件が明確で、「一つの物件に投資するプロジェクトに賛同した複数の投資家が資金を投入し、参加する。途中離脱は不可能」という仕組みです。
しかし、REITは投資信託と同様に市場で自由に売買できるため、途中換金は自由です。
ただし、市場の動向により資産価値は日々変動するという特徴があります。
一見仕組みが似ているようで、実は結構大きな違いがあるREITと不動産投資型クラウドファンディング。
それぞれの良さがあるため、自分の価値観や投資スタイルに適した投資法を選択しましょう。
不動産投資ができるクラウドファンディングサイト・おすすめ4選
不動産投資ができるクラウドファンディングサイトのおすすめを4つ厳選してご紹介します。
①オーナーズブック(Owersbook)
オーナーズブックは、「ソーシャルレンディング」と「SPCスキーム」案件を取り扱う、不動産投資専門のクラウドファンディングサイトです。
オーナーズブックの運営は、不動産とテクノロジーの融合を目指す東証マザーズ上場のロードスターキャピタル株式会社が運営しています。
上場企業運営という安心感に加え、不動産鑑定士などの資格を持つ不動産のプロが経営陣であること、全件不動産担保付きという保全性の高さが魅力です。
②クリアル(CREAL)
出典:CREAL(クリアル)
クリアルは、「不動産投資型クラウドファンディング」スキームを利用した不動産投資専門のクラウドファンディングサイトです。
サイト運営会社である株式会社ブリッジ・シー・キャピタルは、運用資産残高約300億円の不動産アセットマネジメント会社であり、いわば不動産の専門家です。
ソーシャルレンディングスキームの場合、資金の借り手企業や物件情報を詳細にできないという足かせがありますが、クリアルはソーシャルレンディングではないため、オープンに物件情報を公開できることが強みです。
不動産投資のプロが厳選した案件であること、億を超える大型案件も多く取扱いがあり、1万円から投資できる手軽さが特徴です。
ファンタスファンディング(FANTAS funding)
出典:FUNTAS funding(ファンタスファンディング)
ファンタスファンディングもクリアルと同様に、「不動産投資型クラウドファンディング」のスキームを活用した不動産投資専門のクラウドファンディングサイトです。
ファンタスファンディングの運営会社はFANTAS technology(ファンタス テクノロジー)株式会社で、クラウドファンディングサイトの運営の他、不動産投資の情報メディア運営なども行っています。
ファンタスファンディングの特徴は、空き家再生案件や中古物件のリノベーションなど、低価格で購入した物件を投資用不動産として再生させて運用させる手法です。
安く買って高い運用益を出す不動産に再生させる手法なので、比較的高めの利回り(7パーセントから8パーセント)の案件も多くあります。
また、一部の案件については条件付きで途中解約ができるなど、他のサイトにはない仕組みも用意されているのがうれしいポイントです。
④bitREALTY(ビットリアルティ)
出典:bitREALTY(ビットリアルティ)
ビットリアルティは、「SPCスキーム」案件を取り扱う、新しいタイプの不動産投資専門のクラウドファンディングサイトです。
ビットリアルティは東証1部上場企業のケネディクス株式会社と、日本最大手シンクタンクの株式会社野村総合研究所が共同で設立しました。
有名企業が共同設立ということで、サイト開始前から大きな注目を集めていたサイトです。
ビットリアルティの特徴は、先ほど説明したSPCスキームを活用している点です。
ファンドの資金管理を分別して運用先を明確にし、投資先不動産を証券化することで事業会社など関係者の倒産リスクを回避した運用が可能です。
不動産のプロであるケネディクスが関わっていることで信頼度が高いのが魅力ですが、最低投資額が100万円なので投資のハードルは高めです。
まとめ
クラウドファンディングで不動産投資を行う方法や仕組みなどを説明してきました。改めて重要なポイントをまとめると、次の4点です。
- クラウドファンディングでの不動産投資は、「不特定多数の投資家から資金を集め、資金需要者が不動産投資を行った結果、その運用益を投資家に分配する」仕組み。
- 不動産投資ができるクラウドファンディングのスキームは3つ(※一般的に「不動産投資型クラウドファンディング」と呼ばれるのは1.のスキーム)。
- 不動産投資型クラウドファンディング(サイト運営事業者と資金需要者が同じ)
- ソーシャルレンディング
- SPC活用スキーム
- ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングは大枠の仕組みは同じだが、資金需要者が違うため細かいスキームが違う。物件対象や資金需要者の情報が明確なのは不動産投資型クラウドファンディング。
- REITと不動産投資型クラウドファンディングは投資額の大きさや売買の自由度、投資対象など違う点が多いため注意が必要。
長期で安定したリターンを得られる不動産投資を、「比較的少額で手間をかけずに投資できる」ようにしたのが、クラウドファンディングで行う不動産投資です。
どのスキームであっても、不動産投資をより手軽にできる利便性は同じです。
ご紹介したスキームごとの違いを理解したうえで、自分に適したクラウドファンディングを利用し、不動産投資にチャレンジしてください!