近年、投資関係で注目を集めている投資の一つに「ESG投資」があります。
しかし、用語としては聞いたことはあるものの、具体的にESG投資とは何を投資対象としているのか、またどういったメリットがある投資なのかまでは理解していない方は多くはないでしょう。
そこで、ここではESG投資とは一体どんな投資であるのかををわかりやすく解説するともに、ESG投資を行う意味を解説していきます。
目次
ESG投資とは何?わかりやすく解説!
ESGとは、3つの用語「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の頭文字を取った用語です。
つまり、ESG投資は環境、社会、ガバナンスの改善に関する事業への投資だと言えます。
一つ目の「環境(Environment)」に関しては、二酸化炭素を発生することがない地球環境に優しい発電事業、省エネルギー化に取り組む企業への投資があります。
二つ目の「社会(Social)」に関しては、LGBTや人種的ダイバーシティを重視した企業への投資や、発展途上国への投資などが挙げられるでしょう。
三つ目の「ガバナンス(Governance)」に関しては、企業内の不正行為の発生を防ぐ取り組みへの投資や、少数者の意見を社内に取り入れるための取り組みを行う企業への投資が該当します。
ESG投資は環従来の収益だけを求める投資とは異なり、環境・社会・社内統治という幅広い視野に立った投資を指すのです。
ESG投資の具体的な投資対象
ESG投資の概念だけではなく、具体的な投資対象事業について解説していきましょう。
自然由来エネルギー開発
ESG投資の中でも、特に環境に配慮した事業への投資に該当するのが「太陽光発電」や「水力発電」といった自然由来エネルギー開発事業への投資です。
石油を燃やして二酸化炭素を発しながら電力を生産する発電する火力発電や、環境汚染の危険性をはらんでいる原子力発電以外の環境に配慮した発電事業に投資します。
具体的には、次のような自然から生まれるエネルギーを電力に転換する事業です。
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省力化のための事業
環境に配慮した事業は、エネルギーの生産に関するものだけではありません。
消費するエネルギーを省力化するための事業への投資もESG投資の一つです。
例えば、断熱性や保温性が高く室温維持のためのエネルギーを必要としない省電力化住宅の開発や、50年・100年といったように長期間住むことができる建て直しがいらない住宅の開発事業も該当します。
ダイバーシティ事業
ダイバーシティ事業は、従来経営陣に加わることが少なかった女性や高齢者、若年層、外国人などを積極的に採用し、「多様性」のある人材を活用している企業への投資です。
また、障害者(チャレンジド)といった人材の採用を行う企業への投資も該当します。
業務のデジタル化
業務デジタル化の推進企業への投資もESG投資に該当します。
新型コロナウイルスの流行下では、対面での業務遂行よりも遠隔地での業務推進、いわゆるテレワークが推進されています。
そして、テレワークを推進するためには業務のデジタル化が必要な要素です。
さらに、業務をデジタル化することによって書類のペーパーレス化や移動コストの削減、しいては化石燃料の消費量の削減などにもつながるのです。
また、一つの企業に勤務する人たちが住む場所の選択肢の幅が広がれば、人材のダイバーシティ化につながります。
このような業務のデジタル推進企業への投資は、21世紀の社会にまさに求められている事業だと言えるでしょう。
少数株主保護
ESG投資において、「Government」の意味での投資対象となるのものの一つに、少数株主保護があります。
企業運営において、大多数の株主の意見や意向だけを採用するのではなく、従来は物言えぬ株主であった少数株主の意見も取り入れることを目指します。
大規模株主の意見に偏重することを避け、企業統治の正当性や公平性を高めている企業に対して投資することも、より良い社会を作るESG投資の一つに含まれます。
ESG投資のメリット
ESG投資は、社会を良くする意味を持ちます。
しかし、投資である以上メリットがなければ意味はないと感じる方もいるでしょう。
ESG投資には、主に長期的な収益を確保できるメリットがあると言えます。
長期的な視野に立った投資ができる
ESG投資は、地球環境の維持や社会制度の整備など、21世紀の社会にとって必要な社会システム・環境整備に対する投資です。
そのため、社会に末長く受けられていく可能性の高い事業への投資となり、10年・20年と継続的に利益が出ていく可能性が見込まれます。
社会貢献につながる
ESG投資は社会に求められる事業への投資であり、社会貢献につながる意義があります。
投資で資産形成をしながら、同時に社会の役に立てるという2つの満足感を味わえます。
これはESG投資の大きなメリットだと言えるでしょう。
ESG投資のデメリット
長期的な利益、社会貢献というメリットを享受できるESG投資ですが、その反面デメリットも無視できないものがあります。
それは、短期的には収益を獲得しにくいということです。
ESG投資の対象事業がすぐに軌道に乗るとは限らない
ESG投資は、ある意味では未来への投資と言えます。
投資した事業がすぐに社会に受け入れられ、収益を上げられるとは限りません。
環境に配慮した発電事業に投資しても、従来の火力発電よりも効率が悪く利益が出にくいこともあります。
そのため、短期的に大きな利益を求める人はESG投資はあまり向いているとは言えないでしょう。
対象事業の将来性が見込みにくい
従来、投資対象を選ぶ際には運営する企業の財務状況や、事業としての可能性などを分析しながら投資判断をする人が多くいました。
企業情報や市況を分析することで、ある程度利益が出る可能性を高めることができたからです。
しかし、ESG投資は未知の分野、これから発展が期待される分野への投資です。
そのため、どの程度その事業が発展していくのか、本当に利益を生み出すことができるのか判断しにくいのです。
投資先としての妥当性を判断することは、個人投資家レベルの情報量では難しいかもしれません。
ESG投資のリターンは一般的な投資に比べて低い?
ESG投資は、純粋に利益を求めるだけの投資ではなく、社会を良くするといった意味を持つ事業への投資です。
そのため、利益だけを追求するという人にとってはあまり向いていないかもしれません。
資金を長期間運用する余裕があり、事業の発展を見守ることができる人に向いていると言えるでしょう。
ただし、ESG投資を国が推進している場合は短期的な利益を出したり、収益の確実性が高い場合もあります。
日本においては自然由来エネルギーの開発事業に関しては、国が固定買取制度(FIT制度)を導入しており、個人の場合は10年間、法人の場合は20年間、発電量に対して一定の買取価格を保証しています。
こういった制度を活用できるESG投資であれば、デメリットを補うことができるでしょう。
ESG投資に関するニュース
ESG投資は、21世紀の社会・コロナ禍の社会において注目され、そして要求される投資です。
2020年に入り報道された、 ESG投資に関する2つのニュースを紹介しましょう。
Funds(ファンズ)が三井住友信託銀行と資本業務提携
投資のオンラインマーケットを展開する「Funds(ファンズ)」が、2020年10月15日(木)に三井住友信託銀行との資本業務提携を発表しました。
Funds(ファンズ)は三井住友銀行から出資を受けるだけではなく、業務提携することでESG投資案件を投資家に対して提供していくとしています。
ソーシャルレンディング投資家はFunds(ファンズ)を通じて、ESG関連の事業に投資できるようになるでしょう。
日本生命がESG投資を重視する方針を発表
大手生命保険会社である日本生命保険会社では、2020年10月16日(金)自社の資産運用の一環の対象としてESG投資を実施する方針を発表しました。
保険会社は保険加入者から得た資金を運用しながら会社の利益を獲得していく事業を展開しています。
日本生命はその資金の運用対象として、ESG投資を分析し取り入れていくことを表明したのです。
ESG投資に該当しない投資対象は、今後同社では運用されなくなる可能性があります。
ESG投資できるおすすめサイト
ここまで読んできて、ESG投資に関心を持たれた方もいるかも知れません。
そこで、ESG投資に関する事業に投資できるサイトを紹介しましょう。
SBIソーシャルレンディング
日本国内でソーシャルレンディング業界第1位の募集実績を誇る「SBIソーシャルレンディング」では、太陽光発電関係の案件を取り扱っています。
太陽光発電装置は自然人として最もポピュラーです。
そのため、SBIソーシャルレンディングソーシャルレンディングでは太陽光発電装置を運営する事業者への融資案件を提供しており、毎回10億円以上の規模で投資家から資金を募集しています。
これまで返済遅延やデフォルトも発生したことはなく、投資家に継続して利益を提供し続けることに成功しています。
Crowd Bank(クラウドバンク)
SBIソーシャルレンディングに次ぐ、国内ソーシャルレンディング業界第2位の募集実績を持つのがCrowd Bank(クラウドバンク)です。
Crowd Bank(クラウドバンク)では、太陽光発電だけではなく水力、風力、バイオマス発電事業への融資案件を提供しています。
多様なESG発電事業に投資したい方は、Crowd Bank(クラウドバンク)を利用してみると良いでしょう。
Crowd Credit(クラウドクレジット)
Crowd Credit(クラウドクレジット)は、海外のソーシャルレンディング案件を専門に取り扱うサイトです。
日本国内にいながら、海外で運用される案件に投資することができることが特徴です。
Crowd Credit(クラウドクレジット)では、途上国の事業開発資金や個人事業主への融資案件、マイクロファイナンスへの融資案件などを多数取り扱っています。
そのため、世界各国の経済格差の是正に取り組みたいといった考えを持つ方におすすめのソーシャルレンディングサイトです。
まとめ
ESG投資は、2020年時点ではまだ理念面での意味合いが強く、収益を得ながら社会貢献もしていきたいという人には、必ずしもおすすめできるものではないかもしれません。
ただし、これからの社会的な要請、そして流れによってESG投資に関連した事業の存在感はより強くなっていくことも考えられます。
ESGに関する事業に先行投資をしていくことは、将来的には大きな利益を得る手段の一つにもなるかもしれません。
まずは小口から投資できるソーシャルレンディングを通じてESG投資に挑戦し、先行投資をしながらESG投資を学んでみてはいかがでしょうか?