「コロナ禍により、株価や各種相場の変動が読めなくなった。」そう感じている人も多いのではないでしょうか?
投資商品のリスクは、相場の変動が読めない状況ほどと高まっていくものです。
そんな状況下では、ソーシャルレンディング投資でも大損をするのではないかとリスクを感じている人もいるかもしれません。
そこで、この記事はソーシャルレンディング投資により大損することはあるのか、過去の事例などを見ながらお伝えしていきます。
筆者プロフィール
筆者は、第二種金融商品取引業登録を行っている会社に勤務し、投資商品に携わる業務を行っています。
2016年からソーシャルレンディングに投資を行っており、投資金額は累計1千万円を超えます。
そんな筆者のソーシャルレンディング投資経験を交えて、ソーシャルレンディングで大損が発生する可能性や実例をお伝えしていきます。
ソーシャルレンディングで大損する可能性はある?
ソーシャルレンディング投資は、レバレッジをかけること(元本以上のお金を動かす投資)はできないため、自分が出資した金額以上のリスクを負うことはありません。
その点は、最初に理解しておいてもらいたい点です。
レバレッジをかけられる投資には例えばFXがありますが、FXは投資した金額以上の損失を可能性があります。
一方、ソーシャルレンディングはレバレッジのようなシステムは導入されていないため、自分の手持ち資金以上の取引を行う「信用取引」ができません。
そのため、100万円を投資した場合、最大でも失う金額は100万円です。
つまり、ソーシャルレンディングにおける「大損」とは、投資した資金の大半から全額を失ってしまうことを指します。
では、ソーシャルレンディングでの「大損」は、どういった場合に発生するのでしょうか?
次の3つのケースが考えられるでしょう。
- 融資先からの返済が行われない場合
- ソーシャルレンディング会社が倒産し連絡が取れなくなった場合
- 無担保・無保証案件に投資後デフォルトが発生した場合
ケース①:融資先からの返済が行われない場合
ソーシャルレンディングでは資金を必要とする事業者にお金を貸し、その際の「金利」が投資家の収入になります。
つまり、貸したお金が返ってこない場合、投資した金額のほとんどを失う可能性があります。
2018年頃は、ソーシャルレンディング会社が融資した先の会社からお金が返済されず、投資家が投資したお金のほとんど返済されない事態が発生したことがありました。
ケース②:ソーシャルレンディング会社が倒産し連絡が取れなくなった場合
ソーシャルレンディング会社が倒産したことで、投資家に返済が行われなかったという事例は2020年7月末現在まだありません。
しかし、それに近い事態は発生したことがあります。
ソーシャルレンディング会社の代表が姿を消してしまい連絡が取れなくなってしまったのです。
そのため、資金回収に動いているのかどうか、会社のお金と投資家から集めたお金を分別管理しているのかなど、投資家にとって疑問が残ったままの状態が続いている会社があります。
投資家は損失も確定せず、連絡も取れず不確定な状況が続き自己資金を拘束された状態になります。
ケース③:無担保・無保証案件に投資後デフォルトが発生した場合
ソーシャルレンディングでは、大半の案件において「保証」や「担保」が設定されています。
例えば、不動産担保が設定されていれば、たとえ貸し倒れが起きても、担保不動産を売却することにより、投資家にある程度のお金を返済できるのです。
一方で、ソーシャルレンディング案件の中には担保や保証がない案件もあります。
そういった案件において融資先からの返済不履行が発生した場合は換金できる担保や保証がないため、投資家は大きな損失を被ってしまうことがあるのです。
もちろん、あらかじめ「無保証」「無担保」ということが記載されていれば、それは投資家が想定するべきリスクです。
一方で、悪質な案件では、保証や担保があるとの表記があったのに、抵当権を行使しなかったり、実際には担保がなかったという案件もかつてはありました。
こういった案件を提供していたソーシャルレンディング会社は、投資家から訴訟を受けています。
ソーシャルレンディングで大損を防ぐための対策
ソーシャルレンディングにおいて大損をする投資家がこれまでいなかったわけでありません。
投資した金額の大半が返済されず、ソーシャルレンディング会社やその関連事業者を訴訟している投資家もいます。
一方で、2019年以降は投資家とソーシャルレンディング会社間のトラブルは発生していません。
そこで、ソーシャルレンディング投資において大きな損失を防ぎ、利益を出していくためにはどういった対策を取るべきかお伝えしましょう。
- 融資先の信用性が高い案件に投資する
- 担保の資産価値が確かな案件に投資する
- 倒産しにくいソーシャルレンディング会社を利用する
- 返済やデフォルトが起こりにくい利回りの低い案件に投資する
対策①:融資先の信用性が高い案件に投資する
ソーシャルレンディングの最も大きなリスクは、融資先からお金が返済されない「返済リスク」です。
そこで重要な対策が、返済される可能性の高い上場企業などの融資案件に投資することです。
例えば、ソーシャルレンディング「Funds(ファンズ)」では、融資先を有力なベンチャー企業、そして上場企業に限定しています。
上場企業には資本力があります。
また、ソーシャルレンディングで資金調達を行っていることが表面化すれば、株価が下落したり会社の信用が低下しかねません。
そのため、ソーシャルレンディングで借りたお金はしっかり返済しようと最大限努力するのです。
対策②:担保の資産価値が確かな案件に投資する
投資したお金を守るための対策として重要なことは、担保価値が確かな案件に投資することです。
例えば、1億円の融資案件に1億5,000万円の価値がある不動産担保が付いてれば、仮に貸し倒れが起きても担保不動産を売却して資金のほとんどを回収できるでしょう。
融資金額よりも大きな価値を持つ担保がついている案件を選ぶことをこころがけてください。
対策③:倒産しにくいソーシャルレンディング会社を利用する
ソーシャルレンディング会社自体のリスクを避けるのであれば、上場企業や有力企業の関連会社が運営するソーシャルレンディングサイトへ投資すると良いです。
例えば、国内最大手のソーシャルレンディング会社である「SBIソーシャルレンディング」は、大手金融グループSBIホールディングスの子会社です。
また、「オーナーズブック(OwnersBook)」というソーシャルレンディングサイトは、東証マザーズ上場企業であるロードスターキャピタル株式会社が運営しています。
会社規模が大きく、上場企業もしくはそれに準ずる企業に投資すれば、倒産リスクを下げることができます。
対策④:返済やデフォルトが起こりにくい利回りの低い案件に投資する
投資案件を選ぶ際にも、リスクヘッジは可能です。
ソーシャルレンディングに投資する際は、つい利回りの良い案件を選んでしまう人もいるかも知れません。
しかし、投資家への利回りが高い案件は貸付金利も高いということです。
貸付金利が高いということは、返済側(融資先)の負担が大きくなり、返済リスクが高まります。
金利が低い案件を選べば金利の負担が減り、融資先からきちんと返済される可能性は高くなるでしょう。
大損する可能性が低いソーシャルレンディング会社
投資家としては、大損する可能性のあるソーシャルレンディング会社は避けたいところです。
では、どういったソーシャルレンディング会社が大損しにくいと言えるでしょうか?
おすすめの事業者を4つ紹介しましょう。
- SBIソーシャルレンディング
- Funds(ファンズ)
- OwnersBook(オーナーズブック)
- LENDEX(レンデックス)
SBIソーシャルレンディング
2020年7月現在、SBIソーシャルレンディングは日本で営業しているソーシャルレンディングサイトの中で第1位の資金募集実績を持っています。
また、東証一部上場企業であるSBIホールディングスの子会社であり、高い資本力や信用性があります。
国内最大級の実績を持ちながら、これまで貸し倒れを起こしたことはわずか5件しかありません。
10年に渡って投資家に対して利益を提供し続けているソーシャルレンディングサイトだけに、大損する可能性は低いと言えます。
Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
Funds(ファンズ)は、2019年1月に運営を開始したソーシャルレンディングサイトです。
運営期間がまだ短いため累計募集実績は30億円ほど大きなものではありませんが、融資先を上場企業および有力なベンチャー企業に限定しているという特徴があります。
また、全案件において融資先の企業名を公開しています。
そのため、投資家は企業名とその資本力を確認しながら投資先として適切かどうかを判断できます。
案件の利回りは1パーセント~4パーセントとそれほど高くありませんが、それだけに返済リスクも低いと言えます。
OwnersBook(オーナーズブック)
OwnersBook(オーナーズブック)は、東証マザーズ上場企業であるロードスターキャピタル株式会社が運営するソーシャルレンディングサイトです。
不動産開発や販売事業を中心に展開している会社であり、不動産鑑定士や宅地建物取引士など不動産の専門家が多数在籍しているまさに「不動産のプロフェッショナル集団」です。
上場企業であるため財務状況が詳細に公開されており、創業から黒字経営を続けているため倒産リスクは低いと言えます。
提供している案件は資産価値の下がりにくい東京都内のマンションやオフィスビル中心であり、担保力も確かです。
そして、これまで一度も返済遅延や貸し倒れを起こしたこともありません。
LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)は、不動産案件を中心に取り扱うソーシャルレンディングサイトです。
2017年7月からソーシャルレンディング事業を開始し、約3年間の累計募集金額は約65億円です。
2020年に入ってからは毎月5億円前後の募集を行っており、今勢いのあるソーシャルレンディングサイトだと言えます。
レンデックスは、融資金額に対し余裕のある不動産担保の設定を行っています。
不動産担保はレンデックスと第三者機関による2回の査定を実施し、双方の査定額のうち低い方を採用しています。
そして、その査定額の80パーセントまでしか融資を行わないため、貸し倒れが起きても資金全額を回収できる可能性が高いです。
また、これまで返済遅延や貸し倒れを起こしたことがありません。
まとめ
2018年までは、ソーシャルレンディングは利回りの高い案件が中心であり、融資先の企業名が匿名だったこともあり投資家が大損する事態が発生していました。
しかし、2020年現在そういった案件を提供していた怪しいソーシャルレンディング会社は、ほぼ営業を行っていません。
金融庁から行政処分を受けたり投資家から訴訟を受けたりしたため、投資家が不利益を被るような危ないソーシャルレンディング会社は淘汰されたと言えるでしょう。
2020年時点でソーシャルレンディングサイトを展開している会社は、投資家の資産保護に関する取り組みをしっかりと行い、継続して投資家に利益を提供してきている会社ばかりです。
もちろん、ソーシャルレンディングは「投資」ですから、適切な業務を行っているソーシャルレンディング会社を選んだとしても、大損とはいかないまでも損失が発生する可能性があります。
投資をする際には、ソーシャルレンディング会社だけではなくしっかり案件ごとの担保力や収益性などのチェックを怠らないようにしてください。
こちらでは、実際にあったソーシャルレンディングの失敗事例を紹介しています。
リスク対策を学びたい方は一度目を通してくと良いでしょう。