不動産投資型クラウドファンディングは、1口1万円など小口で不動産に投資ができるサービスです。
従来は不動産を購入するために数千万円のローンを組まなければ、不動産への投資を始めることはできなかったため、少額でも不動産投資ができる画期的なサービスです。
しかし、不動産投資型クラウドファンディングのサイトは次々に登場しており、どのサービスを使ったら良いのかわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、不動産投資型クラウドファンディングの選び方とおすすめのサービスについて解説していくので、紹介するサービスを候補に選んでみてください。
目次
不動産投資型クラウドファンディング会社の選び方
不動産投資型クラウドファンディング会社は数多くあり、正直なところ違いはわかりにくいです。
どれも似たようなサービスに感じられますが、よく確認しておくべきポイントがあることも確かです。
知らず知らずのうちにリスクの高いサービスを選んでしまわないよう、まずは不動産投資型クラウドファンディングを選ぶときにチェックしたいポイントを解説していきましょう。
選ぶポイント
- 提供案件数
- 最低投資額
- 不動産の開示情報量
- 運用される不動産の種類
- 投資期間
- 貸し倒れ・遅延の有無
- 優先・劣後出資
提供案件数
提供案件数とは、不動産投資型クラウドファンディングのサイト上に掲載される投資案件の数のことです。
数が豊富であり、募集頻度が高い方が投資できるチャンスが多く使いやすいサービスと言えます。
案件数が少ないサイトだと、案件が登場したときに投資家が殺到し、先着申し込みに漏れてしまいやすくなるからです。
抽選の場合でも、少ない案件に大勢の投資家が殺到することで、当選して投資を始められる可能性は低くなってしまいます。
また、案件数が少ないと、自分が投資したいと思える案件が掲載されず、いつまでも投資を始められないこともあり得ます。
このような事態にならないようにするためには、サイトに掲載される案件の数や募集頻度を重視するべきです。
ただし、不動産投資型クラウドファンディングは1ヶ月に1件募集があれば多い方であり、どのサイトでも「いつでも投資案件が選り取り見取りな状態」ではありません。
複数のサイトに登録しておき、案件を選べる状態を投資家の方で作っておくことをおすすめします。
最低投資額
不動産投資型クラウドファンディングは、サイトによって最低投資額が異なるため、自分の予算に合ったサイトを選びましょう。
最低投資額は低い方が好ましいですが、その理由は分散投資しやすいからです。
例えば、10万円の予算があった場合、1つの不動産に10万円を投資するよりも、10個の不動産に1万円ずつ投資した方が、低リスクの資産運用ができます。
なぜなら、1つの不動産の運用が上手く行かなくて収益が出ないといった場合でも、他の9つの不動産が収益を出してくれるからです。
1つの不動産に集中投資している場合、その不動産の運用に失敗したら収益がまったく得られなくなってしまいます。
このように分散投資をして低リスクな運用をするためにも、最低投資額は少額に設定されているサービスの方が好ましいです。
予算に余裕を持ち、少額で始められる不動産投資型クラウドファンディングを選んで投資していきましょう。
不動産の開示情報量
投資対象となる不動産について、情報が多く開示される不動産投資型クラウドファンディングを選んだ方が良いです。
なぜなら、不動産に関する情報が豊富なほど、投資する前にリスクの大小についてイメージすることができるからです。
不動産投資型クラウドファンディングにおいて、特に確認しておきたい情報は以下のとおりです。
確認したい情報 |
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以上のような情報を総合し、収益性の高い物件か、運用期間中に運営会社が破綻する可能性が低いかなどを確認して投資するか判断していきます。
立地や築年数、面積はマンションなどの賃貸需要を大きく左右しますし、運営会社の財務状況は事業の継続性や貸し倒れのリスクに影響します。
2021年現在、マンション投資の利回りは5パーセント前後ですが、これを大きく上回る想定利回りの案件の場合など、魅力的に見える案件ほど不動産の情報を吟味して投資判断をしましょう。
なお、不動産に関する詳しい情報は投資家限定情報に掲載されていることが多く、不動産投資型クラウドファンディングに登録しないと見られないようになっています。
運用される不動産の種類
不動産投資型クラウドファンディングは、マンションなどの住宅物件、ホテルや民泊などの宿泊施設、倉庫など物流施設のようにサービスによって異なる不動産が投資対象となっています。
不動産の種類によってリスクとリターンが異なるため、クラウドファンディングの収益性に影響があります。
例えば、マンションなどの住宅物件は、ローリスク・ローリターンの特徴があります。
入居者が頻繁に出入りすることがなく、一定の家賃を一定のペースで支払ってもらうことができるため、大きな利益を上げる期待はしにくいですが、大損をするリスクも小さいのです。
また、住宅は景気が良いときも悪いときも需要が変化しにくい特性があり、景気に連動しにくい投資ができます。
一方、ホテルや民泊のような宿泊施設は、景気や需要によって収益性が大きく左右されます。
実際、東京オリンピックなどをきっかけに観光客が増加することによってホテルの収入も増加が期待されていましたが、新型コロナウイルスの影響で需要は冷え込み、経営難に陥るケースも出てきています。
景気と大きく連動する、ハイリスク・ハイリターンな投資方法であると言えます。
このように、不動産の種類によってリスクとリターンは異なります。
「収益性は高めたいけど、低リスクな案件も捨てがたい」と思う方は、種類が異なる不動産に分散投資するのもおすすめです。
投資期間
不動産投資型クラウドファンディングでは、案件ごとに投資期間が決まっています。
サービスによって、長期の案件が豊富なサイトや、短期の案件が豊富なサイトがあるので、好みに合った投資ができるサイトに登録しましょう。
投資に手間をかけたくない方には、長期の案件がおすすめです。
期間が短いと、「案件を選ぶ→運用→終了→また案件を選ぶ」というサイクルが早くなるため、案件選びの手間が大きくなってしまいますが、長期の案件なら長い間放置できるので手間が少ないです。
ただし、投資期間中は、原則として解約することができないことにも注意しましょう。
投資期間中に必要にならないお金を使うべきですが、長い間お金を引き出せなくなるのが不安な方には、短期の案件の方がおすすめです。
不動産投資型クラウドファンディングによって、長期が得意なサイト、短期が得意なサイトがあるので、自分に合っているサイトを選びましょう。
貸し倒れ・遅延の有無
過去に貸し倒れや遅延が発生しているかどうかも、不動産投資型クラウドファンディングを選ぶ上で重要なポイントです。
貸し倒れとは、投資家などから資金を調達した不動産事業の運営会社が、業績悪化や運用失敗といった理由で投資家などにお金を返済できなくなることです。
遅延とは、投資家への分配金の支払いや投資資金の返済が、期限までに行われず、遅れてしまうことです。
貸し倒れや遅延は元本割れの原因となるため、投資家としては起こって欲しくない事態です。
過去に貸し倒れや遅延が発生しているかを調べることで、その不動産投資型クラウドファンディングには貸し倒れや遅延を防ぐための対策をしているかを推し測ることができます。
例えば、不動産事業の運営会社に対する審査や、不動産の評価を厳しく行っているかなどが対策として挙げられます。
対策を行っても貸し倒れや遅延のリスクは一定はありますが、少なくとも貸し倒れや遅延が大量に発生している不動産投資型クラウドファンディングでは、投資をしないようにしましょう。
優先・劣後出資
貸し倒れや遅延は不動産投資型クラウドファンディングの対策によりリスクを下げることはできますが、完全に防げるとは限りません。
そこで、投資家の元本割れリスクをより低くするために、優先・劣後出資という仕組みを導入している不動産投資型クラウドファンディング会社もあります。
優先・劣後出資とは、投資家が優先出資、不動産投資型クラウドファンディング会社が劣後出資となり、両者が不動産事業を運営する会社に出資することです。
運営会社の運用が上手くいかず、一部の資金を返済できなくなった場合、優先出資である投資家にまず資金が返済されるため、損失の多くを不動産投資型クラウドファンディング会社が被ってくれる仕組みです。
例えば、投資家が90パーセントの優先出資、不動産投資型クラウドファンディング会社が10パーセントの劣後出資の場合、10パーセントの損失までであれば不動産投資型クラウドファンディング会社が被るため、投資家は元本割れは発生しません。
このように、万が一の際に投資家よりも不動産投資型クラウドファンディング会社の方が大きな損失を被る仕組みが、優先・劣後出資です。
優先・劣後出資を採用していると、投資家が損をするリスクが低いことに加え、不動産投資型クラウドファンディング会社は自分が損をしないように審査や評価を厳しく行うガバナンスが働きやすくなります。
結果として、投資家も不動産投資型クラウドファンディング会社も投資したいと思える魅力的な案件が登場しやすくなるのです。
不動産に投資できるクラウドファンディングの比較
ご紹介したポイントを押さえ、不動産投資型クラウドファンディングを選んでいきましょう。
紹介する6つの不動産投資型クラウドファンディングについて、各ポイントをまとめると下の表のようになります。
サービス | 提供案件数 | 最低投資額 | 不動産の開示情報量 | 運用される不動産の種類 | 投資期間 | 貸し倒れ・遅延の有無 | 優先・劣後出資 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Rimple | 普通 | 1万円 | 豊富 | 都内のマンション | 6ヶ月程度 | 無し | あり |
Jointo α | 普通 | 10万円 | 豊富 | 全国のマンションなど住宅物件 | 6ヶ月~1年 | 無し | あり |
CREAL | 普通 | 1万円 | 豊富 | 住宅、ホテル、学校、幼稚園 | 1年~2年 | 無し | あり |
WARASHIBE | 普通 | 1万円 | 豊富 | 東京・東京近郊のマンション | 2ヶ月~2年 | 無し | あり |
ちょこっと不動産 | 不明 | 1万円 | 不明 | マンションなど | 不明 | 無し | あり |
大家.com | 少なめ | 1万円 | 豊富 | マンション、アパート | 5ヶ月~1年 | 無し | あり |
これから紹介するサイトは、基本的には不動産の情報を十分に公開しています。
どのサイトも魅力的なので、最低投資額が高すぎないか、投資したい物件の種類(マンション、ホテルなど)があるかなどを確認しながら、自分に合っている不動産投資型クラウドファンディングを選んでいきましょう。
また、案件の数はどのサイトも1ヶ月に1件程度が標準的なので、複数のサイトに登録して投資できるチャンスを広げるのもおすすめです。
東証一部上場企業が運営
「投資をするなら、有名な企業が良い」と感じている方は、東証一部に上場している企業が運営する「Rimple」や「Jointo α」がおすすめです。
上場企業の特性として、一般の企業よりもコンプライアンスを重視しており、不祥事がより起こりにくい体制が築かれていることが挙げられます。
上場企業で不祥事が起きると、上場廃止になるリスクに加え、大きく報道されて国民からの信頼を失い、倒産する可能性すらあるため、上場企業は不祥事に非常に敏感だからです。
非上場の企業にも、もちろんコンプライアンスを重視している企業は大勢いますが、上場企業はより気を付けていると言えます。
したがって、上場企業が運営するサービスで投資をしたいと考える方がいるのは当然ですので、そのような方におすすめの不動産投資型クラウドファンディングを2つ紹介していきます。
東証一部上場企業が運営している不動産投資型クラウドファンディング
- Rimple(リンプル)
- Jointo α(ジョイントアルファ)
Rimple(リンプル)
Rimple(リンプル)は東証一部上場企業のプロパティエージェントが運営する不動産投資型クラウドファンディングです。
2021年3月現在、貸し倒れや遅延が起きたという報告はなく、順調に運営されています。
Rimple(リンプル)の案件は6ヶ月など短期のものが多いため、運用期間中に解約できないことが心配で長期の案件を避けたい方にもおすすめです。
利回りは4パーセント前後で、都心のマンションとしては平均的な水準と言えます。
Rimple(リンプル)のマンションは東京・六本木や西麻布など都心の人気のあるエリアが中心で、賃貸需要が高く、ローリスク・ローリターンな不動産投資と考えられます。
優先・劣後出資の仕組みを採用しており、万が一のときは投資家よりもRimple(リンプル)の方が大きな損失を被る仕組みとなっています。
Rimple(リンプル)の特徴は、セゾンの永久不滅ポイントや、ポイントサイト「ハピタス」のポイントなど、他のサービスのポイントを利用して投資ができることです。
他社サービスのポイントを「リアルエステートコイン」というRimple(リンプル)で使えるコインに変換し、1コイン=1円で投資することができます。
Jointo α(ジョイントアルファ)
Jointo α(ジョイントアルファ)は、東証一部企業のあなぶき興産が運営する不動産投資型クラウドファンディングです。
Rimple(リンプル)は都心の人気エリアのマンションが中心ですが、Jointo α(ジョイントアルファ)は全国のマンションなど住宅物件を対象としている部分が異なります。
「地域創生×不動産投資」という特徴があり、地域に眠っている不動産を発掘して運用することで、地域創生をビジネスチャンスとしています。
2021年3月現在、直近の不動産は大阪、千葉、北海道とエリアが広く分散しているので、Rimple(リンプル)での投資などで東京に投資先が偏っていると感じている方に特におすすめです。
優先・劣後出資の仕組みも取られており、投資家にとってのリスクは低めに抑えられています。
ただし、Jointo α(ジョイントアルファ)の最低投資額は10万円と高めです。
1口10万円の投資が高額に感じられる方は、1口1万円から始められる他のサービスを検討しましょう。
不動産の種類が豊富
不動産投資型クラウドファンディングで投資できるのは、マンションなど住宅物件が多いです。
しかし、住宅への投資に偏ってしまうより、さまざまな物件に少額ずつ投資をして景気や需要の変化に備えておきたいところです。
そこでおすすめな不動産投資型クラウドファンディングが「CREAL」です。
特徴を解説していきましょう。
物件の種類が豊富な不動産投資型クラウドファンディング
- CREAL(クリアル)
CREAL(クリアル)
CREAL(クリアル)は、クリアル株式会社が運営する不動産投資型クラウドファンディングで、1口1万円から投資することができます。
CREAL(クリアル)は、マンションのみならずホテル、学校、保育園と多様な種類の案件を扱っているため、不動産の用途を分散させて投資することができます。
例えば、ローリスク・ローリターンなマンション投資とハイリスク・ハイリターンなホテルへの投資を並行することで、高い利回りを狙いつつ低リスクな案件でコツコツ収益を上げることができます。
優先・劣後出資の仕組みも採用されていることから、投資家のリスクは低く抑えられています。
CREAL(クリアル)は運用期間が1年~2年とやや長めなので、その期間中は解約できず資金を引き出せないことを理解して投資しましょう。
高利回りな案件が豊富
インターネットを通じた投資だからこそ、高利回りな案件を狙いたい方もいらっしゃるでしょう。
ここでは高い利回りが狙える「WARASHIBE」「ちょこっと不動産」「大家.com」の3つを紹介していきます。
ただし、利回りだけで案件を選ぶのではなく、不動産の情報や運営会社の財務状況なども確認した上で投資を行いましょう。
高利回りの案件が豊富な不動産投資型クラウドファンディング
- WARASHIBE
- 大家.com
- ちょこっと不動産
WARASHIBE
WARASHIBEは、株式会社SATASが運営している不動産投資型クラウドファンディングです。
東京都内や神奈川など東京近郊エリアの住宅物件が中心で、利回りは4.5パーセントから6パーセントほどとやや高めになっています。
運用期間は最も短いもので2ヶ月、長いもので2年と幅広い案件を取り扱っています。
WARASHIBEが他のサービスと大きく異なるのが、運用期間中に解約できることです。
手数料はかかりますが、途中でお金が必要になった場合にも引き出せるのは、投資家にとって嬉しい特徴と言えます。
大家.com
大家.comは株式会社グローベルスが運営する不動産投資型クラウドファンディングです。
これまでに取り扱ってきた案件の利回りは4パーセントから7パーセントで、不動産投資型クラウドファンディングの中では高めとなっています。
1万円から投資することができ、優先・劣後出資を採用していることからも、他の不動産投資型クラウドファンディングと比べて遜色はありません。
ただし、取り扱ってきた案件の数が少ないため、実績は未知数となっています。
ちょこっと不動産
ちょこっと不動産は、株式会社良栄が運営する不動産投資型クラウドファンディングです。
2021年3月にサイトが登場したばかりで、まだ案件の公開や募集は行われていません。
そのため、利回りや投資期間は不明ですが、優先・劣後出資を採用することや、マンションやテナントなど幅広い不動産の案件を取り扱うといった情報が公開されています。
1万円から投資できるサービスで、他の不動産投資型クラウドファンディングとどのような違いを出してくるのか注目されています。
まとめ
不動産投資型クラウドファンディングを選ぶときのポイントとおすすめのサービスについて解説してきました。
不動産投資型クラウドファンディングは、インターネットを使って1口1万円など少額で不動産投資を始められる画期的なサービスなので、自分に合ったサービスを登録して使ってみましょう。
最初の方でもお伝えしたように、不動産投資型クラウドファンディング募集案件が多くありません。
そのため、このタイミングで複数のサイトに登録しておき、案件を選べる状態を作っておくと良いでしょう。
口座開設は無料で行うことができますよ。