ソーシャルレンディングで元本割れの原因となるのが、「貸し倒れ」や「遅延」です。
投資にはリスクがつきものとは言え、貸し倒れや遅延はできるだけ発生しない方が良いです。
この記事では、貸し倒れや遅延が起きにくいソーシャルレンディング会社や投資案件の選び方を解説していきます。
トラブルが起きたことがない会社や、トラブルが起きたときの解決能力が優れている会社も紹介するので、投資をするためのヒントにしていただければと思います。
目次
筆者プロフィール
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ、金融機関出身のライターです。
投資歴は4年、運用資産は1,000万円に突入し、毎月約2万円以上の不労所得が入ってくるようになりました。
読者の方々の老後の豊かな暮らしや早期リタイアをサポートするため、金融や投資の記事を多く執筆しています。
利回りが高いソーシャルレンディングへの投資によって、不労所得がかなり充実してきました。
一方で、貸し倒れや遅延が起こるリスクもあるので、低リスクな事業者や案件を選んでいく必要があります。
ソーシャルレンディングへの投資経験者として、どのようなポイントに気を付けたら良いのか解説していきます。
ソーシャルレンディングの貸し倒れ(デフォルト)・遅延とは
ソーシャルレンディングの主なリスクである遅延と貸し倒れ(デフォルト)について、意味を解説していきましょう。
貸し倒れ(デフォルト)とは
貸し倒れ(デフォルト)とは、倒産などによって企業がお金を返済できなくなり、投資家のお金が返って来なくなることです。
ソーシャルレンディングを利用する投資家にとって最大のリスクと言えるでしょう。
どんな案件にも貸し倒れするリスクはありますが、その中でもできるだけ貸し倒れしにくい案件を選ばなくてはなりません。
投資家自身で気を付けなければならないので、ソーシャルレンディングの会社選びや案件選びがポイントになるのです。
これからの章では、会社選びや案件選びのポイントをお伝えしていきます。
遅延とは
「遅延」とは、期日までに投資家にお金を返済できずに遅れることです。
ソーシャルレンディングでは返済期日を決めて融資を行いますが、予定を過ぎてしまう場合を「遅延」と呼んでいます。
事業者によっては「延滞」や「期間延長」と呼ぶこともありますが、いずれも意味は遅延と同じです。
遅延が発生する理由は、企業が予定どおりの利益を出せずに返済できなくなったり、次の融資の募集ができず借り換えができなくなったりするからです。
どのような原因にしろ、遅延が起きても遅れてきちんと返済されれば、大きな問題はないと言えるでしょう。
問題なのは遅延した後に「貸し倒れ」に悪化したり、返済遅延の状態のまま状態が改善しない場合です。
貸し倒れ・遅延しにくいソーシャルレンディングの選び方:会社編
貸し倒れ(デフォルト)や遅延を避けて投資をするには、まずはどのソーシャルレンディングのサイトを利用するかが肝心です。
リスクを低く抑えるための事業者を選ぶポイントは、次の3点です。
ソーシャルレンディング会社の選び方
- ソーシャルレンディング会社の返済実績
- 運営している会社の信頼性
- 問題発生後の対応が評価されている
会社の選び方①:ソーシャルレンディング会社の返済実績
ソーシャルレンディングは会社によって返済実績が大きく異なります。
ほとんど貸し倒れや遅延が発生していない会社もあれば、トラブルが相次いで行政指導を受ける会社もあります。
会社の体質や案件を審査する能力によって、トラブルが起こりにくいかどうかが決まってくると言えるでしょう。
そこで、ソーシャルレンディングの会社を選ぶときは、返済実績を確認しましょう。
これまでに多くの案件を扱っているのに、貸し倒れや遅延が少ない会社は、トラブルを未然に防ぐ体制ができていると考えられるからです。
会社の選び方②:運営している会社の信頼性
ソーシャルレンディングを運営している企業の信頼性も、会社選びの大切なポイントです。
上場企業であったり、「第二種金融商品取引業」という免許を取得していたりする会社は信頼性が高いと言えます。
このようなしっかりした会社であれば、お金を持ち逃げするような詐欺まがいの案件を扱う可能性は低いと考えられるでしょう。
上場企業の場合、決算を開示しなければならなかったり監査法人による監査が入ったりするため、会社自体の透明性を求められます。
ソーシャルレンディングの不祥事などが起これば株価も下がりますし、事業者にとって良いことは何一つありません。
このように不正が起こりにくい仕組みになっているので、信頼性は高いでしょう。
「第二種金融商品取引業」は、ソーシャルレンディングを営む上で必要な免許のようなものです。
証券会社が運営している場合は第一種を取得していることもありますが、こちらも同じように免許のようなものです。
これらを取得するには金融庁の認可が必要なので、悪質な実態がある事業者は取得することができないため、信頼できるソーシャルレンディング会社を見抜く一つの指標になります。
以上のような指標を参考に、信頼できるソーシャルレンディング会社を探しましょう。
ソーシャルレンディングを運営している企業やその親会社が上場企業であったり、第二種・第一種金融商品取引業を取得していたりすることがポイントです。
会社の選び方③:問題発生後の対応が評価されている
貸し倒れや遅延はどんなソーシャルレンディングでも起こり得るものですが、本当に重要なのはその後の対応です。
問題が起きた後、投資家に迅速に詳しい説明を行い、資金回収に尽力した会社は、他の案件でも真摯に対応してくれると考えられるため、投資しても良いと判断しやすいでしょう。
対応能力が足りない会社だと、いつまでも貸し倒れや遅延に対して十分な説明が得られません。
その上、破綻した投資先から資金を回収する努力もせず、遅延の状態で放置されることもあり得ます。
繰り返しになりますが、ソーシャルレンディングはリスクもある投資なので、貸し倒れや遅延が絶対に起こらないと保証することはできません。
問題が起きてもすぐに対応し、資金の回収に努めてくれる会社を選び、投資していく必要があるでしょう。
遅延・貸し倒れしにくいソーシャルレンディングの選び方:案件編
ソーシャルレンディングの会社を決めたら、次は投資する案件を選んでいきましょう。
貸し倒れ(デフォルト)や遅延が起こりにくい案件の特徴は、次の2点です。
ソーシャルレンディング案件の選び方
- 担保・保証が設定されている
- 情報が開示されている
案件の選び方①:担保・保証が設定されている
担保や保証が設定されている案件を選び、設定されていない案件は避けた方が無難です。
担保とは、融資を受けた企業が破綻して資金を返せなくなったとき、売却する不動産などのことです。
資産を売却して現金化し、投資家への返済に充てられます。
保証は連帯保証人などのことで、企業が返済できなかったときに返済を肩代わりする者のことです。
担保や保証がついている案件は、破綻したときのリスクがカバーされているということなので、このような案件に投資しましょう。
なお、どちらかというと保証より担保を重視した方が良いと考えられます。
融資額が大きいと保証人も債務を抱えきれず、破産してしまう可能性が高いからです。
基本的には、不動産の担保がついている案件が良いでしょう。
案件の選び方②:情報が開示されている
投資するためには、投資先がどのようなビジネスを行うのかといった情報が必要ですよね。
このような情報をあまり公開していない案件は、リスクを隠している可能性があるため避けた方が良いでしょう。
ソーシャルレンディングの事業説明の資料は難しいとして嫌われがちなのですが、リスクを知るためにもざっとで良いので目を通しましょう。
あまりにも資料の内容がスカスカな案件の場合、投資をやめるという判断も重要です。
遅延・貸し倒れしにくいソーシャルレンディング
ここでは、貸し倒れ(デフォルト)や遅延が発生したことがないソーシャルレンディング会社や、発生したときの解決能力が優れている会社を5つ紹介していきます。
どのソーシャルレンディング会社が良いのか決めかねている方は、これから紹介するの5つの中から選んでみてはいかがでしょうか?
Crowd Bank(クラウドバンク)
遅延・貸し倒れの実績
- 2020年6月にコロナの影響で一部のファンドが遅延
Crowd Bank(クラウドバンク)は、日本クラウド証券が運営するソーシャルレンディングサービスです。
これまで一度も投資家の元本割れを起こしたことがなく、融資元本回収率100%を誇っています。
その上、実績平均利回りは7.09パーセントと高水準です。
融資金額を上回る評価額の担保を設定するなどの徹底したリスク管理が功を奏していると考えられます。
ただし、2020年は新型コロナウイルスの脅威で世界的に景気が悪化しており、その影響でCrowd Bank(クラウドバンク)の「カリフォルニア不動産ローンファンド」の一部が遅延しています。
コロナの影響で事業に遅れが出たそうですが、投資家には詳細な説明資料が配布され、トラブル対応能力が評価されています。
Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
遅延・貸し倒れの実績
- なし(2020年8月時点)
Funds(ファンズ)は、ファンズ株式会社(旧クラウドポート)が運営するソーシャルレンディングです。
Funds(ファンズ)で融資を募れるのは上場企業だけなので、投資先の信頼性は抜群です。
投資先が優秀だからか、これまでに貸し倒れや遅延は起きたことがありません。
ただし、2018年にスタートしたばかりで歴史が浅いので、今後も数年にわたって発生しなければ評価に値するといったところでしょう。
Funds(ファンズの際立った特徴は、1円以上1円単位で投資できるところです。
他のソーシャルレンディングだと1万円以上のことが多いので、より少額で試したい人に向いています。
少額なら貸し倒れや遅延が起きてもストレスは少ないので、ソーシャルレンディングが初めての方はファンズを使ってみると良いでしょう。
CRE Funding
出典:CRE Funding
遅延・貸し倒れの実績
- なし(2020年8月時点)
CRE Funding(シーアールイー・ファンディング)は、東証一部上場企業の株式会社シーアールイーが運営するソーシャルレンディングです。
これまでに貸し倒れや遅延は起きたことがありません。
CRE Fundingの最大の特徴は、各ファンドに株式会社シーアールイーの保証がついていることです。
つまり、株式会社シーアールイーの倒産などのイレギュラーがなければ、損失が発生しにくい仕組みになっているのです。
一部上場企業による保証がついていることから、CRE Fundingは低リスクにソーシャルレンディングの投資をしたい方におすすめです。
ただし案件の数が少ないので、他のサービスと併用するのが良いでしょう。
SBIソーシャルレンディング
遅延・貸し倒れの実績
- オーダーメード型ローンファンドで貸し倒れあり。合計融資金額に対する貸し倒れの割合は0.2%程度
- 不動産担保ローン事業者ファンドでは貸し倒れなし
SBIソーシャルレンディングは、大手金融グループのSBIホールディングスが運営するソーシャルレンディングサービスです。
2011年からソーシャルレンディングを行っており、業界でも古参の企業です。
歴史が長く扱ってきた案件の数も多いため、多少の貸し倒れも起きています。
しかし、後ほど具体的にどんな貸し倒れが起きたのかも解説しますが、速やかに担保の売却を行って資金の返済に充てています。
対応の速さと投資家への説明の詳しさが評価されている会社です。
なお、SBIソーシャルレンディングが扱う案件はいくつかの種類に分けられるのですが、「不動産担保ローン事業者ファンド」では貸し倒れしたことがありません。
すでに24億円以上の融資が返済されており、返済実績も優良だと言えます。
低リスクな案件を探している方は、「不動産担保ローン事業者ファンド」から選ぶと良いでしょう。
OwnersBook(オーナーズブック)
遅延・貸し倒れの実績
- 貸し倒れが1件だけ発生したものの、解決済み(後述)
OwnersBook(オーナーズブック)は、東証マザーズに上場しているロードスターキャピタル株式会社が運営するソーシャルレンディングです。
不動産投資に特化した案件を扱っています。
OwnersBook(オーナーズブック)では、2019年に1件だけ貸し倒れが発生しています。
ですが、後述するようにすでに解決済みで、投資元本と分配金は投資家に返済されました。
遅延は発生していないですし、貸し倒れも1件だけと少なく、それも素早く解決されたので、オーナーズブックはトラブル解決能力にも定評があるソーシャルレンディングです。
担保の評価が適切に行われているなど能力の高さが窺えるので、信頼して投資できるサービスだと言えるでしょう。
ソーシャルレンディング会社の貸し倒れ・遅延対応の事例
「SBIソーシャルレンディング」と「オーナーズブック(OwnersBook)」では、過去に遅延などのトラブルが発生しています。
上述したようにこれらの会社の対応は高く評価されているので、紹介していきます。
貸し倒れ(デフォルト)や遅延か起きても以下のように対応してくれることがわかれば、投資して良い会社ということがわかるでしょう。
SBIソーシャルレンディングの遅延の対応
SBIソーシャルレンディングは、2019年に募集した「不動産バイヤーズローンファンド」で数件の遅延と貸し倒れが起きています。
分配金の支払いが遅延した段階で、SBIソーシャルレンディングは融資先に返済能力がないことを判断し、容赦なく担保の競売の申し立てを行いました。
その結果、資金を回収することができ、投資家に分配されています。
一部はファンドの元本を下回ったので元本割れとなりましたが、一部のファンドでは元本を上回る金額ができたそうです。
わずか4ヶ月程度で素早く解決されたことなどから、SBIソーシャルレンディングは投資家からの評価が上がっています。
支払いが遅延した時点で容赦なく担保の売却に踏み切るなど、思い切った対応が評価されているためです。
迅速な対応力を知って、SBIソーシャルレンディングにしたという投資家もいるのではないでしょうか。
本来、ソーシャルレンディング会社はこれくらい機動的に動くべきなのですが、以前はできない会社も多かったので、行政処分が下ることもありました。
SBIソーシャルレンディング会社は大手金融グループの一員である安心感に加え、このようなトラブル対応の実績があるため、信頼に値する会社であると言えるでしょう。
OwnersBook(オーナーズブック)の貸付先破産の対応
OwnersBook(オーナーズブック)では、募集した「江東区商業ビル第1号ファンド第1回」というファンドで、融資先の破産が起きています。
放っておいたら貸し倒れになってしまうトラブルです。
OwnersBook(オーナーズブック)での初めてのトラブルとなったため注目が集まっていましたが、破産が発覚した2019年7月から約7ヶ月後の2020年2月には、借入金の全額が弁済され、その期間の分配金も支払われるという解決を見せました。
連帯保証人から利息の支払いを受けたり、破産した企業と不動産会社から借入金と利息を回収したりして、本案件は予定より早く運用を終了する期限前償還となりました。
結果として貸し倒れには至らず、OwnersBook(オーナーズブック)の対応力や担保の審査力がわかったため、投資家の信用につながっています。
このようなトラブル解決の実績があるので、OwnersBook(オーナーズブック)は信頼できる会社だと言って良いでしょう。
ソーシャルレンディングに投資する際の注意点
貸し倒れ(デフォルト)や遅延が起こりにくいソーシャルレンディングの選び方について解説してきました。
しかし、投資にはリスクがつきものなので、絶対に保証された投資先を見つけることはできません。
そのため、自分のお金は自分で守るリスク管理の意識も重要です。
そこで、ソーシャルレンディングに限らないのですが、投資をする際の注意点を3つお伝えしていきます。
次の3つのポイントを押さえ、低リスクの資産運用を行いましょう。
ソーシャルレンディングに投資する際の注意点
- 余剰資金で投資をする
- 分散投資を行う
- 少額で投資を始める
注意点①:余剰資金で投資をする
投資には元本割れのリスクがあるので、余剰資金だけを使うようにしましょう。
余剰資金とは、生活費やマイホーム購入資金などの目的が決まっているお金を除いた、目的はなくとりあえず貯めているお金のことです。
最悪なくなったとしても、人生設計に大きな影響は与えない余剰資金を使って投資を行いましょう。
注意点②:分散投資を行う
まとまったお金を一つの投資先に集中させるのではなく、少額ずつたくさんの投資先に分散させる「分散投資」を行いましょう。
もし大金を一つの企業に投資していた場合、その企業が破綻して貸し倒れに陥ったら、1円も返って来ないリスクがあるからです。
少額ずつたくさんの投資先に分散させていれば、一つの投資先が破綻して貸し倒れに陥っても、資産全体には大きなダメージはないと考えられます。
他の投資先の利益が損失を補ってくれるメリットもあるので、分散投資を心がけましょう。
注意点③:少額で投資を始める
少額で投資を始めれば、もし貸し倒れや遅延が起きても、大きなストレスにはなりません。
1万円だけ投資した人と、100万円も投資した人とでは、貸し倒れや遅延によるダメージの大きさが違うのはおわかりでしょう。
ソーシャルレンディングはリスクもあるため、いきなり大金を投じることはおすすめできません。
できるだけ少ない金額で試し、徐々に案件を増やして分散投資していくと良いでしょう。
今回紹介したソーシャルレンディングサービスは、1万円や2万円といった小さい規模から投資することができます。
また、「Funds(ファンズ)」では1円以上1円単位で投資ができるため、1万円より小さい金額で投資したい方は、Funds(ファンズ)を利用すると良いでしょう。
まとめ
ソーシャルレンディングの貸し倒れ(デフォルト)や遅延についてお伝えしてきました。
元本割れのリスクを下げるためには、会社選びや案件選びが重要です。
今回紹介した挙げたソーシャルレンディング会社は、いずれも貸し倒れや遅延が起きにくい仕組みを作っています。
これからソーシャルレンディングを始める方は、ぜひこれらの会社で始めてみてはいかがでしょうか?
ソーシャルレンディングについてもっと詳しく知りたい方は、こちらをチェックしてみてください。