2020年現在、日本には10社以上のソーシャルレンディング会社があります。
利回りが高いのがソーシャルレンディングの魅力ですが、投資する際はそれだけでなく、ソーシャルレンディング会社の中からできるだけ安全な会社を選びたいものです。
そこで、それぞれのソーシャルレンディング会社のこれまでの経営実績などをチェックして、安全に投資できる会社がどこなのかを比較してみましょう。
目次
ソーシャルレンディング会社の比較:利回り
まずはソーシャルレンディングの最大の魅力である、高い利回りについて見ていきましょう。
ソーシャルレンディングの目安の利回りは2パーセントから10パーセントほどと幅が広く、会社によって異なります。
これから紹介する3社は、業界の中でも利回りが高い案件を扱っている特徴があるので、高い利回りを求める方におすすめです。
高利回りのソーシャルレンディング会社
- LENDEX(レンデックス)
- Crowd Credit(クラウドクレジット)
- Crowd Bank(クラウドバンク)
LENDEX(レンデックス)
レンデックス(LENDEX)の案件は、6パーセントから13パーセントの利回りが多くなっています。
株式投資や不動産投資といった一般的な投資に比べて利回りが高いだけでなく、他のソーシャルレンディングサービスと比較しても高い利回りを誇っています。
レンデックスは2万円から投資できるサービスで、利回りが高いので2万円でも十分な利益が期待できます。
利回り13パーセントの案件に2万円投資した場合、1年で得られる利息は2,600円です。
2万円の投資で2,000円以上も儲かるなんて、かなりお得ではないでしょうか。
利回りが高い投資先は、元本リスクも高くなるのが一般的です。
しかし、後述するようにレンデックスは元本割れに対する対策をしており、これまで貸し倒れを発生させたことがありません。
詳しいリスク対策については後述するので参考にしてください。
Crowd Credit(クラウドクレジット)
クラウドクレジット(CrowdCredit)の案件は、6パーセントから12パーセントほどの利回りが中心となっています。
12パーセントもの利回りが狙えるソーシャルレンディングは非常に稀なので、高い利回りを求める方におすすめできるサイトです。
クラウドクレジットの利回りが高いのは、海外の個人や中小企業への融資をメインとしているからです。
海外の方が国内よりも金利が高いことが多く、個人や中小企業にも高い金利で貸し付けることができます。
ただし、運用期間が2年前後と長めなので、その間は原則として資金を引き出せないことは押さえておきましょう。
少額の資金のみに留めるなどの工夫をすれば、運用期間が2年前後でも問題ないことが多いと言えるでしょう。
適切な資金管理をしてクラウドクレジットを活用してください。
Crowd Bank(クラウドバンク)
クラウドバンク(Crowd Bank)は、実績利回りの平均が7.09パーセントとなっています(2020年7月時点)。
業界平均が5パーセントほどなので、クラウドバンクは他のソーシャルレンディングと比べて高い利回りが期待できます。
投資先は太陽光発電、国内の中小企業、海外の住宅ローンなどです。
収益性が高い案件を扱っているため、期待できる利回りも7.09パーセントと高いのだと考えられます。
クラウドバンクは1万円から投資することができます。
ソーシャルレンディングが初めてで、少額で試してみたい人にもおすすめできるサービスです。
ソーシャルレンディング会社の比較:会社の規模・免許
ソーシャルレンディング会社によって、会社の経営規模として取得している免許なども異なります。
投資家からお金を集めるためには、「第二種金融商品取引業」に登録している必要があります。
そのため、免許もしっかりとチェックしましょう。
また、会社の規模は資本金の金額を見れば分かります。
2020年現在運営しているソーシャルレンディング会社の規模を、資本金から見ていきましょう。
また各社が取得している免許の一覧は、次のようになっています。
社名 | 第二種(第一種)金融商品取引業 | 貸金業 | 資本金 |
---|---|---|---|
maneo | ◯ | ◯ | 3億851万8,500円 |
オーナーズブック | ◯ | ◯ | 13億3,500万000円 |
クラウドバンク | ◯(第一種) | ◯ | 1億円 |
SBIソーシャルレンディング | ◯ | ◯ | 1,000万円 |
LENDEX | ◯ | ◯ | 1億4,400万円 |
クラウドクレジット | ◯ | - | 20億8,452万6,000円 |
ネクストシフトファンド | ◯ | ◯ | 3億9,870万円 |
クラウドリアルティ | ◯ | - | 6億3,500万円 |
COOL | ◯ | ◯ | 5,000万円 |
Funds | ◯ | - | 4億1,500万円 |
ポケットファンディング | ◯ | ◯ | 1憶9,950万円 |
免許や会社規模、資本金の観点から投資におすすめの会社を紹介しましょう。
会社の規模が大きい・免許を取得しているソーシャルレンディング会社
- OwnersBook(オーナーズブック)
- SBIソーシャルレンディング
- Crowd Bank(クラウドバンク)
OwnersBook(オーナーズブック)
オーナーズブック(OwnersBook)は資本金の総額が大きく、東証マザーズ上場企業という信頼性があります。
「第二種金融商品取引業」にも登録しています。
ソーシャルレンディング事業を営む上での問題はなく、投資家が利用しやすい会社であると言えます。
東証マザーズに上場するときの審査を通過していることから、財務状況も良好と見られ決算も黒字が続いています。
上場企業は決算で財務報告を行うため、透明性が高い特徴があります。
もし財務状況が悪くなっても隠せず公開されるため、投資家にとしては判断しやすいと言えます。
社員数も60人弱と、他のソーシャルレンディング会社と比べてかなりの人数です。
SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングは資本金の金額こそ少ないですが、上場企業であるSBIホールディングスを親会社に持つ強みがあります。
親会社が上場企業である以上、子会社も親会社の信用を損ねない営業活動が求められます。
コンプライアンスがしっかりとした大手金融グループの一員なので、SBIソーシャルレンディングが顧客を騙すといった詐欺が起こる確率は非常に低いと考えられます。
登録も「第二種金融商品取引業」「貸金業」いずれにも登録しており、高いコンプライアンス性を期待できます。
SBIソーシャルレンディングが大勢の投資家に信頼されているのは、免許を取得した上場企業の一員であるということも大きいです。
Crowd Bank(クラウドバンク)
クラウドバンク(Crowd Bank)は「第一種金融商品取引業」に登録している日本クラウド証券が運営を行っています。
「第一種金融商品取引業」は「第二種金融商品取引業」よりも業務範囲が広く、その代わりに資本力や監視体制が高い水準となっています。
コンプライアンスへの高い意識はホームページからも窺うことができ、反社会的勢力とは取引しないことや、利益相反の管理方針などが定められています。
利益相反管理方針は企業のコンプライアンスとして近年話題に上がるようになってきた課題で、会社と顧客の利益をが相反する場合にどう行動するかをあらかじめ決めておくものです。
会社が得をしても顧客が損をするような取引はしないと公言しておくのです。
以上のように、クラウドバンクは監視体制が行き届いています。
ホームページでコンプライアンスに関する資料を公開している点は、とても好感が持てます。
ソーシャルレンディング会社の比較:担保・保証
投資案件の確実性を確認するときには、どのような担保や保証が付いているかもしっかりと確認しておきたいところです。
貸し倒れが起きたとき、投資家のお金が返ってくるかどうかは担保や保証が付いているかにかかっているからです。
不動産の購入や運用を行うソーシャルレンディング案件には、基本的には不動産が担保に設定されています。
また、担保を設定する上で重要なのが、担保を適切に評価する能力です。
担保の価値を過大評価してしまうと、売却しても予想したお金が手に入らず、結局投資家にお金を返せなくなってしまうかもしれないからです。
担保を評価する能力が高いのは、「レンデックス(LENDEX)」と「オーナーズブック(OwnersBook)」です。
これらの企業と、特殊な仕組みで元本割れリスクを下げている「Funds(ファンズ)」について、詳しくお伝えしていきましょう。
担保・保証の良いソーシャルレンディング会社
- LENDEX(レンデックス)
- オーナーズブック(OwnersBook)
- Funds(ファンズ)
LENDEX(レンデックス)
レンデックス(LENDEX)では、ほぼすべての案件に不動産担保が設定されています。
さらに、不動産の評価を東急リバブルなど外部に委託し、自社査定と外部査定のうち、低い方の評価額を採用しています。
低い方の評価額を採用することで担保の過大評価を防ぐことができるため、貸し倒れリスクが下がって投資家にとってありがたい仕組みです。
しかも、レンデックスはその評価額の80パーセントまでしか、融資を行いません。
確実性の高い担保を設定しているのです。
一般的なソーシャルレンディングだと100パーセントまで融資をする場合が多いですが、レンデックスはさらに元本の保全を考え、80パーセントまでしか融資しないのです。
レンデックスも元本保証でないことは他のサービスと同じですが、投資家の元本が減らないように以上のような工夫をしているのです。
特に、担保の評価を外部に委託してセカンドオピニオンを求めている点は好感が持てます。
自社に都合の良い評価額に書き換えるといったことができないため、投資家は投資しやすいでしょう。
OwnersBook(オーナーズブック)
オーナーズブック(OwnersBook)の社内には、不動産鑑定士、宅地建物取引師など、不動産を扱うプロが多数在籍しています。
本業が不動産開発業だけに、物件を見る目も確かと言えます。
レンデックスと同様に、案件の融資額よりも担保となる不動産の評価額の方が高いのです。
オーナーズブックのLTVは70パーセントから85パーセントほどであり、不動産担保の評価額の75パーセントから85パーセントほどを融資額の上限にしています。
LTVが低いほど、元本を回収できる可能性が高まります。
他のソーシャルレンディング会社だと、LTVを80パーセントから90パーセントに設定している会社が多いです。
オーナーズブックは他社に比べて貸し倒れが起きたときに元本を回収できる可能性が高いと言えます。
Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
貸し倒れを防ぐため、多くの投資家は担保や保証を気にします。
しかし、担保や保証がない案件が多いにも関わらず、人気を集めているソーシャルレンディングサービスがあります。
それがFunds(ファンズ)です。
ファンズが採用している仕組みは一般的なソーシャルレンディングと異なり、「リコースローン」というものです。
これは不動産の担保があってもなくても、絶対に返済しなければならない融資です。
そのため、担保や保証がなくても元本割れしにくいのです。
一般的には「ノンリコースローン」が多いのですが、この場合担保の評価額を超える損失が出ても補填はされません。
担保の評価額が著しく下がってしまったら、貸し倒れが出ても担保で補填できませんが、それでも投資家は文句は言えないという仕組みなのです。
これだと、担保を設定していても投資家の元本が減ってしまうリスクが残ってしまいますよね。
この課題を解消し、「リコースローン」の仕組みを採用しているのがファンズです。
そのため、「担保なし・保証なし」でも投資できる案件が多いのです。
さらに、ファンズは融資先を上場企業や財務状況の良い企業、革新的な技術を持つ企業に限定しています。
審査能力にも定評があるので、投資家からの信頼も厚いです。
また、融資先の情報公開も行っているため、保全性を自分で確認しながら投資できます。
融資先の会社の社会的信用が保証になっているとも言えます。
ソーシャルレンディング会社の比較:貸し倒れ・遅延の履歴
投資家にとって気になるのが、ソーシャルレンディング会社の貸し倒れや遅延の履歴です。
高い利回りが期待できる反面、元本割れのリスクも高くなることが一般的だからです。
貸し倒れや返済遅延の履歴のない会社を選ぶことで、こういったリスクを避けられると考えられます。
貸し倒れ・遅延の少ないソーシャルレンディング会社
- Crowd Bank(クラウドバンク)
- OwnersBook(オーナーズブック)
- LENDEX(レンデックス)
Crowd Bank(クラウドバンク)
クラウドバンク(Crowd Bank)は、日本国内のソーシャルレンディング会社でも、第1位の募集金額実績を誇ります。
1,012億円以上の資金を投資家から集めながら融資元本回収率は100パーセントとなっており、一度も返済遅延を発生させたことがありません。
クラウドバンクは融資先を選定する目が確かだと言えることに加え、投資家の元本を守るために担保の設定を工夫しています。
融資する金額を上回る評価額の担保などを設定しているのです。
これにより、貸付先の企業がお金を返せない状態になっても、担保の評価額が著しく悪化しない限り、担保を売却して得られたお金を使って投資家に元本を返済します。
クラウドバンクがこれまでに貸し倒れを起こしたことがないのは、「融資金額を上回る評価額の担保を設定する」という他社よりも厳しい条件のお陰でもあると考えられます。
一般的には融資金額と同等の担保を設定するため、クラウドバンクの方がより厳しくリスク管理ができており、今後も貸し倒れが起きにくいソーシャルレンディングサービスだと言えるでしょう。
OwnersBook(オーナーズブック)
オーナーズブック(OwnersBook)は、東証マザーズ上場企業ロードスターキャピタルが運営するソーシャルレンディングサイトです。
確かな担保価値のある不動産案件を取り扱っており、返済遅延を発生させたことがありません。
不動産のプロが多数在籍するソーシャルレンディングサイトだけに、その案件は高い保全性を誇っています。
不動産投資で最も怖いのは、収益性が低い物件を売りつけられ、高いお金を出して買ってしまうことです。
実際、残念ですが不動産業界では個人の投資家をカモにした詐欺も頻発しています。
オーナーズブックで投資できる案件なら社外のエキスパートも不動産評価に関わっています。
そのため、詐欺に遭うリスクや、収益性が予定利回りより低い案件をつかまされるリスクが非常に低いと考えられるソーシャルレンディングなのでおすすめできます。
また、オーナーズブックも投資案件に不動産担保をつけています。
貸付先の企業が投資家にお金を返済できない状態に陥った場合、不動産担保を売却して得られたお金を使って投資家への返済を補うことになります。
不動産市場が著しく悪化しない限り、元本割れしにくい仕組みとなっています。
LENDEX(レンデックス)
レンデックス(LENDEX)は小規模なソーシャルレンディング会社ですが、不動産案件を専門に扱っており、これまで貸し倒れや返済遅延も一度もありません。
大部分の案件に担保が設定されているため、貸し倒れが発生しにくい仕組みとなっています。
それでいながら、利回りは最大13パーセントと高い点も魅力です。
しかし、一般的には利回りが高ければリスクも高いのが投資というもの。
レンデックスでは、ハイリスク・ハイリターンな案件は1年以下の短期間に設定することで、不確実な市場の暴落などに直面するリスクを下げています。
小規模な会社ながら、リスク管理に工夫が見られます。
運用期間が短ければ、ハイリスク・ハイリターンな投資も上手く行く可能性がグッと高まります。
利回りも低リスクもどちらも追求したい方には、レンデックスがおすすめです。
貸し倒れを発生させていないソーシャルレンディング会社
他に貸し倒れを起こしたことのないソーシャルレンディング会社は次のとおりです。
貸し倒れのないソーシャルレンディング会社 |
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これまでの実績を重視したい方は、「クラウドバンク(Crowd Bank)」「オーナーズブック(OwnersBook)」「レンデックス(LENDEX)」に加えてこれらのサービスから選ぶのがおすすめです。
ソーシャルレンディング会社の比較:貸し倒れ発生時の対応
実は、貸し倒れが起きること自体はそこまで大きな問題ではありません。
ソーシャルレンディングが「貸付金利」によって利益を得るシステムになっている以上、貸し倒れが起こることは自然なことだからです。
ソーシャルレンディングの事業者が貸し倒れを見越して、担保や保証を設定しているかの方がよほど重要です。
また、逆に全く貸し倒れが起きていない会社の方が不自然と思われても仕方がない側面もあります。
「自社に不都合な事実を隠しているのでは……」と疑ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
その意味では、貸し倒れがあったかどうかではなく、貸し倒れを発生させた後にどのように投資家に資金を返済したのかを注視するべきです。
その後の対応によって、その会社の業務の信頼性、債権回収力を正確に測ることができるからです。
では、貸し倒れ発生時の対応で特筆すべきソーシャルレンディング会社を紹介しましょう。
貸し倒れ発生時の対応で特筆すべきソーシャルレンディング会社
- SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングは業界大手の企業で、2020年6月末時点で416億円の融資を運用中であり、累計の融資額は1,100億円にも上ります。
このような大手でも貸し倒れが起きたことがありますが、素早い対応が行われました。
SBIソーシャルレンディングで返済遅延を発生させた2018年後半の5件の案件については1ヶ月から2ヶ月以内に担保の売却を行っています。
その結果、満額回収とは行きませんでしたが平均で90パーセント以上の資金を回収することに成功しています。
すなわち、SBIソーシャルレンディングで貸し倒れが起きたときの投資家の損失は、一定の規模に収められています。
対応も早く、投資家にとっては時間的なリスク、資金拘束リスクも小さなものとなっています。
2020年の新型コロナウイルスの感染拡大により、金融市場や不動産市場は先行き不安が高まってきています。
そのため、ソーシャルレンディングでも今後は上手く回らず、貸し倒れする案件が増えてしまうかもしれません。
しかし、SBIソーシャルレンディングのように担保の売却を速やかに行って対応できる会社なら、今後も安心してソーシャルレンディングを続けられると考えられます。
ソーシャルレンディングは新しいサービスであるため、規制がまだ厳しくないことなどから、詐欺まがいの案件があることも問題になっており、ますますサイト選びが重要になっています。
担保を設定しているソーシャルレンディング会社から選ぶことはほぼ必須だと言えますし、貸し倒れが起きたときにSBIソーシャルレンディングのようにきちんと対処できる力がある会社を選ぶことをおすすめします。
まとめ
ソーシャルレンディングは非常に便利な投資方法です。
ほとんど手間をかけずに毎月分配金を受け取ることができるため、特に多忙なサラリーマンにとっては活用したい方法だと言えます。
5パーセントから10パーセントもの高い利回りが狙えることも、ソーシャルレンディングに投資したい理由の一つです。
ただし、まだ日本では歴史が浅く保全性が十分に確保されていない側面があることも事実です。
投資先を選ぶ際には、その会社がこれまでどのような運営実績を持っており、どのような問題対応を行ったのかをきちんと確認しておいた方が良いでしょう。
疑問を疑問にしたまま投資をすることは、できるだけ避けるようにしましょう。
探究心が投資先の良し悪しを見抜く審査眼を育むのです。
近ごろは1万円と少額で投資できるソーシャルレンディングサービスがほとんどです。
いきなり大金をつぎ込むのではなく、少額で試していくリスク管理をしながら取り組んでいくと良いでしょう。