先日、2019年の公示地価が発表されました。
その結果を見ると、都心の一等地のみならず地方の住宅地も公示地価が27年ぶりに上昇しています。
全国的な地価の上昇もあり、不動産業界は現在活況に沸いています。
ソーシャルレンディングの投資案件でも不動産開発案件のために資金を募るものは大変多く、ソーシャルレンディングを通して実質的に不動産投資をすることが可能です。
今回は、不動産案件を専門に扱うソーシャルレンディング会社、また不動産案件を中心に扱うソーシャルレンディング会社を見ながら、ソーシャルレンディングを通じて不動産投資を行うにはどの事業者を選んでいけば良いのかを確認していきましょう。
目次
不動産案件を専門に扱うソーシャルレンディング会社
まずは、不動産案件を専門に扱っているソーシャルレンディング会社を紹介していきましょう。
①オーナーズブック
オーナーズブックを運営しているロードスターキャピタルは、東証マザーズに上場しています。
ロードスターキャピタルにおけるオーナーズブックは、資金調達部門そしてクラウドファンディング部門と位置づけられています。
まだまだ収益規模は小さいものの、ロードスター社の中ではこれから先の展開が期待されているポジションです。
オーナーズブックは、自社でも不動産の開発などを数多く手がけており、不動産物件を見抜く視点、そして開発の手腕において大変してくれたものがあります。
オーナーズブックでは累計80億円ほどの募集実績を誇っており、現在も募集がかかると一瞬で募集金額の上限まで達してしまうほどの人気を持っています。
利回りは4パーセントから5パーセントほどとあまり高くはないものの、安心して投資できる不動産案件を選ぶのであれば、オーナーズブックが最初に候補に上がってくるでしょう!
②LENDEX(レンデックス)
レンデックスも、不動産案件を専門に取り扱うソーシャルレンディング会社です。
最大の特徴は、
- LTV(Loan To Value:借入比率)を80パーセントを上限まで設定していること
- 自社内評価だけではなく、第三者機関の不動産評価も利用していること
です。
担保には、自社と第三者の不動産評価額を算出し、その低い方を上限として、評価額の80パーセントまでしか融資行いません。
仮に不動産の評価が下がったとしても、資金を回収できる可能性が高くなっています。
累計報酬金額はまだ15億円程度とそれほど大規模のソーシャルレンディング会社でありませんが、利回りも7パーセントから8パーセント前後と比較的高く、投資家の安全性を確保しながら十分な利回りも得られるソーシャルレンディング会社として、最近人気が上昇しています。
③アメリカンファンディング
出典:アメリカンファンディング
アメリカンファンディングは、maneo(マネオ)のシステムを利用してソーシャルレンディング事業を展開している、いわゆる「maneoファミリー」の業者です。
その名の通り、アメリカの不動産案件を専門としています。
10パーセントほどと、非常に高い利回りを投資家に対して提供しています。
これまで貸し倒れを起こしたことはありませんが、アメリカンファンディングと同様にアメリカの不動産案件を専門に扱っていたガイアファンディングが全案件で遅延を発生させていることがひとつのネックです。
外国案件ならではのリスクは、ある程度想定しておかなければいけないかもしれません。
また、maneoのシステムを利用していることから、maneoが第二種金融商品取引業免許を剥奪されてしまった場合、アメリカンファンディング独自ではファンドの募集をすることができなくなるリスクがあります。
その点に注意して、アメリカンファンディングで投資するかどうかを決めていくと良いでしょう。
また、2019年3月末には、数件の募集キャンセルを発生させています。
その点も、今後何かしらの問題につながる可能性もあるので、慎重に検討してから投資をしていく必要があるでしょう。
不動産投資もできるソーシャルレンディング会社
次は、不動産案件専門ではありませんが、不動産案件を扱っており不動産投資ができるソーシャルレンディング会社をお伝えしていきます。
①SBIソーシャルレンディング
maneo(マネオ)に次ぎ、国内第2位の規模をもつソーシャルレンディング会社がSBIグループの「SBIソーシャルレンディング」です。
SBIソーシャルレンディングでは、毎月数十億円規模での募集を行っており、常駐募集案件として、SBI不動産案件というものがあります。
利回りは3パーセント台から5パーセント台とあまり高いものではありませんが、常時募集を行っているため、いつでも好きな時に投資ができるというメリットがあります。
資金を遊ばせておきたくない人向けです。
また、SBI不動産案件以外に募集している案件として、SBIソーシャルレンディングは不動産担保を設定した案件を取り扱うことが多く、太陽光ファンドなどでも太陽光発電装置がある敷地を不動産担保として設定していることが多いです。
貸し倒れは2018年に数件発生させましたが、きちんと担保を売却することで大半の資金を回収し、投資家の損失を極力抑えることに成功しています。
親会社が東証一部上場企業であるというコンプライアンス遵守精神も含めて、非常に信頼できるソーシャルレンディング会社の1社と言えるでしょう。
②maneo(マネオ)
出典:maneo(マネオ)
国内最古参、そして国内で最大規模の事業展開を行っているソーシャルレンディング会社がmaneo(マネオ)です。
1,500億円以上もの累計募集実績を誇っています。
しかし、最近はmaneoファミリーを通じて集めた資金、そして自社で募集案件を立てていた案件のいずれでも返済遅延を発生させています。
③Crowd Bank(クラウドバンク)
maneo(マネオ)とSBIソーシャルレンディングに次ぎ、第3位の規模を誇るソーシャルレンディング会社がクラウドバンクです。
クラウドバンクも、常時大量の募集案件を投資家に対して提供しています。
すべてが不動産案件ではありませんが、不動産を担保に設定している案件も多く、不動産開発事業のための取得資金を必要とする事業者に対し、融資する案件を数多く見られます。
行政処分を2度受けたことがありますが、その後投資家からの信頼を回復することに成功しており、これまで貸し倒れを発生させたことも一度もありません。
ただし、貸し倒れが発生していないから安全というわけではなく、貸し倒れが発生した後に、いかにして投資家に資金を返済したかを確認する方が、より安全性の高い投資会社を選ぶ手段です。
比較的に安全性、信頼性が高いソーシャルレンディング会社の1社と言えるでしょう。
④さくらソーシャルレンディング
出典:さくらソーシャルレンディング
maneo(マネオ)ファミリーとして、maneoのシステムを利用して案件の募集を行っているのが、さくらソーシャルレンディングです。
さくらソーシャルレンディングは、地方の不動産を中心とした案件の募集を行っており、利回りも6パーセントから7パーセントと、ソーシャルレンディング業界の平均的な利回りを確保しています。
これまで返済遅延を発生させたことはありませんが、maneoのシステムを利用しているだけに、maneoが金融商品取引業免許を剥奪されてしまうと、同社単体では募集できなくなるリスクがあります。
⑤アップルバンク
出典:アップルバンク
給料前借りシステムの案件募集という個性的な投資案件を提供しているのが、アップルバンクです。
アップルバンクは、給与前借り案件以外にも、リースバック不動産への投資案件などを提供しています。
募集規模はそれぞれ数百万円と小規模ながら、着実に実績を積み重ねて現在30億円以上のお金を集めることに成功しています。
利回りも7パーセントと平均以上の数字を持っていますが、maneoファミリーであるだけに、maneoの金融商品取引業免許剥奪リスクを負っていることを忘れてはいけません。
⑥LCレンディング
出典:LCレンディング
LCレンディングも、maneo(マネオ)のシステムを利用して、ソーシャルレンディング案件の募集を行っている会社です。
ただし、他の中小のソーシャルレンディング会社とは異なり、LCレンディングの親会社であるLCホールディングスは、東証一部上場企業であるという信頼性の高さを持っています。
また、全案件に対してLCホールディングスの連帯保証が付いているなど、不動産担保としての不動産以外に、親会社の保証が付いているというメリットがあります。
貸し倒れを発生させたことはなく、ある程度の信頼性を保っていると言えます。
最近では、医療関係のファンドも積極的に提供しており、利回りはそれほど高くないものの不動産案件以上に回収できる可能性が高いファンドとなっています。
⑦ポケットファンディング
沖縄に本社を構えるソーシャルバンク「ZAIZEN」が運営しているソーシャルレンディングサイトがポケットファンディングです。
ポケットファンディングは本社が沖縄にあるという地盤を活かして、現在活況に沸いている沖縄の不動産案件を中心に組成しています。
沖縄には軍事基地があったり、米軍軍人への住宅事業など本土にはないさまざまな特徴を活かしたソーシャルレンディング案件を提供しています。
観光客の増加に伴って、沖縄の不動産価格も現在上昇傾向にあり、人口の自然増など本州よりもはるかに活況に沸いていると言えるでしょう。
ポケットファンディングの案件も、利回り7パーセントから8パーセントと高めのものが目立っているため、高い収益性を期待できます。
またmaneoファミリーではない点も、メリットと言えるでしょう。
⑧クラウドリアルティ
クラウドリアルティも、多く不動産案件を取り扱うソーシャルレンディング会社の1社です。
これまでには、保育園の開発のための資金提供や民泊物件の資金募集、そして最近ではコワーキングスペースの資金募集など、個性的な不動産案件の募集を行っています。
ただし、募集ペースはあまり高くないので、自分が投資したいときにタイムリーに投資できない点がデメリットと言えるでしょう。
運営自体は、非常に手堅く行っているソーシャルレンディング会社です。
不動産案件のメリットとデメリット
ソーシャルレンディングにおいて不動産案件に投資するときには、そのメリットとデメリットを知っておく必要があります。
不動産案件ならではのメリットとデメリットには何があるでしょうか?
メリット:不動産は売却しやすい
不動産が担保としてよく利用されるのは、換金性が高いからです。
不動産は中古市場が確立しており、資産としても一気にその価値がなくなることはまずありません。
きちんと不動産担保評価を行っている会社の不動産案件であれば、万が一貸し倒れが起きた際にも資金をきちんと回収できる可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、ラッキーバンクのように全案件に不動産担保を設定しながら、実際には3割しか回収できなかった会社もあります。
一方、SBIソーシャルレンディングは不動産担保を売却し、資金の9割程度を回収することに成功しています。
会社としての信頼性、投資家の情報開示性を見ると、不動産担保案件は非常に信頼性が高いと言えます。
注意点としては、金額の大きい案件は、売却先が決まったとしてもすぐにお金が振り込まれるとは限らないことを念頭に入れておくことです。
お金が入ってくるまで数ヶ月の時間を要することもあるのです。
デメリット:不動産業界のみに投資することは危険
日本人の多くの方は、1990年前後のバブル崩壊は記憶に爪痕を残しているのではないでしょうか?
不動産の価値が一気に下落したことで多くの人が資産を失い、倒産や破産をする事業者が多数発生しました。
また、リーマンショックの際もバブル経済崩壊時には及びませんが、不動産価格は2割から3割ほど値下がりしています。
不動産案件ばかりに投資していると、不動産の価格が下落相場に変動したときに資産を大きく失う恐れがあるのです。
また、貸し倒れが何件も同時に発生する恐れもあります。
不動産案件だけに投資するのではなく、ある程度さまざまな分野、例えば医療関係の債権案件、事業開発案件などにも投資することで、案件や事業リスクの分散を図るようにしましょう。