日本には、現在20社以上のソーシャルレンディング会社があります。
それぞれの事業者がどのような特徴を持ち、どの程度の規模や実績があるのかを知っておけば、どの会社で投資していけば良いのかを判断する材料になります。
また、返済遅延や行政処分などによって現在募集停止中のソーシャルレンディング会社もあります。
今回は、ソーシャルレンディング会社の一覧を紹介していきましょう。
目次
ソーシャルレンディング会社一覧:累計募集金額1,000億円以上
まずは、ソーシャルレンディング会社の中で、累計の募集金額が1,000億円を超えている事業者を紹介しましょう。
唯一、「maneo(マネオ)」だけが1,000億円を突破しています。
①maneo(マネオ)
出典:maneo(マネオ)
日本国内で最大の規模と実績、最も歴史が古いソーシャルレンディング会社がmaneoマーケット(以下maneo)です。
その累計募集金額は1,400億円を突破しています。
maneoファンドの傾向を見ると、
- 不動産担保ローン
- 事業用投資資金
- 太陽光発電
など、多岐にわたっています。
また、maneoは他のソーシャルレンディング会社にプラットフォームを提供し、通称maneoファミリーと言われるソーシャルレンディンググループを形成しています。
これらの会社の資本はつながっていないものの、共通IDを利用して投資ができますので、同じシステムを利用している会社ならではの強みがあります。
ただし、最近はmaneoファミリーの中でも大規模な返済遅延が相次いでいます。
そのため、投資家からの信用にやや陰りが見えています。
ソーシャルレンディング会社一覧:累計募集金額300億円以上
続いては、ソーシャルレンディング会社の中で、累計の募集金額が300億円を超えている事業者を紹介しましょう。
全部で2つの会社があります。
①SBIソーシャルレンディング
SBIグループの一員であるSBIソーシャルレンディング(SBI Social Lending)は、maneoに次ぐ実績を持つソーシャルレンディング会社です。
累計400億円以上の募集金額を誇っています。
SBIソーシャルレンディングは、同じSBIグループのSBI証券と提携しており、証券口座経由での入金が無料といったメリットを持っています。
ファンドの種類を見ると、太陽光発電や不動産関係のファンドなど、maneoとよく似ています。
SBIソーシャルレンディングは返済遅延を数度発生させたことがありますが、迅速に資金を回収することに成功し、投資家に資金の大半を返済しています。
SBIグループにふさわしい、高い信用を獲得しているソーシャルレンディング会社です。
②Crowd Bank(クラウドバンク)
多くのソーシャルレンディング会社は、第二種金融商品取引業免許を取得しています。
しかし、クラウドバンク(Crowd Bank)を運営している日本クラウド証券は第二種ではなく、第一種金融商品取引業免許を取得しています。
第一種金融商品取引業免許は資本金の金額、社内監査体制などにおいて第二種金融商品取引業者よりも高いコンプライアントを求められますので、不正が起こりにくい会社と言えます。
クラウドバンクも累計募集金額は300億円を突破しており、国内のソーシャルレンディング業者では3番目の規模になっています。
これまで貸し倒れを発生させたことはありませんが、2015年と2017年に2度の行政処分を受けています。
ソーシャルレンディング会社一覧:累計募集金額100億円以上
続いては、ソーシャルレンディング会社の中で、累計の募集金額が100億円を超えている事業者を紹介しましょう。
全部で2つの会社があります。
①LCレンディング
出典:LCレンディング
LCレンディング(LC LENDING)は、東証一部上場企業であるLCホールディングスの子会社です。
LCグループ内では、不動産開発事業用の資金調達を目的とした案件を組成しています。
投資家への情報開示の頻度が多く、以前は社長がブログを毎日更新していました。
しかし、最近の社長ブログは更新が止まっています。
累計募集金額は200億円以上であり、貸し倒れを発生させたことはありません。
②Crowd Credit(クラウドクレジット)
Crowd Credit(クラウドクレジット)は、海外のソーシャルレンディング案件を専門に取り扱っているソーシャルレンディング会社です。
テレビ番組『ガイアの夜明け』で紹介されたことがあります。
大手銀行出身の社長の人脈もあってか、多数の大企業から出資を受けて成功しています。
発展途上国での事業支援ファンド、マイクロファイナンス案件などを多数手がけており、公共事業の意味合いの強い案件を提供しています。
また、日本国の法律の影響を受けないため、高金利案件にも投資できるメリットがあります。
累計募集金額は150億円を突破しており、会員数も2万人といま非常に勢いのあるソーシャルレンディング会社です。
ソーシャルレンディング会社一覧:累計募集金額50億円以上
続いては、ソーシャルレンディング会社の中で、累計の募集金額が50億円を超えている事業者を紹介しましょう。
全部で2つの会社があります。
①OwnersBook(オーナーズブック)
オーナーズブック(OwnersBook)は、東証マザーズ上場企業のロードスターキャピタルが運営するソーシャルレンディング会社です。
累計報酬金額は80億円程度とそこまで大きくありませんが、不動産投資のプロが運営しているソーシャルレンディングサイトとして、多くの投資家から信用されています。
これまで貸し倒れを発生させたことがなく、ソーシャルレンディング事業以外に不動産開発事業という収益の柱を持っていることから、信頼のおけるソーシャルレンディング会社のひとつです。
②スマートレンド
出典:スマートレンド
スマートトレンド(SmartLend)は、maneoマーケットが提供するシステムを利用しているいわゆるmaneoファミリーのひとつです。
累計報酬金額は70億円を突破しているなど、一定の支持を得ているソーシャルレンディング会社です。
主な案件は香港の金融機関に対する融資であり、金利の高さもあって人気を呼んでいます。
香港の融資案件は国内の貸金業法が適用されないため、日本国内のソーシャルレンディング案件とは違った高金利を設定できるのが魅力となっています。
ソーシャルレンディング会社一覧:累計募集金額10億円以上
続いては、ソーシャルレンディング会社の中で、累計の募集金額が100億円を超えている事業者を紹介しましょう。
全部で8つの会社があります。
①アメリカンファンディング
出典:アメリカンファンディング
アメリカンファンディング(AMERICAN FUNDING)は、maneoのソーシャルレンディングプラットフォームを利用している会社のひとつです。
アメリカンファンディングはアメリカの不動産投資案件を専門としており、9%から10%という高い利回りのソーシャルレンディング案件を投資家に提供しています。
また、これまで貸し倒れを発生させたことがありません。
累計募集金額は約50億円と、ソーシャルレンディング会社の中では平均的です。
②アップルバンク
出典:アップルバンク
アップルバンク(APPLE BANK)は、給料前借りシステムという独自の案件を組成しています。
アップルバンクもmaneoマーケットのシステムを利用しているmaneoファミリーの1社です。
2017年4月からソーシャルレンディング事業を開始しており、累計募集金額は20億円を突破しています。
②さくらソーシャルレンディング
出典:さくらソーシャルレンディング
さくらソーシャルレンディングも、maneoマーケットのシステムを利用しているソーシャルレンディング会社です。
案件利回りは7%前後と平均的ですが、特徴としては診療報酬債権のファンドを組成していることです。
これまでの累計募集金額は30億円程度。
貸し倒れを発生させたこともなく、maneoファミリーの中では比較的安定した運営を続けています。
③LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)は、2017年からソーシャルレンディング事業を開始した、比較的新しいソーシャルレンディング会社です。
6%から10%と幅のある高い利回り、1年未満の短期運用案件、不動産担保専門という特徴を持っています。
累計募集金額は12億円とあまり多くはありませんが、これまで貸し倒れを発生させたこともなく、投資家の支持を徐々に得ています。
募集開始から数分で投資上限に達することが増えています。
④SAMURAI(サムライ)
SAMURAIは、2018年からソーシャルレンディング事業に乗り出した会社です。
親会社が東証一部上場企業のSAMURAI証券株式会社で、後ろ盾が大いに信用できます。
利回りも10%前後と高いものが多く、運用期間が3ヶ月程度と短いものに投資することができます。
また、仮想通貨やギフト券といった特典を投資家に提供していることも、SAMURAIの特徴のひとつです。
⑤クラウドリアルティ
出典:クラウドリアルティ
クラウドリアルティは、民泊物件の再生ファンド、ワークスペース運用ファンドなど、独自性の高いファンドを運営しているソーシャルレンディング会社です。
また、保育園の運営ファンドなどもあります。5パーセント前後とそれほど高い利回りではなく、累計募集金額もまだ数億円程度です。
今までに貸し倒れはありません。
⑥Pocket Funding(ポケットファンディング)
出典:ポケットファンディング(Pocket Funding)
Pocket Funding(ポケットファンディング)は、2017年夏から運営している沖縄のソーシャルレンディング会社です。
ソーシャルバンクZAIZENという金融グループの一社であり、グループ内には沖縄県内で不動産の開発事業を展開する会社が数多くあります。
LCレンディングと同様に、金融グループ内で資金調達部門に近い役割を持っています。
累計募集金額はまだそれほど大きくはありませんが、着実に成長している会社です。
⑦Next Shift Fund(ネクストシフトファンド)
出典:ネクストシフトファンド
ネクストシフトファンドは、鳥取で運営しているソーシャルレンディング会社です。
累計募集金額がまだ数億円と非常に規模は小さいですが、経営者が数々の金融系企業の代表を務めてきた人物だけに、これから先の飛躍が期待されます。
海外の事業支援ファンドなどにも取り組んでいます。
⑧Trust Lending(トラストレンディング)
出典:トラストレンディング
Trust Lending(トラストレンディング)は、公共事業関係の案件が多いソーシャルレンディング会社です。
利回りも10%超えのものが目立ち、投資家から高い支持を集めています。
しかし、募集内容に一部虚偽の記載があったとして2018年12月、同社は1月末までの業務停止処分を受けました。
これまでに貸し倒れや返済遅延は発生していません。
ソーシャルレンディング会社一覧:募集停止中(2019年2月時点)
続いては、ソーシャルレンディング会社の中で、現在は募集停止中になっている事業者を紹介しましょう。
全部で6つの会社があります。
①Green Infra Lending(グリーンインフラレンディング)
出典:グリーンインフラレンディング
グリーンインフラレンディングは、2018年7月以降案件の募集を停止しています。
かつては平均12%と、非常に高い利回りの案件を投資家に提供していました。
自然由来エネルギーの開発案件を専門としており、太陽光やバイオマスの発電事業への融資案件が大半を占めていました。
しかし、親会社であるJCサービスが集めた資金を不正な目的で流用したことを受け、maneoマーケットから締め出されました。
2019年2月時点で、130億円以上が投資家に返済されないままになっています。
②Crowd Lease(クラウドリース)
出典:クラウドリース
クラウドリースは、2019年1月に大規模な返済遅延を発生させた会社がです。
maneoマーケットのシステムを利用しており、アミューズメント関連の施設に対する投資案件がメインでした。
利回りも10%超えと非常に高いものが多く、累計で150億円以上を集めていましたが、2019年時点で投資家に運営資金の大半を返済できていない状況です。
③Luckly Banck(ラッキーバンク)
出典:ラッキーバンク
ラッキーバンクは、2018年2月に行政処分を受けました。
融資先の大半が親族が経営する企業であること、担保の評価額が適正でなかったことなどが原因で、金融庁に業務改善命令を受けたのです。
行政処分を受けるまでは不動産を担保に設定し、利回りも10%前後と高かったことから、非常に人気の高いソーシャルレンディング会社でした。
しかし、行政処分後は返済停止に陥りました。最終的には全ての担保不動産を処分したのですが、50億円の資金の内、わずか32%しか返済できませんでした。
設定した担保の評価額が非常に低かったことから、案件の内容に虚偽があったのではないかとされ、現在、投資家に詐欺罪などで告訴されています。
④ガイアファンディング
出典:ガイアファンディング
Gaia Funding(ガイアファンディング)は、maneoのシステムを利用したmaneoファミリーの1社です。
アメリカンファンディングと同様に、アメリカの不動産投資案件を専門としており、不動産を担保に設定することで信用を得ていました。
しかし、現在、ほぼ全ての案件が返済遅延に陥っており、投資家への返金も進んでいない状態です。
maneoに報告していた投資スキームの内容の一部に虚偽があり、maneoでもガイアファンディングの全貌を把握できてない状態です。
⑤みんなのクレジット
出典:みんなのクレジット
みんなのクレジットは、ソーシャルレンディング会社の中で、初めて大規模な返済遅延を起こした会社です。
投資家から集めた資金を代表の借金返済などに流用していたこともあり、30億円規模の返済遅延を発生させました。
さらに、債権をサービサーに譲渡した結果、投資家には資金の3%しか返済できず、こちらも訴訟問題に発展しています。
⑥Cash Flow Finance(キャッシュフローファイナンス)
出典:キャッシュフローファイナンス
Cash Flow Finance(キャッシュフローファイナンス)も、maneoファミリーの1社です。
借り換えファンドやコインランドリー運用案件を提供していました。
利回りはそれほど高くなかったのですが、リファイナンスに失敗したことで現在、大半の案件が返済遅延状態に陥っています。
また、募集も再開できていません。
ソーシャルレンディング会社一覧まとめ
残念ながら、2018年はmaneoファミリーの会社を中心に、多数のソーシャルレンディング会社が大幅な返済遅延を発生させました。
その結果、2019年2月時点で定期的に案件募集を行っているソーシャルレンディング会社は、15社ほどになっています。
その中でも比較的高い信用を得ているのは、
- SBIソーシャルレンディング
- オーナーズブック
- クラウドバンク
などの大きなバックボーンを持つ会社です。
これからソーシャルレンディングに投資したい人は、こういった大手ソーシャルレンディング会社から投資を始めると良いでしょう。
これからソーシャルレンディングへの投資を検討している方は、こちらの記事も参考にしておきましょう。