クラウドアンサーでは、各月のソーシャルレンディング会社の募集実績を見ながら、その月のソーシャルレンディングの市場動向をレポートしています。
また、このレポートの中ではソーシャルレンディング会社発の主要なニュースも取り上げています。
今回は、2020年10月のソーシャルレンディング市場の動向をお伝えします。
2020年10月の主要ソーシャルレンディング会社の募集実績
社名 | 募集実績(10月) | 募集実績(9月) | 通貨 |
---|---|---|---|
SBIソーシャルレンディング(常時募集ファンド含まず) | 5,580,000 | 6,329,000 | 千円 |
Crowd Bank(クラウドバンク) | 3,014,300 | 3,052,700 | 千円 |
2,450 | 2,200 | 千ドル | |
Funds(ファンズ) | 470,000 | 150,000 | 千円 |
OwnersBook(オーナーズブック) | 1,213,000 | 240,000 | 千円 |
Crowd Credit(クラウドクレジット) | 376,000 | 575,000 | 千円 |
LENDEX(レンデックス) | 416,150 | 334,090 | 千円 |
ポケットファンディング | 90,000 | 134,060 | 千円 |
ネクストシフトファンド | 0 | 0 | 千円 |
CRE Funding(シーアールイーファンディング) | 230,000 | 85,000 | 千円 |
SAMURAI FUND(サムライファンド) | 500,000 | 0 | 千円 |
J.lending(ジェイレンディング) | 100,000 | 100,000 | 千円 |
CREAL(クリアル) | 366,000 | 735,000 | 千円 |
COOL(クール) | 30,000 | 0 | 千円 |
CAMPFIRE OwnersL(キャンプファイヤーオーナーズ) | 0 | 20,000 | 千円 |
2020年10月のソーシャルレンディング募集規模は、12,387,900,000 円(123億8,790万円)+4,500,000(245万)米ドルとなりました(米ドルはクラウドバンクの米ドル建て案件)。
2020年9月は117億5,705万円+220万米ドルであったため、約6億円増加しています。
またこの数字には、SBIソーシャルレンディングの「常時募集ファンド」は含まれていません。
SBIソーシャルレンディング
国内第1位の募集実績を誇るSBIソーシャルレンディング。
そのSBIソーシャルレンディングで2020年10月に募集が行われた案件は、次のとおりです。
2020年10月のSBIソーシャルレンディングの案件 |
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サービサーへの融資案件は、募集回数が少ない案件です。
その他、根強い人気のメガソーラーで41億円という大規模な募集が行われました。
月間の合計募集金額は55億8千万円と、9月に引き続き50億円を超えています。
まさに、ソーシャルレンディング市場を牽引するトップサイトと言えるでしょう。
Crowd Bank(クラウドバンク)
SBIソーシャルレンディングに次ぐ国内第2位の募集実績を持つのがCrowd Bank(クラウドバンク)です。
累計募集金額は1,100億円を突破しています。
クラウドバンクで2020年10月に募集が行われた代表的な案件は、次のとおりです。
2020年10月のクラウドバンクの案件 |
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横浜市との提携ファンドの募集は久しぶりに行われました。
また、米ドル建て分散投資型ファンドは、手軽に先進国であるアメリカへの分散投資が可能です。
Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
Funds(ファンズ)で2020年10月に募集が行われた案件は次のとおりです。
2020年10月のFunds(ファンズ)の案件 |
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Funds(ファンズ)では、2020年10月に過去最高の5案件、合計4億7千万円の募集が行われました。
利回りは2パーセント前後と高くはない水準ですが、いずれの案件も満額を集めることに成功しています。
OwnersBook(オーナーズブック)
OwnersBook(オーナーズブック)では、2020年10月に目覚ましい金額の募集が行われました。
2020年10月のOwnersBook(オーナーズブック)の案件 |
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都心だけではなく、東京市部の大規模なマンション案件の募集を実施し、単月で12億円超の募集金額となりました。
案件数も2020年内では最高です。
Crowd Credit(クラウドクレジット)
Crowd Credit(クラウドクレジット)では、2020年10月も多数の海外案件の募集が行われました。
代表的な案件は次のとおりです。
2020年10月のCrowd Credit(クラウドクレジット)の案件 |
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先進国、途上国ともに案件の募集が実施されています。
また、ファンドパッケージ型の案件も募集し、その合計額は3億7,600万円となっています。
LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)で、2020年10月に募集が行われた案件は次のとおりです。
2020年10月のLENDEX(レンデックス)の案件 |
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無担保有保証のローンファンドの割合が高まっている点が気になるところでしょう。
もちろん、従来どおりの不動産担保月ローンファンドの募集も実施されています。
単月で4億円以上の金額を集めています。
ポケットファンディング
出典:ポケットファンディング(Pocket Funding)
ポケットファンディングは、2020年10月に2案件の募集を行いました。
2020年10月のポケットファンディングの案件 |
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1つの案件を一次と二次に分けて募集しています。
保証付きということで人気を博し、満額集めることに成功しました。
CRE Funding
出典:CRE Funding
CRE Fundingは2020年10月に過去最高額の案件を募集しました。
2020年10月のCRE Fundingの案件 |
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1案件のみですが、2億3千万円という初の1億円超の案件を募集し、しっかりと満額を集めています。
ソーシャルレンディングサイト運営開始8ヶ月ながら、大きな成長を見せていると言えるでしょう。
CREAL(クリアル)
出典:CREAL(クリアル)
CREAL(クリアル)では、2020年10月に保育園案件の募集が実施されました。
2020年10月のCREAL(クリアル)の案件 |
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CREAL(クリアル)では2回目となる保育園案件です。
即時満額達成とは行きませんでしたが、数日で3億6,600万円を集めることに成功しています。
J.LENDING(ジェイ・レンディング)
出典:ジェイ・レンディング
2020年9月は案件募集がなかったJ.LENDINGですが、2020年10月は1案件募集しています。
2020年10月のJ.LENDING(ジェイ・レンディング)の案件 |
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1案件ながら1億円の大規模案件であり、しっかり満額集めることに成功しています。
SAMURAI FUND(サムライファンド)
2020年9月の案件は急遽募集中止になってしまったSAMURAI FUND(サムライファンド)。
10月は再度募集を行っています。
2020年10月のSAMURAI FUND(サムライファンド)の案件 |
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5億円の超大型ファンドでしたが、数日かけて満額を集めました。
順調に融資金額を増やしています。
CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤー・オーナーズ)
出典:CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤー・オーナーズ)
CAMPFIRE Ownersでは、2020年10月には新規案件の募集は実施されませんでした。
COOL(クール)
出典:COOL(クール)
COOL(クール)では、2ヶ月ぶりの案件募集が実施されました。
2020年10月のCOOL(クール)の案件 |
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2020年8月に引き続き、不動産関係の案件です。
前回を上回る5千万円を集めることに成功しています。
2020年10月のソーシャルレンディングニュース
2020年10月、ソーシャルレンディングサイト各社からどのような発表などが行われたでしょうか?
その主要なニュースを取り上げて解説しましょう。
- Funds(ファンズ)が募集案件を大幅に増加
- OwnersBook(オーナーズブック)で月間12億円の募集
- CRE Fundingが2億円規模の案件を募集
ニュース①:Funds(ファンズ)が募集案件を大幅に増加
Funds(ファンズ)は、2020年10月15日(木)に三井住友信託銀行との資本業務提携を発表、同時に募集案件も大幅に拡大することを発表しました。
従来のFunds(ファンズ)は上場企業への融資を専門としましてきましたが、募集金額の規模は毎月2億円前後であり、投資家の需要に応えられてるとは言えない状況でした。
そこで、今後のFunds(ファンズ)は融資先の企業上場企業以外にも拡大し、多様な業種への融資を行うことで毎月の募集規模を10億円ほどにしていきたいとしています。
ソーシャルレンディング投資家の需要が増える中、その需要にFunds(ファンズ)が応えられるかどうかが気になるところです。
ニュース②:OwnersBook(オーナーズブック)で月間12億円の募集
ロードスターキャピタル株式会社運営するOwnersBook(オーナーズブック)は、2020年上半期は新型コロナウイルスの流行の影響もあってか、案件募集が一時停止状態となっていました。
特に、4月から7月にかけてまったく募集がない期間が3ヶ月もあり、投資家からは、「OwnersBookはどうしてしまったのか?」という声が上がるほどでした。
しかし、2020年8月にサイトリニューアルとともに案件の募集を再開。
2020年10月には6案件で12億円というOwnersBook(オーナーズブック)でも過去に例を見ないほどの募集を行っています。
OwnersBook(オーナーズブック)の募集金額の拡大が、ソーシャルレンディング市場の全体の規模の拡大に貢献することが期待されます。
ニュース③:CRE Fundingが2億円規模の案件を募集
株式会社FUELと株式会社シーアールイーが運営を行っているCRE Funding。
2020年2月から運営を開始し、これまでは毎月5,000万円前後の案件を募集していました。
2020年10月には、2億3,000万円の物流倉庫案件の提供を実施しています。
これまでの最高金額案件の最高募集金額が8,000万円でしたから、一気に3倍近い金額を募集したのです。
不況に強いと言われる物流不動産を扱っているCRE Funding。
今後も、積極的な大規模案件の提供が行われていきそうです。
募集規模を拡大するソーシャルレンディングサイトが続出
2010年10月のソーシャルレンディング業界の動きを見ると、募集金額を増やすソーシャルレンディングサイトが続々と現れていることがわかります。
毎月数十億円規模の募集を行っている「SBIソーシャルレンディング」「クラウドバンク(Crowd Bank)」はその勢いを維持していますし、「OwnersBook(オーナーズブック)」では単月で12億円もの募集を行いました。
また、その他のサイトを見ても、新型コロナウイルス流行前と同規模までに募集金額を戻しています。
そして、新興のソーシャルレンディングサイトを見ても「CRE Funding」が2億3千万円の募集を実施しています。
東証一部上場企業が案件の組成を行うCRE Fundingだけに、今後はさらに大規模な案件の募集を定期的に行う可能性が高くなっていきそうです。
また、「COOL(クール)」も第2号案件の募集を行うなど、市場全体で案件数、そして募集金額ともに供給が増えています。
2020年の1月から10月までのソーシャルレンディング市場の募集金額は、合計で800億円ほどです。
このペースでいけば、2020年1月から12月までの合計募集金額は1,000億円強といったところでしょう。
しかし、この数字はmaneoが案件募集を積極的に行っていた2018年よりも小さく、ソーシャルレンディング市場はまだま拡大の余地があると言えそうです。
もちろん、市場拡大を積極的に狙ったばかりに投資家の資産保全が十分に行なわれなかったという前例もあります。
それだけに、投資家側も、案件を提供するソーシャルレンディングサイト側も慎重な姿勢で臨んでいることでしょう。
投資家の需要の増大に応える案件の供給と、資産保全の取り組みの両立が今後のソーシャルレンディング市場にの拡大に必要となっていくのではないでしょうか。
まとめ:2020年10月のソーシャルレンディング市場総評
2020年10月のソーシャルレンディング市場は、単月で募集金額123億円を突破しました。
これは、新型コロナウイルス流行前の2020年3月に匹敵するものです。
ソーシャルレンディング市場にとってのコロナショックの影響は、限定的な影響であったと言えそうです。
ただし、だからといって油断するのではなく、これから新規案件への投資を始める際には、
- 投資先の分散や担保付きかどうかを見る
- 融資先の情報が詳細に公開されている案件を選ぶ
など、慎重な姿勢で選定していく必要があるでしょう。
2020年9月のレポートはこちらから。