クラウドアンサーでは、毎月国内で運営されているソーシャルレンディング会社の募集状況などを調査し、市場動向として及び募集規模、各社の案件、ソーシャルレンディング会社初のニュース記事をまとめ、毎月初旬に発表しています。
今回は、2020年7月の日本のソーシャルレンディング市場の動向をまとめて紹介します。
2020年7月の日本のソーシャルレンディングサイトの募集状況や案件の傾向を分析してお伝えします。
目次
2020年7月の主要ソーシャルレンディング会社の募集実績
2020年7月の主要ソーシャルレンディング会社・不動産投資型クラウドファンディングによる募集金額の総額は、89億2,641万円+267,000ドルでした。
また、ここには「SBIソーシャルレンディング」の常時募集ファンドは含まれていないため、実際の募集金額は100億円を超えることが予測されます。
その内訳は次のとおりです。
社名 | 募集実績(7月) | 募集実績(6月) | 通貨 |
---|---|---|---|
SBIソーシャルレンディング | 24,970,000 | 1,230,000 | 千円 |
Crowd Bank(クラウドバンク) | 6,283,869 | 3,334,450 | 千円 |
267 | 380 | 千ドル | |
Funds(ファンズ) | 150,000 | 250,000 | 千円 |
OwnersBook(オーナーズブック) | 0 | 0 | 千円 |
Crowd Credit(クラウドクレジット) | 445,000 | 230,000 | 千円 |
LENDEX(レンデックス) | 410,180 | 290,130 | 千円 |
ポケットファンディング | 96,520 | 44,340 | 千円 |
ネクストシフトファンド | 0 | 0 | 千円 |
CRE Funding(シーアールイーファンディング) | 70,000 | 31,000 | 千円 |
SAMURAI FUND(サムライファンド) | 155,000 | 385,000 | 千円 |
J.lending(ジェイレンディング) | 100,000 | 130,000 | 千円 |
CREAL(クリアル) | 28,770 | 359,000 | 千円 |
SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングは、2020年7月現在国内1位の累計募集規模を誇ります。
2020年7月は次の2件の募集を行い、約25億円を集めることに成功しています。
- SBISLメガソーラーブリッジローンファンド29号
- SBISL不動産担保ローン事業者ファンドNeo 15号
太陽光、不動産と同社がこれまで募集してきた種類と同様の案件であり、目立って新しい動きは見当たりません。
常時募集ファンドを含めれば、月間の募集規模は35億円から40億円程度となるでしょう。
大変堅調に推移しています。
Crowd Bank(クラウドバンク)
タレントの荒川良々さんを起用したTVCMを関東地方で放送するなど、クラウドバンクは好調な動きが見られます。
特に、2020年7月は62億円を超える募集を実施しました。
これは、SBIソーシャルレンディングをも遥かに凌ぐ規模です。
2020年7月のソーシャルレンディング募集規模が100億円と仮定しても、その6割以上を1社で占めていることになります。
2020年7月に募集を行った代表的な案件は次のとおりです。
- 米ドル建カリフォルニア不動産ローンファンド第239号
- バイオマス発電ファンド第235号
- 米ドル建カリフォルニア不動産ローンファンド第224号
案件の内容に大きく代わった点はありません。
累計募集金額1,000億円を突破しており、SBIソーシャルレンディングに猛追する勢いとなっています。
Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
Funds(ファンズ)は、上場企業への融資案件を専門としています。
2020年7月の募集は3件、総額1億5千万円でした。
いずれも不動産会社への融資案件であり、利回りは2パーセント未満とかなりリスクを抑えた水準です。
- リースバック事業「あんばい」ファンド#11
- リースバック事業「あんばい」ファンド#10
- リースバック事業「あんばい」ファンド#9
安定して案件の供給は行われているものの、募集金額の規模に大幅な伸びは見られません。
投資家からすれば、毎月5億円規模の募集は欲しいところではないでしょうか。
OwnersBook(オーナーズブック)
OwnersBook(オーナーズブック)は、都心の不動産案件を中心とした案件の組成を行っています。
しかし、2020年7月は6月に引き続き案件の募集が行われませんでした。
OwnersBook(オーナーズブック)を運営するロードスターキャピタル株式会社では、ソーシャルレンディング事業以上に不動産事業の売上が大きな比重を占めています。
2020年時点では、そちらの不動産事業に注力しているのかもしれません。
ただ、投資家としては、今後ソーシャルレンディング案件の募集が継続して行われるのか発表して欲しいところでしょう。
Crowd Credit(クラウドクレジット)
Crowd Credit(クラウドクレジット)は、海外案件を専門としてます。
セミナーなどでの情報発信も積極的に行っています。
2020年7月の募集規模は32件、4億4,500万円です。
ただし、満額を集められていない案件もあり、実際の募集金額はこの金額より少ないと予測されます。
主な案件は次のとおりです。
- 社会的インパクト重視型パッケージ7号
- バランス型パッケージ14号
- 【借換】【円建て】マイクロローン事業者ファンド49号
パッケージ型の案件の人気がありますが、途上国案件はやや集まりが悪いようです。
同社の案件の中でも資金が集まりやすいもの、集まりにくいものの差が出てくるかもしれません。
LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)は、不動産案件を中心に扱っています。
2020年7月は好調な募集動向を見せており、募集規模は案件数18件、金額で4億1千万円です。
代表的な案件は次のとおりです。
- ローンファンド 175号
- 不動産担保付きローンファンド 174号
利回り10パーセント・6ヶ月運用の無担保ローンファンド、利回り8パーセント・12ヶ月運用の不動産担保付きローンファンドの2種類を募集しています。
ポケットファンディング
出典:ポケットファンディング(Pocket Funding)
ポケットファンディングは沖縄に本社を構え、沖縄案件を中心に扱っています。
2020年7月には3案件、9,600万円の募集を行っています。
- 沖縄ファンド7号【不動産担保付】
- 沖縄南部ファンド12号【一部不動産担保付】二次募集(再募集)
- 沖縄南部ファンド12号【一部不動産担保付】一次募集(再募集)
2020年7月より数字は落としているものの、ここ1年は大きく変わることのないペースを保っています。
しかし、観光地としての需要が高い沖縄を扱う案件が多いだけに、コロナ禍の影響が気になるところです。
CRE Funding
出典:CRE Funding
CRE Fundingは、東証1部上場企業株式会社シーアールイーが案件組成を行っており、案件の運用対象は「物流不動産」です。
2020年7月は1案件のみ募集を行いました。
- CRE物流ファンド6号羽生
募集規模は2020年6月と比較して伸びており、1案件ごとの募集金額が徐々に大きくなっています。
利回りは3パーセントと低めですが、キャッシュバックキャンペーンを併用できるため、投資家の人気も上昇中。
いま注目したいソーシャルレンディングサイトの一つです。
CREAL(クリアル)
出典:CREAL(クリアル)
CREAL(クリアル)は多様な不動産案件を扱っています。
2020年7月は、居住用不動産案件1つのみの募集でした。
- アクシア新宿御苑
金額も2,877万円と小さいものであり、大きな動きは見られません。
保育園やオフィスビルなど数億円規模の案件の登場が待ち望まれるところです。
J.LENDING(ジェイ・レンディング)
出典:ジェイ・レンディング
J.LENDINGは2020年に入り、募集ペースアップが見られます。
2020年7月は1案件、1億円の募集を実施しています。
- J.LENDING – LF18号
毎月募集を行うようになり、投資先としての認知度が高まりつつあります。
SAMURAI FUND(サムライファンド)
SAMURA IFUND(サムライファンド)では、2020年7月は日本保証の保証付き案件を3つ募集し、合計で1億5,500万円を集めています。
- 日本保証 保証付きファンド12号
- 日本保証 保証付きファンド11号
- 日本保証 保証付きファンド10号
手堅い保証付き案の需要が増大していることが伝わってきます。
2020年7月のソーシャルレンディングニュース
続いては、2020年7月に起きたソーシャルレンディング業界のニュースを紹介し解説します。
特に大きな影響のある内容を3つお伝えしましょう。
ニュース①:SBIソーシャルレンディングが累計赤字を解消
SBIソーシャルレンディングが、第13期の決算公告を発表しました。
2020年3月期・第13期の結果は約3億4千万円の黒字となり、12期までの累計赤字を解消することに成功しています。
SBIソーシャルレンディングの業績は大変好調に推移していることがわかる結果となりました。
ニュース②:Crowd Bankが累計募集金額1,000億円を突破
SBIソーシャルレンディングに次ぐ募集実績誇るクラウドバンク(Crowd Bank)は、2020年7月に累計募集金額1,000億円を達成しました。
国内のソーシャルレンディングサイトで累計募集金額1,000億円を突破したのは、「maneo」「SBIソーシャルレンディング」に次ぎ3つめです。
特に、2020年7月は60億円を超える募集を成功させるなど、投資家からの支持も厚いです。
今最も勢いのある、ソーシャルレンディングサイトだと言えるでしょう。
ニュース③:OwnersBookで2ヶ月間新規案件の募集なし
ロードスターキャピタル株式会社が運営するソーシャルレンディングサイト
OwnersBook(オーナーズブック)では、2020年6月から7月にかけて案件の募集を実施していません。
元々、月あたりの募集件数は1件から2件ほどでしたが、2ヶ月間にわたり案件の募集がないことは非常に珍しいです。
投資家からの人気が高いソーシャルレンディングサイトだけに、同社の今後の動向にも注目が集まります。
新型コロナ第二波はソーシャルレンディング業界にも影響を与えるか?
ソーシャルレンディング業界への新型コロナウイルスの影響は、幸いにも2020年4月の募集規模の減少程度に留まっています。
その後は募集規模も回復し、大規模な貸し倒れや返済遅延も発生していません。
一方、日本国内の新型コロナウイルス感染者数は、2020年7月から大幅に増加しています。
ただし、2020年2月から3月と比較すると大幅な株価の暴落は発生しておらず、市場的にはコロナウイルスの感染者増、失業率の増加は織り込み済みであったと言えるでしょう
そのため、日本のソーシャルレンディング業界にも、即座に大規模な悪影響が出るとは考えにくいです。
ただし、新型コロナウイルスの流行が2021年に入っても収まらなければ、各種市場も「想定以上の影響が起こりうる」と捉え、各経済指標が大幅に悪化する可能性はゼロではありません。
新型コロナウイルスの感染者数の動向からは、まだまだ目が離せないところです。
まとめ:2020年7月のソーシャルレンディング市場総評
2020年7月の国内ソーシャルレンディング市場は、Crowd Bank(クラウドバンク)の躍進もあり、月間で100億円近い募集に成功しました。
ソーシャルレンディング市場への新型コロナウイルス流行の影響は小さく、投資家が損失を被る事態には陥っていません。
2020年8月も、7月と同様の募集規模となることが推測予測されます。
ただし、気になるのが国内で新型コロナウイルスの感染者数が増加していることです。
ある程度の影響は織り込み済みと言えますが、今後さらに拡大が拡大するようだと、想定以上の市場への悪影響が発生する可能性があります。
その点に注意し、投資の際にはリスク分散を図っておきたいところでしょう。
前月2020年6月のレポートが気になる方はこちらから。