クラウドアンサーでは、月ごとに各ソーシャルレンディング会社の資金募集状況、また募集案件などを取りまとめたレポート記事を作成しています。
2020年5月の各ソーシャルレンディング会社の状況はどうだったのか振り返ってみます。
まずは、募集金額を確認していきましょう。
目次
2020年5月の主要ソーシャルレンディング会社の募集実績
社名 | 募集実績 | 通貨 |
---|---|---|
SBIソーシャルレンディング | 2,347,800,000 | 円 |
Crowd Bank(クラウドバンク) | 1,361,000,000 | 円 |
640,000 | ドル | |
Funds(ファンズ) | 279,000,000 | 円 |
OwnersBook(オーナーズブック) | 160,000,000 | 円 |
Crowd Credit(クラウドクレジット) | 385,000,000 | 円 |
LENDEX(レンデックス) | 340,770,000 | 円 |
ポケットファンディング | 53,140,000 | 円 |
ネクストシフトファンド | 0 | 円 |
CRE Funding(シーアールイーファンディング) | 35,000,000 | 円 |
SAMURAI FUND(サムライファンド) | 75,000,000 | 円 |
J.lending(ジェイレンディング) | 130,000,000 | 円 |
CREAL(クリアル) | 0 | 円 |
(2020年5月に募集が行われた案件の募集金額合計:クラウドアンサー調べ)
2020年5月の各ソーシャルレンディングサイトの募集金額は、合計で5,087,710,000 円+クラウドバンクのドル建て案件の640,000ドルでした。
また、SBIソーシャルレンディングの不動産担保事業者向けは金額が公表されていませんが、10億円以上の規模があるものと推測されます。
したがって、最終的な月間の募集規模は60数億円ほどと見られます。
では、各ソーシャルレンディングサイトの状況をそれぞれ確認していきましょう。
SBIソーシャルレンディング
2020年5月のSBIソーシャルレンディングの案件は、次の3種類の募集が行われました。
- SBISLメガソーラーブリッジローンファンド
- SBISL不動産ディベロッパーズローンファンド
- SBISLバイオマスブリッジローンファンド
SBISLメガソーラーブリッジローンファンド28号は2020年3月に募集され、満額に達しなかったぶんの再募集です。
表に出ている募集金額は、2,347,800,000円。
また、常時募集ファンドである不動産担保ローン事業者ファンドの募集も安定して行われており、実際の募集金額は35億円近い数字になると思われます。
Crowd Bank(クラウドバンク)
国内のソーシャルレンディングサイトで第2位の募集実績を持つクラウドバンク。
2020年5月は、Crowd Bank(クラウドバンク)では次の3種類の案件の墓集が行われました。
- 米ドル建カリフォルニア不動産ローンファンド
- 「円投資」カリフォルニア不動産ローンファンド
- 太陽光発電ファンド
案件数は66件、募集総額は13億6千万円+64万ドルですから、日本円にすれば募集金額は14億3千万円ほど。
2020年5月も、SBIソーシャルレンディングに次ぐ数字となっています。
規模はさほど大きくはありませんが、ドル建て案件の募集が行われている点が特徴と言えるでしょう。
海外通貨建て案件は為替相場変動リスクがありますが、クラウドバンクでは任意のタイミングで両替できるため、有利な相場を選んで「ドル⇔円」の交換ができます。
為替相場変動リスクを避けられる点は、投資家にとって魅力でしょう。
Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
2020年5月のFunds(ファンズ)では、次の3件の募集が行われました。
- EL FAROファンド#3
- 底地くんファンド#2
- GranDuoファンド#1
募集金額総額は2億円、いずれも不動産関係の募集案件です。
募集金額規模は2020年4月と同規模であり、不動産関連の案件はコロナショックの影響を受けていないことがわかります。
利回りが2.5パーセントから3パーセントと、他のソーシャルレンディングサイトよりも低い水準です。
OwnersBook(オーナーズブック)
各ソーシャルレンディングサイトの中でも、上場企業が直接運営しているソーシャルレンディングサイトはOwnersBook(オーナーズブック)のみです。
OwnersBookを運営しているロードスターキャピタル株式会社は、東証マザーズに上場しています。
また、メインの事業は不動産開発および不動産販売事業を手掛けています。
OwnersBook(オーナーズブック)の2020年5月の募集は次の1件です。
- 東京23区商業ビル底地・区分第1号第2回
募集金額は1億6千万円でありOwnersBookでは標準的な水準ですが、利回りは5パーセントと、OwnersBookでは高めの数字です。
不動産市況の影響を強く受けるOwnersBookですが、運営元のロードスターキャピタル株式会社でも、まだ特にコロナショックの影響は見られないようです。
Crowd Credit(クラウドクレジット)
CrowdCredit(クラウドクレジット)では、2020年5月は27件の募集が行われ、募集総額は3億8,500万円でした。
一方、2020年5月に償還になった10案件のうち3案件で元本割れが発生しました。
また、投資家への配当利回りは2.3パーセントと当初の予定より低くなりました。
また、丸井グループから資金調達を行い、会社としての基盤構築にも取り組んでいます。
LENDEX(レンデックス)
2020年に入り、毎月3億円以上の募集実績を残しているLENDEX(レンデックス)。
2020年5月は、次の2種類10案件の募集を行い、3億4,077万円を集めています。
- 不動産担保ローンファンド
- ローンファンド(無担保有保証)
募集そのものは好調ですが、2020年5月末に発表した2019年12月期の決算は5,200万円の赤字という結果に終わっています。
2020年に入ってからの募集は大変好調ですから、2020年12月期決算では黒字転換になる可能性もあるでしょう。
ポケットファンディング
出典:ポケットファンディング(Pocket Funding)
沖縄に本社を持つ金融グループ、ソーシャルバンクZAIZEN株式会社が運営するポケットファンディングは、沖縄にある不動産物件を対象とした案件の組成を行っています。
2020年5月は次の2種類の案件の募集が行われました。
- 沖縄ファンド【不動産担保付】
- 沖縄南部ファンド【不動産担保付】再募集
案件数は4件、募集金額は5,044万円であり、2020年4月の9,302万円よりも規模が落ちています。
再募集案件があるように、観光客数の顕著な落ち込みが見られる沖縄不動産への投資は、資金が集まりにくくなっているようです。
ネクストシフトファンド
出典:ネクストシフトファンド
ネクストシフトファンドは、クラウドクレジット同様に海外案件を専門に扱うソーシャルレンディングサイトです。
ネクストシフトファンドが2020年5月に募集した案件は1件もありませんでした。
2020年に入ってから毎月1,000万円以上の募集ペースだっただけに、落ち込みが心配されます。
CRE Funding
出典:CRE Funding
CRE Fundingは、2020年2月から運営された日本国内では最新のソーシャルレンディングサイトです。
株式会社FUELのソーシャルレンディングプラットフォーム「FUEL funding」上を利用した運営が行われています。
案件の組成は東証一部上場企業の不動産会社、株式会社シーアールイーが行なっています。
2020年5月に募集が行われたのは1案件のみです。
- CRE物流ファンド厚木愛川
募集の合計金額は3,500万円でした。
これまでと同様に、物流不動産を対象にした案件です。
資金は好調な集まり方を見せていますが、投資家的にはもっと早いペースでの墓集を願っているところでしょう。
CREAL(クリアル)
出典:CREAL(クリアル)
ソーシャルレンディングではありませんが、CREAL(クリアル)も多くの投資家に利用されている「不動産投資型クラウドファンディング」としてここで紹介します。
2020年5月にCREAL(クリアル)で募集された案件は、1件もありませんでした。
CREALのは数億円規模の大規模案件が多いため、募集頻度はそこまで高くありません。
2020年6月以降の募集に期待しましょう。
J.LENDING
出典:J.LENDING
株式会社JALCOが運営するJ.LENDINGでは、2020年5月に行った案件の募集は次の1件です。
- J.LENDING – LF
不動産取得資金の募集案件であり、金額は1億3千万円でした。
SAMURAI FUND
SAMURAI FUNDは、SAMURAI証券株式会社が運営するソーシャルレンディングサイトです。
2020年5月には、次の1件の募集が行われました。
- 「日本の企業を元気に!」 事業支援ファンド
募集金額は7,500万円です。
2020年5月のソーシャルレンディングニュース
続いては、2020年5月に発表があったソーシャルレンディング関連のニュースから特に目立ったものを取り上げてみましょう。
ニュース①:募集規模は2020年4月を上回った
クラウドアンサー調べの2020年5月のソーシャルレンディングサイト募集実績(CREAL含む)は50億8,771万円+64,000ドルでした。
募集対象を2020年4月から拡大したため直接的な比較はできませんが、2020年4月の募集実績が約30億円でしたので、5月は4月より募集金額が回復しているといえます。
新型コロナウイルスの影響がやや落ち着いてきたことから、投資家心理にも回復傾向が見られます。
ニュース②:クラウドクレジットが丸井グループから7億円調達した
クラウドクレジットは、2020年5月15日(金)に丸井グループから約7億円の資金調達を行ったと発表しました。
これまでも、クラウドクレジットは伊藤忠商事関係のベンチャーキャピタルなど、名だたる会社からの出資を受けていますが、今回の資金調達でも約7億円を調達することに成功しています。
クラウドクレジットが2020年1月31日(金)に開催したイベントにおいて丸井グループの代表者が登壇することがありましたが、その縁もあり今回の資金調達に至ったということです。
ソーシャルレンディング事業は市況の影響もあり苦戦気味のクラウドクレジットですが、ソーシャルレンディングのようなクラウドファンディングを通じたフィンテックへの投資は、まだまだ盛んであると言えそうです。
ニュース③:LENDEXがソーシャルレンディング解説動画を公開
LENDEXは、2020年5月に公式ブログを解説し、投資家やソーシャルレンディング投資初心者にソーシャルレンディング投資の仕組みやリスクといった基礎知識を伝える活動を始めています。
また公式YouTubeチャンネルでも同様のソーシャルレンディング投資初心者に「ソーシャルレンディングとはどんな投資なのか」を伝える動画を公開しました。
資金募集は依然好調なLENDEX。
一方で、会員数は大きく伸びているものの決算は赤字となりました。
今後がブログや動画といったコンテンツを通じた会員募集活動にも力を入れていくようです。
コロナウイルスがソーシャルレンディングに与えた影響
2020年2月から日本でも本格流行している新型コロナウイルス。
2020年3月には、株式市場やREIT市場で相場の暴落が発生しました。
一方で、ソーシャルレンディング市場では貸し倒れや返済遅延など、投資家への影響はまだ見られません。
ただ、2020年4月にはSBIソーシャルレンディングの案件で募集金額未達が発生するなど、ソーシャルレンディングに対する投資家の慎重な姿勢が見られる結果となっています。
2020年5月は、4月比で募集金額が大幅に増加していますが、不動産市場の落ち込みが発生した場合、ソーシャルレンディングに多い不動産取得資金募集案件に影響が発生する可能性があります。
また、クラウドクレジットでは投資家損失や利回り低下が発生しており、海外案件には無視できない影響がすでに生まれています。
ソーシャルレンディングは相場が存在しないため、どこで不況の影響が発生しているのか可視化されにくいといった側面があります。
しばらくは慎重に投資先を選んだ方が良いと考えられます。
まとめ:2020年5月のソーシャルレンディング市場総評
2020年5月の日本のソーシャルレンディング市場を見ると、募集金額は2020年4月よりも増加傾向にあります。
緊急事態宣言も解除されたことから、投資家心理もやや落ち着きが見られた結果と言えるでしょう。
国内外の株式市場も上昇を続けるなど、下落した相場を「買い場」と考えた投資家による投資熱が再燃しつつあります。
しかし、新型コロナウイルスの収束が起きたわけではない以上、まだ大きな相場の下落が起こる可能性は潜んでいます。
ソーシャルレンディング投資においても、できるだけ短期案件を選びリスク分散に務めた方がが良いという傾向は変わらないでしょう。
なお、2020年4月のレポートはこちらからチェック頂けます。