クラウドアンサーでは、月初に日本国内のソーシャルレンディングサイトの動向をまとめたレポートを配信しています。
各ソーシャルレンディングサイトの募集金額や件数、また傾向など各社毎にまとめて読者の皆様にソーシャルレンディングサイトの動向をお伝えしています。
さらに前月のソーシャルレンディング関係の主要ニュースもまとめているため、この記事を読むことで国内ソーシャルレンディング市場の傾向についても確認することができます。
目次
2020年9月の主要ソーシャルレンディング会社の募集実績
社名 | 募集実績(9月) | 募集実績(8月) | 通貨 |
---|---|---|---|
SBIソーシャルレンディング(常時募集ファンド含まず) | 6,329,000 | 2,500,000 | 千円 |
Crowd Bank(クラウドバンク) | 3,052,700 | 4,781,000 | 千円 |
2,200 | 2,167 | 千ドル | |
Funds(ファンズ) | 150,000 | 200,000 | 千円 |
OwnersBook(オーナーズブック) | 240,000 | 600,000 | 千円 |
Crowd Credit(クラウドクレジット) | 575,000 | 630,000 | 千円 |
LENDEX(レンデックス) | 334,090 | 564,120 | 千円 |
ポケットファンディング | 134,060 | 82,710 | 千円 |
ネクストシフトファンド | 0 | 0 | 千円 |
CRE Funding(シーアールイーファンディング) | 85,000 | 0 | 千円 |
SAMURAI FUND(サムライファンド) | 0 | 500,200 | 千円 |
J.lending(ジェイレンディング) | 100,000 | 0 | 千円 |
CREAL(クリアル) | 735,000 | 64,020 | 千円 |
COOL(クール) | 0 | 50,000 | 千円 |
CAMPFIRE OwnersL(キャンプファイヤーオーナーズ) | 20,000 | 0 | 千円 |
2020年9月のソーシャルレンディング募集規模は、11,757,050,000円(117億5705万円)+2,200,000(220万)米ドルとなりました(米ドルはクラウドバンクの米ドル建て案件です)。
2020年8月は99億7,421万円+216万米ドルであったため、約20億円増加しています。
SBIソーシャルレンディング
国内募集実績第1位を誇るSBIソーシャルレンディングでは、2020年9月にはなんと63億2,900万円以上の募集が行われました。
募集が行われた案件は次のとおりです。
2020年9月のSBIソーシャルレンディングの案件 |
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28億円の案件であるSBIメガソーラーブリッジローンファンドは、利回りも8パーセントと高く、投資家の人気を獲得しました。
自然由来エネルギー案件の根強い人気が伺えます。
Crowd Bank(クラウドバンク)
国内第2位の募集実績を持つCrowd Bank(クラウドバンク)は、2020年9月は約30億5,200万円と、前月・前々月よりも規模を縮小しています。
それでも十分な規模があり、2020年9月のソーシャルレンディング募集金額のうち約3/4をSBIソーシャルレンディングとCrowd Bank(クラウドバンク)が占めていることになります。
2020年9月のCrowd Bank(クラウドバンク)の案件 |
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Crowd Bank(クラウドバンク)も自然由来エネルギー案件が多いですが、不動産担保付き案件、海外不動産案件も存在感を発揮しています。
Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
Funds(ファンズ)は上場企業への融資を専門に扱うという特徴を持ちます。
2020年9月は既存融資先の2案件、1億5千万円の募集が行われました。
2020年9月のFunds(ファンズ)の案件 |
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提携先企業は増えていますが、なかなか募集金額が増えないのが投資家の悩みのタネかもしれません。
OwnersBook(オーナーズブック)
OwnersBook(オーナーズブック)は、都心の不動産案件を専門に取り扱っています。
2020年9月は1案件、2億4千万円と小規模な募集に終わりました。
都心で条件の良い物件探しに時間をかけているとも考えられるでしょう。
2020年9月のOwnersBook(オーナーズブック)の案件 |
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Crowd Credit(クラウドクレジット)
Crowd Credit(クラウドクレジット)は、海外案件を専門に扱っています。
コロナ禍で満足に資金が集まらない状況が続いていましたが、2020年9月は5億7,500万円の資金を集めています。
久しぶりに好調な結果を残しました。
2020年9月のクラウドクレジット(CrowdCredit)の案件 |
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LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)は、不動産担保付き案件を多く扱っています。
2020年9月の募集金額は3億3,400万円とやや減少しています。
また、2019年11月以来のRIZINファンドの募集が行われました。
2020年9月のLENDEX(レンデックス)の案件 |
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ポケットファンディング
出典:ポケットファンディング(Pocket Funding)
ポケットファンディングは、沖縄の不動産案件を中心に取り扱っています。
2020年9月は1億3,400万円を集めることに成功しています。
ただし、その中には再募集ファンドも含まれています。
沖縄不動産に対し、慎重に投資の可能性を見る人が増えているのかもしれません。
2020年9月のポケットファンディングの案件 |
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CRE Funding
出典:CRE Funding
CRE Fundingは、物流不動産案件を専門に取り扱っています。
2020年9月の募集件数は1件ですが、過去最大規模8,300万円の募集が行われました。
また、2020年10月には2億3千万円の案件の募集を行う予定であり、徐々に募集金額が増加しています。
2020年9月のCRE Fundingの案件 |
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CREAL(クリアル)
出典:CREAL(クリアル)
不動産投資型クラウドファンディングサイトCREAL(クリアル)は、2020年9月は1案件、7億3,500万円の募集を実施しました。
沖縄県内の新築リゾートホテル案件です。
利回りが6パーセントと高く今後に期待が持たれる物件ですが、満額を集めるのには苦労している模様です。
2020年9月のCREAL(クリアル)の案件 |
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J.LENDING(ジェイ・レンディング)
出典:ジェイ・レンディング
J.LENDING(ジェイ・レンディング)では、2020年8月の募集はなかったものの、9月は2案件、1億円の募集が実施されています。
2020年に入り募集ペースが上がっており、投資家からの評価も徐々に高まりつつあります。
2020年9月のJ.LENDING(ジェイ・レンディング)の案件 |
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SAMURAI FUND(サムライファンド)
SAMURAI FUND(サムライファンド)では、2020年9月に保証付き利回り7パーセント案件の募集が行われ3億5千万円ほどを集めていましたが、融資先の都合で案件募集が中止になりました。
2020年10月の動向が気になるところです。
CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤー・オーナーズ)
出典:CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤー・オーナーズ)
CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤー・オーナーズ)では、2020年9月に1案件、2,000万円のカンボジアの農家支援ファンドの募集が実施されています。
案件の募集ペースが上がっているものの、なかなか満額が集まらず投資家からの信用を得るにはまだ至っていない模様です。
2020年9月のCAMPFIRE Owners(キャンプファイヤー・オーナーズ)の案件 |
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COOL(クール)
出典:COOL(クール)
2020年9月のCOOL(クール)の案件 |
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2020年9月のソーシャルレンディングニュース
ソーシャルレンディングの募集規模を確認した次は、2020年9月に起きたソーシャルレンディング業界の主要ニュースを確認していきましょう。
2020年9月のソーシャルレンディングニュースは次のとおりです。
それぞれの内容を解説していきます。
2020年9月のニュース
- 月間募集金額が120億円を超える
- CREAL」「RENOSY ASSET」がグッドデザイン賞を受賞
- LENDEXが2度目のRIZINファンドを募集
ニュース①:月間募集金額が120億円を超える
2020年9月の日本のソーシャルレンディング市場の募集希望を見ると、
- SBIソーシャルレンディング:63億円
- クラウドバンク:30億円
と大きな数字を見せたこともあり、合計で117億円となっています。
また、SBIソーシャルレンディングの常時募集ファンドの募集もあるため、最終的には120億円を突破しているとみられます。
2020年7月は約90億円、2020年8月は100億円という募集金額の動向を見ると、徐々に市場規模が順調に拡大しているといえるでしょう。
ニュース②:「CREAL」「RENOSYASSET」がグッドデザイン賞を受賞
不動産投資型クラウドファンディングサイトの「CREAL(クリアル)」「RENOSY ASSET」が、グッドデザイン賞を受賞しました。
受賞理由は、サイトデザインが優れていることはもちろん、人々の生活をより2020年の社会に適合したスタイルにデザインすることに成功しているからです。
具体的には次の2点が評価されています。
評価ポイント
- インターネット上で不動産投資を完結できる
- 少額の資金から不動産投資で多くの人にとって不動産投資を身近なものにした
敷居が高いと感じられていた不動産投資が、多くの人にとって身近なものとなっています。
若年層から高齢者まで年齢・性別・収入の制限を受けることなく不動産投資に挑戦できる社会の到来も近いのではないでしょうか。
ニュース③:LENDEXが2度目のRIZINファンドを募集
不動産案件を中心に取り扱う「レンデックス(LENDEX)」で、2019年11月に引き続き2度目の格闘技イベントRIZINの興行資金の募集が行われました。
前回に引き続き、わずか1分ほどで5千万円を集めることに成功しており、コロナ禍の社会でも、格闘技イベントの需要が根強いことがわかりました。
興行のための資金募集ファンドが、今後増えていく可能性もありそうです。
第1回目の募集の概要はこちらです。
地価相場の下落発生!ソーシャルレンディングへの影響は?
2020年9月現在、日本のソーシャルレンディング市場を見ると、不動産関係の案件の募集が非常に多いことがわかります。
そのため、不動産市場の変動はソーシャルレンディング業界にも大きな影響を与える可能性があるでしょう。
2020年9月には、アベノミクス以降数年好調な推移を続けていた日本の不動産市常に2つの変化が発生しました。
一つは、東京都内のビルの空室率が3パーセントを突破し、家賃相場も下落傾向に入ったというニュースです。
もう一つは、国土交通省が発表する基準地価で、東京都心の商業地価格が下がったことが判明したニュースです。
いずれも下落幅はまだわずかであり、即座にソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングに大きな影響を与えるとは考えにくいです。
また、ソーシャルレンディングサイトや不動産投資型クラウドファンディングサイトからの返済遅延やデフォルトも発生していません。
しかし、これまでの都心不動産神話が崩壊したことで、消費者心理への影響も起こり得るでしょう。
「早いうちに売り抜けよう」という行動が連鎖していけば、大きな地価下落につながる可能性もあります。
今後、ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングで投資案件を探す際には、地価の下落幅が比較的大きな商業地物件より、住宅地などの居住用物件を選ぶなどの対策が必要になりそうです。
不動産投資型クラウドファンディング案件に投資する場合、劣後出資割合が高く元本損失が発生しにくい案件を選ぶなどのリスク対策が必要になってくるでしょう。
まとめ:2020年9月のソーシャルレンディング市場総評
2020年9月の日本のソーシャルレンディング市場を見ると、「SBIソーシャルレンディング」が大きく募集金額を伸ばしたことにより、全体で120億円以上の募集規模を突破しました。
2020年4月には、新型コロナウイルスの影響によりソーシャルレンディング市場の大きな規模縮小が見られましたが、その後は毎月募集規模を拡大しており、これまでの新型コロナウイルスの影響は軽微なものだったと言えそうです。
ただし、地価や空室率にはわずかながら影響が生まれており、今後ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングに影響を及ぼす可能性がないとは言い切れません。
投資対象を慎重に見極めながら、複数のソーシャルレンディングサイト、複数の案件に分散投資をするなど、リスク対策を入念に行っていく必要があるのではないでしょうか。
2020年8月の市況記事はこちらから確認できます。