クラウドアンサーでは、毎月月初に前月の国内ソーシャルレンディングサイトの動向をまとめたレポートを掲載しています。
各ソーシャルレンディングサイトでどの程度の募集があったのか、またどのような案件の募集があったのかど、ソーシャルレンディング案件の募集状況をサイト別に掲載しています。
また、ソーシャルレンディング関係の主要ニュースもまとめているので、この記事をお読みいただくことで、日本国内のソーシャルレンディング市場の動向を把握できます。
目次
2020年8月の主要ソーシャルレンディング会社の募集実績
まずは、日本国内で2020年8月末現在営業活動を行っている主要なソーシャルレンディングサイトの募集状況をまとめていきましょう。
社名 | 募集実績(8月) | 募集実績(7月) | 通貨 |
---|---|---|---|
SBIソーシャルレンディング | 2,500,000 | 24,970,000 | 千円 |
Crowd Bank(クラウドバンク) | 4,781,000 | 6,283,869 | 千円 |
2,167 | 267 | 千ドル | |
Funds(ファンズ) | 200,000 | 150,000 | 千円 |
OwnersBook(オーナーズブック) | 600,000 | 0 | 千円 |
Crowd Credit(クラウドクレジット) | 630,000 | 445,000 | 千円 |
LENDEX(レンデックス) | 564,120 | 410,180 | 千円 |
ポケットファンディング | 82,710 | 96,520 | 千円 |
ネクストシフトファンド | 0 | 0 | 千円 |
CRE Funding(シーアールイーファンディング) | - | 70,000 | 千円 |
SAMURAI FUND(サムライファンド) | 500,200 | 155,000 | 千円 |
J.lending(ジェイレンディング) | 0 | 100,000 | 千円 |
CREAL(クリアル) | 64,020 | 28,770 | 千円 |
COOL(クール) | 50,000 | 0 | 千円 |
2020年8月のソーシャルレンディング募集規模は、9,974,217,930円+2,167,930米ドルとなりました。
米ドルはクラウドバンクの米ドル建て案件です。
SBIソーシャルレンディング
SBIソーシャルレンディングは、2020年9月時点で、累計募集実績が1,400億円を突破しており、国内第1位の累計募集規模を誇るソーシャルレンディングサイトです。
2020年8月には次の案件の募集を実施し、24億9,700万円を集めました。
2020年8月のSBIソーシャルレンディングの案件 |
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不動産案件中心ですが、久しぶりにカンボジアのマイクロファイナンス期間への融資案件の募集も実施されています。
ただ、マイクロファイナンス案件は、SBIソーシャルレンディングの案件では満額に達するまで時間を要していました。
また、SBIソーシャルレンディングは常時募集ファンドもあるため、その数字も合わせれば、最終的な月間募集金額は35億円ほどになると見られます。
Crowd Bank(クラウドバンク)
SBIソーシャルレンディングに次ぐ募集実績を誇るのが、日本クラウド証券株式会社が運営するCrowd Bank(クラウドバンク)です。
SBIソーシャルレンディングに続き、累計募集金額1,000億円を突破しています。
なんと、Crowd Bank(クラウドバンク)の2020年8月の募集件数は202件、募集金額も47億8千万円、米ドルで約217万ドルとなっています。
2020年7月に続き、SBIソーシャルレンディングを超える募集実績を記録しています。
主要な募集案件は次のとおりです。
自然由来エネルギーの発電施設案件が目立っています。
2020年8月のCrowd Bank(クラウドバンク)の案件 |
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Funds(ファンズ)
引用:Funds(ファンズ)
融資先を上場企業中心とすることで、投資家からの信頼を獲得しているのがFunds(ファンズ)です。
多様な企業との業務提携も実施しており、国内最大手の広告代理店「電通」との業務及び資本提携も発表しています。
そのFundsが2020年8月に募集した案件は次のとおりです。
募集規模は2億円と、そこまで大きな数字ではありません。
さらなる投資機会の提供に期待が寄せられます。
2020年8月のFunds(ファンズ)の案件 |
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OwnersBook(オーナーズブック)
東証マザーズ上場企業であるロードスターキャピタル株式会社が運営するソーシャルレンディングサイトがOwnersBook(オーナーズブック)です。
2020年5月以来案件の募集がなかったOwnersBook(オーナーズブック)ですが、2020年8月には3ヶ月ぶりの募集が行われました。
案件数は1件のみですが、6億円という大型案件です。
サービスサイトのリニューアルも行われ、さらなる積極的な案件の提供が望まれます。
2020年8月のOwnersBook(オーナーズブック)の案件 |
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Crowd Credit(クラウドクレジット)
海外案件を専門に取り扱うソーシャルレンディングサイトCrowd Credit(クラウドクレジット)では、コロナ禍による世界的な経済不安により、やや募集規模に対して実際の投資家からの投資金額が追いついていない状況が続いています。
それでも、Crowd Credit(クラウドクレジット)では積極的に案件の提供を行っており、2020年8月も4億4,500万円の募集を実施が行われました
2020年8月に募集が行われた主な案件は次のとおりです。
ファンドパッケージ案件の需要が高まっている様子が伺えます。
2020年8月のOwnersBook(オーナーズブック)の案件 |
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LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)は、不動産会社へ脳融資案件を中心に取り扱うソーシャルレンディングサイトです。
利回り10パーセント以上の案件もあり、高収益性を求める投資家に人気があります。
2020年8月は約5億7千万円の募集を実施し、いずれも短時間で満額に達する人気を見せました。
高利回り、無担保有保証案件の増加が目立っています。
2020年8月のOwnersBook(オーナーズブック)の案件 |
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ポケットファンディング
出典:ポケットファンディング(Pocket Funding)
沖縄県に本社を持つポケットファンディングでは、2020年8月に4研の募集を行いました。
2020年8月のポケットファンディングの案件 |
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募集金額は8,200万円と2020年に入って変わらぬペースを維持しています。
観光客数減少の影響も大きな沖縄県ですが、ソーシャルレンディングでは大きな影響は見られません。
CRE Funding
出典:CRE Funding
東証一部上場企業の株式会社シーアールイーが案件の組成を担当しているCRE Fundingですが、2020年8月は1件の募集もありませんでした。
2020年9月には8,500万円の新規案件募集が告知されており、徐々に募集規模が大きくなっています。
CREAL(クリアル)
出典:CREAL(クリアル)
累計募集実績50億円を誇る不動産投資型クラウドファンディングサイトCREAL(クリアル)では、2020年8月に2件の募集が行われており、募集金額は6,000万円ほどであまり大きな募集ではありません。
一方で、2020年9月には大型案件の募集を行うという告知がすでに行われています。
2020年8月のCREAL(クリアル)の案件 |
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J.LENDING(ジェイ・レンディング)
出典:ジェイ・レンディング
J.LENDINGでは、2020年8月の募集がありませんでした。
ここ数ヶ月は毎月募集があっただけに、2020年9月には募集が行われる可能性も高いでしょう。
SAMURAI FUND(サムライファンド)
SAMURAI FUND(サムライファンド)では、2020年8月に1件の募集が行われました。
1件のみですが、保証付き・利回り7パーセントという好条件だったため、5億円満額を達成しています。
保証付き案件は人気が高いだけに、5億円という多額の投資を集めることに成功したと言えます。
2020年8月のSAMURAI FUND(サムライファンド)の案件 |
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COOL(クール)
出典:COOL(クール)
COOL(クール)では、2019年7月以来2件目の募集が行われました。
まだ規模は5,000万円とあまり大きくはないものの、今後は多様な案件、募集規模の大きな案件の登場もありそうです。
2020年8月のCOOL(クール)の案件 |
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2020年8月のソーシャルレンディングニュース
続いては、2020年8月に起こったソーシャルレンディング業界の主なニュースを取り上げてお伝えします。
2020年8月のソーシャルレンディングニュース
- Crowd Bank(クラウドバンク)が決算発表
- COOL(クール)が案件の募集を再開
- OwnersBook(オーナーズブック)が3ヶ月ぶりの新規案件を募集
ニュース①:Crowd Bank(クラウドバンク)が決算発表
ソーシャルレンディングサイト「Crowd Bank(クラウドバンク)」の運営会社の親会社であるクラウドバンク株式会社が2020年3月期の決算を発表しました。
決算の結果は営業収益は前期比約14億円増となっており、2019年3月期よりも大幅に増加しています。
まさに、Crowd Bank(クラウドバンク)の好調さを裏付ける結果となりました。
Crowd Bank(クラウドバンク)は2020年に入り、7月、8月と50億円前後の大規模な募集を続けています。
さらに、2020年7月には累計募集実績1,000億円を達成しています。
このペースでの募集が続けば、2021年3月期の決算も好調な結果になることが期待されます。
ニュース②:COOL(クール)が案件の募集を再開
株式会社COOLが運営するソーシャルレンディングサイト「COOL(クール)が2019年7月以来、約1年ぶりに案件募集を再開しました。
株式会社COOLは、2019年10月に大手金融メディアを運営する株式会社ZUUの子会社となっています。
株式会社ZUUは、
の2つのクラウドファンディングサイトの運営に乗り出したことになります。
COOLが今度どのような案件の提供を行っていくのか、注目が集まります。
ニュース③:OwnersBook(オーナーズブック)が3ヶ月ぶりの新規案件を募集
OwnersBook(オーナーズブック)は、2020年5月以来案件の募集を行っていませんでした。
しかし、2020年8月に約3ヶ月ぶりの新規案件の募集を行いました。
OwnersBook(オーナーズブック)らしく、募集対象は横浜市内の一棟マンション案件であり、募集規模は6億円と大きなものでした。
久しぶりの募集ながら6億円も短期間で集めることに成功し、OwnersBook(オーナーズブック)の人気を裏付ける結果となりました。
アメリカの株価はコロナ前の水準を回復。日本経済の先行きは?
日本のソーシャルレンディング業界との直接の関連性はありませんが、世界経済の動向を占う上で注目されるのがアメリカのNYダウ平均です。
特に、日本の日経平均株価はNYダウ平均の影響を受けることが多いと言われています。
NYダウ平均ですが、2020年8月24日(月)に28,083ドルを記録しました。
これは、コロナショック直前の2020年2月25日(月)に記録した27,081ドルを上回るものです。
その後も特に大きな暴落はなく、NYダウ平均の数字は堅調に推移しています。
日経平均株価も23,000円台を回復し、コロナショック前の水準に到達しそうな勢いです。
株価や円相場は比較的落ち着いていますが、日本国内のGDPは2020年4月~6月期で年率換算マイナス27.8パーセントになったという発表もされています。
これは、リーマンショック時の下落幅をも上回っています。
投資家にとっての景気感と、投資に興味を持たない方の景気に対する感覚は大きなギャップがありそうです。
特に、業種による差が大きく、観光業や飲食業は多大な打撃を受けています。
また、2020年8月28日(金)には安倍首相が退任を表明し、日本経済の舵取りが誰になるか不透明な環境の中、ソーシャルレンディング市場の落ち着きと市井の人に漂う不況感のギャップには注意をしたいものです。
まとめ:2020年8月のソーシャルレンディング市場総評
2020年8月、日本国内のソーシャルレンディング市場は100億円を超える数字を2ヶ月連続で達成しました。
特に、Crowd Bank(クラウドバンク)は2ヶ月連続で50億円前後の募集規模となっており、大変好調な推移を見せています。
また、OwnersBook(オーナーズブック)が3ヶ月ぶりに募集再開したことも明るいニュースだと言えるでしょう。
案件への資金の集まり具合を見ても国内案件は堅調に推移をしており、ソーシャルレンディング投資家の投資熱は、再びコロナショック前の水準に戻りつつあると言えそうです。
ただし、まだ新型コロナウイルスの流行も収束を見せているわけではありません。
投資先を選ぶときは、可能な限り複数の会社、多様な分野へ分散投資をしていくと良いでしょう。
2020年7月の市況記事はこちらから確認できます。